1・はじまり 犬男爆誕!
初の書き下ろし連載です。
無軌道でどこまで続くか分かりませんが、よろしくお願いします〜。
俺、相田良治(17才)は星に祈っていた。
高校男子のクセにそんな乙女チックでロマンチックな事をしている。
それには理由がある。
長年一緒に過ごした愛犬が、先日死んでしまったのだ。
たかが愛犬の事で、などと笑う事なかれ。
大事な、大事な家族だったのだ。
いわば、クレ○ンしんちゃんのシロ、フラン○ースの犬のパトラッシュ、ドラゴン○ールのクリリン。
な、どれもいなくなったらみんなだって悲しいだろ!
俺にとってはそれほど大事な愛犬だったのだ。
愛犬の名前はカルディナ。
車の下で拾った雑種だったけど、そんな事は関係ない。
いなくなって気が付く事もある。
カルディナは本当に大事な家族だったのだ。
だから真剣に祈っている。
「神様、お願いです。カルディナを蘇らせてくれ。…いやひと目会うだけでも良い。頼む…。頼む!」
その時、星がキラリと光った。
原因は某大国の打ち上げた大陸弾道ミサイルがキラー衛星の攻撃により打ち落とされたのだが、ここは神様の奇跡に星が応えた、としておいてくれ。
世界のどこかで戦争をやっている事など関係ない。
今この話で大事なのはカルディナの事だからだ。
星の光に呼応するように、夜空から一筋の光が射してくる。
驚いて顔をあげる。
「…ま、まさか…マジで…。」
光の中に着物姿の威厳ある姿が立っている。
バックには荘厳な音楽まで聞こえてきそうだ。
神様(らしき人)は静かに頷く。
「よろしい。そなたの願い聞き届けた。」
ありがたいお言葉に良治は手を合わせ涙した。
「ったく、男がメソメソしやがって、辛気臭い野郎だな…。」
「!…あれ??さっきの威厳ある神様は…??」
「ああ…、細かい事をウジウジと、五月蝿い奴だ。」
「い、いや…でも…。」
「さっきのも俺だよ。文句あるか?」
今、目の前にいるのは着物を着崩した粗暴そうな男が一人。
ダルそうに髪をかきあげながら欠伸までしている。
一言で言うと江戸時代の遊び人に悪そうなヤンキーを足した感じ。
とても神様の類には見えない…。
「で、願いだろ。いいよ、叶えてやるから、ちょっと待ってろよ。」
「…えっ…えぇっ!?」
男が何事かブツブツ呟きながらお札を1枚差し出す。
「…の御霊を呼び覚ます…<天青>の名において命じる、応えよ<カルディナ>!」
ポンッとお札が弾け、目の前に煙が漂う。
「ゲホッ…な、何を…。」
「さぁ、お前の願いを叶えてやったぞ。」
「はっ??」
やっとの事で煙が消えた部屋の中を見回しても、カルディナの姿は見えやしない。
「ど、どこにいるんだよ…。」
「はぁ…よく見てみろって。」
下を見下ろす。
なにやら後ろでパタパタとシッポを振る音が聞こえる。
後ろにいるのか?
が、振り返っても何もいない。
「じれったいなぁ…ほら。」
神様は鏡を差し出す。
見ると鏡の中の頭の上で耳がピコピコ。
お尻の部分ではシッポがパタパタ。
「うむ、良く似合っているな。」
神様(らしき人)はニヤッと笑う。
「なっ…なんじゃこりゃぁぁぁ!!!!」
犬耳…それにシッポまで…。
お…俺、犬男になっちまったよ!!
「いぬたま」のはじまりです〜。
携帯で見やすいようにと短めに書いていたのですが、どうやら短すぎたようです。
1話と2話を合体させました。
1度お読みになった方にはお詫びを申し上げさせていただきます。
今後はこのような事が無いよう気をつけます。