ブラックホールで肝試し、したら自我がきえた編
読んでくれてありがとう
修学旅行当日、生徒たちを乗せた宇宙バス「破壊神号」は、時速1億kmでいきなりワームホールに突入
担任の阿佐ヶ谷先生(47歳、見た目は青いスライム)が叫ぶ。
「ちょっと待て、まだ名簿確認してないッ!!!」
だがもう遅い。バスはブラックホールの中にある観光地「消滅銀河ランド」に到着していた。
ガイドを務めるのは、人間の姿をした謎の案内人
時空喰らいのヨシミさん(推定年齢4兆歳、好きな食べ物:プリン)
「皆さま〜、本日は“時間と存在の概念が壊れるツアー”にご参加いただきありがとうございます〜♡」
その笑顔と同時に、時空がくしゃみの音で崩壊
まず一行が訪れたのは、「自分が自分でなくなるゾーン」
そこでは、自分の名前、性別、立場、通っている学校、果ては「物理的に存在していた事実」までもが霧散する。
ゾンビ太郎はそこで「熱々のおでん」と化し、終末ちゃんは手だけの存在になる
しかし、爆発四散丸 大和は叫ぶ
「俺は!俺を!覚えてるうううううううう!!!!!!!!」
叫びと同時に、世界がまた世界になる。
ヨシミさんが呟いた
「うふふ。いい壊れ方ですね〜♡ では、次は“ブラックホール肝試し”です〜」
肝試し会場は、光も思考も抜け出せない闇の深淵
中に入ったゾンビ太郎は以下のような体験をする
ゾンビ太郎は自分の顔が無限に分裂しながら「人生の意味」を朗読してくる
その最中、阿佐ヶ谷先生は教員用のポータブル次元ポケットを使い、「地獄のしおり」を開いた
『緊急脱出方法:ヨシミを倒すしかない』
だが、ヨシミはすでに人型をやめ、「超銀河マザーノブァの姿」となっていた
その声が宇宙全域に響く
「本当の修学旅行とは、学園生活の終わり、つまり終学!さあ……崩れましょう♡」
バスはすでに消滅。生徒たちは、自らの存在意義をぶつけて戦う最終戦へ
「俺は存在しなくても、朝礼には遅刻したくないんだ!!!」
彼らの思念が光となり、ヨシミ(マザーノブァ)を包み込む
そして全ては、一つの叫びで終わる。
「出席番号、1番……僕は僕だ!!!」
気がつくと、生徒たちは元の教室に戻っていた
誰も彼も、何も覚えていない
ただ一つだけ、机の上に「しめじ1本」が置かれていた
それは、確かに旅をした証だった
突如、放送室から謎の声が流れた。
「ピンポンパンポ〜ン♪ 本日の下校時刻は、“今世”を超えて“来世”まで延長されました〜」
校庭では、無限に増殖するヨシミさんの顔が咲き乱れ、空には巨大な通知表が浮かぶ成績欄には全員こう書かれていた
「評価不能:次元が違う」
その瞬間、爆発四散丸 大和が叫んだ
「こんな通知表だと高卒になるだろうがあああああああ!!!」
残された1本のしめじは密かに泣いた
そして、生徒たちは黙ってランドセル(なぜか背負っている多分趣味)を背負い、夕焼けの中へ歩き出した。
その背中は、どこか……成長していた気がする。
いや、してないかもしれない。
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