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BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
地底都市ルガンダ/ケイヴ階層
53/507

53.仲良しは許す。カップルは許さん。

──────────

パーティ 10/10 ▼[レベル順]


【サムライ:  サティス:130】

【スイッチ:   ライズ:115】

【リベンジ:  ゴースト: 99】

【ナイト : アイアン8: 48】

【バトシス:   アイコ: 48】

【ウィッチ:  メアリー: 48】

【ガンナー:  ドロシー: 47】

【ライダー:  ジョージ: 46】

【アーチャ:ナシノツブテ: 45】

【バトシス:  タツタダ: 44】

──────────


【第21階層ケイヴ:カミサマの通り道】


「このクソ広い大空洞だと本来は広範囲が強いが、そこをケイヴワームで抑制してる感じだな。

 基本はケイヴワームに気を遣った単体撃破だが……時間が勿体無いな。もっと派手に行こう」


見晴らしのいい21階層は不意打ちの危険が少ないから、前衛に偏重してもそこまで問題にはならない。後衛火力が3人もいれば尚更だ。


「まずはメアリーのやったように、クエストで魔物を纏めて出現させる。それで出来たのがアレだな」


「昨日と同じ魔物の群と、フォッシルキメラね。前回は魔物避けの結界でケイヴワームを追い出したけど」


「別解も出すか。ジョージ。《まりも壱号》を群れに突っ込ませて、通り抜けさせてくれ」


「相わかった。頼むぞ壱号」


巨大な植物球──レアエネミー.《フォレストテンタクル》。回転しながら魔物の群れへストライク。

当然魔物達は危害を加えられたので応戦。とはいえレアエネミー。簡単には倒れないし、《まりも壱号》からは突撃以降危害を加えない。


「ケイヴワームは近くで戦闘が発生すると逃げ出す習性がある。めちゃくちゃ頑丈な奴を中心に投げ入れて攻撃行動さえさせなければ、勝手にどこかに逃げる」


実際にケイヴワーム達は巻き込まれないようにゆるゆると地を這って逃げている。ミミズみたいなもんだが、ケイヴの岩盤は頑丈だ。地表を這って逃げる様はどちらかというと蛇だな。


「よし、じゃあ始めるぞ。サティスも着いたところだしな。ドロシー」


「はい」


ドロシーはアイテム化したライフルの銃口を天井に向けて、一発。

音による合図は、魔物の視線をこちらに誘導し、《まりも壱号》の退路の確保にもなる。

そして、合図にも。




──◇──




「距離は25。標的は40〜50くらい?

 ターゲットは1番大きい《フォッシルキメラ》だね。

 うん。()()とも」


瑜伽振鈴(ゆがしんれい)】の鈴が鳴る。

鯉口切って、前傾姿勢は抜刀の構え。

基本に忠実。【Blueearth】の教科書。

サティスの、一般的で、普遍的で、そして必ず外れない。

超広範囲、超高火力。即ち神速の抜刀術。




「二の太刀要らず──【虚空一閃】!」




風と共に巻き立つ蒼き刃。

空を斬り、風を散らす斬撃の極地。

魔物は風の奔流に巻き込まれ──向かい側のライズ君達へ、吹き飛ばされる!


吹き飛ばし(ノックバック)全振りカスタムだ。しかしスパルタだねライズ君は!」


隣を転がる《まりも壱号》君。これも本当に驚いた。確率的な問題でレアエネミーを【調教(テイム)】しようとする人なんて滅多にいないからね。


型破りな事ばかりするね【夜明けの月】は。基本通りにしか動けない僕とはえらい違いだ。

ウルフにせよ彼らにせよ、そういう天才達を後ろから観るのは楽しいねぇ。




──◇──




「そういう訳で。各自好きに倒しなー!」


飛んでくる魔物の群れ。レアエネミーの《フォッシルキメラ》は勿論、飛んだ勢いで加速してくる機械生物.《ブースターオオイモリ》、古代遺物を寄生操作する電気寄生虫.《バグゴーレム》、そしてドリルをこちらに向けて飛んでくる《ハイパードリルモグラ》。


「ちょ、陣形無意味じゃないの!」


「そうでもない。飛んでる相手は無防備なもんだぞ! 遠距離部隊! 着地までにどれだけ撃ち落とせるか勝負だ!

 【スイッチ】──【天国送り(エンジェル・バトン)】!」


両手銃を構えるライズ。それに反応して、振り上げた銃を装備するドロシー、既に弓を引いていたナシノツブテさん。


「ま、負けるか! 【アイスショット】!」


銃弾や矢や氷が飛び寄せる魔物を撃ち落とす。落下地点には、アイコが陣取る。


「各前衛に投げます! 受け取って下さい!」


「投げるってどういうことぉ?」


「わかった。俺はいつでもOKだ」


「テッパチ順応早くない? 【夜明けの月】ではこれデフォなん?」


「薙ぎ払いはタツタダ師の方が向いている筈だ。俺も出来るようになったが、なっ!」


大槍をフルスイングし、飛びかかる魔物を吹き飛ばすアイアン8さん。槍の初撃横薙ぎ払いは基本攻撃には無く、裏で散々練習していたマニュアル操作。もう板についてるわね。


「あー、なるほどねぇ。【銀河飛翔(ギャラクティカ)ピコハン】! あっそーれホームラーン!」


タツタダさんは巨大なピコハンで振り上げ攻撃。複数体纏めて叩き上げると、ドロシーからの追撃で仕留めた。


「サンキュードロシーちゃん。あとで飴をあげようねぇ」


「ありがとうございます。でも、まだ来ます!」


着地に成功して生き残った魔物──とりわけボス格のフォッシルキメラは、周囲の化石を取り込んで巨大化している。

前回はクアドラさんの【サテライトキャノン】で一撃だったけど、ここまで大きいとどうなのかしら。

ライズは武器を【壊嵐の螺旋槍(タービュランス)】に切り替えて着地する。


「メアリー。行けるな」


「はいよ。もう詠唱済だっての」


スキャンで以前解析済。こいつの弱点は風属性。

あたしの唯一使える風魔法は大技しかないけど、既にアビリティ《並行詠唱》で事前に詠唱を済ませてある。


フォッシルキメラがこちらを向く。

動き出したら失敗率が上がる。早く使わないと!


「──【風花雪月】!」


風がフォッシルキメラを包囲し逃がさない。風で最外部の化石が少しだけ剥がれる。


「今のうちだな。【スターレイン・スラスト】!」


ライズの高速突進で、フォッシルキメラを突き抜ける。今度は内部の化石が余波で吹き飛ぶ。


──中央の空いた空間から、氷の華が開花する!

衝撃で全ての化石は散り散りになり、フォッシルキメラはもう動かなくなった。


「よっし、楽勝!」


「調子乗るなー。まだまだやるぞ」


まぁそうよね、と切り替えると、遠くでへばってるタツタダさん。


あれ? あたしも毒されてる?




──◇──




──休憩時間。


情報共有という事で、昨晩クアドラさんとした話をドロシーが伝えてくれた。


「平面観則から立体座標を直感的に把握できるって事? そりゃクアドラさん強いわけだね」


【夜明けの月】での情報共有だったけど、特別ゲストとしてサティスさんにも話を聞いてもらってる。

サティスさんは記憶持ちじゃないから、会話内容には注意してるけど。


「で、ドロシーも【サテライトガンナー】を目指すって事でいいか?」


「一応言っておくけど、【サテライトガンナー】は超難しいジョブだよ。それこそクアドラさんによって強さが広まったのにも関わらず、最前線で無所属の傭兵が許される程度にはクアドラさんがオンリーワンでナンバーワンだ。

 まぁだからこそマスターできれば需要爆上がりだろうけどね。よくわからないけど、トップランカーと【ギルド決闘】するためにチームの質を高めてるんだろ?

 クアドラさんレベルの【サテライトガンナー】なら間違い無く魅力的に映ると思うよ」


「はい。返すものもありますし、やります。【サテライトガンナー】」


覚悟を決めた漢の顔だ。こちらとしても欲しかったから構わないが。


「三種の神器と名高い【サテライトガンナー】【聖騎士】【キャッスルビルダー】。【聖騎士】以外は成り手が少ないから確保できたのは良かったよ。単体で戦況を容易くひっくり返せるやばいジョブだ。頼むぞ俺達のエース」


「えへへ。がんばります」


「──で、最後の方はどうなったんだよ。変にぼかしてたけど」


「黙秘ですっ!」


ぷいっと顔を背けるドロシー。かわいい。

……おいおい、モテ期か?ドロシーなら許すが。




──◇──




〜21:00


「レベル! 50! 達成!」


ライズは苦手な範囲火力をサティスさんが補ってくれたおかげで、かつてないほどに効率的にレベル上げができた。フォレストで多めにレベルを上げてたのもあるけど。

あたしとアイコとアイアン8さんはレベル50に到達。つまり、第3職が解放される。


「こんなにレベル上げをしたのは初めてです。私でさえ、あと数日協力すれば第3職になれそうですね……」


「でも一般化はできないねぇ。綿密なスケジューリングと、ちゃんと高レベルのメンバーが必要だわぁ。

 そんでめっっっちゃ疲れるからねぇ! これウチの子達にとても強要できないよねぇ!」


ぐったりしながらもここまで付き合ってくれたナシノツブテさんとタツタダさん。いつもそうだけど、かなりタフな人びゃないと丸一日付き合ってくれないのよね。アドレの時は【祝福の花束】の人達は交代しながら手伝ってくれたけど。


「んじゃサティスもお疲れ様。忙しい時に悪かったな」


「いやいや、いい気分転換だったよ。【飢餓】を抜けてギルド内政治から解放されたのはいいけど、ガチ商人達の利権絡む机上戦争はそれより酷かった。カメヤマさんはまだ意見を真っ向からぶつけてくるからいいけどさ」


ドーランは結構えらい事になってるみたい。

ベル、大丈夫かしら。少し心配ね。

……いや、あの人は大丈夫か。むしろ率先して場を掻き乱す代表な気がする。


「1日だけでいいのかい?」


「ああ。ルガンダでの目標50レベルに到達したら、後は第3職の練習と、サブジョブ解放の準備が中心になるからな。今日乗り切れば大丈夫だ」


──サブジョブ。そうよね。それも考えないとね。

第3職解放と同時に解放される、もう一つのジョブという選択肢。

ライズを有名にした、世紀の大発見。出来ることが大幅に増えるわね。


「まぁ第3職のジョブポイントがある程度ないとサブジョブは解放されないから、本格的にサブジョブを設定するのは第30階層(クリック)だな。

 メアリーは【エリアルーラー】。アイコはどうする?」


「【バトルシスター】から派生するのは……今の私が可能なのは、【悪魔祓い(エクソシスト)】と【衛生兵(メディック)】ですか。攻撃的で好きな武器を扱える【悪魔祓い(エクソシスト)】と、支援特化の【衛生兵(メディック)】……」


「……アイコさんなら、オススメのジョブがあるんだが。提案いいかな?」


サティスさんがジョージを抱えてやってきた。ジョージはリミッターこそ外してないけど、丸一日動いたらバテてしまった。あたしが想定しているよりも、女児の肉体はジョージのスペックを制限しているみたいね。


()()だよ。もうめっきり見なくなった激レアジョブ。アイコさんの知名度を高めるにはピッタリだろう?」


「あー、成程な! 確かにアイコなら条件を満たすだろうが……」


()()()()は僕が知人に頼んでおくよ。そうだね……次のルガンダのイベントが終わる頃には用意しよう」


「マジか。前線にはやっぱりいるんだな」


「極少数だけどね。任せたまえよ」


「なんか勝手に話進んでるけど、アイコの意思を尊重しなさいよ?」


すっかり盛り上がってしまい、サティスさんもライズも慌ててアイコに謝る。当のアイコは当然許してくれるけど。


「とにかくアイコ向けのジョブがあるんだ。手っ取り早く言うなら、()()()()()()。拳装備みたいに指の動きに制限も入らない、正真正銘素手の戦闘。どうだ?」


──【Blueearth】で素手、あるいは拳装備は意図的に弱く設定されている。これがゲーム世界である以上は、現実側に転用できてしまう素手技術を手軽にインストールさせないようにするためだ。と、思う。

同様に、銃とかもゲーム的ファンタジーが適応されている。弾速も音も射程範囲も、現実のそれとは大きく異なる。VRゲームが流行してからの課題だった、現実とゲームの混合を避けるためのオーバーファンタジー処理。


「まぁ、それは楽しみです。是非そのジョブになってみたいですね」


アイコが断るわけないけどさ。

「世界一優しい格闘家」なんて言われてるけど、ちゃんと素手で戦闘が可能な技術を持った人だ。素手戦闘が解禁されたら、どうなるかわからないわね。


「あとはジョージか」


「俺は契約上【夜明けの月】に都合の良いポジションを当ててくれればいいとも。順当に《まりも壱号》を動かせる【ビーストテイマー】とかかな?」


「うんまぁ、それが妥当だな。でもジョージの技術が活かせるように色々考えとくな」


「任せたぞライズ君」


「……聞きそびれたけど、このやんごとなきオーラを醸し出す幼女(レディ)は何者なの?」


「40代のおっさん」


「嘘が雑すぎないかなぁ!?」


本当なのだけど。まぁ信じないか。




──◇──




【第20階層 地底都市ルガンダ】


夜更けに帰路に着いたあたし達の前に現れたのは、厳つい人格者ナメローさん。


「おお随分と遅かったですね。私の部下達は役に立ちましたかね?」


背筋を正すアイアン8さんとナシノツブテさん。タツタダさんは笑ってるけど。随分としっかり仕込まれているわね。


「ああ、うん。みんな教育が行き届いていたな。ナメローこそこんな遅くまでどうした?」


「厄介事です。次のイベントの参加希望者が来たのですがね、少々……特殊な方で。こちらの方なんですが」


そう言ってナメローさんが、後ろにいた人を紹介する。


銀のコートが風に揺れる。

腰のホルスターには左右二丁の拳銃。ガンナー系ね。

肩口辺りまで伸びた黒髪は少し癖っ毛。

眠たげな瞳をした好青年。


──の顔を見るや否や、ライズとドロシー、それにサティスさんが動揺する。


「……ど、ドロシー。お前もわかるか?」


「は、はい。ライズさんもそうなるって事は、間違い無いんですね?」


「ああ。これはえらいことだな」


……なんか勝手に盛り上がってるけど、最初に動いたのはサティスさん。


「お前、こんな所で何してるんだよ」


旧友に会ったような、怨敵に向けるような。複雑な感情で問いかけるサティスさん。

青年は少し考えるように毛先を指でいじる。


「まぁ、そりゃイベントに参加するんだよ。それで名前を登録に来たら止められたんだよ。

 丁度いいからサティスからも言ってくれ。この兄ちゃん、おまえ(【飢餓】)の部下だろ?」


「──サティスさん。順番がおかしくなりましたがね、私としても伺いたいところです。このお方は本当に──」


勘弁してよ、とげんなりしているサティスさん。


その口から飛び出した名前は、信じられないもので。




「そいつの名前はクローバー。

 トップランカー【至高帝国】の一員にして、【Blueearth】最強の冒険者だ」





~ジョブ紹介【ガンスリンガー】~

《寄稿:【バレルロード】GM スカーレット》


ごきげんよう。【バレルロード】GMのスカーレットです。

今回は銃使いの花形、【ガンスリンガー】を紹介致します。


レンジャー系第3職【ガンスリンガー】。片手銃に特化したジョブで、片手銃二刀流が可能なジョブです。

必ずしも二丁拳銃にする必要はありません。ここ勘違いポイントです。

とはいえ片手銃以外に碌に装備できませんので、二刀流推奨です。

特徴は何といってもその攻撃性能! 時間当たりヒット数でステータスが伸びるので、ガンガン攻めるスタイルが求められます。

それ故に対処もされやすいので、仲間のフォローを頼りましょう。


・アビリティ

《二刀の極意:銃》

片手銃二刀流を可能にする、いつもの極意系のアビリティです。

弾倉の補充を片手で行う事が可能になり、右で攻撃中に左をリロードする事で攻撃の手を止めないというテクニックがあります。


《ヒートアップトリガー》

目玉商品です。攻撃がヒットし続ける限り、ステータスが上昇し続けます。

判定は2秒毎。とにかく攻撃を続け、ガンガンステータスを盛っていきましょう。


・スキル

【ホーミング】

命中バフスキルです。発動後一定時間、銃弾が相手をある程度追尾します。先述の《ヒートアップトリガー》を補助するスキルです。

また、ゴースト系の一部物理無効状態を貫通します。


【彗星花火】

空中から下方向へ銃を乱射する必殺技です。

その威力は凄まじいですが、発動する為には自身が高所にいる必要があります。

また、贅沢な使い方ですが、落下ダメージの無効化にも利用可能です。

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