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陰陽師と結ばれた縁  作者: サクサク
終わりと始まり
72/75

2

目を覚ました日から10日後の秋晴れの日曜日。

父さまと母さまと一緒に私は京都御所へと来ていた。

伯父さまと叔母さまへのご機嫌伺い等名目ではあるが、私の婚約者候補の方との顔合わせがメインの様な気がする。

目が覚めたあと、父様にお願いをして蔵へ入り、蒼月たちと春仁さまの資料が何か残っていないか探した。

見つけ出したのは、春仁さまから私に宛てた手紙。

晴明さま、章平さまからの手紙も一緒に保管してあった。

しかも特定の人物、魂を持った人しか開けることが出来ないように術で細工がしてあった。

そして、この手紙は京都御所にも保管してある状態らしく、春仁さまの魂を持った者しか開くことが出来ないと書いてあった。


「ご無沙汰しております。伯父さま。伯母さまもお元気そうで何よりです。」

「久しぶりね、皐月ちゃん。無事に成人の儀を終えられて私達も嬉しく思います。」

「ありがとうございます。」

「お兄様、私顔合わせも兼ねていると伺っているのだけれど?」

「あぁ、彼の子も病み上がりでね。10日程前に急に頭痛を伴った熱を出して、熱が下がったと思ったら、急に探し物がある!といい出して、侍従と目的のものを探していたのだよ。その侍従に呼びに行かせたからそろそろやってくると思うよ。」


私が回復した日と同じ位に体調を崩されて、探し物がある。

と、内心思いながらも、両親や伯父さまたちがお茶とお茶菓子に口をつけたのを確認して、香りを堪能してゆっくりと口に含む。

うん、美味しい。

美味しいお菓子とお茶を楽しんでいると、殿下がご到着です。

と声がかかった。

茶器を置き、両親共々後ろを振り向く。

生まれて初めて会う婚約者筆頭の方に、酷く動揺してしまった。

やはり、血筋というか系譜というか・・・・。

早くなる鼓動を落ち着かせようと、気付かれないようにゆっくりとした呼吸を繰り返した。

婚約者筆頭候補の第一印象は‘似ている’だった。


「叔父上、叔母上、ご無沙汰しております。」

「ご無沙汰しております、春仁親王殿下。」


名前まで同じ。

織仁さま、春仁さま、敦仁さま、莉仁さま。

宮中行事は基本的に強制参加でない限り、拒絶をしていたので、顔と名前は従兄弟ながら一致はしていなかった。

何より、神将たちが私を邸宅から外へ連れ出すのを非常に嫌がったからだ。

下2人が双子という事しか知らない。

あとはニュース番組で取り上げられた時に、耳にするくらいだ。

それ位母方の親族とは関わらないようにしていた。

何せ当時は、力が最も弱い直系の娘。

という認識だったからだ。

なので、名前と顔が一致して、春仁さまにお会いした私としては少なからず動揺している。


「初めまして、春仁さま。安倍成親の娘、皐月と申します。」

初めまして(・・・・・)皐月さん。」


にっこりと笑みを浮かべた春仁さまと握手をした。


「すごく、すごく会いたかったよ、菊華(・・)。」


菊華と呼ばれて、一瞬思考が止まる。

それと同時に、春仁さまに強く抱きしめられた。

私の事を‘菊華’と呼ぶのは、限られている。

あの時代の両陛下、春仁さま、敦成さま、晴明さま、章平さま。

大人たちは、皆驚いた表情をしている。

ただ1人、私の父様を除いて。

さすが当主。察しがいったらしく1人納得している。


「・・・宮さま・・??」

「ふふ。懐かしいね。これを探していたんだ。き・・・皐月さんも見つけたんでしょう?」


見せてくれたのは、春仁さまが私に宛てた手紙と同じ術が施してある和紙。

それが開けたというのであれば、彼は間違いなく、春仁さまの魂の生まれ変わりだ。

でも、なぜ記憶まであるのだろうか?


「皐月、全員に分かるように話そうか。」

「はい。父さま。」


再びふかふかのソファに座った私達は儀式の内容を話せる範囲で話すことにした。

成人の儀式で、晴明さまの時代に行った事、時の春宮殿下の妃(仮)として入内をした事。

自宅の蔵で、私宛の手紙を三通見つけたこと。

春仁さまは、私が帰ったあと、晴明さまと章平さまにお願いをして手紙を残してくれた事。

探される前に探しに行くと決めていた事。

そして、私が生きている時代で私が儀式を終えこの時代に戻ってきた時点で記憶が戻るように術を掛けてもらったことを話してくれた。


「・・・・晴明さまと章平さまならやりかねない・・・・。」


あの2人は私が使っていた術や舞に強く興味を示していた。

話ツィという異分子があの時代に現れたものだから余計に、だ。

でも、私が帰ったあと、私に関わった人たちは記憶がなくなるはずだ。


「当時の父上、母上、藤壺、梨壺、妹たちあと、敦成も記憶をなくしていた。なぜか、私と安倍一族の者だけが覚えていた。だからこうして文も残し術を掛けてもらった。」


特例の何かが起きたのだろうけれど、なんとなく思い当たる節がある私は黙っている事にした。


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