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オタク的テクノロジー  作者: 相川 由和
~第二章~
3/9

ー・弐・ー

その日の夜


私は家に帰っても勉強しながらサマーフェスタのことを考えていた。


「あ、穂乃華。シャワー使えるから入ってきなよ」


そう言ったのは髪の毛が見るからに明るい茶色で見た目からして子供に見えてしまう二十歳の彼女は山本神奈ヤマモト カンナ。私の生活における同居人であり、また親友である。私は彼女と彼女の兄の3人で暮らしている。ちなみに彼女は中国人である。


「はい、そうします」


「ん、どうかしたの?あ、まさか今日の技術部でサマーフェスタに向けての制作メンバーのことだったりする?」


どうしてそれを?と言いたくなるくらいに彼女の勘が鋭く当たっていた。これが”女の勘”って奴なのだろうか。実に恐ろしいものだ。


「うん。まぁ」


「やっぱり、メンバーはいつもの?」


あぁ、そんなところまで読んでいるのか。彼女がこう言ったときはいつも白状してしまう。この際だから正直に話すことにした。


「うん。いつもと同じで夏樹先輩に朝彦先輩・樹先輩、そして植松さんだったよ」


そう言ってみると、少しの間は沈黙が二人の間を包んでいた。そして、神奈先輩は呆れたように溜息をついてこう言った。


「あいつ、相変わらず芸がないなぁ・・・・・・」


ここで言い忘れていたが、彼女は技術部のOBで今はローマ学院付属の大学進学している。だが、彼女の性格のせいか、学校にはごく稀にしか行かない。


「ま、夏樹のことだ。どうせまたとんでもない事をしでかすに違いないだろうけど」


「確かにそうかも」


この言葉の通り、夏樹先輩はよく色々なことをしでかす。だから部の中では『世界のトラブル工場』と渾名されていたりもする。


「でもまぁ、それでもいつも最高の出来で作品を作っているからこっちは、いつもそいつに驚かされてるしな」


そう言われると、今まで考えていたことが急に馬鹿らしく思えてきた。そして少し微笑んで


「そうですね」と答えた。


「ふぁ~・・・・・・眠たいからそろそろ寝るね。おやすみ」


「おやすみなさい」


この言葉を言ったときには、すでに神菜先輩は部屋を出ていた。


「最高の作品かぁ」


と、つぶやきつつも机の上を整理して、シャワー室に向った。


次の日の朝


「おい、草魔。昨日のチーム分けはどうだった?」


突然話しかけてきたのは同じクラスで技術部員の菊田だ。奴が私に話しかけて来るときは、大体の確率でくだらない話かとても肝心な話のどちらかである。


「あぁ、メンツはいつもと同じだったけど」


確かコイツは昨日の部活には来ていなかったっけ。


すると奴ははぁ。と、一つ溜息をついてからこう言った。


「やっぱりか。実はさー、聞いたところによると俺のところも変わらずでな」


いや、そもそも全員が変わっていないんだけど。


「えぇーと確か・・・・・・樹里ちゃんや尾崎に蒼くん・・・・・・あっ、小摩木も一緒だっけ?」


「まぁな」


そう言うとどこか引きつった顔になった。


「やっぱり小摩木が嫌とか?」


「・・・・・・」


こりゃ図星だな。だって顔からたくさんしわが出来ているし。それにこんな顔されたら誰が見てもそう思うだろう。

ちなみに小摩木というのは同じ技術部員で、何故か私や菊田のクラスにいるいわば金魚の糞みたいな奴である。菊田自身は仲がいいように装っているが、実のところを言うと本人はすぐにでも奴との縁を切りたいそうだ。まぁ、今まで違うクラスになったことがない二人だから、そう簡単にはならないだろうが。


「まぁ、どうせいつものことなんだから、落ち込んでいても仕方がないでしょ?」


「まぁな。どうせいつものことだし。聞きたいことは全部聞いたから教室に行ってくるわ」


「あぁ、そう」


そうしてさっきの怪訝な表情と打って変わり、平常心に戻っていた。

しかし、本当に何しに来たかさえもわからない。いや、わかりたくはないのだった。てか、聞きに来ただけなんかい!!とでも突っ込みたくなるような去り方にも見えた。


数時間後


「うーん・・・・・・どうしようか」


今日の部活はチームごとに分かれて出品する作品について、それぞれの案を出しているところだった。


と、そういった時に決まってこの人が


「よぉーし!皆で大きくてカッコイイロボットでも作って会場の皆を驚かせよう。つまり、反対意見は認めねぇーってことで」


と言うに決まっている。


そして、また


「いや・・・・・・俺は反対だ。大体、制作にかなりの時間とコストがかかる。それに昨日と似たような意見を言うな」


こう異議を申し立てられる。


「むっ・・・・・・」


留めの一発が


「それは却下で別の案にしろ!」


こう、突っ返された。


「むぅ。せっかくいい案だと思ったのにぃ」


部長はとうとう壁の隅っこで拗ねてしまった。その姿はまさに小学生のようである。


「じゃあ、俺はエッフェル塔を元にした創作ロボットを作ればいいと思う。だって、あの美しい建築物はまさに美術品だしな」


「却下!」


「またお前かー!?」


「だってそれは美術品だろ?それなら今回の話からすれば論外だ!・・・・・・ったく、お前らはサマ-フェスタを何だと心得ているんだ?まぁ、いい。オイッ、草魔・植松!こいつらはあてにならないからお前ら二人で決めろ」


それは突然すぎる無茶振りであった。


「えっ、何で私達なんですか?」


植松さんが恐る恐る聞いてみた。

返ってきた返答は


「だから言っただろ?このままだといつまで経っても、まともな案は出てきやしない。それに、俺はこれと言った案は思いつかないし」


「じゃあ・・・・・・草魔は何がしたい?」


この言葉は、本人からすれば何気なくかけたのだろう。が、実はこの後の私の一言によって事態は予想もつかないところへと行くことを、この時の自分たちには予期もしていなかった。









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