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BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
大樹都市ドーラン/フォレスト階層
44/507

44.悩みなんて寝たら忘れるモン


【第12階層フォレスト:宿木の空梯子】

大樹に寄生した宿木が宿主を吸い尽くし、空に掛かる橋のような木々のみが残ってしまった。

初の空中戦ステージであり、落下すると前の階層まで戻されてしまう。


「忍法【火遁:鳶緋鍼(トビヒバリ)】!」

「焼け落ちよ!【神炎のサウザンドアロー】!」


タルタルナンバンさんとブックカバーさんが、炎魔法で周囲に火を放つ。あたしは炎魔法が無いので待機してる。


炎の理由は、空中から襲いかかってくる機械生物達。機械の蜂と、空飛ぶ爆弾ぶどう。


「──【スキャン】!」


──────────

《マシンガン・ビー》

LV22

弱点:打撃/風/炎

耐性:毒

無効:

吸収:


text:魔物改造工場にて毒針の連射機能を得た働き蜂の魔物。服従の対象が女王蜂から工場になった。

複数匹の群で行動する。数匹が先遣隊として交戦すると、他の蜂は攻撃範囲を学習し、遠距離から毒針を連射してくるようになる。

弱点の属性攻撃を受けると攻撃を中断し逃げながら位置を測り直す。その際遠くに行き過ぎた個体はそのまま逃亡する。

──────────


──────────

《ボムシード:ハウス》

LV23

弱点:炎/水

耐性:

無効:

吸収


text:改造され爆弾化した実を飛ばしてくる、機械化した魔物ブドウ。全ての実を投げ終えると自爆する。

投げてきた実は打撃攻撃で打ち返す事が可能。本体に当たると、全ての実を撒き散らし自爆する。

──────────


この物騒な連中を黙らせるために、炎魔法を撃ちまくっていた。


──勿論、ブックカバーさんもナンバンさんもレベル的に苦戦する相手ではないのだけれど、ライズがアイテムで魔物の出現数を爆増させたから処理に翻弄してる。


「姉御! こいつら【調教(テイム)】できないのか?」


「こいつら単体だとあんま強くない! 【ビーストテイマー】と相性悪いよー」


「やっぱ1匹くらい自前を用意するべきだったな! 自爆特攻くらいできんのですか!」


「できるよ! 絶対ヤダけど!」


「流石姉御は慈悲深いなァ! 俺はその分被弾してるけど!」


同ギルドのアイアン8さんとアゲハさんは漫才しながらも二人で固まって応戦。鞭と槍だから直接接触せず敵を倒せているのは幸いかな。


宿木に触手を引っかけながら、新たな仲間《まりも一号》は雲梯(うんてい)のように足場の下側にぶら下がりながら移動する。ジョージの騎乗訓練中なんだけど、さっきから凄い巧みに乗りこなしてるんだけど。


「近接攻撃組は直線移動して魔物を足場上に誘導して叩け! 相手が空中にいるだけでこっちは不利だ!」


「空中相手は我々遠距離部隊に任せよ! アイコ嬢は【金の斧】組と合流し回復! ゴースト嬢は我々の護衛を頼む。

 ライズはさっさと【天国送り(エンジェル・バトン)】使って空中戦に行かんか阿呆!」


ライズとブックカバーの2トップが適時的確な指示を飛ばす。あたしも指示できるつもりではあるけど、戦闘慣れしてる二人はレベル違うわね。


さて、こっちが空いたし試してみますか、新魔法!


まずは一つ目、風と氷の魔法【風花雪月】ね。

詠唱は……28秒。長すぎ! 熟練度次第ね。


「あ、メアリーさん試射ですか? じゃあ僕援護します」


ドロシーが前に出て、こちらに向かう爆弾葡萄を銃で撃ち返す。器用すぎるわね。


──準備完了。


「発動!【風花雪月】!」


風が敵を包み込み捕捉。風球が次第に小さくなり──中心から、氷の華が開花!


空中なので華はそのまま落下する。

……これは有能魔法ね。是非極めたいわ。




Quest progress

【空梯子の魔物討伐 100%】complete!

【機械生物研究:毒蜂 100%】complete!

【機械生物研究:葡萄 100%】complete!

【空中戦入門 100%】complete!

【まんまるぽてまる君を追え 100%】complete!




──◇──




クエストを必要数終え、現在は《まりも壱号》の移動練習中。メアリーとアゲハとジョージが壱号の引く荷台に乗って宿木の下を空中ブランコしている。メアリーの悲鳴が心地良い。


他のメンバーは徒歩で移動中。《まりも壱号》の動きが安定したら全員乗って移動する予定だ。


「アイアン8君の武器は槍なんだな」


「……あぁ。問題でも?」


この反応。これは相当言われてきたな。

アイアン8君。アゲハさんの補佐として来た、合理的で冷静な男。だがそのバトルスタイルは少々合理に欠けている。

【ナイト】という前衛タンクでありながら、やや距離を取った戦闘に向いている槍使い。肝心の前線同士のぶつかり合いの時に攻撃が通らなくなってしまうのは致命的だ。


……が、そんな事言いたい訳じゃないんだよ。


「槍、好きか?」


「! ……ああ。好きだ。好きで使っている」


そうだよな。好きだから使ってるんだよな。少しだけ声から緊張が解けた気がする。


「俺も好きだぞ。だが君とは違って目移りしてるから……ニワカだな。ほら【壊嵐の螺旋槍(タービュランス)】。みてみて」


「おお業物。凄いなコレ」


俺は武器そのものが好きなところあるが、だがわかるぞそのロマン。

だからこそ使い方は考えないとな。


「接近戦では"突き"じゃなくて"払い"で相手を退かせて、そのまま【ピアッシング】とかで突く戦法もあるよ。火力高くて範囲の広い槍を使うために自身は動かない戦法だな」


「ほう……詳しく御教授願いたい」


「よしよし。向上心があって良い事だ」


最前線防衛ラインとしてのタンクは、複数同士のぶつかり合いだと範囲が広い槍では厳しい。だが、単体でならば"払い"と"突き"の選択肢のある槍は優秀……だと思う。


「よし、今日の分が終わったら道場で練習してみるか」


「いいのか?」


「勿論だ。君達のギルドマスターからもお願いされてるしな。折角来てくれたんだから強くなって帰ってくれ」


槍使いとの練習機会は貴重だ。俺自身、戦闘の勘を鍛える必要もあるしな。




──◇──




【第13階層フォレスト:迷いの森】


常に霧が立ちこめる常夜の森。

僅かな光源は、人を誑かす毒キノコの光。

──木々の合間を飛ぶように駆け抜けるは大自然球体、《まりも壱号》。

それに追いつかんとするは、美脚の生えた花、《タイラントフラワー》の群れ。


「ふはは。ボーナスタイムである。よもやこれほど快適に森を抜けられる魔物がいたとはな」


荷台に乗ったまま遠距離攻撃で次々と撃退していく。どうやら《まりも壱号》をチョイスしたのは正解だったようで、あたし、ブックカバーさん、ドロシーの3人で悠々と処理できる。


「そういえばあの時も《神の奇跡》起きてたわね。【翠緑の聖域】の入り口から撃ったのよね?」


「はい。あの辺りはエルフ派でしか入れないので安全ですし、周囲の霧も薄くて視界が良かったんです。

 あとは慣れですね。エルフ派は散々ドリアード派をこの階層で撒いているので、どのルートを通るのか憶測が立てやすいんです」


「そういえば《神の奇跡》がよく起きたのはこの階層でしたね。本当に凄い子ですねドロシーちゃん」


「慣れていると言っても、ここまで障害物だらけで視界の悪い森の中で正確な狙撃ができるとは。凄いぞドロシー君」


《最強》男女に褒められるドロシー。へにゃへにゃした可愛い顔してるけど、本当に狙撃能力がイカれてるのよね。


「実際は、ちゃんと観て知った人しか狙えないんです。アイコさんを守るために、ずっとアイコさんを観ていましたから」


「それも凄い事だぞドロシー君。だって理解さえすれば動いていても当てられるんだろう?」


「えっと、はい。理解した!って思えたら、多少動いても当てる自信はあります。500mまでなら……」


そしてその精度はヘッドショット確定レベル。【翠緑の聖域】の修練場で、後頭部だけ銃痕が残ってたマネキンを見つけたのがきっかけだったわね。

あれほんと怖かった。どこからどうやって脳天ピンポイントで狙ったのよって。ゴーストと一緒に直線上を調査して、500m離れた木の上に足跡残ってた時は戦慄したわよ。現実のスナイパーが紛れ込んだって思ってたわ。

……その方がまだ健全だったけど。ライズといいドロシーといい、現実の記憶持ってないのに倫理観終わってるのどうなってんのよ。


「その集中力を別方向へ変換できるかもしれないな。例えば……500mでなくとも、100mの距離なら百発百中になる、とか」


「……考えた事ありませんでした。でも、多分まだ無理です。本当に、知らない相手には近距離でも当てられなくて」


……対人のトラウマみたいなもんね、コレは。

無理矢理記憶を思い出させた弊害。あたしの罪。

──ドロシーは一般人。一般応募枠だけど、それはつまりお姉ちゃんの贔屓によって多少操作された枠という事。

選定基準は大きく分けて2種。アイコやベルグリンのような、肉体そのもののデータが欲しかったパターンと──現実で生きる事が辛そうな子を避難させたパターン。

ドロシーはきっと後者で、記憶を封じる事でマトモになってた。思い出させたのはあたし。

……だから、絶対ドロシーは見捨てない。あたしがやらかした事だから。


「メアリーさん、魔法止まってますよ。MP切れです?」


「ああ、ごめんね。大丈夫だから」


しみったれた事考えちゃったけど、今は爆走する美脚ラフレシア軍団を撃墜しないとね。

地獄みたいな絵面ね。




──◇──




──夜。

《【夜明けの月】のログハウス》7号室(空き部屋)


「とりあえずここでいいか?」


「は、はい。お願いします」


ナンバンさんを適当な椅子に座らせる。緊張している様だが、これはナンバンさんからの依頼なんだが。

1日30分の対面取材。【井戸端報道】との契約である。


「ではまず誰もが注目している点から。【夜明けの月】において最も話題に上がるのが、異常探究者と名高いライズさんの復活です。これについて伺っても?」


この取材はこちらにとっても重要な一手。

【夜明けの月】の目的は世界征服。そのために、最前線を走るトップランカーを下し、階層攻略にストップをかける必要がある。

そしてそのための餌として、【夜明けの月】の存在がトップランカーにとって、【ギルド決闘】するに足るだけの価値を持っていなくてはならない。

……俺の存在が独り歩きして伝説となったように、人の噂の力は凄まじい。その点では【井戸端報道】の協力は不可欠だ。


「ああ。復帰を決めたきっかけはギルドマスターのメアリーだ。

 まだ若く冒険者としての経験も無かったが、彼女の知恵は凄まじいものだ。俺を動かしたのは彼女だよ」


「ほうほう! 1年間不動を貫いたライズさんの心と体を動かした運命の相手というわけですねェ!」


「ちがうよ。あいつはただのちんちくりんだよ」


しまった。褒め倒して盛大に喧伝してもらわなくちゃならないのに、つい。


「えぇえぇ、前線からのお誘いを全て断ってきた難攻不落のライズさんを堕としたのです。それはもう他人にはとても言えない情熱的な出会いがァン!」


「言えない……そう、そうだな。俺とメアリーとの出会いは残念だが言えない。俺を突き動かしたミステリアスなギルドマスターって事で」


「黙秘! お任せ下さいィン!

 では、メアリーさんはミステリアスな敏腕リーダー……と。他のメンバーについても伺っても?」


よしよし。製品表示法に抵触しちゃわないか心配だな。


「次はゴーストだな。俺たちの最強激カワ完全無欠クールメイド」


「メアリーさん同様、完全に出自不明ですね。彼女はレベル99という事ですが、このレベル帯で彼女を知っている方は見つかりませんでした。一目見れば目に焼き付く程の美貌ですが、果たして……?」


痛い所を突かれた。

【Blueearth】はその半数以上がアドレ(第0階層)にいて、レベル1なんて数え切れない程いる。メアリーが出自不明なのはそこまで問題にはならない。

だがゴーストは、メアリーのチートによって初期レベルが99。第60階層くらいのレベルだ。

冒険者は階層が進むに連れて減って行く。最初の関門と呼ばれる第79階層を突破できた冒険者なんて2〜300人くらいだし、そもそも俺でさえその最初の関門を突破できてない。

だから、99レベルなんていってたら割と名が知れてるはずなんだよな。


「……ある一点の基準さえクリアすれば、【夜明けの月】は来るもの拒まず、去るもの追わず。過去の追及もしない。ゴーストにどんな過去があったのかは俺にもわからないな」


めちゃくちゃ嘘じゃん俺。率先して過去(記憶)暴くし。絶対逃すわけにいかないし。過去も何も生後数日に会ってるしな。


「これは最早【夜明けの月】自体の質問をした方がいいですね。ズバリ、理念などは!」


「無論、最前線だな。俺がいないだけで随分とチンタラしてるようだから、久しぶりにお手本でも見せてやろうか……ってな」


「ここ挑発的に書きます?」


「めちゃくちゃ煽ってくれ」


「畏まりましたァン!」


筆が乗ってるナンバンさん。なんか話しやすい人だな。


「次はアイコだな。《聖母》アイコ」


「ドーランにて人気絶頂中だった《聖母》を突如引き抜くや否や、まさかの【鶴亀連合】との全面戦争! 今アドレではこの話題で持ちきりです。話題性からドーランへの観光冒険者も激増し、アドレ─ドーラン間での観光傭兵業を開始した【蒼天】が大稼ぎしています」


アイザックやったなあいつ。抜け目ない女だよ本当。

……実際、ドーランでの一件で【夜明けの月】の知名度は爆上がりしている。アドレだけでなく、先の階層へも名前は轟いたはずだ。

現在ドーランはベル達に任せているが、多分あの感じだとベルは攻略の方に回りそうなんだよな。だからデュークにもお願いしといたんだが。

今はここぞとばかりに領地拡大を狙う【飢餓の爪傭兵団】と大型商業ギルド【マッドハット】からの交渉の対処に忙しいだろうが、俺式育成術を熟知していてサティスという懐刀を手に入れたベルならあっという間に追いつかれてもおかしくない。


……ともかく、アイコだ。アイコの存在もギルドの宣伝に役立っている。黎明期メンバー以外の冒険者は誰しもがドーラン通過時にドリアード側に立ち、エルフとの抗争を余儀なくされた。あのやるせなさには思う所があっただろう。

そこに《聖母》の噂だ。知名度は最初の段階で割とあったし、人気も高い。目的不明な【夜明けの月】だが、アイコが加入したというだけで悪いギルドじゃないんだろうな、みたいな風潮になってくれている。

実際は世界征服を企む悪の秘密結社なんだけどね。


「アイコはご存知の通りだろう。彼女の参加は我々にとって大きな励みとなっている。本来は【鶴亀連合】を誘き出すための作戦だったんだが、アイコ本人の希望がありそのまま参加してくれた。頼れる仲間だ」


「ふむふむ。加入の理由は作戦。しかしギルドメンバーR氏の甘い勧誘を断りきれず次第に心を許してしまう……」


「誇張詐称はよくないなぁ! あと6人しかいないのに頭文字は隠せてないだろ!」


「あはは。冗談です。失礼しました」


本当に、脅しも説得も必要無く仲間入りしてくれたんだよな。有難いけど、いいのかね。


「あとはアイコと同じタイミングで加入したドロシーだな」


「ずばり彼の性別は?」


「面白いから黙秘。うちのギルドハウスには彼専用の浴場も用意してある」


「性別:ドロシー……と」


ドロシーの扱いは難しい。いや、性別的な話ではなく。

ドロシーの強みは通称《神の奇跡》。ライフルをアイテム化のまま、現実のライフルとして使用する事で可能になる、超遠距離攻撃。ダメージは発生しないが、《スタンシード》や回復薬など、接触するだけで効力を発揮するアイテムを撃ち出す事でサポートできる。

この事実を、できる限り広く、だが発祥がドロシーであるとわからないように広めたい。原理もバレてはいけない。

つまりは【夜明けの月】にのみ発生する《神の奇跡》という噂を広めてもらいたいんだ。そうすれば敵は原因不明の《神の奇跡》を恐れながら戦う事になる。


が、問題はこの戦術をドロシーが記憶復活前の段階で思いついたという事だ。つまり、同様に思い付く……あるいは勘付く奴が出るかもしれない。そうなると両手銃をメインで使うドロシーだとバレてしまう。


まだ"待ち"だな。あまり注目を浴びせない方が良さそうだ。


「まぁドロシーはこれからだな。今はまだ見習いの身だが、伸び代は誰よりもあるぞ」


「ふむふむ。将来有望……と。

 では個人的にかなり気になっているジョージさんについて伺っても?」


うん。ジョージな。これも困るな。

だって明らかにおかしいもんな。レベルと強さが釣り合ってないもん。


「……華奢な肉体を気にしていてな。肉体の限界を超えるために修行していたらしい。あまり公にはしたくないな」


嘘はそんなに言ってない。


「……わかりました。ジョージさんについては期待の新人とだけ記載しましょう」


「さっきから物分かり良すぎないか? 大丈夫?」


「話題沸騰の【夜明けの月】に密着取材なんて大役を背負ってますので! ヘマしたら帰る家がありませんよ」


……丁寧なマスコミは本当に貴重だからな。こっちとしても末永く友好でありたいものだ。


~ライズの武器強化について~

《ベルの独り言》


ドーランの【鶴亀連合】【朝露連合】の決戦にて、ばか(サティス)ばか(ライズ)の武器自慢があったわね。

いい機会だから、ライズの持っている武器がどのくらい強化されているのか説明するわ。



その前に、基準になる話を説明するわ。


《~強化値+10》

 一般鍛冶屋に依頼できる限界値。79階層を突破した冒険者は最低でもこのくらいね。

 ここからの強化は熟練度を上げた【鍛冶師】系冒険者か、特殊な鍛冶屋でないと無理よ。


《~強化値+20》

 最前線冒険者の基準ね。

 ここからは成功確率が大幅に下がるし、次々優秀な武器が日々発見されてるから、効率対効果的にこの辺りが限界よ。


《~強化値+30》

 変態ね。


《~強化値+40》

 変態が泣いて逃げ出すわ。


とまあこんな感じね。強化に金も資材も使うから、ただ思い入れがあるだけじゃ強化値を稼ぐことはできないからね。

じゃあライズの武器を見てみましょう。


両手剣(刀)【朧朔夜+128】

もう馬鹿すぎて頭痛いわ。

一応説明するわね。鞘から抜刀するのに3つの条件を要求してきて、たった一度しか振れないクソハズレ武器よ。

必要素材自体はある場所で大量入手できるけど、その素材を要求する武器自体がピーキーすぎて需要が無いわ。

うちで安く買ってたのもあって、資材自体は潤沢にあったけど。ライズは定期的に素材狩りに出かけてたわね。


両手盾【煉獄の闔(ケイオス・エイギス)+48】

両手盾を使用するのは、ちゃんと組織として成り立っているギルドの最前衛か【スイッチヒッター】くらい。

つまり前線にとってはほぼハズレ武器。安く大量に集める事はできるわ。

素材を集めるのもいいけど、同名アイテムを使用した方が強化の効率はいいわ。

とはいえこの大盾の強化自体は最近始めたばかりだから、あんまり数値は稼げてないわね。

ライズの出発が一週間でも遅ければ、60くらいにはなってたかも。


片手銃【封魔匣の鍵(パンドラ・カリギラス)+28】

隠しクエストの報酬で、総数が少ないレア武器よ。素材が集まらなくて強化を断念したらしいわ。

それでもヤバいけどね。世間一般では変態一歩手前よ。

特殊効果として、最後の一発が敵の弱点属性になるわ。装填数が多いほど倍率が上がるの。

【スイッチ】でリセットする度に残弾は自動リロードされるから、ぶっちゃけ相性は悪いわ。

でも好きだからの一点だけで使ってるのよね。馬鹿。


槍【壊嵐の螺旋槍(タービュランス)+75】

素材自体はウィード階層で風の妖精シルフィードを狩れば手に入るわ。

素体となる嵐骨が第9階層でしか集まらないけど、作成難易度自体は低めね。

槍使いが少ない事、もし槍を使うようになったならわざわざウィード階層まで戻って素材集めする奴はいない事から人気はないわ。

そんなんばっかねあいつの武器。


片手盾【宙よりも深き蒼(ディープ・ブルー)+38】

オーシャン階層で素材は山ほど確保できるけど、直接的な火力に繋がらないからという理由で強化が後回しになったわね。

魔法に対するジャストガード機能が優秀だけど、ライズはあまりジャストガードに頼らないのよね。

《簡易ハウス》に鍛冶場作ったならもう強化してるかもね。


短剣【簒奪者の愛(ゲットバッカー)+44】

特殊クエストで入手するレア装備……なんだけど、性能的には入手する必要性が薄いのよね。

窃盗する事そのものを愛していないと手に入らない装備ってことね。不名誉。

勿論ライズが泥棒大好きってわけじゃないわ。ジョブスキルに《窃盗》が無くなる【スイッチヒッター】においては、この短剣はかなり優秀な《窃盗》装備よ。

実際大活躍したし。

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