表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
十二連世界の『最強』  作者: Red_stone
4章 滅び行く世界
19/57

第16話 『魔女』との会談

「で、お主がロリコンという話じゃが、お主は年上には関心がないじゃろ」


その話をまだ引きずっていたのか。

それより見た目幼女が、お前ロリコンか、とか言わないで欲しい。

今さっき絶体絶命の危機を免れたばかりというのに、こいつは。


「おかしいな、シシュフォスは年上だと思っていたのだけど」


私は、年上の彼女に好意をもっていたはずだ。

だから私は幼女嗜好ではないはずだ、

その彼女は、私が殺したけど。


「ああ、シシュフォスがおったか。まあ、マレフィはお主が愛人を作っても気にせぬぞ?」


だから何だ?

話がおかしくなってきている。

それに―


「シシュフォスは死んだぞ?私が殺した」

「そうか、それは残念なことじゃ。慰めてやろうかの?」


気にした様子もない。

元々の仲間内で交流があるというのはあまり聞かないから、他人事でしかないか。


「いらないよ。あれは私にとって納得のいく結末だった」


そう、私たちの最期にふさわしいのは互いの命を喰らい合う血みどろのステージだった。


「む、お主をたらしこむチャンスと思ったのじゃが」

「それは残念だったね。用が終わったなら私たちはもう行くぞ」


去ろうとする私をマレフィは袖をつかんで止める。


「それはそうと、何でリリスはお主と腕を組んでおるんじゃ?かなり羨ましいのじゃが」

「さあ、リリスが嬉しいならそれでいいよ。私は別に止めなない」


マレフィは、じと目で聞いてきた。

そんなこと言われても、私はリリスの好きにさせているだけ。

やましいところなど、何もない。


「ぐ。なら、マレフィもそうして―」

「お前はダメだ。身の危険を感じる」


育てられた環境のせいかな?

本当に信用できる者以外は、そばに近寄らせたくない。


「別に手は出さんぞ?ルシフェが心配しているのは別のことじゃろうが。というか、よくリリスはお主と密着しておるの。どこぞの暗殺者かと思うほど、お主は身の回りに人を置きたがらなかったのに」


前に頼み事をしにきた娘を殺した事があったじゃろ、と言うマレフィ。

同情するような素振りは見られない。

何の罪もない娘は勘違いで殺されたというのに。


「それは仕方のないことだ。いきなり手を取られたら、ナイフでも持っているのかと思って殺すだろう。戦いを生業とするものにとっては当然だ」

「それにしても、仲間まで警戒するのはやりすぎ、とも言えぬか。複雑な事情を持つ者ばかりであったからの。マレフィもキャラ立てが大変じゃったわ」


よく言う。

ゴスロリ幼女だけでも目立つのに、口調や性格にも一癖あるくせに。


「君がそれを言うのかな?仲間内で一番目立つキャラの一人だろうに」

「ふん、昔のことは忘れたわ」


「そう」


ここで、マレフィは言葉を区切る。


雰囲気が重くなった。


これでもマレフィは200レベル。

災厄の魔女と忌み嫌われる、恐るべき幼女なのだ。

その戦力は国を滅ぼせるほどのレベルだ。


「で、その腕はどうしたのじゃ?お主の腕はまだ再生する兆しすら見えん。並大抵のことではそうはならぬ。だんまりを決め込むのなら、力づくでも聞かせてもらおうかの」

「ま、君にならいいか。協力してもらうことになるからね」


明らかに敵だったエリスとは違い、マレフィは仲間だからあまり隠すことでもないだろう。


「にゅっふっふ。いくらでも頼ってくれてよいぞ?」

「なら頼りにさせてもらおうか。で、この腕のことだが、『終焉』の力を使った代償さ」


どちらにせよ、こいつの力は使える。

リリスのような欠陥を持たないマレフィの魔法は、この私すら凌ぐ。


「『終焉』じゃと?もしや、お主は『最強』改め『終焉』になるわけか?」

「それは違う。『終焉』は私の力ではないから、私は『最強』のままだ。実はある日、私に他の魂が混じってしまってね。その名もなき魂に『終焉』の力が宿ったというわけだ」


考えてみれば、異名のシステムは少しおかしいかもしれない。

この場合、通常であれば私の異名は『終焉』に改められる。

異名がそのまま能力もしくは人柄に直結するなど、考えてみれば酷くおかしい。


「いろいろと、聞き逃せぬことがあるの。それにしても、『終焉』はお主の能力には変わらんのじゃろう?それがどうして、腕を失うような事態になるのじゃ?」

「それがなるのさ。融合しているから魂自体は同一と言えるが、体はルシフェレス・ファフニル・イラのものだ。『終焉』とは親和性がない。ゆえに、『終焉』を使うごとに体が蝕まれていくというわけだ」


それはそうと、マレフィの問いに答える。

よくある話さ。

過ぎたる力が我が身を滅ぼすという話は。


「ふむ、あまりよくわからぬが、『終焉』は気軽に使えぬというわけだ。で、じゃが『終焉』をどうしたら移動手段にできるのかの?」



「だめ」

「ん?リリスか。何がだ?」


黙っていたリリスが口を開いた。

この子はずっと黙っていたかと思えば、会話に乱入することがよくある。


「それを使ったらルシフェが危険」

「そうとも限らぬ。ルシフェのことじゃから、すでにその能力のことは把握しておるのじゃろう?危険性を十全に理解しておるのなら、マレフィは止めぬよ。今度は腕一本まるごとは失いはせぬじゃろ?」

「そうだね、次はもう少し抑えられる。『終焉』の危険性は十全とはいかずとも十分把握しているから。しかしいくら危険であっても、エリスと神々との戦いでは使わざるを得ないだろう」


この力は強大だ。

だからこそ、使いこなさねばならない。

リリスにはわからないかな?


「それでも、だめ」

「リリス、力を恐れていては何もできぬ。心配しなくても、ルシフェなら大丈夫じゃよ。お主もルシフェのことを信用しておるじゃろう?」

「…..うん」


ずるい手段だが、こう言われれば引くしかないだろう。

マレフィ、よくやった。


「で、お主の腕の回復にはどれくらいの時間がかかるんじゃ?」

「動くようになるまで、右は7日、左は1日といったところかな。一回使ってみたから、今後の回復時間はもう少し短縮できるはずだ」


動くようになるまでは、な。


「ルシフェ、マレフィを騙しきれると思うでないぞ。動くようになるまで、と言ったのに気づかぬとでも思うてか?完全回復にはどれほどお時間がかかるのじゃ?」

「….やれやれ、お見通しか。完全回復にはプラス3日といった具合だよ」


ち、気づかれたか。

妙に鋭いやつだ。


「そうか。さすがに今日一日くらいは大人しくしておれよ。出来ぬというのなら、マレフィが相手になる」

「私も今のルシフェを戦いに行かせることはできないよ」

「ち、分かった。リリスとマレフィがそう言うのなら、大罪の国で少し情報を整理しているさ。明日には他の国に交渉に行く。文句はないな」


大人しくするのは嫌だが、今日一日くらいは仕方ないか。

この二人とは戦いたくないしな。


「はあ、ルシフェが一日でも大人しくしていることが既に奇跡じゃからな。仕方ない。交渉にはマレフィも連れて行けよ」

「私もついていく」

「いいだろう」


これ以上ごねられては嫌なので、認めてやることにした。

戦力はあったほうが、威嚇になる。


「しかしルシフェよ。いい機会じゃからお主には言いたいことがたくさんある。だいたいお主は―」


『転移』


聞きたくなかったので、さっさと大罪の国に帰ることにした。





「置いて行かれるかと思った…..」


マレフィは出てもいない汗を拭う仕草をする。


なぜだろう?

わざとらしいのに、とても可愛らしい。


「お帰りなさいませ。あら、『吸血神祖』はともかく『魔女』まで一緒だったとは、驚きました」

「こちらとしては、いつも計ったようにここにいる貴様の方が驚きだよ。“ラクスリア”」


本当に、何故いつでも帰ってきたときにいるのか。

なあ、情報担当“ラクスリア”当主。

当主は1分1秒でも時間が惜しいほどの仕事があるはずだが。


「ふふふ。女はミステリアスな方が魅力的なのですよ」

「情報収集のために色気でも使うのか?残念ながら、私には通じないな」


相変わらずの傾国の美女ぶりだが、私は女に興味がない。

そもそも恋愛などに意味などあるのか?

そんなものにうつつを抜かすくらいなら、戦闘訓練でもしていたほうが良いだろうに。


「本当に残念です。ですが、貴方がここに帰って来たのは私を求めてのことでしょう?」

「そうだ。さあ、教えてもらおうか。7大罪の国、情報処理担当“ラクスリア”として調べたことの全てを私に」


怪しい言い方をするな。

そんなことを言われても、流すか真面目に取り合うだけだぞ?私は。


「もちろんです。誰も彼も己の役割に沿って、一心不乱に生きる。それこそが生命の生命たる由縁。踊りましょう?この世界で」

「ふ。これからはさらに皆が忙しく、誰もが命懸けになる。お前の望むように」


冗長だが、洒落の効いた言い回しだ。

楽しくなってくる。


「さて、情報でしたわね。お聞かせいたしますわ」





「ふむ、今の世界の情勢はそんなものか。これからもよろしく頼む。色々とな」

「了解しました。これからも励むことにしましょう。それでは」


言った瞬間に消える。

相変わらず、よくわからない奴だ。


何にしても、これからやるべきことの目処はついた。

今日は、無理か。


リリスとマレフィが私をにらんでいる。

出発は明日かな。


「さて、今日の話は終わったのじゃろう?今度はマレフィとのお話タイムじゃ」

「その前にアメールと話しておかなければならないことがある。マレフィとの話はもう少し待ってもらう」


「ぐ、妹御か。あ奴は確か、お主の“イラ”家の実質的な管理者じゃったか。イラ家の運営について話があるというわけか」

「そうだ。もう運営は通常通りに、とはいかなくなる。私の命令がなければ、変えられぬこともある」




「お帰りなさいませ、お兄様。イラ家については通常通り、滞りなく行われています」


今度は妹の部屋で話し合い。

ペースが早すぎるかもしれないが、むしろこれでも遅いくらいだ。

問題は早いうちに片をつけないと、取り返しがつかなくなる。

なにせ世界の滅びを食い止めるために動いているのだから。


「そうか。それは何よりだが、変更してもらう。まず、人口の水増しを止める」

「生産工場を止めては、人口が減りますよ。それでも?」


「仕方ない。もはや赤ん坊を1から育てる余裕はない。工場は精子と卵子、並びにマニュアルを完備し閉鎖、並びに封印しろ。封印により、防御力を最大にまで高めよ」

「そうですか、徹底させます。封印の中には人を配置しますか?」


「止めておこう。一人でも人材は惜しい、そのためのマニュアルだ。それに、封印される人間の生存はそれほど期待できない」

「はい、了解しました。他には?」


「化物部隊の生産を中止。今後は維持に力を注げ」

「人間を化物に変える薬はどうしますか?一から育てるのではないアレは戦場を支配できる可能性を持っています。禁忌の薬といえど、力にはなるのでは?」


「その研究は継続させろ。むしろ、余った人員はそこに注ぎ込め」

「はい」


「それと、イラ家にある武器をすべて配れ。手に負えない呪いが憑いているもの以外、全てだ。他の家にも、そして貴族たちにもだ」

「本気ですか!?お兄様、そんなことをしてはパワーバランスが崩れ内乱が起こる可能性があります!」


「ち、そうか。その可能性もあった。状況を理解できない愚図どもめ。なら、生産工場の閉鎖後に配ればどうだ?さすがにその時になれば、異常事態だと分からぬ馬鹿はいないだろう」

「そうですね。それなら、大事にはならないかもしれません。しかし、貴族の中には不穏分子も居ます」


「粛清で抑えられないのか?」

「はい。殺せば、反抗活動に発破をかけることになります。イラ家についての不満はとてつもなく大きいのです、お兄様。力で押さえつけてはいますが」


「そうか、それなら仕方ない。誰にもわかるほどの異常事態が起きてから配れ。ただ7大罪の凶家には最初に5本くれてやれ」

「はい、わかりました。これくらいでしょうか?」


「ああ、これくらいだ。後はお前に任せる。この7大罪の国を災厄に備えさせろ」

「はい。お任せ下さい、お兄様」



「さて、話は終わった。私の部屋に行くぞ」


私は、興味深そうに部屋を眺めて回っていたマレフィと置物のようにじっとしていたリリスに声をかける。


「おお、終わったかの?マレフィが口をはさむ問題ではなかったからの。暇じゃったんじゃ」


「…」


無邪気にはしゃぐマレフィと、無口なリリス。

幼くて可憐という共通点があるものの、態度は真逆だった。




さて、この後のマレフィとリリスとの話だが、語る必要はないだろう。

主に私に対して愚痴だったのだから。


そして、私も聞き流せないほど子供ではない。

何を言われていたのかは知らんが、マレフィとリリスの仲が良くなったのは良いことだ。

例え、私への不満が理由であっても。


今回はお話の回。

メインヒロインの一人であるマレフィとのお話。

こっちはリリスと違って、感情と口調が成熟しています。

行動自体はリリスより幼いですが。


それにしても、化物部隊が出てこない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ