第8話。勇者パーティー候補を探します。
妄想中………ここは、ハワイ島。俺は水着で遊びに来ている。
妄想中……あ〜潮風がたまらないぜ〜。
妄想中……『うふふ〜ほ〜ら〜こっちよ〜』
妄想中……『はは、待てくれよ〜ハニー』
現実……違うー!そうじゃない!いつの時代だよ!
畜生!あの校長のせいで……時代錯誤に(泣)
すると足音が聞こえてくる。ん?複数だな?
俺は引き篭もりしてから、ちょうど「一週間」が経った。食事は使用人に運んでもらっていた。
あとは、お手洗いは人が居ない時に行ってる。
ときより、変な声が響くが……。
まぁ、あまり深く考えないようにしよう。疲れる。
扉からノック音が聞こえてくる。校長か?
「ユリア校長先生よ、連れてきたわよ」
もう、自分から「先生」て言ってるよ……。
俺は仕方がないので扉を開けた。ガチャ。※鍵を開ける。
そこに居たのはユリア校長と4人の子供……?
「さぁ、挨拶しなさい!これが勇者よ!」
勇者に対して『これ』呼ばわり………。
4人の子供たち頭を軽くさげてる。
4人の子供『始めまちて!ゆーちゃーましゃま!』
幼い!若干5歳だろ!!とにかく名前を尋ねる。
『かい、しん、めい、みら……でっしゅす!!』
俺は子供たちの頭を撫でた。偉い偉い〜。
そして……すかざす扉を閉めるのだ!ガチャリ。
「ちょっとー!何で閉めるのよ!パーティーよ!」
この校長……頭飛んでるぞ!相手は子供だそ!
「ユリア校長先生、まだ幼いですよ!」
「このままパーティーに入れると思ったの?」
「この子たちが15歳ぐらいになってからよ〜」
あ〜ね〜自己紹介か……。そっか、そっか……ん?
15歳からのパーティーだと?決めるの早っ!
いやいや!その時、俺は25歳だぞ!
言わせてもらえばユリア校長は35歳だぞ!
あんたはアラフォーの仲間入りじゃねえか!
『ゆ〜ちゃま〜またね〜ばい〜ばい〜』
『ど〜し〜て、しめたの?』
「勇者はね……人に見られちゃいけない事を……」
だんだんと声が遠退いていく……。
お〜い!辞めろや!まだ5歳の子供たちに変な事を吹き込むな!
あんた……校長……クビだぞ!マジで!!
あの子たちは……まだ5歳なのに分かるのか?
本当に10年後パーティーを組む事を望むのか?
人生を選べるはずだろうに……それに比べ俺は?
いいや、同情しないからな!俺は『被害者』だ!
勝手に召喚され……勇者だの〜魔王だの!
俺は勇者じゃねぇ!ただの高校生だ!
勇者なんかク◯くらえ!!
知るかよ!俺は自由に生きるぞ!
もう、皆とは会えないんだ……。
父さんも母さんも。もっと弟妹たちに……。
優しくしてあげるべきだった……。
他人の子供の同情など、おかしいだよ!
同情されるのは俺の方だろうが!
畜生……畜生……畜生……。父さん、母さん……。
ごめんよ……親不孝で終わってさぁ……。
彼は壁側に寄り添うように体育座りをしてしまう。
そして涙を流す事しか出来ない自身に怒りを覚えた事だった。
永遠に会える事が叶う事が出来ない。
勇者とはいったい何の為に存在するのか?
なぜ?日本人が選ばれるのか?
彼の心の中に怒りだけが芽生え始めたのである。
第9話。勇者て何ですか?僕は高校生です。