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帝の前まで運んでもらうと、私はそのまま床に座る。
上がった息を整えながら帝と視線を合わせる。
「結界は重ねて貼らさせていただきました。私の技量、霊力ともに落ちなければ破られる事もないでしょう。」
「時平、礼を言う。」
「いえ、全ては必要な事だったので、問題はございません。皆様には申し訳ないのですが、おそらく最低でも明日一日は目を覚ますことはなく、眠り続けると思いますがお気になさらないでください。私のそばには神将が控えておりますので、何も問題ございません。」
「凄まじい量の力が巡らされたから、当然じゃろう。ゆっくり休むといい。後ほど干し桃など届けさせよう。」
「ありがとうございます。起き次第色々と調べますが、私が立ち入れぬ場所が多いと思いますがどのようにしたらよろしいでしょうか?」
調査をするあたり、私自身が入れる場所の確認をしたい。
どうしても入れない場合は、朱桜太刀に頼むしかないだろう?
「それならば、春宮を連れていけば良い。元々春宮絡みの件じゃ、春宮が一緒であれば好きな所へ行ってもらって構わぬ。」
「父上私にも執務がございますが・・・。」
「心身共に健康であって仕事も捗るというもの。」
「そうですが・・・・。」
「早く解決すれば、早く執務にも集中できるであろう?」
「私も早急に回復して、調査を始めさせていただきます!」
「時平は、しっかり休養するように。」
3人からそう言われれば苦笑しながらも肩をすくめた。
〈皐月、俺の神気少し分けようか??〉
〈あーうーんー、いや、遠慮しとく。〉
〈なんで?!〉
〈なんでって、どうしようもないよ。まずは寝て回復してから。〉
あー、だめだ眠い。
瞼も重いし、そのまま琥珀にもたれ掛かるようにして、意識を手放した。
まだ話の途中なのに、起きなきゃと思いながら琥珀に身体をもたれかかりながら、強制的に眠りについた。
「時平?!」
「やっと寝た。初代さま、私達は部屋に戻ってよろしいでしょうか?」
「時平は起きておくのが限界だったんじゃな。お上よろしいですかな?」
「勿論だ。ゆっくり休ませてやってほしい。」
ゆっくり、皐月を抱き上げると立ち上がった所で1度抱き直す。
一応礼儀として一礼をする。
本当はしたくないが皐月の為だから、なんてことはない。
そのまま来た道を戻り梨壷の部屋へと運ぶとそのまま一緒に眠った。
結界を張ってあの日から、私が目を覚ましたのは3日後の明け方でした。
「ぅん・・・・?」
「おそよう。ひぃ様。」
「ん??青にぃ??」
「反動が少し酷かったみたいですね。どこか身体が辛いところは無いか?」
「・・・お風呂入りたい。」
「身体の辛いところは?」
「・・・わっかんない。」
「そうか。とりあえずご飯だな。玄武いるか?」
「聞こえておる。なんじゃ?」
「滋養にいいご飯がほしい。皐月が目を覚ました。」
「すぐにでも準備してこよう。」
「俺は、春宮に連絡をしてくる。」
玄武と朱桜が姿を少し現しすぐに目的の場所に向かった。
「青にぃ私、どの位眠っていたの??」
「3日半くらいだな。」
「寝すぎ??」
「いや、初めて全部力を出し切ったから我々としては、想定内だな。」
「そうなの??」
「あぁ、大丈夫だ。」
「皐月、ゆっくり食べよう。」
お粥を持ってきてくれた雪華が、側に座り、一さじずつ食べさしてくれた。
お粥を食べさせてもらっている時に、バタバタと足音が聞こえてきた。
そして衝立から顔を見せてくれたのは春宮様だった。
「時平!大丈夫か?!」
「はい。ただ予定より長く眠っていただけですので、大丈夫です。」
「そうか。それはよかった。」
「ご心配おかけいたしました。」
「他に何か食べたいものはあるか?」
「晴明様より、干し桃などいただいておりますので、お気持ちだけありがとうございます。」
「私は執務に戻るから何かあれば呼んでくれ。」
「はい。お忙しい春宮様のお手を煩わせるのは心苦しいので、その場合は青龍達に連れていてもらいます。」
にっこりと微笑めば“そうか?“と首をかしげながらも執務に戻って行った。
皇太子である春宮様を陰陽師ごときが呼び出していいはずがない。
絶対間違っている。
1人で頷いていると容赦なく雪華から匙を押し込まれた。
食後少しゆっくりした後、青兄と朱桜に簡易湯殿というか、お湯を作ってもらい、汗を洗い流しさっぱりすると、直衣に着替えて春宮さまの執務室へと向かった。
場所は朱桜が知っているらしい。
案内された場所に行けば、室内へと声をかけると春宮さま直々に出てこられて驚いた。
お付きの侍従はいないのだろうか??
室内へ招き入れられると執務が終わるのを待つことにした。




