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見知った内裏を歩いている私を見つけて、あ、これは夢だと理解をする。
夢の中の私は誰かを探している様で、探している人物は
“春仁様”だと、思ってしまった。
少し先に、渡殿を歩いて麗景殿へと向かう春仁様を見つけた。
『春仁様!』
と声をかけた時点で景色が一気に変わる。
ここはどこだろうか?
春仁様の隣には、檜扇で顔を隠したいかにも深層の姫君といた感じの女性が座っていた。
私の姿はなく、ただにこやかに笑い合う2人を眺めているだけだ。
ーーーーーそこは私の居場所。
ーーーーー貴方は誰??
私に気がついた春仁様は、春宮として表向きの表情で別れを告げた。
「『春仁様!!!』」
身体が条件反射の様にビク付き身体を起こす。
「っ、~~~~~~~~~っ!!!!」
笑えない冗談だ。
「はぁー・・・・・・。」
袿を握り締め、荒い息を整える。
隣では規則正しい寝息を立てている春仁様がいて、起こさないように茵から抜け出す。
喉が渇いたと、袿を肩から掛け塗籠から出ると雪華が準備してくれたであろう、瓶から水をすくい、一口二口口に含み喉を潤す。
次第に冴えてきた頭で、先ほどの夢を思い出すが苦笑しか出てこない。
静かに梨壺の簀子へ出て、階段に腰を掛け空を見上げる。
無数の星達と、青白い光を放つ月が見えた。
しばらく夜空を眺めていると、気配を感じて振り返れば、蒼月が立っていた。
「・・・・こんな時間に何をしている?」
「夢見が悪くてね、蒼月はどうしたの?」
「動かないから気になって。」
蒼月が私の隣に座れば、その腕にしがみついた。
「どうしよう、蒼月。いつか帰っちゃうのにね・・・。」
そんな自虐的な、今にも泣き出してしまいそうな音でポツリとこぼす。
蒼月に相談するのも何か間違っているような気もするけれど、蒼月と同じくらい、それ以上に独占欲が出てしまった。
自分の夢でその気持ちを自覚するなんて・・・・。
あぁ、私は春仁様が好きなのだと。
彼の暖かさに触れるたび、少しずつ魅了されて、神将達にもしているからと触れられて。
それが当たり前だと思ってしまって。
けれどそれは許されない気がして、どうすればいいのか分からなくなってしまった。
夢だけで、取り乱し悲しくなってしまうのだ。
現実世界でその光景を見れば、平常心など保てない。
時平でギリギリ、菊華であるならば泣くのを堪えそうだ。
それくらい、春仁様のことを好きになってしまったのだ。
「すべては、ひぃ様が決めること。話を聞くくらいならば、私にもできる。それに、肉体での生を終えた後、嫁いで来てくださるのだろう?」
「その言い方、狡いよね。」
「そろそろ中へ入ろう?まだ夜風は体に悪い。」
蒼月に促され、抱き上げられて室内に戻る。
もう、怖い夢は見ないからと額にキスをされ、春人様が眠る塗籠へ戻る。
彼の隣に潜り込むように、横になる。
冷えていた私の身体が冷たかったのか、無意識に抱き寄せてくれて、その温もりに安心感を覚えると、再び眠りについた。




