9.【夜明けの月】
【第0階層 城下町アドレ】
ギルド【祝福の花束】
遂にその日がやってきた。
出入りの激しい【祝福の花束】の連中も、今日だけは大多数が集まっている。
「レベルは24! 目標値-1だけど」
「許容範囲だ。無理に一日延ばす必要はない」
メアリーとゴースト、そして俺。昼間に3人で集まるのは久しぶりな気がする。
「資金は潤沢。手形も必要数……ある、よな?」
「answer:Bランクギルド設立分は確保してあります。再計算しますか?」
「あー大丈夫。心配性だな俺も……」
「忘れ物はないー? 戸締りしてきたー?」
「戸締りどころか追い出されたわ。退去金もきっちり払わされたわ」
モーリンの軽口で少し落ち着いた。考えてみればこのメンツは少しメンタルに余裕が無いかもな。ムードメーカーが欲しい。
「アイテムも装備も万全。やたら武器が多いけど」
「それは俺のストック。雑魚相手にお気に入り達の耐久値削る訳にはいかないからな。本気用と雑魚用、それと特殊能力があるやつ用で武器全種×3くらい必要だからよ。いくらかは共用ストレージに仕舞わないとインベントリ圧迫しちまう」
「……冷静に考えるとヤバいわね【スイッチヒッター】。そりゃマトモに運用できる人が少ないわけだわ」
「search:マスターのジョブも【マジシャン】系第2職【ウィッチ】に昇格済。事前設定のタスクは完了しました」
一通りの確認が済んで、ようやくカウンターに向かう。
今日も筋肉と笑顔が眩しい俺達のギルドマスター、グレッグが出迎えてくれる。
「【祝福の花束】に脱退金なんて無いんだけど?」
肩をすくめるグレッグ。わざわざみんなにバレないようにカードにしてこっそり渡してるのに、バラされちゃしょうがない。
「未来の手付金と思ってくれ。多分俺達、そうとう暴れるから。面倒な客が増えると思う」
「あら、でも貴方達が新しいギルドメンバーを送りつけてくれるんでしょ? レベル高めの」
面倒とは捉えないんだな。頭が上がんねぇよ。
最後にはグレッグはカードを受け取ってくれて、ギルドマスターとしての手続きを始めてくれた。
「……はい、これで貴方達三人は【祝福の花束】から退会したわ。ついでに申請するんでしょ? 呼んでるわよ」
奥のテーブルで酒をあおっているアドレ兵士を指差す。兵士も自分の出番と気付くと腰を上げ、ジョッキ片手にやってきた。
公務中じゃねぇのかよ。
「国営冒険者ギルド協会である。グレッグ殿の要請に駆けつけた。新ギルド設立の申請書類は途中まで受け取っているのである。足りない部分だけ聞くから、メンバーはこっちに来て欲しいのである」
……申請書類なんて書いた覚えはないが。これもサービスか。
メアリーとゴーストを呼んで詳しく聞いてみると、もう俺たちの名前とか諸々はグレッグが用意してくれていたとの事。
【祝福の花束】に渡していた分の手形も数は伝達済で、受け渡すだけで済んだ。至れり尽くせりだ。
「手形の数から、Bランクギルドとしての立ち上げとなるのである。近年稀に見る優良ギルドであるな。期待しているぞ!
……最後にギルド名であるが?」
メアリーに目配せ。ここは任せろと言われたのだから、勝手に答えるわけにはいかない。てか考えてないしな。
「ええ。あたし達のギルドは【夜明けの月】よ!」
「【夜明けの月】……」
「我々はこれより暁の空を巡り、誰の目にも映らず任務を遂行する。そして太陽がその座から降りた時、私達は意気揚々と天に輝く! どうよ!」
ふふーん!と鼻息荒く宣言するメアリー。
月……が名前に入ったのは偶然だな。
「うむ、では発行するのである」
────────────
ギルド名:【夜明けの月】
ギルドランク:B
ギルドマスター:メアリー
ギルドサブマスター:ライズ
ギルドメンバー:3名
メアリー LV24 【ウィッチ】
ライズ LV115 【スイッチヒッター】/【鍛治師】
ゴースト LV99 【リベンジャー】/【ヒーラー】
────────────
「ここにアドレ王家の名を借りて、新たなるギルドの設立を認可するのである!」
沸き立つ【祝福の花束】の面々。
卒業の恒例となった花吹雪が門出を祝う。
……俺が受ける事になるとはな。
「私達【祝福の花束】も、【夜明けの月】の旅立ちを祝福するわ。いつでも戻ってきていいからね?」
記念品の花束を手渡される。
……戻らないようにしたいものだ。
【夜明けの月】は3人で、通り慣れた戸を開けた。
──◇──
「門出を祝うのは【花束】の専売特許じゃねぇですぜ。
マァ派手に行きましょうや旦那! 伝説の再開にゃ相応の祝砲が必要でして!」
──◇──
【第0階層 城下町アドレ】
──ギルド【祝福の花束】前
意気揚々と出たのだが。
「待っておったぞ。妖怪【底舐め】よ」
腕を組み仁王立ちする、苛立ちを隠しもしないナイスミドルな眼鏡のおじさま。およびその配下いっぱい(多分10人くらい)。
「フリーですよね? 少しお話しません? ちょっと第40階層まで誘拐されません? いやちょっとでいいんで!」
明らかにヤバいピエロ女と、その配下いっばい(大体20人くらい)。
「取材許可降りたんで飛んで来ました! ツバキ様との熱愛報道について一言ォン!」
めちゃくちゃ興奮してる忍者記者と、多分その同業者いっぱい(ほんとうにいっぱい)。
なんか凄い数に包囲されていた。
「……ライズ。アンタ待ちじゃないの?」
頷きたくない。でもそうなんだよな。
とりあえず……
「ドチラサマ?」
とぼける。そして時間稼ぎだ。
この返答をすればコンプレックスおじさんがブチ切れるだろ。
やはり読み通り、最初に声を掛けたナイスミドルおじさんが奥歯を噛み締め、今に──
「まぁまぁブックカバーさん。叡智の枢機たる【象牙の塔】の三賢人とまで呼ばれた貴方の心が、この程度の挑発で揺らぐ事は無いでしょうさ」
人混みを掻き分け、インテリおじさん──ブックカバーの肩にねっとりと手を掛け現れたのは、白の男。
純白のスーツに白のシルクハット、ネクタイも白、髪も白。胸にまで白い薔薇を差した全身白ずくめの男。
「どうも【夜明けの月】の皆様。初めまして。私は【井戸端報道】にてギルドマスターを務めさせて頂いております、バロンと申します」
ニッコリ笑顔の──どことなく胡散臭い──誠実な男。制されたブックカバーもたじろぐ、厄介事の香りを撒き散らす男。
「あーどうも初めまして。これはアンタの差金か?」
「いえいえ、私は【井戸端報道】に取材許可を出しただけ。他の方は知りませんね。誰かからタレコミでもありましたかね?」
目に見えて黙るブックカバーとピエロ女。国営の公式情報屋の前で裏情報のタレコミ拾いましたとは言えないわな。
「……兎角。【象牙の塔】の悠久たる叡智の結晶はそこの妖怪をご所望だ。縛り上げてでも連行するぞ」
「あー! それはダメです! ライズさんは【パーティハウス】が誘拐するんです!
ライズさん! いま貴方の市場価値は凄い事になってるんですよ! オークション開催の前金だけでも10億Rは容易く稼げちゃうんです! ちょっと誘拐されてみませんか!?」
「バロン局長! こいつらどう見てもヤバいんですけど自警団呼ばなくていいんですか?」
「んん〜呼んだら【井戸端報道】も連行対象になりかねないのでナシで。こっちは誠実に、ギルドに連れ込みましょうかね〜」
どいつもこいつも言ってる事は変わらないじゃねーか。
何より人見知りモードになってるメアリーをどうにかしないとな。
「あー、よし。決めた」
今最も注目されてるのは俺。なので、そこを引き離す。
「俺は新しく設立したギルド【夜明けの月】のメンバーだ。フリーじゃない。どうこうしたいならこのギルドマスターを通しな!」
メアリーの背をトン、と押す。
顔面蒼白──というか紫色になって何も言えない状況になっているメアリー。荒療治だ。
「我らがギルドマスターは【マジシャン】を極めると仰っている! ひいては【象牙の塔】の話を聞きたいとよ!」
そのままメアリーをブックカバーに押し飛ばす。
俺に向いていた視線が、一気にブックカバーとメアリーに向く。
パッと見で最も数の少ない勢力が狙われたら、どうなる?
「ブックカバー……その子を渡せ!」
武器を構える【パーティハウス】の面々。最前のピエロ女はローグ系か。毒々しい短剣を構える。
「平和的に取材だ! 遠距離部隊構えェン!」
銃や弓を構える【井戸端報道】一同。なんかもうバロンいないし。
一転して囲まれたブックカバーが取る行動は一つ。
「〜〜〜ええい我慢ならん! 慧眼なる飼い主よ、そこで見ておれ! これが【大賢者】だァ!【テンペスト】!」
無詠唱で放たれるは逆まく大竜巻。全員が防御体勢を取った隙を狙い──追撃が来る。
「魔術の真髄をその身に刻め! 【神炎のサウザンドアロー】【雷帝の鉄槌】!」
崩れた陣形を無数の炎の矢と雷の雨が襲う。たった一人で天変地異だ。
──俺とゴーストはとっくに逃げているが。
「ガチギレブックカバーの対策なんてしてないってぇ〜!」
「陣営はライズ対策で物理防御特化ですよ先輩! 引きましょう!」
「【井戸端報道】は攻撃諦めろ! お前らのレベルじゃ無駄だって!」
「あれ、ライズおらんぞ!」
「あー【象牙の塔】にも逃げられた!追え!」
……大騒ぎが落ち着いて、一息吐く。
俺とゴーストは現在、【祝福の花束】のギルドハウス屋根上まで逃げていた。
「ブックカバーなら単騎で捲り返せるからな。【並行詠唱】と【暗唱】ができるだけの時間は用意してやったから、このくらいはしてもらわなくちゃな」
「question:マスターが誘拐されましたが、どうやって取り戻すのですか?」
「そうですぜ旦那。【象牙の塔】は人数こそ少ないけど全員前線攻略メンバーですぜ。ブックカバーに至ってはレベル150ですぜ?」
「何を普通に混ざってんだ黒子野郎」
いつの間にか混ざっていた黒ずくめの男。ゴーストは素早く双剣を抜き構えるが、俺が手で制する。
そいつもレベル150だ。無理な事はせんでいい。
「いやぁ【井戸端報道】がなんか悪巧みしてるみてぇでして。旦那を助けに来たんですよぉ」
「早着替えすごいなお前」
「なんのことやら」
……まぁ追求はやめておこう。どうせこいつの仕業だろうが。
「とりあえず最大の危機は脱した。あのまま全員に狙われたら終わりだからな」
来ていた連中で最も危険なのは【象牙の塔】組。最前線手前で攻略中のメンバーが普通に来てた。レベルで言えば全員130は超えているだろう。
【パーティハウス】は第40階層を拠点にしているからまぁ7〜80レベルくらいか。あの数は俺でも遅れを取る。
【井戸端報道】はレベルにムラがあるから断定できないが、とにかく数を集めたのだろう。低レベルの記者がかなり多く見えた。そして遠距離部隊で来てた。数の暴力で蜂の巣にするつもりだったのでは?
ともかく、この中で【象牙の塔】だけは他の全員を蹴散らすだけの力を持っている。ついでにメアリーが【ウィッチ】なのをいい事に利用させてもらった。
ブックカバーとは長い付き合いだが、あの短気さと戦闘に関する頭のキレはずっと評価している。無事悪用させて頂いた。
「次にブックカバーの位置が割れた時が勝負だ。ゴースト、耳を貸せ……耳だけでいい。抱き付かなくていい。デュークは来なくていい」
真昼の空に、うっすらと月が見える。
くそう。全然見えるじゃねぇか。
──◇──
「グレッグさん。店の外が凄いことになってますぅ……」
「えぇそうね。だからウチのメンバーを出来るだけギルド内に避難させたんだもの」
「メアリーちゃん達の送別目的じゃなかったんです!?」
「彼らなら自力でなんとかするだろうけど、ウチの子が巻き込まれちゃ危険だからねー。なんで穏便に出発できると思ってたのかねライズさんはー」
──◇──
ウチの名前はタルタルナンバン。
【井戸端報道】の新人記者ですのン。
30階層で攻略を諦め、無職では収まりが悪いので【井戸端報道】に就職しました。
本部より特命を受け、本日初仕事ですゥン!
力むと語気がつよくなっちゃうのはご愛好ですのン。
「伝説の男が階層攻略に復帰するとの報アリ。近隣の記者は【祝福の花束】前に集まれたし」との社内報を受け、ダッシュで来ました。
アドレは非攻略者の記者の縄張りだからウチのような元攻略勢は疎まれるもんですが、今回に限っては相手が100レベル超えという事もあって無事、先陣切って代表をやらせて頂きましたァン!
「おい余所者! どうすんだコラ!」
ごめんなさい先輩!
ブックカバーさんの暴走で結構な数が瀕死です。死者はいませんが。
というか直接戦闘となれば【パーティハウス】も【井戸端報道】も【象牙の塔】には勝てません。バリバリ現役のセカンドランカーですよあの人達。
とにかく、交渉です。他のギルドの方々と違って、こっちは取材さえできれば後はどうでもいいのです。むしろどっちかの陣営に協力して密着取材させてもらっちゃえばいいのですン。
……ですが、現実として【象牙の塔】にギルドマスターさんが取られてしまいました。最早【象牙の塔】に協力の必要は無く、しかして【パーティハウス】と手を組んでも勝ち目はありません。
この状況を僅か一手で作り出すライズさん、さすがの伝説の男ですゥン!
疑問は、ライズさんがどう動くか?
本人も言っていましたが、ライズさんの身の振り方は【夜明けの月】GMのメアリーさん次第です。見捨てる筈がありません。
では、どこかのタイミングで救出に入る筈。ならばやはり、探すべきはブックカバーさん……?
「……まずは散開しましょう! これだけの騒ぎ、自警団が来てもおかしくありません。探すはブックカバーさん及び【象牙の塔】です!
非戦闘要因は探索のみ、発見したら情報共有でお願いします!」
「合点!!!!」
元気よく散らばるアドレの記者勢。
アドレ王国は冒険者同士の喧嘩に首を出さないけど、ここまで派手に動けば警官隊が顔を出しに来る筈です。
それに対冒険者用の自警団【アルカトラズ】に動かれたら厄介です。てか終わる。ここは逃げるが吉です!
……ところで、どこ行ったんですかバロン局長ゥン!
──◇──
ご機嫌よう。ブックカバーである。
偉大なる最高位魔法の乱撃、これでこそ至高のジョブ【大賢者】である。
ともかく、我々は【夜明けの月】なるギルドの長、メアリー嬢を引き連れ避難中である。
「ブックカバー氏! いかがなさる!」
「うむ。雑魚が集ろうと敵にもならんが、それは広い場所を確保した場合である。市民を巻き込めば王国に追われるし、度の過ぎたる損壊は【アルカトラズ】を呼び出してしまう。まずは迎撃できるだけの広い場所が必要である!」
一度冒険者と敵対してしまったため、吾輩には一時的なワープ制限がかかっている。別拠点どころか、アドレから出る事すら叶わん。PKペナルティは洒落にならんので事前にアビリティ【手心の心得】を装備してきたため殺人まではせずに済んだが。
「メアリー嬢。詳しい話はまだできないのである。走れるか」
「ぴっ」
……先程からメアリー嬢は、華奢な幼子の容姿に違わぬ怯えた様子で、話ができそうな状況ではないのである。吾輩、顔と態度が怖いと同門によく言われていたが、これはかなり良くない。とりあえずメアリー嬢は女性の同門にパスする事とする。
「ブックカバー氏。攻撃に出たのは氏だけです。我々ならせめて、第1階層に出られます」
「であるな。だが徒歩で第1階層へ行くルートは塞がれていよう。本命を忘れてはならん。メアリー嬢を誘拐する事は目的に在らず。嬢を安全に解放できない様では【象牙の塔】の顔が立たん」
そう。我らが崇高なる神姫、【象牙の塔】のGMの元へライズを連れていく事こそが我らの使命。
即ち、【パーティハウス】と【井戸端報道】を叩き返し、ライズを誘致しGMへと引き渡せばいいのだ。
……あるいは【パーティハウス】に誘拐させてから金で解決するという手もあったが。連中は見事にライズの口車に乗せられておる。厄介な事になったものである。
「……よし。同門達よ! 行き先は決した!」
なれば、こうせざるを得まい。
──真っ向勝負である。
〜そもそも【Blueearth】ってどういう設定?〜
《天知調の備忘録》
ゲームとしての設定は必要ですね!
【Blueearth】の世界では第0階層にあるアドレ王国が、未知の世界であるダンジョン階層を進行する物語です。
昔は各階層でも人が住んでいましたが、年々魔物が増加・凶暴化した結果、遂に拠点階層以外で住める環境ではなくなってしまいます。
この環境に危機感を抱いたアドレ王国は、王家の秘宝を使い異世界の住民【冒険者】を召喚します。
【冒険者】はログインと同時に王より、階層の攻略を勅命されます。
本来は各拠点階層毎に原住民達による国家が形成されており不可侵条約が結ばれていましたが、アドレ王国のみ【冒険者】召喚が可能なため、冒険者が到達した全ての拠点階層にアドレ王国の兵拠を設置させて貰えるようになりました。
基本的に【冒険者】はなんか勝手に未知のエリアを攻略するし魔物倒してくれるし不死身の便利屋さんとしてNPCさん達から扱われています。
……こんな感じです。
階層を攻略する事自体が王国側の目的で、別に指名とかそういうのは無いんですよね。
そもそも最後に何が待っているのか……みたいな話になると私も困るというか。そもそも冒険者さんが階層到達してから(ウィルスが【New World】のセキュリティを突破してから)その階層を速攻で私が作成しているわけです。つまり現状の最深階層以降は未定なんですよね。
あ、もちろん構想とかはあります。バグ相手してる時以外は結構暇なので。最近の趣味は現実から侵攻してきたハッカーさんを適度に誘導して迷子にさせる事と、【Blueearth】の設定を考える事です。
……ちなみに【Blueearth】は現実の4倍の速度が流れています。現在だいたい2年くらい経過したので現実だと半年くらいですね。等倍速だとちょっと現実側に負担がかかり過ぎちゃいますし(数千人行方不明ですし)、加速し過ぎて【New World】を爆速で攻略しちゃったら危機感無くなっちゃいますので。このくらいが丁度いいかなーと思ってます。
プレイヤーの皆さんには老化の概念がありません。なので年齢の概念もないし、誕生日の概念もありません。
でも未成年の価値観はそのままなので、一応アルコールやタバコなどの年齢に関わる成分は消滅させて、別の無害な成分に置き換えてあります。
アルコール類は「飲むと酔いに近いデバフがかかり、許容値を超えると強制的に睡眠状態になる」物質です。
タバコとかの嗜好品はエンドルフィンをちょっと分泌するだけの快楽物質で依存性はありません。
……いやー、常識改変ってたいへんです!
《オマケ》
・アドレ王国だけ多種族なのは、異世界召喚発祥の地だから。遥か古の時代、大量の多種族を召喚し【Blueearth】中に拡散し、各拠点階層に合った種族がコロニーを形成して今の形に至る。各拠点階層の住民がアドレ王国に協力的なのはそのため。
……という設定なのは、本来ならガッツリキャラメイクできるゲームにするつもりだったから。ひいては獣人真理恵ちゃんとか見たかったモフモフしたかった。
でも「人類電子データ化の先駆けならそのままの人間データを反映すべきでは?」って【TOINDO】のお偉いさんに言われて却下されちゃったのです。私1人の発明だったら趣味全開だったのにー。一応、ゲームとしての作成を手伝ってくれた【TOINDO】さん達の顔を立てて、今更ひっくり返そうとはしません。
・上記の理由で、基本的に現実の肉体準拠で構成されるためハンデを少なくする努力をしてあります。
例えば視力は底値を2.0にしてあります。しかし眼鏡っ子の文化を絶やすわけにはいかないので眼鏡っ子さんにはインベントリにこっそり伊達メガネを仕込んであります。
他で言えば、基本的に武器のオート操作機能を使ってもらってます。よほど鍛えた人じゃないと大剣なんて振り回せませんし。
動体視力や反射神経も底値を一定まで引き上げた上で、本来のポテンシャルが高い方の数値を下げることはしません。あくまで底を上げるタイプの平等です。
まぁそれだから、基本的に元々の肉体が強すぎる人には有利すぎる世界になってしまっています。そこはご勘弁を。