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いぬたま  作者: よしき
2/6

2・ヒバリ登場!

「何なんだよ!これは?!」


「だから、カルディナを蘇らせてやったんだが…。」


「誰が<犬男>にしてくれって言った!!!」


「だってお前カルディナを火葬しちまっただろ。」


「…そうだけど。」


「入れ物が無ければ蘇れないんだから、仕方なくお前の中に入れてみたんだが。」


「入れてみたんだが、って…。」


「いや〜、結構成功するもんだな。俺もビックリしたよ。」


ケラケラと笑ってやがる。


「戻せ!今すぐ元に戻してくれ。」


「無理。」


却下、といった具合に手をヒラヒラと振る。


「ちょっと待てよ、だいたい」


「てんせいさまぁ〜〜!!」


詰め寄ろうとした瞬間、甲高い女の声がそれを遮る。


「やっと見つけましたよ!天青様!何寄り道してるんですか!!」


「おぉ、ヒバリ。いや、ちょっと暇つぶしに…。」


「もう次の仕事の時間なんですよ!まったく、すぐ仕事サボってそうやってフラフラしてるから私が毎回苦労するハメに…。」


突然現われた小学生のような女の子は母親のようにブチブチと文句を言い始めるが、天青のほうはまったく気にしていない様子だ。


と、天青は何か閃いたように手を叩く。


天青は女の子<ヒバリ>の肩に両手を乗せ顔を覗き込む。


「ヒバリ、大事な頼みがある。」


「…はぁ、なんでしょうか…。」


ヒバリはなんとなく嫌そうな顔をして目をそらす。


「俺は次の仕事に行く。でだ、しばらくコイツの面倒見てやってくれ。」


と俺を指差す。


「なに、しばらくの間だけだ。すぐに迎えに来る。それまで彼の傍で色々と助けてやってくれ。」


「ちょっと、天青様?!」


文句を言いかけたヒバリを無視して、俺にも一言。


「そのうちヒマが出来たら戻してやるからよ。それまでカルディナと楽しく過ごせよ!」


天青は<アディオス>とか言いそうな感じで手を上げて空へ飛んでいってしまう。


「天青さまぁ〜!!」


ヒバリの叫びが虚しく夜空に響く。


俺はただ呆然とするしかなかった。


もぅ、何がなんだか、だよ…。


犬男になっちまうわ、ヒバリは窓にすがりついてガックリしてるし。


と、突然ヒバリが握り締めた拳を突き上げる。


「…そうよ、発想の転換が大事なのよ!」


「…??」


「あのいい加減男の世話から解放された…いわば、これは私に与えられたバカンスなのよ!ラッキーだと思わなきゃ!」


ヒバリは窓枠に足をかけ、それは見事なガッツポーズで頷く。


と、突然良治のほうへ向き直る。


「って事でよろしくお願いしますね。ちゃんとよろしくされちゃいましたから。」


と、ニッコリ。


「お願いしますねって…まさかここに住むわけじゃないよな…?」


「ダメなんですか?」


ヒバリは、何言っちゃってんのこの人的な発言。


「いや、ダメも何も、いきなり家に転がり込まれても…。」


「じゃぁ、私にここを出て行ってホームレスになれ、と?」


「いや…そうゆうわけじゃ…。」


「ひどい!優しい人だと思っていたのに!こんな小さな女の子を追い出すなんて、鬼よ!悪魔だわ!!天青様の尻拭いとはいえ、困った事態になった良治様の為に私…一所懸命頑張ろうと……。」


叫ぶなりワーっと大声で泣き始めてしまう。


「ちょっ、待て待て!別に追い出そうなんて全然…。」


「じゃ、ここに置いてくれるんですね。」


ガバッと顔を上げて詰め寄られる。


「…いや…それは…。」


涙溢れる顔で必死に助けを求める小さな女の子…。


見捨てたら、やっぱ俺酷い人?


勢いに負けた良治は不承不承ながら小さく頷く。


「はい…どうぞ…。」


途端にヒバリの顔に満面の笑みがこぼれる。


「良かったぁ。お願いしますね、良治様<はぁと>」


可愛い笑顔に良治はちょっと照れてしまう。


しかし良治は気が付いていないが、ヒバリの手には目薬が握られてたりする。


知らぬが仏。


ダメ神様の下で苦労してきたヒバリの処世術なのだ。




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