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BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
大樹都市ドーラン/フォレスト階層

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42/507

42.旅立ち:未知との遭遇、既知との遭遇

【第10階層 大樹都市ドーラン】

【天秤】《N(ノース)-0-0》

──転移ゲート前。


「では、冒険を再開するぞ」


懇親会を終え、【夜明けの月】はゲートに集合した。

色々あったが3人の新人を迎え入れ、順調にギルドの規模は拡大していっている。最前線は依然停滞中だし、それほど痛い遅れではない。


「で、ジョージ。それでいいのか?」


ジョージから頼まれた依頼は、武器と防具。望みの物を用意したが……。


「うん。ありがとうライズ君」


──以前までの着物から変更して浴衣……というより甚平を選択。勿論最低限の強化済。半袖で通気性の良い甚平は、腕や脚が丸出しで……少し宜しくないのでは。


「目の毒なら済まないね。だが身体能力が著しく劣化している今、俺も本気にならなくてはいけない」


……本気フォームって事? まぁ《最強の人類》の考えなら構わないが。


「武器は片手銃と短剣……どっちも【ライダー】適正外だが護身用だよな? アイテム化運用想定だろうから銃は現実に近いやつ、短剣は軽くなる風属性のやつな」


「一を聞いて十を用意するねライズ君。本当に助かる」


ジョージはアイコ同様、素の身体能力でゴリ押しが可能。アイコは同格、あるいは格上の相手に対して受け流しでほぼ完封した化け物だ。


──────

「一応言っておきますね。《最強の男女》なんてメディアに言われたりもしてましたが、私とジョージさんの力量差は天地ほど開いていますからね」

──────


アイコをしてこの言い様である。その肉体が女児にナーフされているあたり、天知調がどれだけ警戒しているのかが見て取れる。


「あとはダメージ用・カモフラ用の片手剣と、魔物確保用の鞭な。言われた通り鞭はかなり強化した……ってか俺のお下がりだが。これでいいのか?」


「ライズ君のお墨付きとは素晴らしい。必ず成果を上げてみせようとも。

 ……うわ強化値+55とか書いてあるんだが。ベル君が言ってたんだが。+30で反対扱いとか」


「俺の変態コレクション見る?」


「ちょっと怖いから追々でお願いするね」


手渡したのは【紫呪竜の髭鞭(ボイゾナ・ウィップ)+55】。物理攻撃力も魔法攻撃力も高め、相手の魔法防御を下げるデバフ持ちの鞭。

【スイッチヒッター】になり一応全装備装備可能になったので、ほぼ意味ない鞭装備も無駄に鍛えてみたものだ。冷静になってほどなく1号室(倉庫)送りとなったが。


さて、我々は6名。ドーラン出発時目標レベル35に対してジョージのレベルが20と低く、急速なレベリングが急務だ。助っ人の質を高める必要がある。


「という事で今回の助っ人だ。どぞー」


真っ先に現れた──というか隠れて居たのは、忍び装束のくのいち。──服装は大きく変わっているが、アドレで顔を合わせた、最近躍進中の新人記者。


「はいっ! 【井戸端報道】より密着取材に伺いました!

 ローグ系第3職【ニンジャ】、タルタルナンバンですゥン!

 レベルは61です! よろしくお願いしまァす!」


デュークにいい感じの人頼んだら来た。いや人選。

アドレで結成直後の【夜明けの月】を襲った奴じゃねぇか。


「今回は階層攻略というお話で、ちゃんと攻略モードで来ました。こちらスキルとアビリティと武器アイテム一覧です」


「あ、どうもご丁寧に」


「取材時間はインタビュー形式で1日30分程度頂けましたら幸いです。ご指示とあれば日中は一切取材行為を禁止致します」


「いや別に邪魔にならなきゃいいわよ。【ニンジャ】って【アサシン】と何が違うの?」


「幾つかの専用武器と、属性使い分け可能な魔法攻撃《忍法》が使用可能な近・中距離の物理魔法両刀アタッカーといった感じです。物理特化の【アサシン】と比較すると実質的なダメージは低くなりますが隠密性能はそのままですね」


……あれ、結構マトモか?

ちゃんと対応しているメアリーも怖がってない。礼儀正しくて敵意無い相手には怖がらないな。相性良くて何より。


「あとは次の階層から傭兵を雇ってる。フォレスト階層にも詳しい奴を2人頼んでいるが……」


「お待たせー! 遅刻……はしてないけどっ! 待った?」


丁度話題に上がったタイミングで現れたのは2名。

1人は白銀の西洋鎧で全身を覆った長槍の男。【Blueearth】において特化ジョブの存在しない槍を使うのは珍しい。まぁ【ナイト】系列ならまだ使うが、主流ではないな。

もう1人はビキニにショートパンツの女性。露出度は高いが、薄桃色の着物を羽織っている。暑いのか寒いのか。高下駄と和傘で分かりにくいが、隣の甲冑男と比べて小柄が目立つ。。和装チックなギャルって感じだな。


「【第20階層 地底都市ルガンダ】で駐在してまーす! 【飢餓】傘下【金の斧】の盛り上げ隊長!アゲハちゃんです!

 傭兵業の御依頼まいどどーもー!」


「姉御、もう少しお淑やかに。

 同ギルドより参上した。【ナイト】のアイアン8(エイト)だ。

 ほら見習え姉御。メアリー殿はこんなにも貞淑だ」


「それはビビってるだけだな。俺が対応しよう」


鎧兜と陽キャは無理か。ゴーストバリアが間に入っているが。


「……これで3人。ライズ、あと一人は?」


「んー、あいつの手配にしては珍しく遅いな。何かあったか……?」




「すまぬ。想定より遅れた」




ゲートから出てきた有名人に、追加メンバーは固まる。あとメアリーも固まってるな。

よく知ってる顔だ。まさかこいつが来るとは思わなかったが。




「気高く高名たる叡智の集光【象牙の塔】がサブマスター。吾輩こそがブックカバーである」




────────────


──親愛なる私の運命へ



先日依頼されました件につきまして、アドレの騒動の返礼として無償で協力させて頂きます。


御依頼は『優秀で参考になる魔法使い』という事で、全力で愛児(まなこ)を蹴散らし権利を獲得しようとしましたが、セカンドランカーの攻略会議が入ってしまいました。イツァムナ無念。


取り急ぎ、このイツァムナが最も信頼する三本柱が一角を派遣致します。


仲良くしてね。



── 完全なる善意の顕現。恵み深き伝智の神仔(みこ)

【象牙の塔】GM(ギルドマスター)イツァムナより。


────────────




「という訳である。宜しく頼む」


セカンドランカー最上位ギルドのサブマスターがまさかの参戦。これにはタルタルナンバン(マスコミ)も大興奮。


「アドレの件から調べ直しましたが、ライズさんと【象牙の塔】には深い関係がある様子。その辺詳しく伺っても?」


「ギルドを通せ。

 ライズ。吾輩の思い違いで無ければ、貴様が望む最良は吾輩では?」


「ああそりゃそうだけどさ。来ないと思ってたよお前は」


「ふっ。だろうな。だから来た」


なんという天邪鬼。助かるけども。


「ねぇ、ライズ。ここまで凄い人呼ぶ必要あった?」


「攻略だけなら過剰戦力だ。だが別に目的があるんだよ」


次の階層、20〜29階層(ケイヴ)の目標レベルは50。

つまり第3職の解放までもっていける。


「お前の今後、第3職をどうするにせよ、ここで最強の【マジシャン】ギルドを見て学んで欲しかったんだよ。

 その点じゃブックカバーは最強だ。《最強の大賢者》で、【マジシャン】界隈でも第2位の実力だ」


「3位である。新たなジョブを極めた我らが智母イツァムナが無事追い抜いた。吾輩の適正位置はこのあたりである」


あ、そうなの。

──イツァムナは本来【大賢者】だったが、ブックカバーを拾ってからはその席を譲り、未開拓の新ジョブの研究を初めていた。遂にブックカバーを追い抜く程とは恐れ入る。


「慧眼なる【夜明けの月】若長メアリー。吾輩でよければ、この魑魅ひしめく森を抜けるまでは先達として指導させて頂きたく」


「ぅあ、えっと、はい。お願いします」


──俺に噛み付く時以外は賢い男だ。ちゃんと弁えている時のブックカバーは信頼できる。結果オーライだな。


──────────

パーティ 10/10 ▼[レベル順]


【大賢者 :  ブックカバー:150】

【スイッチ:     ライズ:115】

【リベンジ:    ゴースト: 99】

【ニンジャ:タルタルナンバン: 61】

【テイマー:     アゲハ: 50】

【ナイト :   アイアン8: 45】

【バトシス:     アイコ: 38】

【ガンナー:    ドロシー: 37】

【ウィッチ:    メアリー: 37】

【ライダー:    ジョージ: 20】

──────────




──◇──




【第11階層フォレスト:深緑の出入り口】


巨大な花の下、薄暗い森を暫く歩く。

もう慣れたものだけど、さっきからライズが何も言わないのが不穏なのよね。


「……よし、この辺か?」

「うむ。吾輩は許容範囲である」


なんか犬猿の仲だったライズとブックカバーさんが悪巧みしてるし。嫌な予感しかしない。


「よし。全員注目。

 事前に説明した通り、【夜明けの月】は階層攻略と王国クエストを同時にこなす。

 だが今回は、ここで数時間レベリングを行う。目的はジョージの最低限のレベリングだな」


「ここの木々は配置が良い。三方向に別れれば対応可能である。

 中央を吾輩とメアリー嬢とドロシー殿で固める。

 北方向のタンクはアイアン8殿。南西タンクはアイコ殿。南東タンクはライズで別れる」


「アイアン8班は回復可能なゴーストが補助。

 アイコ班は中衛から支援可能なタルタルナンバン。

 俺の班はジョージとアゲハさんで行く」


キリキリと話が進むけど、どうやって魔物を呼びこむのかしら。

あ、スカイフラワーを叩き落としてってのはあたしがやったわね。ああいう事かしら。


とか思っていたら、ブックカバーさんが魔導書付きの杖を掲げる。


「ここの階層の魔物は大きな音に敏感である。故に。


──【テンペスト】!」


ブックカバーさんの十八番。荒れ狂う大竜巻。

高所にいた花蜘蛛もたまらず吹き飛び、全てが風に流される。

一瞬の静寂。


「さあ来るぞ。準備いいか?」


森がざわめく。

木々がひしめく。

──魔物達が、押し寄せてくる。




「ライズ式デスマーチ、開幕だ!」




──◇──




「見ててねジョージちゃん! アゲハちゃんが【サモナー】先輩として良いとこ見せちゃる!」


和傘を投げ捨てたアゲハさん。真っ赤な鞭を取り出して、敵陣に突っ込む。

そういえば【ビーストテイマー】になったばかりと言っていたのだが、魔物使役はしていないのか。


ローグ系を想起させる身軽な動きで敵の攻撃を避けながら、魔物の群の中に入り込むアゲハさん。


「っしゃあ! 【調教(テイム)】!【調教(テイム)】【調教(テイム)】!」


鞭というより新体操のリボンのように華麗に、魔物に次々と鞭をふるう。


──ライダー職の専用スキル【調教(テイム)】は、魔物に鞭をふるう事で確立で味方にする。


鞭を喰らった数匹のうち、白い花蜘蛛《スパイダー:スカイフラワー》、回転する木玉.《フォレストタンブル》、キャタピラ付き芋虫.《クロウラークローラー》が【調教(テイム)】に成功。即座にアゲハさんの味方となり数刻前の同胞に襲いかかる。


「なるほどね。今のアゲハちゃんなら3匹までいけるのねー! 《くもきち》!蜘蛛糸で逃げ道塞いで《いももち》《まるまる》の道作りな!」


蜘蛛糸で魔物達の行動ルートを縛り、直線突撃のフォレストタンブルとクロウラークローラーの攻撃を通す。即興ながらかなりよく出来た連携だ。


「あ、《いももち》死にそう。【契約解除】! 森へ帰りなー! ほらほら次々【調教(テイム)】【調教(テイム)】【調教(テイム)】!あっはははは!」


闘いを楽しむタイプだ。ああいうのが得てして強いもんだ。

実際センスは凄い。即興【調教(テイム)】戦術はかなり難易度が高い高等テクニック。よくできるな。


「アゲハ君は随分と特殊な使い方をするな。さて、俺も負けてられないな」


今回のもう一つの目的は、足の確保。ジョージにそれなりの魔物を【調教(テイム)】してもらう必要がある。


「あ、待てジョージ。【ライダー】で活用できる魔物は騎乗出来るやつだけだ。まだそんな大型の魔物はいない」


「そうか。では普通に倒すとしよう」


そう言って手に持つは、薄紫と濃紅の華模様。片手剣【ヴィオ・ラ・カメリア+28】。

ジョージが選んだ片手剣を急拵えで強化したものだ。


「……重いな。やはりこの身体ではマニュアル操作は厳しいな」


そう言ったジョージの姿は既に無く。


──瞬く間に、アゲハさんの隣へ移動していた。




──◇──




小柄になった分、身軽で速い。

そんなことはなく。

筋肉の総量とサイズのバランスが速度を生み出す。

この肉体はサイズに対して筋肉が無さすぎる──それが普通なのだが。

この華奢な肉体では、万全たる動きは取れない。


──が。ここは【Blueearth(ゲーム)】だ。

無理に動いても筋肉は断裂せず、疲労はすれど現実程の効力を持たない。

そして俺の性能で格下げをくらったのは肉体のみ。視力聴力、動体視力反射神経。全て健在だ。

ならば、まだなんとかなる。

──肉体のリミッターを外す。かつてはよくやった、《人力火事場の馬鹿力》だ。この世界ならデメリット無しで運用できる。

それでもこの肉体では多少速く動けるだけだ。


故に。


巨大蜘蛛。植物の球体。機械を背負う蟲。

全ての生物としての動きを観察し、予測する。

1秒未来を常に見て、安全なルートを通り抜ける。

この手の動きは寧ろ混戦の中で輝く。同士討ちしてくれれば儲け物だ。


ライズ君からの調度品。【ヴィオ・ラ・カメリア+28】。

まだ私には重すぎて使うのは難しいが──この速度と遠心力を利用すれば容易い。


大蜘蛛が俺を観則する。

脚の一突きを片手剣でいなし、速度を奪い回転。

──マニュアル操作。

回転の遠心力を利用し【ヴィオ・ラ・カメリア+28】を大蜘蛛の目に突き立てる!

──オート操作。

刺さった片手剣を引き抜く力は無い。オート操作に戻して剣を引き抜く。

次の脚が俺を狙う。剣を横に構えるニュートラルの防御体勢。脚が剣と衝突。

──マニュアル操作。

ダメージ判定は終わり、脚と剣の衝突エネルギーのみが残る。防御解除したので、体格差で宙に飛ばされる。

──オート操作。

剣の重量を0にして、木の側面へ着地。

重力と脚力を利用し、木々の間を飛び交って加速。

──マニュアル操作。

剣の重量を加算し、大蜘蛛へ飛び出して接触直前──

──オート操作。


「スキル【兜割り】」


大蜘蛛の脳天に剣の一撃。

撃破は35秒05〜15といったところか。20秒を切りたかったが、この肉体では限度があるな。




──◇──




「……ライズっち。あれなんなん?」


「俺にもわからん。なんで片手剣一本で高レベルの魔物単体撃破してんだあいつ」


花蜘蛛に吹き飛ばされた時にビビって助けようとしたら、わけわからん速度で飛びまくっていつの間にか倒してた。目で追えなかったんだがアレ人力なの? マジで?


……ともあれ。こちらサイドはアゲハさんの即興魔物【調教(テイム)】コンボによって高速で魔物を討伐。味方にした後解放した魔物の分の経験値は手に入らないが、それでも充分すぎる収穫だ。


あの後数匹の魔物を殲滅してきたジョージが戻って一言。


「やはり非戦闘要因だな。足手纏いで済まない」


信じられん怪物。《最強の人類》ここにあり。


~あのキャラどのキャラ~

《天地調の備忘録》


鶴亀連合編です!


カメヤマ

──亀山 六甲(42)

八百屋・運送業複合商社《亀山商事》社長。経済大学出身で、田舎の小さな農家だった実家を一代で大企業に成長させた大商人。

老後にゲームに目覚めた両親の為に【Blueearth】を出資者特典で入手。老後の両親に耐えうるゲームなのか確認しようとログインする。

……本人も戦争シミュレーションゲームなどが得意で、正直やってみたいというのが内心だったようです。

【Blueearth】では常時商人モードだったので悪そうな商人をやっていましたが、実際は公私を分ける人で、普段は優しい人です。

野良猫は拾わないけど保護団体に資金援助するとかそういうタイプの良い人です。


シラサギ

──鷺宮(さぎのみや) 幸次(24)

ボディビル選手兼引越し業者。美しい筋肉を求めて彷徨う求道者。

全人類電子世界移住化計画に対して、自分の肉体が十全に反映されるのか疑問に思い応募した。

優しい性格や表情は、美しい筋肉にふさわしい人格であろうと努力した結果。


ハゼ

──新橋 五反(ごたん)(48)

一般応募枠。金属加工工場で働く一介のエンジニア。物作りは好きだが、コミュニケーションが上手くいかず難儀していた。

子供のころから寡黙な職人に憧れていたが、そうなった今は満足しているかと思うと、世知辛い。

勇気を出して話した年下の同僚に進められて応募し、偶然抽選に当たる。

……本人は否定していますが、実際は纏め役の適正がある頼れる人です。


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