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いぬたま  作者: よしき
3/6

3・変態犬男



「ようするに、天青様は動物専門の神様で、私はそのお手伝いをしているんですよ。」


「はぁ、動物専門…ねぇ。」


「だから良治様みたいに人間相手に力を使えないはずなんですけど…。」


「つまり動物の医者に改造手術をされた、みたいなもんか?」


「ま、そんな感じですね。だから専門外なのでパッと直すわけにはいかないんですよ。あのダメ男の巻き添えを喰らった良治様には災難かと思いますが。」


当然「思いますが」の後には「諦めて下さいね。」という言葉がくるのだが。


「で、直る見込みはあるのか?」


「…さぁ?」


「さぁ?じゃねーだろ!なんか方法が。」


「人間専門の神様なら出来ますけど、あの人たちって…つまりエリートって奴?動物専門神なんて相手にしてくれないんですよ。だから多分頼んでも無理かと…。」


「いや、でも天青はそのうち治してやるとかなんとか…。」


「あぁ、いつものでまかせですよ。見栄っ張りで言っただけですって。」


…俺一生犬男のままかよ…。


ヤバい、マジ落ち込んできた…。


「あ…でも良治様、安心なさって下さい。」


おっ、何か解決策でも…。


ヒバリは満面の笑みで、自身満々に言い放った。


「その耳とシッポ、良治様にとぉぉぉってもお似合いですよ<はぁと>」


「こんなもん似合って嬉しいわけねーだろっ!!!」


「ちぇー、残念。褒め殺しが通用しないなんて…。」


褒めてねぇだろ!!


「ちなみに私は見習いなので、何の力もないし術も使えませんのであしからず。」


…コノ役立たず…。















俺はこの状況を親にどう説明するか悩んでいた。


正直に打ち明けるってのもなぁ…。


それ以上にほかの言い訳も思い付かないし。


と、悩む俺の後ろではヒバリが一人で遊んでいる。


いや。正確には俺の耳がピコピコ動くのが面白くて、ツンツンしたりして俺で遊んでいる。


…まったく…。


と、突然ドアが激しくノックされる。


そして耳とシッポを隠すひまなどないうちにドアが勢いよく開けられてしまう。


「おじゃま〜。良治、どう?元気して…。」


侵入者の顔が見る見る変わってゆく。


まるで…というか、本物の変態を見つめるような冷たい視線。


入ってきたのは本田薫。


幼馴染で同級生で…その…なんてゆうか…アレだよアレっ!


お、俺の好きなひと…うわぁ、こっ恥ずかしい〜。


長い黒髪、切れ長な目、細いくせに出るとこ出てるスタイルの良さ。


典型的日本美人タイプだ。


もぅ、こんな幼馴染最高だよな〜。


ま、ぶっちゃけ俺の片思いなのだが…。


…。


ちょっと待て!!


今の状況を整理してみよう。


・落ち込んでいるであろう17歳の健全な男子高校生の部屋へ遊びに来た幼馴染の女の子。


・と、そこには犬耳&シッポのコスプレ男。


・そして、それにじゃれるように寄り添う小学校低学年くらいの幼女。


そこから導き出される答えとは…。


薫の顔が見る見る変わってゆく。


まるで…というか、本物の変態を見つめるような冷たい視線。


「な…何やってんのよ?!」


やっぱり…。


「落ち込んでるんじゃないかと思って様子見に来てみたけど…。」


「あのさ…薫、これには色々と訳が」


薫は冷静な顔を作りながら、冷たく言い放った。


「…変態コスプレロリペド男…」


「ちょっ…待て待て!話くらい聞いてくれ!!」


背を向けた薫に追いすがるように手を伸ばす。


と、ほのかに爽やかな香りが鼻腔に届いた。


ーダイスキナニオイー


俺の中で誰かがそう言う。


途端、俺の体は薫に向かって突進していった。


「なっ!…何やってんのよ!!」


「いや、俺の意思じゃ…ないんだけど…」


俺の体は意思とは裏腹に薫にじゃれるように飛びついてしまったのだ。


「良治…止めて!!あっ、変なとこ触んないで…!」


「違う…体が勝手に…。」


もう俺の体は止まらなかった。


犬のように薫の足や腰にすがりつき、嬉しそうにクンクンしてしまう。


まったく俺の意思とは関係なく…。


…いや、ちょっと嬉しいハプニングとか思ったりして…。


突然。


バチーン!!!


薫の張り手が思いっきり横っ面に入る。


「良治のバカ!!!」


叫びながら飛び出していってしまった。


ヤバい…薫…泣いてたかも…。


俺はうなだれ、耳もシッポもシュンとなってしまう。


「わ、わぁ〜、修羅場ですね、修羅場!ドラマみたいです。」


無邪気に笑っているチビッコ。


終わった…絶対嫌われた…。


ダメだ…もう立ち直れねぇ…。


俺の人生…おわった…。





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