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「この屋敷の現状はお分かりですよね?」
「土地の中心に強い力が集まっている。」
「元はそんなに強く無かったはず。ですが人の思念や恨みつらみって色々なものを引き寄せますよね?妖も然りです。」
「もしかして、行方知れずになった妖達は・・・・。」
「引き寄せられて、呑まれた可能性が非常に高いです。」
屋敷の中を走りながら、自身が感知した場所へと急ぐ。
昨日の記憶を見たのは東の対の屋。
今回の目的地は中心の寝殿。
目的地に着けば、こちらに見つかったのであれば隠れる必要もない。
というった感じに、空間自体が黒く澱み歪んでいた。
ガタガタガタ!
大きな音を立てながら残っていた調度品が、黒いもやにつつ待て中に浮く。
それを器用に避けながら中心へと次第に近造り。
バキッ!!
音を立てて記帳が飛んでくるのを右に余計に、さらに近づきつつ印を結ぶ。
まずは、この重っ苦しい空気をどうにかしなくてはいけない。
私と章平さまだからなんとか耐えれるが、こんなことで気力体力を奪われるのは頂けない。
「ノーボウ アキャシャ キャラバヤ オンマリ キャーバリ ソワカ!!
我が吐息はは神の息吹、全てを光で満たし、清めよ!!!」
私を中心に外へ暖かく、しかし強い風が広がり、室内に溜まっていた黒いモヤを全て吹き払う。
振り払うと同時に、章平さまが刀印を結ぶ。
モヤの根本部分から出てきたのは、小さいけれど禍々しく悪意に染まったツボだ。
まさか、蠱毒じゃないよね??
「・・・・うっわ・・・・。」
流石の私も全力で引く。
思念とか人の思いって力を持つっていうこれど、これは思念とかそんな可愛いものではない。
〈これ、本当に蠱毒じゃないよね?〉
〈近いものはあるが・・・・・。〉
〈どっち?!騰蛇喚ぶ?!〉
騰蛇と名前を出した瞬間、蒼月と朱桜が姿を現す。
どんだけ仲が悪いんだ。
と内心思いながらも、一つの妖として捉えて大丈夫なのだろう。
そう叫べば、黒いモヤ残って一部へさらに攻撃をしっかけた章ひらさまは、神気を込めた刃を叩きつけると、すぐさま私のそばにやって来た。
「慣れていらっしゃいますね。」
「孫の世代だと、俺が攻撃主体だから。それより、何か問題にでも?」
「私がここで一掃するのにちょっと・・・・。それでも、根本を掘りかええしたおかげで、動けるようになって、狙いを私と章平さまに定めてますので、外で雷を落とします。」
「この晴天で?」
「晴天?雨雲が来てますよ?」
攻撃を交わしつつ刀印を結ぶ。
それを何度か当てつつ、庭に出るとさらに大きくなるが元々張っていた結界のおかげで屋敷の外へ出ることは叶わない。
空を見上げれば、屋敷に入る前は晴天だったのに、見上げえれば曇天。
しかも、飯間にも降り出しそうな雲行きだ。
「かしこみかしこみ申す!」
パァァァン!と柏手を打ち、印を結ぶ。
「悪しきもの、禍つもの、災厄をもたらすもの、神の雷により、滅せよ!!!」
上から下へ刀印を振り下ろせば、上空の雲に集まっていた雷が一気にツボに向かって落ちてくる。
バリバリバリバリッ!!!!
地を裂くような激しい音共に、ツボはみる影もなく壊れる。
ツボに溜まっていた、悪意も一気に散ったのが確認できた。
粉砕したツボから残ったのは、青紫色の石。
その石を拾おうとした瞬間、横からその石を取り上げると同時に、蒼月の背後に匿われた。
「なっ!!!!」
「また会ったね、僕の花嫁。だけど今回は君にかまっている暇はないんだ。だけど、君のおかげでやっと材料が手に入ったよ。」
「藤原絢音。」
「・・・・うん。そう呼ばれていた時期もあったけれど、今の僕は“絢音”。藤原は捨てたよ。母さまが亡くなった時に。」
「ちょっと、それ、どういうっ」
「姫さんダメだ!!」
問いただそうと体を動かせば、章平さまから止められる。
蒼月からも腕を取られ抱きしめられる状態で動けない。
「じゃあまたね。」
薄く笑みを浮かべた絢音は、小さな石の塊を持ってその場から姿を消した。
もはや、人では無く妖に近い状態なのかも知れない。
人間から妖になるのはそう珍しくはないが、とても嫌な予感がする。
“危険”だと直感が訴えてくる。
少なくともこの時代にいる間はまた、絢音と会うことになるだろうと、本能が訴えている。
結界を解くと近隣への影響がないか、朱桜に確認をしに行ってもらった。
その後私達は安倍邸へ戻ることにした。




