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BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
地底都市ルガンダ/ケイヴ階層
50/507

50.仁義なき闘争

【第21階層ケイヴ:カミサマの通り道】


「しかし、こいつらどうなのよ」


レベリングを続け、この辺りの魔物も一通り確認した。そこで1番問題になるのが、そこら中にいるワーム。


──【スキャン】情報──

《ケイヴワーム》

LV35 ※中立

弱点:風

耐性:炎

無効:地

吸収:地


text:ケイヴ全域に生息する、地を這う巨大ミミズ。

あらゆる能力が退化しており、もはや攻撃されても敵対する事すらしない怠けミミズ。

無害だが討伐してしまうとドワーフに嫌われてしまう。餌付けすると泥弾を発射して援護してくれたりする。

──────────────


最初はキモかったけど、もうわんさかいるし無害だから気にならなくなってきた。巻き添えにしないように気を付けるまである。

スカーレットに至っては最早椅子代わりにしてる。嫌がってなさそうだしいいけど。


「まぁ倒しちゃいけないエネミーがいるのは珍しいわね。範囲攻撃主体のマジシャン系列は苦戦するって聞くわ」


「【サテライトキャノン】は要注意だね。でもケイヴワーム自身も他の魔物に襲われたくないから、混戦になると勝手に逃げてくれるよ」


ドロシーを抱えてふわふわ浮かぶクアドラさん。

なんと【サテライトガンナー】はアビリティ《宇宙訓練皆伝》で反重力活動が可能らしい。定期的に誰かが空中散歩に拉致されてる。


「【コマンダー】も大変だ! 絨毯爆撃ができないのは勿論、地雷とかの設置系トラップも使いにくいからな!」


この「倒しちゃいけない中立モブがいる」という状況は、かなり戦闘に制限がかかってるのよね。

上手く立ち回れてるのは一体一体丁寧に討伐してるアイコとプリステラさん。あとスカーレット。


「よし。このままじゃ効率悪いし、対策しましょう。プリステラさん。さっき使ってたスキルについて聞きたいんだけど……」




──◇──




《クエスト受注:【地底に巣食う魔物の群れ】》

《クエスト受注:【妨げられし眠り】》

《クエスト受注:【古代遺物採取依頼】》


……よし。多分準備OK。


「みんなちゃんと受注した?」


「間違い無く。でも本当にできるの? ケイヴワームだけを追い払うって」


「ムリだったら笑いなさい。でも多分いけるわ」


この大空洞は《まりも壱号》で大体域を確認したから、おおよそ魔物の出る位置は把握した。

今回受注したクエストはどれも、特定の位置に出現する魔物の討伐。多分全部同じ位置に出現してる。


……いた。

少しだけ下り坂になっている場所に堂々と、馬だミミズだトカゲだガラクタロボだと集まっている。

その中心にいるのはクエスト【妨げられし眠り】で出現する化石の集合体、《フォッシルキメラ》。


「プリステラさんの準備が終わるまでは直接的な戦闘はせず、群れが解散しないように全方向から圧をかけるわ。ケイヴワームの巻き添えが怖いからフェイさんとクアドラさんは直接攻撃はしないで」


「あいあい! 逃げそうな個体をグレネードでビビらせるぞ!」


「了解。私はまだ様子見だね」


「じゃ、お姉さんイクわね」


聖なる銃を手に、プリステラさんが群へ突入。

遠方の誘導弾はフェイさんとクアドラさん。アイコとスカーレットは左右に別れ、プリステラさんへのヘイトを分散させる。


その最中にもやはりケイヴワームがちらちら混ざってて上手く戦えないが……。


「── 【破邪光陣】!」


プリステラさんが発動したのは、【悪魔祓い(エクソシスト)】専用スキル【破邪光陣】。

魔物を退ける結界だけど──クエストで、この場に出現する魔物を無理矢理どかす事はできない。

敵陣ど真ん中で発動した場合、押し出されるのは自然沸きしたモンスター──つまり、ケイヴワームのみ。


「ケイヴワームの撤退、確認しました!」


あたし達の中で2番目に優秀な眼を持ってるドロシーが観則役。あと2手。

敵陣のど真ん中でスキルを使ったプリステラさんを、歩く化石.《フォッシルキメラ》が狙う。

レベル差はあれどレアエネミー。直撃による大ダメージは必須。


「あら大きい。そんなの入らないわ」


のんきなプリステラさんに降り降ろされる凶骨の腕──




──瞬間。空を切り裂く破裂音。




「──鞭とは即ち、マッハの衝突武器だ」


化石の腕を弾き飛ばしたのは、その身軽さを利用し追走していたジョージ。

紫呪竜の髭鞭(ボイゾナ・ウィップ)+55】を、初めて正しく鞭として扱った。聞いた事ない音がしたけど。


「さあプリステラ(お嬢さん)。こちらへ」


「あら可愛らしい王子様。濡れるわ」


魔物の群を掻き分けて、二人が脱出する。

──これで巻き添え喰らうのはいないわね。


「クアドラさん!」


「受信したよ。座標は登録済。逃しはしない。

 ──【サテライトキャノン】 発射」


──光の奔流が撃ち落とされた。




──◇──

──【スキャン】情報──

《フォッシルキメラ》

LV55 ※レアエネミー

弱点:風/光

耐性:炎/闇

無効:地/斬

吸収:地


text:地層に眠っていた古代生物の化石が、ミドガルズオルムによって無理矢理地表に露出した事で動き出した魔法生命体。複数の生物の怨念で動いており、化石・骨であれば種を問わず合体吸収し巨大化する。

風属性の攻撃やノックバック攻撃で身体を構成する化石が物理的に外されると、やがて形を保てなくなり消滅する。

──────────────




「今回はクアドラさんの火力があったが、本来ならメアリー君の大火力魔法が担う役割だったかな?」


「そうね。でもあたしはレベリングしてる都合上どうしたって常に火力不足ね。ウチのメンバーは物理に厚いけど派手な範囲攻撃がネックね」


メンバーの選定。ドーランではヒーラー兼タンクのアイコ、後衛狙撃のドロシーに加えて、自由枠のジョージを目下必要な足役のライダーとして迎え入れた。

ライズはアイコを狙ってたみたいだけど、ドロシーは完全に想定外(てか、あたしが無理矢理引き込んだんだもの)。

メンバーは10人が理想。でなけりゃ最高効率のレベリングができない。あと4枠しか無い。今のあたし達に足りない要素を、しっかり考えないとね。


まずライズとゴースト。この二人が戦闘におけるワイルドカード。全距離に適正がある最強の補欠要員ライズは、即ち器用貧乏。前衛寄りの中衛で戦況に応じて役割を変えるのが理想ね。

だからといって各役職を薄くするとライズ1人のヘルプじゃ追いつかなくなる可能性がある。そこでゴーストを当てる。

前衛配置で戦闘要員で暴れてHPを調整して、状況に応じて中衛に退いて回復と魔法攻撃を行う2人目の移動役。


つまり、他の陣営は専門職でいい。特化した人ほど戦術に組み込みやすくなる。

ジョージは本来非戦闘要員のつもりだったけど、レアエネミーのペット化、本人の鞭と片手剣の技量的に前衛として戦力換算可能。でもリミッター外すと1日スタンかかるから、あまり頼りすぎるのはよく無い。

ドロシーは純粋な遠距離攻撃要員。あたしと一緒に物理と魔法で後方支援ね。戦術に組み込むかはわからないけど、事前の下調べが必要な射程外狙撃.《神の奇跡》の事を考えると単独行動出来るようにメンバーとしての役割は薄くしておくべきね。

アイコはヒーラーでありながら敵の攻撃を受け止めるタンク。でも前衛で受けに集中している間は他のメンバーを回復する暇が無いのよね。専門のタンクが欲しいわ。


「……うん。とりわけタンクが必要ね」


「あら。タンク探してるわけ? じゃあさっさと第30階層(クリック)に行けばいいじゃないの」


コノカさんに吊り抱かれてるスカーレットがこっちに来た。なんか猫みたい。


「クリック? どうして?」


「あ、あそこはタンクの聖地と呼ばれています……。原因は全拠点階層でも群を抜いて多く《拠点防衛戦》が開催されているから、です」


コノカさんの肩にふわふわとクアドラさんが飛来。そのまま肩車する。


「クリックは、異常だよ。最前線まで行った私が保証するけど。()()()()()()も《拠点防衛戦》が行われてるのはクリックだけ」


週に一度、以上。

防衛戦自体はあたしは未経験だけど、テンペストクローとは対峙した。アレが毎週襲ってくるわけ?


「クリックの防衛戦はかなり短いんです。大体3時間くらい、拠点に向かって魔物の群れが押し寄せてくるだけなので。戦闘しなくても防衛するだけで終わるので、タンクが活躍します……」


「それに、今は《無敵要塞》が着地しているね。前線を離れて久しいな。あの子は顔を合わせてくれないけれど」


「《無敵要塞》って?」


「徹底的に防御に特化したウォリアー系第3職【フォートレス】の中でも最強、《最強の重要塞》の称号を持つ元【真紅道(レッドロード)】のリンリンの事。

 ちょっと前からクリックの防衛戦に参加するようになったのよ。おかげで盛り上がってるらしいわ」


「俺たちも見たけど、遠くからだったからなー。スカーレットしか話した事ないよな?」


フェイさんがコノカさんからスカーレットを受け取る。いつまで吊られた猫やってんのかしらスカーレット。


「そうね。リンリンは人見知りだから」


「なんか親しそうね。どういう関係?」


「あれ、アンタ私の事知らないの? ……って聞くと自信過剰ねなんか。知らなくても別におかしくないかぁ」


ちょっとだけしょんぼりしたスカーレット。あ、なんかかわいそう。ごめん。


「私は知ってるよ。スカーレット。グレン達がよく話してたから。

 【真紅道(レッドロード)】初期メンバーの一人、スカーレット。アドレでみんなの帰還を待っていたお姫様が、痺れを切らして迎えに来た。ロックだよね」


……トップランカー【真紅道(レッドロード)】。人気は凄いけど、あたしはこれまで接点が無かった。【飢餓の爪傭兵団】みたいに各階層で幅を効かせてるわけでもないからかしら。


「──でもそれって大丈夫なの? ドーランでは【飢餓の爪傭兵団】リーダーの情報を持ってるだけで命を狙われるレベルみたいな話聞いたんだけど」


「グレン……【真紅道(レッドロード)】のギルドマスター、グレンは隠し事を殆どしないからね。私の持ってる情報は大抵公開済みだし」


「……それでも、スカーレットを人質に交渉しようとした人がいて。そうしたらグレンさんは最前線の攻略を投げ出してフルメンバーで()()()()しに来たんです。

 それ以来、誰もスカーレットを利用しようとはしなくなりました」


……なんというか、いい男なのね。会った事ないけど。

正統派な騎士様ってよりヤクザかチンピラみたいな精神を感じるけど。


「まー私も弱いままじゃグレン達の邪魔になるし、帰ってくるまで時間もありそうだから、ちょっくらね」


すごいプリンセスね。肝が座りすぎてる。

……でも、グレンさんの話をする時の表情をあたしは見逃さない。これは恋する乙女の顔。マンガで履修してるのよあたしは。


「ねぇ、スカーレット。もしかしてグレンさんの事──」


「好きですけど? あぁ丁度いいわ、利害の一致ね」


信じられない程にあっさり認めるスカーレット。恋する乙女から獲物を狙う肉食獣の瞳へ。


「タンク欲しいんでしょ? リンリン(無敵要塞)持っていってよ。

 グレン、ずっとリンリンに惚れてて今もラブレター送りまくってるらしいのよ。

 リンリンも良い子だから私は引き剥がすつもりは無いけど、第三者が持っていくなら仕方ないわよね」


こわい。

あたし、学生生活なんて部屋で過ごしたけど。リアル女子学生ってこんな獰猛なの?


「……まぁ、考えとくわね」


「お願いね。第三者じゃないとどうにもならないのは本当なのよ。リンリンもグレンを嫌って脱退したわけじゃないから断れないし、断られない以上グレンも止まらない。あいつ"止まらない"天才だから。

 んで失恋したグレンを手籠にして大勝利(happyend)よ」


こわいのよ。お互い気遣った上で総取り狙ってるのがこわいのよ。

最近の学生は怖いわねぇ。あたしだってJKなんだけど。





~ジョブ紹介【サテライトガンナー】~

《寄稿:ソロ冒険者 クアドラ》


こんにちわ。

ジョブの説明解説を受理したよ。


【サテライトガンナー】

レンジャー系第3職だよ。第2職ガンナーからの派生だね。

半重力の力と宇宙の力で戦うよ。


・アビリティ

《宇宙訓練皆伝》

重力負荷が半減して、落下ダメージを9割カットするよ。

落下速度も半減するよ。実質的には移動速度にデバフがかかってるね。


・スキル

【サテライトキャノン】

座標を送信すると、宇宙からその座標に光線を降り注がせるよ。

座標を把握する事、時間差を把握する事が重要だよ。

MP消費はそれほど大きくはないけど、クールタイムはそこそこあるから注意だね。

星座を読める人なら難なく扱える、とおもう。


【アステラ・ピット】

周囲に自動攻撃のピットを召喚するよ。重力負荷が半減していると、ピットを足場にしたり移動手段にしたりできるよ。

自動攻撃とは言ったけど、オンオフは設定可能だよ。移動と攻撃のコマンドを事前に設定する事もできる。

数は熟練度次第。私は12個が限界だね。太陽になれる人なら扱えるよ。


【サテライトガンナー】はとても強力だけど、扱うのには相応のコツが必要だね。

先輩としてアドバイスするなら……。

……まあ、観るのが好きな人に向いてる、かな。

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