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BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
地底都市ルガンダ/ケイヴ階層

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49.引き金に手を掛ける者


──これまでで1番レベルが高かったのは、レベル150(カンスト)のブックカバーさんとイツァムナちゃんさん。

2人のいる【象牙の塔】は前線第5位のギルド。最前線にはやや及ばないらしい。

トップランカー【飢餓の爪傭兵団】の大幹部サティスも、実際は前線を退いていてレベル130程度だった。


だから、今回が初めて。

今正に最前線を走っている、【Blueearth】トップランカーと直接会うのは、これが初めてだった。


──────────

パーティ 10/10 ▼[レベル順]


【サテライ:  クアドラ:150】

【リベンジ:  ゴースト: 99】

【悪魔祓い: プリステラ: 80】

【ガンスリ:スカーレット: 79】

【スナイパ:   コノカ: 77】

【コマンダ:   フェイ: 76】

【バトシス:   アイコ: 47】

【ウィッチ:  メアリー: 47】

【ガンナー:  ドロシー: 45】

【ライダー:  ジョージ: 42】

──────────


【第21階層ケイヴ:カミサマの通り道】

大きな大きな大空洞。

先の見えない風穴から聞こえるのは、魔物の声か風の唸りか。


「改めてフォーメーションだけど、後衛だらけね。6人銃使いで前衛はアイコとゴーストだけ?」


「甘いわメアリー。銃使うからって後衛扱いしないでよね。私とプリステラは前衛よ」


スカーレットの武器は片手銃二刀流──二丁拳銃。

器用に両手で回しながら腰のホルスターに収納する。


「search:レンジャー系第3職【ガンスリンガー】は片手銃二刀流を基本とするジョブです。槍以上の射程から攻撃を開始し、敵に接近し銃の連続攻撃を行います」


「そう。というか片手銃の射程じゃ後衛はできないわ。その辺はコノカに任せてるわね」


「そうなの。ごめんなさい。で、タンクはできるの?」


「無理。ギリでプリステラね」


プリステラさんの方は、十字が刻まれた白い片手銃を持っていた。


「わたしはヒーラー系第3職【悪魔祓い(エクソシスト)】ね。特別な処置を施した《性具》と呼ばれる武器を使えるのよ〜」


「《()()》ね! ウチはレンジャーギルドじゃなくて銃ギルドだから。ギリセーフよ」


前衛ヒーラーというのはアイコと同じやり方かしら。

……うん。やっぱり純粋なタンクはアイコくらいしかできないわね。


「クアドラさんは?」


「分類は遠距離だよ。でも距離は問題ではないかな。見てて」


クアドラさんが持ち出したのは、片手銃──なんか宇宙人が持ってる光線銃みたいなやつ。オモチャみたいな。


「これで攻撃するわけじゃないよ。これは座標観則用。あそこを狙うよ」


クアドラさんの指差す先には、ゴーレムやら歩く化石やらが集まっている。

光線銃が光り、ピ。ピ。ピ。と謎の音を発する。

魔物を取り囲むように赤い円が地上に投影され──




「──【サテライトキャノン】発射」




轟音と共に、洞窟の天井を突き破り降り注ぐ光の柱。

爆音と地響きに少しよろめいていると、もう光は収まった。

……何も残ってない。


「物理的な攻撃じゃない。座標を対象とした空間攻撃。これが【サテライトガンナー】……だよ」


天井には見る限り異常は無く、穴の一つも空いていない。

恐ろしい範囲攻撃。これ、相手にしたらどうやって勝てばいいの?


「……メアリー。最前線に追い付くために必要な3つのジョブを《三種の神器》って呼ぶの、知ってる?

 絶対的な防御の【聖騎士】、即時拠点確保の【キャッスルビルダー】、そして圧倒的火力を司るのが【サテライトガンナー】よ」


スカーレットが自慢げに、でもちょっと引きながら教えてくれる。最強の【サテライトガンナー】の攻撃をこの目で見れたのは嬉しいけど、やりすぎよ。


「……だめだった?」


「うぁー問題ありませんクアドラさん。ありがとうございます」


しょんぼりクアドラさん。かわいい。

でも最強の一角なのよね。扱い辛い!


「フェイさん……【コマンダー】はどんな感じ?」


「わはー。【コマンダー】が使うのは銃火器! アイテム精製で爆薬とか地雷とか作ったり、ランチャーで遠距離攻撃したり! 中衛〜後衛で状況見て補完するぞ!」


ライズやゴーストみたいな状況に応じて位置を変えられる器用なタイプね。


「とりあえずやってみましょ。アイコ、ゴースト、プリステラさんのヒーラー3枚体制で前衛で擬似タンクして、前衛火力にスカーレット。

 中衛にフェイさんとジョージで前衛を補助。

 後衛であたしとドロシーとコノカさん。でも今回はクアドラさんがいるから追い込み漁ね。敵を団子にしてからクアドラさんに纏めて始末してもらいましょ」


……考えれば考えるほどタンク不足。ヒーラー前衛に立たせて無理矢理タンクってのは頂けないわね。

でもまぁ今回は明確に勝ちを取れる火力があるから、いけると思う。




──◇──




現れるは上半身だけの黒馬。鬼火が周りに浮かんでる。


──闇属性魔法【スキャン】情報──

《ブレイズホース》

LV36

弱点:水

耐性:氷

無効:炎

吸収:


text:上半身のみ冥界から覗き出た冥界馬。HPが残り僅かになると冥界に逃げ帰ってしまう。

戦闘が長引くと、冥界から飛び出して《レイジングホース》となる。

氷属性は半減するが、溶けて水になると弱点となり弱体化する。

──────────────


「逃げられたら経験値がパァよ。私が攻めるから、後衛を一人付けて」


スカーレットは、あくまであたしに指揮権を委ねた上で突撃。リーダー主義っぽいと思ったけど物分かりいいわね。


「先陣切るわ! 【デスペラード】!」


二丁拳銃で銃撃しながらの突貫。ブレイズホースは正面からの連射を回避するために右方向へ走るが、スカーレットもそれに追従して身を曲げロックオンを外さない。


「全弾命中! 後衛!」


「【パワーショット】いきます!」


ブレイズホースがスカーレットの方へ向く瞬間、コノカさんが既に両手銃を構えていた。

後頭部への重い一撃に怯んだ時には、スカーレットは既にブレイズホースの前まで肉薄し──


「射程圏内!片手銃最上位スキル【ゼロトリガー】!」


二丁の銃口を敵に押し当て、ゼロ距離爆撃!

ブレイズホースのHPを刈り取り、見事討伐した。


「こんなもんよねー! まぁ私達のレベル差もあるから、あなた達じゃもう少し手こずるかもしれないけど?」


「凄いじゃない。流石ね。アレ一人でもできた?」


「むぅ……そうよ。別に一人でも【デスペラード】→【ゼロトリガー】まで持っていけるわ。ただ今回みたいに【デスペラード】を敵が回避して距離取られると、距離詰めるまでに一撃喰らう可能性があるから後衛(コノカ)のバックアップを習慣付けてるのよ」


接近する【デスペラード】の上位スキルが、ゼロ距離射撃の【ゼロトリガー】。よくできたデザイナーズコンボだけど、演出が長い【デスペラード】は回避されると取り戻すのが難しい。

ライズは【スイッチ】によるスキルキャンセル、スカーレットはマニュアルで身体自体を動かして追撃して、後衛の安全策も確保。強い人はちゃんと弱点を補うようにしてるのね。


「……ん、どしたのスカーレット。ぐぬぬ顔で」


「スカーレットはメアリーに喧嘩売るつもりだったのに褒められて返されて悔しいんだぞ」


「フェイ黙ってなさい!」


どたばた追いかけっこする二人。仲良いわね。


「よーし。折角銃撃部隊が揃ってるから、魔物の群れとか相手したいわね。地図はライズの()()からわかるし。ジョージ、足よろしく」


「任せたまえ。《まりも壱号》!」


現れる巨大緑玉。スカーレットは勿論、クアドラさんも驚いてる。


「レアエネミーを確保。この階層で? ジョージはすごいね。レベル以外の要素が影響? 観則したい」


「まぁそこまで大した事はしてないよ。荷台も出したから、お先にどうぞ」


次々と荷台に乗る中、ドロシーだけ呼んで耳打ちする。


(どう? ()()()()()?)


(1日では厳しいです。理解に集中して出来るだけ情報を集めます。がんばります)


相手の行動や発言を徹底的に調べ上げずにはいられないドロシーの"理解癖"。これを利用できないか実験してみる事にした。

"理解した"まで持っていけば、例え500m離れた距離でもヘッドショット可能という()()()()()。この理解を活用できるのならドロシーはかなり強くなる筈。

ひとまずは現役のトップランカーであるクアドラさんを"理解"できるのかどうか、あるいは途中まででも"理解"したなら何か情報が手に入るか、実験中。


出来るだけドロシーの戦闘は控えめ、或いはクアドラさんと組ませる事にした。

……本人がどう思ってるかは知らないけど、普通の人にできない事ってのは立派な長所。それが役に立つなら悪い事じゃないと思うのよね。




──◇──




【第20階層 地底都市ルガンダ】

《ホテル丸儲け》【夜明けの月】の部屋


「んで、ハヤテは天知調陣営って事でいいのか?」


「ああ。冒険者として【Blueearth】に送り込んだ最初の刺客がハヤテだ」


ブランと将棋をしながら、あまりにボロ勝ちしすぎたので聞き込み調査を始めてみた。


「ライズ。君が【三日月】を結成した数日前にハヤテは()()()()。目的は内部からのバグ解消と、階層攻略への扇動だな。直接繋がっていると事故の元だから、我々と違って完全に独立して行動している。マスター(天知調)との連絡手段はあるが、いつでもワープするような特権とかはない」


「ステータス自体は普通の冒険者だったもんな。散々調べたからわかる。あとその手はこうすると王手になっちゃうからダメだ」


「あ、そうか。……ハヤテの存在、正体については【三日月】解散の日に知らされた。君を騙すつもりは無かった。すまない」


「知らないんだから仕方ないだろ。その時生後数ヶ月じゃねーかお前ら。赤ちゃんに無理言えねぇよな」


「では今は1歳になるが、甘やかしてくれるのか?」


「お望みとあらば。

 ……あ、そっちもこっち動かすと王手になるぞ」


「うぅ。すまない。

 ……時にライズ。私は君かメアリーにバグの原因があるのかと思っていたんだ。だからドーランの【ギルド決闘】の際にわざわざ立ち会った」


「初耳。まぁ疑う理由はわかる。テンペストクローの一件はこれまで起きた事のない、人為的で悪意ある事例だったもんな。それまでと違う状況って言えば俺達がいる事だ」


「うん。だがドーランでは何も起きなかった。

 バグ側が騒動に乗じて何かするのなら、間違い無くビッグイベントであるドーランで何か起きると踏んでいたんだが。

 そういうわけでだ。疑ってごめんなさい。

 あと投了です」


「いいよ。めちゃくちゃゲーム弱いなブラン。大丈夫?」


「ふぐぅ。妹のスレーティーにも言われるのだ。悔しい」


……めちゃくちゃ人間臭いな。この世界では人間なんだから当然っちゃ当然だが。




──◇──




【第21階層ケイヴ:カミサマの通り道】


「ところで、スカーレットちゃん達はどうしてルガンダにきたんですか?」


休憩時間。ゴーストが回復用の紅茶を全員に渡して回る。

アイコは膝にクアドラさんの頭を乗せながら【バレルロード】に問いかける。クアドラさんはお昼寝の時間らしい。


「そりゃもちろんイベントのためよ。ルガンダでは2ヶ月に一度、デカいイベントがあるのよ」


「イベント? ドーランでいうエルフ襲撃みたいな?」


「アレは拠点防衛戦の一種だぞ。メアリっちは麻痺してるかもだけど。初手例外の法則ってやつだな。わはー」


フェイさんに笑われた。

にしてもイベントね。そういえば今ゴーストが着てる【バトルドレス+77】はどこかのイベントの景品らしいわね。


「何かいい景品でもあるの?」


「もちろん! 【Blueearth】でまだ一丁しかない激レア片手銃【双頭の狂犬(オルトロス)】が復刻するのよ! ガンナーとして絶対欲しいのよねー」


「search:【双頭の狂犬(オルトロス)】……一度に2発銃弾を発射する片手銃です。ライズが所持していますね」


そういえばそんな変な銃を最近よく強化してる気がするわね。


「そう!ルガンダのイベント初代チャンピオン!憎き《腐った宝庫》ライズ!

 あいつが独占してる武器がどれくらいあると思ってるの?

 物欲無いクセに収集癖、そのくせ大金持ちだから売らずに持ち腐れる!たまったもんじゃないわ!」


……それ聞くと最悪ねアイツ。景品が一周して最初の【双頭の狂犬(オルトロス)】が戻ってきたと。


「銃使いは多いですから……。《最強》が銃使いな事もありますし」


「男性はみんな銃使いですものね」


「プリステラァ!」



~魔物研究:《フォレストテンタクル》~

《ジョージの研究記録》


ここがゲームの世界と分かってはいても、違和感を感じないリアリティは素晴らしいものだ。

ゲームの世界を体験できるような世の中になってから久しいが、非現実を現実に落とし込むというのは簡単なことではないと思う。

俺が感動したのは生物の作りだ。生きているものなら目視で筋肉の動きを観測し、行動の起こりを掴む事ができるのだが、【Blueearth】では亜人にも、魔物にまで、その動きが設計されているのだ。

これは凄い事だ。つまりは彼らは完全に生きているのだ。

彼らには臓腑があり、骨があり、筋肉がある。ゲームのNPCを設定するのとは訳が違う。電子世界における生命創造と言える。


故に、俺はちゃんとした生物として彼らを扱いたい。

そう思い、魔物の生態についてを綴ってみた。


《フォレストテンタクル》

フォレストタンブルの上位種だ。上位種や変異種というのは、ゲームとしてはレアエネミー、ボスキャラとして処理されている。

だが、ちゃんとそうなった経緯もあるようだ。同位体が集合して変異種となったり、特殊な環境で育ったり……など。

なので、この正体不明とされているフォレストテンタクルについても考えてみた。


通常種フォレストタンブルとの違いは何か。

まずサイズが違う。単純に巨大化している。

次に外殻が頑丈だ。

そして触手がしなやかで強靭になっている。

フォレストタンブルは核を根や蔦で覆う形で、そのまま転がりながら移動するが、分類としては寄生植物なのではないだろうか。

例えばフォレスト階層には足場になるほど強固な宿木がある。

つまり、フォレストタンブルに寄生した宿木を逆に寄生仕返して吸収同一化し、強固な外殻を手に入れたのではないか。

本体の触手は光合成や核の防衛の役割を外殻に移行したため自由になり、外殻ではできない役割として、しなやかな触手へと進化したのではないか。

太くしなやかで繊維の集合体となっている触手は筋肉に近いものとなり、物理攻撃の威力も増大されている。


となると、例えば今後の階層には岩とか機械を守ったものが現れるやもしれない。

理解が及べば【ライダー】として扱うのも容易になるだろう。今後も新たな魔物と出会うのが楽しみだ。

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