表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
氷結都市クリック/フリーズ階層

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/507

90.決戦直前:人事ガチャは突然に

《アイスライク・サプライズモール》

最高級ホテル《コールドスリープ》最上階VIPルーム

──【夜明けの月】専用ルーム


リンリンが【夜明けの月】に入団する事になった……が、すぐにそうとはいかない。


「このお祭り騒ぎの中で移籍はノイズになる。正式に移行するのは《イエティ王奪還戦》後になる。

 あとグレンを振り終わってからな。でないと横取りした感じになってグレンに恨まれる」


「グレンは振られる前提かよ。かわいそうだねーあの男も」


「いやリンリンが構わないならそれはそれでいいが……どっちにしてもその場で決着は付けてもらう」


「はい。ここまで熱を向けてくれたグレンさんに失礼ですから……結論は告げます」


「それも《イエティ王奪還戦》後な。どっちにしてもグレンが使い物にならなくなるから」


失恋にしても成就にしてもうるさい気配がする。


「それにしたって【かまくら】……というより今のクリックはかなりリンリン頼りの構成になってるぜ。引き抜きだって《イエティ王奪還戦》が成功しない限りは無理かもな」


「じゃあそろそろ聞かないとね。《イエティ王奪還戦》にて俺たちはどう立ち回ればいい?」


……しばらく【夜明けの月】の方はほったらかしにしていたが、いよいよ決めなくてはならない。


「そうだな。メアリーとも相談していたが……今回【夜明けの月】は散り散りになって動く事になる。という訳でメアリー」


「わかったわ。んじゃあ配置を説明するわよ──」




──◇──




【第30階層 氷結都市クリック】

《アイスライク・サプライズモール》B1F

【かまくら】本部奥 大会議室


──《拠点防衛戦》3時間経過につき、()()()()

──《イエティ王奪還戦》想定3日前。


「準備は整った。関係者各位については長きに渡る尽力に感謝する」


マツバによる最終連絡会。

一部リモート参加ながら、参加者は過去最大人数となった。


「次の《拠点防衛戦》を《イエティ王奪還戦》の本番とする。長期間、莫大な費用を投してのイベントだ。2度目は無いと思って臨みたい。

 本日は各班の配置についての擦り合わせを行う。異論ある場合は後で質疑応答の時間を設けるのでその際に頼む。

 ──まずはA班"31階層防衛部隊"! 従来の《拠点防衛戦》と同様の事を、全てが終わるまで続けてもらう! ここが崩れれば終わりだ。気合を入れてくれ。

 代表は【マツバキングダム】プリンセス・グレゴリウスが務める! 特定特殊の役割を持たず、《拠点防衛戦》の経験者である事からの選出だ」


「ワタクシにお任せですわ~!!!」


「A班"31階層防衛部隊"は最前線に常に【かまくら】リンリンを配置し、戦場構築隊"壁班"の【かまくら】ミカンを配置。だがミカンには役割があるので、壁設置後は他の【キャッスルビルダー】に建築物管理権を譲渡し31階層を離れてもらう」


「【真紅道(レッドロード)】の【キャッスルビルダー】担当フレアです。【真紅道(レッドロード)】のパフォーマンスが終了次第、ミカンさんと交代し31階層"壁班"の代表を務めさせて頂きます。どうぞ宜しく」


"鉄仮面"フレア。【真紅道(レッドロード)】の城壁と名高い、指折りの【キャッスルビルダー】。魔境と言われるクリエイター系ランキングでも常にTop10にランクインしている実力者。クールな仕事人で無表情ながら、建築物の一か所にかわいいウサギさんマークを混入させるお茶目な一面が人気を呼んでいる。


「B班"資材管理運搬部隊"の代表は【パーティハウス】マスカット。31階層でのパフォーマンスタイムの管理・列整理、毎日の資機材搬入管理は【パーティハウス】と【マツバキングダム】で行う。パフォーマンス系の管理はマスカット、30階層からの資材搬入管理はグリーンシール。31階層での資材受け取りと運搬の管理はイエロータスク。31階層以降への資材運搬管理はレッドキャップが担当する」


信号機トリオは今回は裏方。見た目が派手な赤黄緑の服装で目立つという理由だが、今回は初見の冒険者も多く見た目でアピールできるというのは理にかなっている。


「C班"拠点設営部隊"! 31階層から先へと進み、各階層に拠点を設置・維持する班だ。ここの各階層代表は【夜明けの月】【草の根】が担当する。パフォーマンスタイムを終えた【真紅道(レッドロード)】のグレンさんと、壁を設置した【かまくら】ミカンは後を追う形でこちらに合流。各拠点を最低限整備した後に最前線へと合流してもらう」


【夜明けの月】は参加メンバーの中でもレベルが低い方だが、代表ギルドとして連絡がしやすいのでここに設置。基本的な役割は伝達とアイテム管理となる。


「そして大本命D班"イエティ王奪還部隊"! 39階層に赴きイエティ王を奪還し、スフィアーロッドの魔の手からイエティ王を死んでも防衛する! 代表はグレンさん! グレンさん到達までは俺が代理で指揮させていただく。構成員は【草の根】スワン。【マツバキングダム】からマツバ()。【真紅道(レッドロード)】からグレンさん、フレイムさん。【夜明けの月】からクローバー、ゴースト。この6名を第一陣とする。第二陣は回復以外の全ての役割を単独で熟せるゴルバチョフさんをリーダーに38階層で待機してもらう」


麿(まろ)に任せるでおじゃる」


頼もしすぎる。悪魔使役で単純に一人4役出来て、本体が凄腕のスナイパーなのだから本当に単体性能が頭抜けしている。悪魔は魔法も呪いも使い倒すし、敵にしたくないタイプだ。


──そして、俺は今回は第二陣。スフィアーロッドの位置もイエティ王の位置も判明しているし、俺の役割は"最強の補欠"みたいなもんなので、ここまで格上がわんさかいる状況なら最適解からは外れる。

【夜明けの月】として選出したのは切り札であるクローバー、そして──ゴースト。


「question:私で良かったのでしょうか」


「俺以上の最適解だよ。【無限蛇の双牙(ウロボロス)】は自力で武器耐久値を回復できる希少装備で、サブジョブが回復職なゴーストは永遠に戦闘ができる。今回は物資補給が最大の問題となる以上はクローバーが積極的に戦えない。お前が頼りだ」


「……consents:わかりました。ライズからの命令を受理しました。必ず成果を挙げてみせましょう」


「頼むぜゴースト。俺、マジで今回はよわよわなんだよ。ポケットぱんぱんに弾丸入れても数分持たないからよ」


長期戦はクローバーにとって最も苦手な分野。……いや、今回レベルの長期戦ならばどんな冒険者にとっても得意とは言えないだろう。武器の耐久値がある以上、本当に延々と戦う事はできない。ゴーストだってMP回復が間に合わなくなる可能性がある。一応アビリティ"深呼吸の極意"でMPの自動回復は設定しているが……。


「こういう時にライズさんが前に出ないのは珍しいですね」


「戦力が充実してるからな。というかクローバーという最強火力がいるおかげでこれから俺の出番は減ってくぞ。あんまり期待するなよ」


──まぁ、直接見たいという気持ちはあるが。まだイエティ王を助けた時、スフィアーロッドがどう動くのかはわからない。人数よりは少数先鋭で状況を確認し、後続で人員補給した方が確実だ。

まぁグレンは絶対に死なないが。どうしても瞬間火力が必要になったらクローバーが出ればいい。


「基本的に裏方がいいんだよ俺は。それより各仮拠点の代表になってもらうんだからしっかりしてくれよお前ら。特にメアリー。ゴーストいないんだから」


「舐めんじゃないわよ。カズハさんが一緒だからあたしは大丈夫よ」


既に人頼りかい。




──◇──

──




──おかしい。

異常事態を意図的に引き起こした。想定されていない挙動()怨敵(ウィルス)はバグと誤認し、我を滅ぼすはずだった。

しかし。幾つ重ねど《拠点防衛戦》は進まず。

なれば新たなる攻性因子(冒険者)を通さずに済んでいる訳で、こちらには利である。

それが理である。

だが。その理では解決にならぬ。

我の目論見に気付いているか。なればプランを変えるまで。

自我があるのならば、不明瞭な憶測でもプランを変更できる。


──我が肚の内に秘め組んだプログラム。

発動すれば間違いなく我を消さねばならなくなる最後の一手。

──冒険者を抹殺する"データロスト"。

これを撃とう。次に来る攻性因子(冒険者)へと。

なれば怨敵の首魁も我を見過ごす事はできぬ。


あぁ、早く来い攻性因子(冒険者)

叶うならば、この我の肚を満たす怨念のように。

黒く渦巻く悪意を我に向ける者が来い。




──

──◇──




【第30階層 氷結都市クリック】

《アイスライク・サプライズモール》B1F

【かまくら】本部奥 大会議室


「……各階層の配置はこのようになる」


────────

──C班"拠点設営部隊"

32階層代表:【夜明けの月】ジョージ

33階層代表:【夜明けの月】ドロシー

34階層代表:【草の根】ヘロン

35階層代表:【草の根】エンテ

36階層代表:【草の根】ヒョウ

37階層代表:【夜明けの月】アイコ

38階層代表:【夜明けの月】メアリー


──D班"イエティ王奪還部隊"

第一陣代表:【真紅道(レッドロード)】グレン

第二陣代表:無所属バルバチョフ

────────


「32階層は補給物資運送の本拠地になる。よってライダー系列のジョージさんに代表を任せたい。最も多くの冒険者が行き交う事となるが……ライズさんの推薦で、人を纏める能力もあると踏んでの任命だ」


「相わかった。では常在員のリストを」


「最も長期間防衛してもらう兵拠になる。厚く配置したが、いけそうか?」


「軍隊として見るなら何人でも面倒は見られるよ。ちゃんと従うように()()するから安心してくれ」


「……ウチの連中もいるから、お手柔らかにな?」


見た目幼女だが、既に"人類最強"の凄みが滲み出ている。間違い無く安心して任せられるが……《イエティ王奪還戦》が終わった後にマツバに従わなくなったらどうしよう。俺が怒られるのかな。


「各階層配置の【マツバキングダム】も古参の意地を見せろ。各代表者は偶然にも見目麗しい女性が多いが、失礼を働くなよ」


美女(バケモノ)姫様(グレゴリウス)で見慣れましたぜ! もう俺らは見た目で判断しないぜ!」


「どういう事ですの〜!? テメェらさっさと準備始めんかい!」


「そういうとこー!」


騒がしいな。あれで途中入社なんだよなプリンセス・グレゴリウス。凄い馴染みっぷりだな。


「今、姫の事を見直しましたね?」


「うわぁグリーンシール君。びっくりした」


ローグ系の気配遮断か? 君【大賢者】だろ。


「【マツバキングダム】に限った話ではありませんが……【飢餓の爪傭兵団】傘下のギルドは基本的に野郎ばかりです。何故なら黎明期冒険者とは違って、今いる冒険者の殆どは最初攻略を始めなかった慎重派ばかり。【飢餓の爪傭兵団】に入る程に覚悟を決めているような人はなんかスタートダッシュに失敗した野郎が殆どなのです」


「ううん偏見。それで?」


「出だしを外した男というのは、大抵はチームを組む事に失敗しています。女性との接点もほぼ無いのです。

 故に! 顔が良くてスタイル良くて積極的にコミュニケーションを取ってくる女性がいたら靡いちゃうのは自明の理!

 決して! あのグレゴリウス(暴走特急)が凄いとかじゃないんですからね!!!!!」


「【飢餓の爪傭兵団】童貞軍団説やめろ。不名誉すぎるだろ」


……そういえば、ルガンダの【金の斧】のアゲハも相当馴染んでたな。……ダメだ。考えるのはやめよう。


「聞こえましてよグリーンシール。ちょっと面貸せ。チンピラ3人組の中では言葉遣いもマトモになったって思ってたのにそんな事考えてましたの?」


「ゲェー! 逃げろ逃げろ!」


「待てェ! ケツ出しな! 引っ叩いてやるァ!」


……いや、やっぱグレゴリウスの人柄の成果でもあるだろコレ。

~【夜明けの月】だらだら話~

《ジョージとゴーストの昼下がり》


「question:ジョージ」


「どうしたかなゴースト君。俺に答えられる質問なら喜んで」


「奥方との馴れ初めを」


「おっふ。……とはいってもお見合いだよ。民間出の俺に立場が付くようになってから、当時世話になっていた先輩が紹介してくれたんだ。"後々有名人になるお前なら絶対釣り合う"って」


「question:愛はいつ芽生えたのですか?」


「んんんんんー……定義が難しい。でも一目惚れだったよ。実際に会ってすぐに目を奪われた。もう他の女性を見られなくなってしまった。これは"恋"だがね」


「question:"恋"と"愛"は違うのですか?」


「うーん……違うと言えるのだけど、どう違うかと言われると難しい。答えは人それぞれかもね。どちらにしても押し付けは迷惑ではあるが。

 そうだね……"相手が振り向いて欲しい"は"恋"で、"振り向かれ無くてもいい"のが"愛"かなぁ」


「対象の行動に依存すると?」


「いや、その結果相手がどう動いても関係無いと思うよ。俺で言うなら……(スミレ)に相応しい男になるために言葉遣いやら態度やらを改めていた頃は"恋"だった。菫の気を惹く事で頭がいっぱいだった。俺の獣性を見せて嫌われたく無かったから、殺……過激な仕事をした後は会わないようにしたりして取り繕っていたよ」


「今殺人してませんでした? ジョージは警察では?」


「もちろん普通の警察だよぉ。

 ……で、菫が誘拐されそうになった時……菫に怖がられても、二度と会えなくなっても構わないからって思いで連中を血祭……少し派手にお仕置きした時に、"恋"が"愛"になったんだと思う」


「警察ですよね?」


「そうだよぉ。善良な一般警察だよ。

 あの時から俺は家族を守るためなら形振り構わなくなったし、家族に嫌われても家族を守るって決めた。それはもう"恋"ではないと思うんだよね」


「……参考になりました。ありがとうございます、ジョージ」


「あくまで俺の主観だからね? ゴースト君はまだ生まれたばかり。色々見て聞いて、自分なりの答えを見つけてくれ」


「consent:またお話を聞かせて下さい。奥方との幸せな思い出を。……私の心に有益ですから」


「よろこんで。いやはや【夜明けの月】は俺に優しいよね。妻との惚気話も親身に聞いてくれるし」


「……question:ところでジョージ。【Blueearth】に息女がいるとの情報がありましたが、再開したらどうしますか?」


「うーん……今幸せな事を確認したいな。向こうは俺の事を覚えてないから……変に干渉しないようにしたいよ」


「家族に好かれるかどうかは、家族を守る理由に影響しないという事ですね」


「そうそう。草葉の陰から応援するのが精々かな」


「素晴らしい父親だと思います」


「ははは。

 ……それはそれとして、悪い虫が寄り付くようなら陰ながら消すけどね。例え娘と恋仲だろうと。嫌われても守るってそういう事だよ」


「恐らくその愛は重すぎますが」


「そんなもんだよ愛なんて。結局自己満足だよ」


「……恐ろしい父親ですね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ