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「……春仁さま、怒ってます??」
「これが怒らずにはいられるか?どうも菊華は俺に心配をかける。怒らせる前提で色々やらかしている気がするのは気のせいか?」
「無意識です。私は最善を尽くした結果、あのような結果になったので。それに勝てない勝負はしませんっ。」
「勝てる勝てないじゃなく、惚れた女が全身傷だらけで目の前に現れてみろ、正直血の気が引いたぞ、俺は。」
清涼殿に入室した際の、春仁さまの表情は普段と変わらない風であったが、あの場に居た人の中で一番驚いていた。次に主上。晴明さまはもう少し避けるとか章平さまをこき使えば良いものを。といった雰囲気だった。
いや、だって説明する暇が無かったんですよ~。
と、それとなく雰囲気で説明してみたが、果たして上手に伝わっただろうか?という事ではある。
少し、身体を離し春仁さまの顔を見ればそのまま後方へ押し倒される。
「……ご心配をお掛けしたことに関しては、ごめんなさっ、んっ。んん……あ、んぅ。」
重なるようにして唇を塞がれる。
口を割り、破裂をなぞり、口内を舐められる。
ちゅ、ちゅくと水音が響く。
上唇を舐められると、満足そうに笑う春仁様の顔が目に入る。
「どこで、覚えたんですか?!」
耳まで真っ赤にしながら、睨みつける。
「さっき。俺が、青龍殿達とのキスを見せつけられて、嫉妬しないとでも思ったか?いくら体調の為だとはいえ納得がいくはずがないだろう?」
「だからといって・・・・、~~~っ!」
くらっと視界が揺らぐ。
これ、神気を根こそぎ奪われて、寝込む間に現れる症状。
となると、蒼月が言っていた通り、春仁さまも蒼月達同様に、神気を分けられるということになる。
「春仁さま、今すこぶる体調がいいでしょう?」
そういえばと言った感じで、春仁さまは自身の体調の変化に気がつく。
本当に春仁様でも神気を分けることができるという事は、蒼月達じゃなくても大丈夫ということになる。
その事実を話すべきだろうか?
とりあえず今日はこれ以上は無理だ。寝込む。
「青龍殿が言っていたいノンはこの事か?」
「まぁ、そうですね。」
あえて、何がとは言わない。
この表情からして絶対答えまでたどり着いてる。
「という事は、青龍殿達と接吻しなくてもいいよな?俺で可能なら。」
「・・・まぁ、そうですね。でも今日はもうダメですよ?これ以上持っていかれると、私の意識がしばらく無くなりますから。」
え?
とした表情の春仁様に粗方説明はしておいた方が良いのだろうが、正直今は目眩のせいなのか、たくさん持って行かれたからなのか、非常に眠たい。
「力が減りすぎると身体が回復しようとして強制的に眠りにつかせますから。こちらへ来た当初舞を舞ったらしばらく眠り続けたでしょう?あのようになりますので、もう今日はダメで・・・・す。」
強制的に閉じてきた瞼のおかげで、眠気が襲ってくる。
あぁ、まだ説明しなければならない事があるのに・・・・・。
しっかりと、春仁さまの手を握りしめたまま、疲れ果てていた私はそのまま眠りについた。
「・・・・目が覚めたら詳しく聞こう。おやすみ、・・・・・皐月」




