流れるままに。
左京にあった廃屋の屋敷から帰ってきて、3日。
主上より私の内裏復帰に関しての方針が決まったらしい。
主上いわく、菊華として入内するのであれば皇后さまの一族が後ろ盾になってくれるらしい。
藤原氏とは違う一族らしいが、主上の寵愛がモノをいう後宮では、その寵愛を一身に受けている皇后陛下がきちんと管理をされているらしい。
両陛下揃って戻ってくるのを楽しみにしているとのこと。
つまりは、菊華で戻ってこいという事なのだろうか?
首を傾げながら晴明さまの話を聞きつつ、了承してくださった両陛下に感謝の念を送る。
「つまり、私は菊華として入内するのでしょうか?」
「表向きはそうであるが、時平としても動いてかまわないと許可は頂いている。」
「晴明さま、それは逆が良かったのですが・・・・。まぁ、五節舞の際にすでに東宮妃の席に座っておりますので、皇后さまの遠縁の娘ですって方が違う方が少ないのでしょうね。では、後宮で私の住まいは昭陽舎の北舎に住む形になるのでしょうか?」
「おそらくそうなるじゃろう。春宮さまが、菊華を忘れず強引に内裏に連れてきた調度品などは一緒に選ぶという理由にするらしいので、入内に関しては皐月殿が準備でき次第すぐにでもということで・・・・・実は春宮さまがお越しになっておる。」
「・・・・は?え?」
苦笑まじりに伝えられれば、流石に頭が痛くなくなってきた。
晴明さまが来ているというのであれば来ているのでしょう。
ただ絶対にお忍びの格好で来てくれていない気がする。
陛下からの許可と、私からの申請というのも合わさって絶対春宮ということを全面に出してきていると思う。
〈という事で急いで準備に取り掛かりましょうか。準備ができたら呼んでくれる?雪華。私はちょっと、バカ皇子に文句を言いに行ってきます。〉
現在壺装束を着ている私は、晴明様に退出する旨を伝え、春宮さま一行が居るという寝殿へ向かった。
寝殿へと入れば、春宮さまと敦成さまの2人しか居なかった。
私の姿を見た春宮さまは満面の笑みを、敦成さまは気まずそうな表情をしている。
「久しぶりだな。」
「お久しぶりです。春宮さま。入内をご了承くださいましてありがとうございます。なんて素直に私が言うとお思いでしたか?どの世界を探して入内の返事をもらった当日に、迎えにくると言う非常識をする親王が居ますか!!」
「姫君、私は反対しました。日を改めて吉日を選ぶようにと。」
「敦成さまこの姿の時は“菊華”でお願いいたします。真名は伝えられませんが、よろしくお願いいたします。
丁度今日も吉日だったから、ならばさっさと内裏に連れて行こうという理由で来られたという事ですね?時平だけで動くのであればいつでも良かったのですが、今回は両方ではないといけないみたいですので、私のわがままを聞いてくださり、ご迷惑をお掛けいたしました。」
「とんでもない!失礼かと存じますが、本内の性別は女性でよろしいのでしょうか?」
「勿論。男の方の格好の方が動きやすいので、時平として初めは内裏に主上の依頼でやって来ました。」
「俺を無視して話すな?」
「無視はしてません。入内が急に決まった事に対して怒っております。今準備を急がせておりますのでもう暫くお時間を頂きます。」
「お気になさらず。私たちはお待ちしております。」
「宮さま?内裏に戻りましたらしっかりお話しましょうね?」
にっこりと笑みを浮かべると同時に玄武がやってきたので、そのまま自分の室に戻り、正装に着替えることになった。




