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オタク的テクノロジー  作者: 相川 由和
~第三章~
5/9

ー・壱・-

話が気になりますが、ここでちょっとサイドを変えます!!

一方、あの五人が図書館に行っている時間に時を戻すとしよう。


技術室のほうでは


「うーん、何にしようか」


「そうですね」


「だな」


「何にしましょうか」


「ん?」


菊田先輩率いるこの五人は、ここでサマーフェスタで何を出すのかに悩んでいたところだった。


「そうですね。菊田先輩と小摩木先輩は何がしたいですか?」


「あぁ、俺?俺は何でもいいぞ。じゃ、小摩木は?」


「俺も特にこれと言っていい案は思い浮かばないし」


「先輩方、それは無責任すぎます」


「じゃあ、尾崎が決めろ」


いきなりだ、いきなりすぎる。とでも言っていいほどの無責任っぷりである。しかも、それと同時に場の空気がなにやらだらけてきている。


「えっ、俺ですか!!俺は特に何も思いつかないのですが・・・・・・」


少し間を置いてこういい続けた。


「あっ、本城。お前なら何かいい案があるだろう。言ってみろ」


「えぇー、私ですか!?えぇーと、それは・・・・・・」


どうやら本城はあまりにも無茶振りだったのか、気が動転している。


「・・・・・・ないのか」


「はい、思いつきません。すいません」


と、礼儀正しく謝った。


「そうか。悪かったな、いきなり話を振って」


「いえ、別に。構いませんから」


これもまた、丁寧に言い繕った。

本城はとことん礼儀正しいのだ。


と、このようにしてしばらくはこうしたやり取りが行われていた。

すると


「ふんっ、ふ~ん♪」


どこからか、楽しそうな鼻歌交じりの歌が聞こえた。

そして、俺はその方向を見た。やっぱりそこには奴がいた。


「おいっ、樹里!お前は一体何をしているんだ!今はミーティング中だろーが」


「え?だって、みんなの話が堅すぎてつまんないんだもん。それに、暇だったから絵を描いていただけだよ」


こいつは笑顔でそう言い放った。

いや今、ミーティング中なんだけどな。


「いや・・・・・・それはダメだろう」


そんな俺の注意も無視して樹里は何やら楽しそうな声で言った。


「ねぇーねぇー、今日の絵はいい仕上がりになったんだ。悠くんも見る?」


「仕方ないなぁ・・・・・・ほら、見せろ。ん?!」


突然、動きが止まった。


この紙にはいかにも便利そうなロボットが描かれていたのだ。しかも、細かいところまで。


その異変に気づいたのか樹里は


「どうかしたの?」と不安そうに問いかけてきた。


「おい。これ、いけるぞ」


「えっ、そうなのですか?」


「あぁ。本城も見てみろよ!あっ後、先輩方も見てくださいよ。コイツかなりいいアイデアを持っているんで」


「尾崎、その絵を見せろ」


「はい、これです」


・・・・・・


しばらくの間、沈黙の空気が流れた。


そして


「よし、これにするぞ!」


「菊田だけ見て、納得するなんてずるいぞ!俺にも見せろ」


「ったく、仕方がないなぁ。ほら、これだ」


呆れたように紙を小摩木先輩に渡した。


「確かにいけるぞ!今回は塩崎のお手柄だな」


「えっ、何故ですか?」


唯一、こいつだけがこの状況を読めていないようだ。


俺はポンっ、と奴の肩を軽く叩いて


「樹里、お前は何も考えていないようでしっかりと考えていたんだな」と言った。


これに対して


「そうかなぁ?でも悠くんがそう言うのなら、そうなのかも」


と嬉しそうに笑った。


「そうですよ!私、樹里さんを見直しましたよ」


「ありがとう、蒼くん。でもこの絵、落書きなんだけどいいの?」


「あぁ、こんなにいいアイデアなんだから落書きでもいいに決まっているだろう。塩崎」


「そうですよね、菊田先輩」


そうして、何故か樹里が暇つぶしに描いていた落書きがよりにもよって、アイデアとしてノミネートされてしまったのだった。


「よし、それなら俺たちはこれをベースに各国の技術を取り入れよう。何せ、こっちには日伊人の塩崎と日独人の尾崎がいるんだしな。後はそこに、日本の技術を混ぜれば完成だ!」


「じゃあ俺は材料を揃えるから、塩崎は必要な工具と詳しい設計を頼む。尾崎、お前は塩崎のアシスタントだ。本城はこのメモに書いてあることをしてくれ!で、菊田は・・・・・・」


バシッ!!


突然、小摩木先輩の頭上にハリセンが降ってきた。

どうやら菊田先輩がやったらしいようだ。


「痛ってぇーな、この野郎!何しやがる」


「あ゛?てめぇーは俺に命令するんじゃねぇ!!」


プチッ!!


ここで何かが切れる音がしたのは気のせいだろうか?


「は?何の権利があってそんなことを言うんだ!大体なぁ、俺たちはダチだろーが!」


「あ゛?何言ってるんだ、お前。勝手に俺とお前を一緒にすんな!」


とうとう喧嘩が始まった。

まぁ、これはもうすでに予期されていたことなので俺は止めに入らないけどな。


「うわぁ・・・・・・またあの二人が喧嘩してますよ。止めに入らなくてもいいのですか?」


「本城、それはもう見慣れている光景だ。それにそのうち止まるだろう」


それにいつも通りだしな。と、俺はボソッと付け加えた。


「でもさー、喧嘩するのによく一緒にいられるよね。何でだろ?」


それは俺も聞きたいさ。


言い忘れていたがこの二人は、一応『友達』という肩書きの仲ではあるが、ある基準を超えると菊田先輩が自前のハリセンで小摩木先輩を殴る習性がある。ちなみに俺たち三人はもうすでにこの光景に慣れているせいか、むやみやたらと止めに入らないという最善の策を熟知している。


「じゃあもう、日が暮れそうですし帰りましょうか」


「賛成!」


「ああ、是非ともそうしたほうがよさそうだな」


そして


『じゃあ、帰ろっか!』


横で喧嘩をしている先輩方をよそに、俺たちは技術室を後にした。


ちなみに翌日のこと。


「おい、お前。昨日はよくも俺らを置いて先に帰りやがったな」


「いや、先輩方が喧嘩を始めるからですよ」


「それでも後輩なら最後に部室の鍵を閉めなきゃならないってのが常識だろうが、あ゛ぁ?」


「はい、すいませんでした!」


俺は何故か先輩達(特に菊田先輩)の説教に、悲運にも付き合わされることとなってしまった。ちなみに他の二人は用事でいけないとか。いや、あれは絶対に説教から逃げたに違いないと踏んでいる。


「(おのれー、あいつらめ!何でこういう時に限っていないんだよー)」


そう、思いながら延々と続く説教に耐えたのだった。















次からはまた、草魔サイドになりますぞ!!

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