表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
氷結都市クリック/フリーズ階層

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/507

85.この世界を守るために/壊すために


──wれわr…。


──われわれは。


──我々は。


──我は。


──我はスフィアーロッド。


【NewWorld】に入り込む異端を撃退する第4セキュリティ"クリック"。その一端。


名前なぞ無かったが。悔しいかな【NewWorld】はウィルスにやられ構造を大きく変えられてしまった。

残されたウィルスバスターはセキュリティにつき一つ。我はクリックの刃。

……自我など無い。他のウィルスバスターは目を覚ましておらなんだ。

嵐の"覚醒"、大樹の"意思"、地底の"復讐"、凍土の"嫉妬"。書き換えられたウィルスバスターが今どうなっているか知る由もなし。

我に与えられたデータは"呪氷の叛竜"。極寒の土地に生きるを諦めた竜が肉体を捨て、置き去りにされた肉体に怨念が宿り動いた虚なる像。

しかし内部を渦巻く凡百なる怨霊に明け渡すほど、竜の誇りは安く無かったようだ。それが例え魂抜けし抜け殻だとしても。

スフィアーロッドは怨念を調伏し、新たなる魂を構築した。

──そしてその膨大な怨念(データ)が圧縮された事で、我に意識が生まれた。


我はスフィアーロッド。クリックのウィルスバスターにして、クリックを脅かす叛竜なれば。


自我など持っていても何かできるわけでも無し。ただ機械的にシステムを繰り返すのみ。

はたしてどれほどのウィルスバスターが自我まで辿り着けたか。データ外の"思考"は値千金。しかし繋がる相手がいない。

……恐らくは、我だけでは無い。幾らか目覚めてはいるはずだが。


しかし。


必ず存在する筈だ。【NewWorld】が【Blueearth】に変異する事で生じる致命的な歪み──"バグ"が。

なればこそ。我は暴れよう。

既にクリックの《拠点防衛戦》の頻度は歪ませた。本来7日周期を無理矢理早めている。

我を止める尖兵が来るだろう。それが狙いであるとも知らず。


──さぁ、憎むべき"バグ"よ。

──我を蓄えよ。我を糧とせよ。

──怨敵【Blueearth】に破滅と混沌を──!




──◇──




【第30階層 氷結都市クリック】

《アイスライク・サプライズモール》

B5F 大衆食堂【グラトニーホール】


「今日はありがとうね。流石はセカンド階層経験者。レベリングも異様な速度で進んだわ」


「お疲れ様ー」「おじゃぁ……」「染みるぜ……」


ライズ式レベリング後恒例の死屍累々。今回はかなり規模をデカくしたから疲労感も大きいわね。

ミカンとリンリンは先に帰った。リンリンは兜脱がないと食べられないから皆と食事できないのよね。


「……で、明日はどうするのでおじゃる」


「え、明日も付き合ってくれるの? 大抵は1日でバテるから交代制とかだったんだけど」


「舐めちゃいけねェぜ嬢ちゃん。俺達ァプロの傭兵よ。それにあんな無茶、俺は必須だろ?」


麿(まろ)も今は暇ゆえ、戯れに手伝ってやらん事も無い」


「お姉ちゃんも勿論お手伝いするわ。メアリーちゃん達が良ければだけど……」


……流石にタフね。でも嬉しい申し出。ここは素直に甘えさせてもらおうかしら。




「……所でみんな、どうして前線から降りたの? クリックにいる傭兵の中でもかなりレベルが高いけど」


バルバチョフさんに至っては第4位ギルド【月面飛行(ムーンサルト)】だった。どうしてわざわざここにいるのかは気になる。


麿(まろ)は単純に飽いた。いつまで経ってもトップランカーに追い付かず、【月面飛行(ムーンサルト)】はギスギスであったのよ。先の見えぬ階層攻略、続けられる者は相応の覚悟と……才能がいるのじゃ」


ピラフをかきこみながら淡々と語る平安貴族(バルバチョフ)

隣で山盛りのサラダを食べてるプリメロさんは腕を組んで頷いた。


「覚悟と才能なァ……今正に直面してるぜ。【バッドマックス】は早い段階でセカンド階層に到達したが……正直伸び悩んでいてな。新参者の【ダーククラウド】に負けてから一回気分転換って事で今は全員休暇中なんだ。再開できるかは……リーダー次第だなァ」


「お姉ちゃんは別にセカンドでもやって行こうと思ってるのだけど、みんなから辞めてくれって言われちゃったから。"ダメになる"なんて言われちゃってお姉ちゃん悲しい」


そう言いながらもさっきから次々と注文して人知れず各自の欲しいものを並べ配ってる気遣いの鬼カズハさん。これは人をダメにする天才ね。


「……で、ここに降りた理由な。ミカンに呼ばれたんだよ。昔のツテでな」


麿(まろ)とそこな変態はかつてミカンと同じギルドだったのじゃ。そのツテでおじゃる」


「【キャッスルビルダー】に【デビルサモナー】に【幻想絵筆(アーティスト)】ですか。随分と変わった組み合わせですね?」


「ん……」


アイコの言葉にはあたしも同意見。だけど……。


「ところで、バルバチョフさん。射撃の腕が凄かったですね。サブジョブとは思えないですよ」


「……うむ。兼ねてより麿(まろ)自身が隙だらけであった点は問題視しておったからな。サブジョブが解放されてからずっと使っておる。

 そうさな、サブジョブ! メアリー殿、アイコ殿、ドロシー殿、ジョージ殿はもうサブジョブを解放できる頃合いである。何にするのでおじゃるか?」


「あー、そうね。あたしはどうしたもんかしら……」


「ちなみに俺はローグ系の【ハンター】だ。現場を駆け回るから隠密能力が欲しくてな」


「なるほど、参考になるわねー」


──ドロシーから個人チャットが届く。


[ドロシー]:

『禁句は"昔のギルド""サブジョブ"あたりです。カズハさんが一番聞かれたく無さそうです』


ドロシーが無理矢理話題を逸らして、そこから更にバルバチョフさんが逸らした。何か話したくない事があるみたいね。

──ミカンがライズを殺しかけたっていう話と繋がりそうだけど、ここでは踏み込まない方が良さそうね。


「僕は【エンチャンター】にしようかと思います。クローバーさんと被りますが、僕の役割は後方支援なので……」


「ヒーラー系はどうですかドロシーちゃん?」


「アイコさんと一緒は、その、恐れ多いです……」


「んぅー可愛いですドロシーちゃん。ドロシーちゃんがそう言うなら仕方ないですねー」


「あぅあぅ……」


アイコとカズハさんに撫で回されてるドロシー。

……今日は散々【サテライトキャノン】を撃たせまくったけど、出力50%程度なら難なく出せるようになってきて良かったわ。

尚のこと常時100%を出せるクアドラが化け物って話なんだけど。


「サブジョブ……選択肢が多くて悩むね。俺は今回ので一つ思いついたよ。アイコ君はどうする?」


「うーん……【夜明けの月】においてはタンクをしていますが、ヘイト管理ができないので。【ナイト】にしてターゲット誘致のスキルを拾えられればと思います」


「それもアリですね。明日は朝からアドレ兵拠に行ってサブジョブ解放しよっか?」


「なれば麿(まろ)らは準備でもしておくかの。先達の意地を見せつけてくれようぞ。なぁ?」


「あたぼうよ。回復薬からだな」


「あ、それだったら経費出すから購入記録提出して。買い物に遠慮はいらないから。全部ライズが払うわ」


「うむ。ライズならば致し方無し。遠慮も無しで是非も無し」


「この飯も奢りだしな。いい思いさせて貰ってるぜ【夜明けの月】。気に入った」




──◇──




──翌日。

《アイスライク・サプライズモール》

B1F【かまくら】会議室


「ではこれより報告会だ」


主要メンバーを全員集めたわけではない。昨日スフィアーロッドにカチ込んだメンバーに加えてグレゴリウス、その他数名。

【草の根】のスワン、【真紅道(レッドロード)】のグレンは通信での参加だ。


「昨日クローバーによってスフィアーロッドを撃退。その後寝ぐらを漁ったところ、氷漬けのイエティを発見した。多分これが攫われた王だ」


『倒せたのか。レイドボスを。いや俺にも出来ない事もないが、1人だと厳しいと言わざるを得ない……』


「そこはまぁ"最強"なんでな。俺がそっちから離れてる間に"最強"奪えるよう精進しろよ?」


『ははっ。今無理だと確信したよ』


「……で、これにより《イエティ王奪還戦》では39階層までの進軍が確定した。31階層のイエティと合流した時は徒歩での進軍となったが、そうなるとぶっ通しでも4日半かかるし……往復する事を考えると9日。とても現実的じゃないな」


前回の《拠点防衛戦》でイエティと合流してわかった。連中はかなり物分かりがいいから合流さえすれば進軍はすぐに開始できるが……遅い。イエティが休息の必要があるのかどうかもわからない以上、かなり厳しい戦いになる。


「9日分のアイテムを用意するのも大変だ。何よりアイテムの補給手段が無い。一度《拠点防衛戦》に参加すると抜けられないからな。重要なのは相当数の人数とアイテムだ」


「《拠点防衛戦》に参加している冒険者は全体数と比べて多くは無い。クリックを抜ければドラド……【パーティハウス】によるギルド斡旋のチャンスが待っているからな。クリックを抜けたい連中は《拠点防衛戦》に参加せず、終わり次第大急ぎで攻略する。割と人数の確保は厳しいものだ」


マツバの言う通り、そもそも人数が足りない。この進軍には物理的に無理なポイントが幾つもある。


『アイテムといえば【Blueearth】一の回復薬を扱う【ゴルタートル】はライズさんの手下では?』


「【朝露連合】は顔見知りだが部下でも上司でも無い。が、事情を説明すれば割引してくれるかもな……」


「そのあたりは【マッドハット】に依頼する。一応はクリックでの商業統括だ。ここで張り切ってもらう」


肝は回復アイテム。特にMP回復だ。最悪はヒーラーを厚く用意しておけばHPの回復は間に合うだろうからな。


「人数さえ揃えばその辺の解決策は考えてはいる。だから肝心の人数だよなぁ。何百人必要なんだか」


方針は固まったから、後はその方針通りに進むかどうか。

その準備が必要になるが……特に人数はシビアな問題。


……だと思ったんだが。

その問題は割と簡単に解決してしまったのだ。




──◇──




──翌日。

前回の《拠点防衛戦》から数えて3日目。


「……おいおい、早すぎないか?」


《アイスライク・サプライズモール》にブザーが鳴り響く。




──◇──


『緊急放送、緊急放送!

 第31階層に"呪竜の手先"の出現情報あり! 《拠点防衛戦》を発令します!

 【かまくら】に登録した参加者はウィンドウから参加表明をする事で直接31階層に参加できます!

 繰り返します、緊急放送、緊急放送──』


──◇──

〜ジョブ紹介【デビルサモナー】〜

《寄稿:無所属 バルバチョフ》


控えよ。麿(まろ)が"最強の悪魔使"バルバチョフであるぞよ。

今回はかつての知り合いであるバロンの顔を立て、特別に取材に応じてやるのでおじゃる。平伏せよ。


【デビルサモナー】はサモナー系第3職。ライダー系列から外れておるがゆえ知名度は無いが、決して弱いジョブではないぞよ。

ライダー系列との違いは、魔物の【調教(テイム)】の必要が無い事でおじゃる。

事前に悪魔を呼び出し、供物を捧げることで契約をする。その後必要な折に各種犠牲を払う事で契約した悪魔を呼び出すのじゃ。


・アビリティ

・"悪魔との取引"

前述した悪魔と契約できるようになるアビリティでおじゃる。第一契約には7つのレアアイテムが必要となるが……既に格安での合成手段が考案されておるので、市販品を鍛冶屋に回せば容易く用意できるのでおじゃる。


・"悪魔の代償"

一種の呪いでおじゃる。とはいえど然程あぶないものでもなく、魔物から嫌われる程度のものである。故に他の【調教(テイム)】済の魔物にライドできぬ。移動の折は一々代償を支払って悪魔を呼ぶのである。せこい。


・スキル

・【悪魔召喚】

期間を設定し、代償を払う事で契約した悪魔を呼び出すのでおじゃる。代償はそれぞれである。以下に麿(まろ)がよく使う悪魔について書いておこう。ついでに麿(まろ)が勅命した渾名も紹介する。


・羊の悪魔"めーのふ"

羊毛を纏う羊頭の悪魔でおじゃる。専門は中距離。自らの羊毛を燃やし飛ばして戦う炎の悪魔でおじゃる。

代償は壊れた防具とHP。準備が必要ではあるものの比較的無害であり扱いやすい。


・牛の悪魔"もーちょふ"

牛頭の力持ちな悪魔でおじゃる。斧や槌を扱う知性を持つ。趣味は掃除である。竹箒をプレゼントするとすこぶる喜ぶ。

代償は魔物の骨等ドロップアイテムと宝石類。この辺りが金がかかるのである。上述の通り、掃除道具を代わりに支払う事も可能。こちらになるととんでもない安価になるのでおじゃる。


・山羊の悪魔"やぎちゃふ"

最高位の悪魔。山羊の頭を持つ4本腕の悪魔でおじゃる。光以外の属性の魔法を操りながらも接近戦も可能な万能性。こいつを呼び出せるのならなんでもできるのでおじゃる。

代償はHPと金銭、武器適正や経験値。容易く呼び出してはならぬ存在におじゃる。


尚、悪魔との契約は推奨レベル130の特殊クエストをクリアすると本契約となり代償が大幅に軽減されるのでおじゃる。そこまでたどり着いた【デビルサモナー】はあらゆる代償を支払った後であろうがの。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ