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BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
氷砂先陣ブルード/デザート階層

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403/507

403.裁き幽閉する氷の兵士

【第161階層デザート:氷晶砂界の第一幕】


──────

魔女は渇きを与えた。

世界は砂となり、世界は氷となった。

ここは始まりの大地。躊躇いの砂浜。

ひきかえすなら、いまのうち。

──────




──2日目 7:20

side:クローバー


エンブラエルに頼んだ偵察が終わったようで、爆速で白竜着陸。砂が吹き飛んでくるからやめれ。


「氷の魔物達と"フワフアント"は直接対決する分には"フワフアント"が不利そうだ。

ただ戦局としては"フワフアント"が押しているね。地中の穴とかを上手く利用して複数人で潰している。

氷の魔物はある程度攻撃を受けると停止するみたいだ。見た目ほど絶望的な戦力差ではないね」


氷の魔物は"フワフアント"より遥かに大きいし、数も地平線を埋め尽くすほどだが……なんか上手くいってるみたいだ。


「全体的に前線はどんどん前に進んでいる。どうする?」


「フリーズ階層みてェに複数の階層に跨る可能性はあるな。俺たちも"フワフアント"後を追ってみっか。

好感度とかがあるかもしれねェし、ある程度協力しよう。

エンブラエルは引き続き空から戦況の確認を頼む。

このデザート階層では"熱砂"と"凍土"のデバフがかかる。とにかくHPが削られっから気ィ付けろ」


「厄介なフィールドなのね……。プリステラ、アイコ。暫くは回復補助に徹して頂戴」


「わかったわスカーレットちゃん」

「お任せを」


【夜明けの月】連合のメインヒーラーはアイコとソニアとプリステラ。こっちに二人いるのは助かるな。かといってメアリー側はヒーラー大本家【神気楼】のソニアがいるし、いい具合にバラけていたな。

不利があるとしたら……メアリー側に賢い連中を寄せたから、メアリー・ブックカバー・イツァムナのお手軽高火力広範囲の魔法部隊が居ないんだよなぁ。


「よし。【夜明けの月】進軍!」


「よっしゃあ行くぜぇ!」


「一人で飛び出すなマックス!」


「クローバーさんがちゃんとリーダーしてますね……」




──◇──




【第160階層 氷砂先陣ブルード】

冒険者用宿屋"ヒトヅカ"

──7:40

side:ライズ


「ミカン! 仕事よ!」


「準備万端なのです!」

「俺も万全だとも」


「いやジョージは寝てろ」


ミカンと、トゲ付き戦闘用担架にジョージ。いやトゲ付き戦闘用担架ってなんだよ。


「"拠点防衛戦"じゃ流石に死の危険があるわ。真っ当な"拠点防衛戦"かどうかはまだ分からないから、ちゃんと休んでて」


「むぅ。折角作ったのになぁミカン君」

「なのです」


そのまま担架から降りるジョージ。もう自力で動いてんな。どうなってんだ"人類最強"。


「"拠点防衛戦"……戦闘においては俺はそこまで要でもなし。大人しくはしておくが、この様子なら半日もあれば動けるよ。なんならもう歩く事はできる」


「answer:できません。24時間、行動と通信が不可になっています。根性と慣性で動かないで下さいジョージ」


「ぐむぅ。しかし、しかしな。スペード君を取り逃がした俺としては……」


「わーかったわよ。別の任務を与えるわ」


メアリーが何か考えついたようで、ジョージに耳打ちをする。

何か納得したようで、ジョージは頷いた。


「よし。"拠点防衛戦"じゃあミカンが戦場に立つだけで戦況が大きく傾く。ミカンを一刻も早く161階層に運ぶぞ!」


「うーでが鳴る鳴る鳴るのです!」


やる気いっぱいで結構な事だ。

……さて、どう取り回すか……。


「"拠点防衛戦"のルールは様々だが、ミカンがいれば正攻法で負ける事は無い。……が、あの有様じゃあなぁ」


外は、地上までずらりと並ぶ"フワフアント"の兵士達。

……あれは地上まで簡単には行けなさそうだな。


「地上組と連絡を取ろう。向こうにはエンブラエルがいるから戦況分析がより正確にできるはずだ」


超高速飛行と【コントレイル】指揮官としての判断能力が合わさったエンブラエルは、如何なる狙撃攻撃も回避した上で階層中の情報を高速で収集できる。

ここにきて"拠点防衛戦"で活躍させるつもりは無かったが、まぁ好都合。あいつなら飛びながらでもこっちと通信できるだろうし……。


と、考えている間にメッセージが入る。

噂をすればエンブラエルからだ。




──◇──




[エンブラエル]:

『氷の城を目視できたが、様子がおかしい。

……浮いてるし、なんか黒い』




──◇──




【天知調の隠れ家】


「……悪趣味すぎますね」


映像に映るは、デザート階層の()()()()。レイドボス"アル=フワラフ=ビルニ"の拠点──【氷砂世海(イェライスン・ティル)旅行記(・エィスロッタ)】。

ですが、それは美しい氷の城を中心とした一つの普通都市です。本来は。

私達が見ているものは──氷の城を取り囲む、巨大な黒い檻。そしてその背後に浮かぶ、灰の天秤。


「ラブリ。スレーティーとネグルは?」


「どちらも連絡取れています。遠隔で権能を奪われている訳では無さそうです」


「もしそうならスレーティーとネグルを削除すりゃ止まっちまいやすからねぇ。スペードの旦那はそんな温い手ェ使いやせんでして」


「削除なんてしません。……だとすれば、何処のタイミングで……」


生意気にもマトモな意見を述べるデュークは放置して、気付く。

スペード……ひいてはバグの干渉のタイミング。


「ウィード階層での"テンペストクロー"強制顕現の時にスレーティー、投獄の時にネグルと接触してデータを抜き取ったのですね。

こっそり実用可能なレベルまで培養していたと」


「多分白の劔(ブラン)はサバンナ階層のゴタゴタで手に入れるつもりだったんでやしょうね。結局バグごとバーナードに持ってかれたから不発に終わりやしたが」


「……バーナードと共同生活してどれくらい経っていると思っているんですか。だとすれば恐らく白き劔も取られていると考えるべきです、マスター」


スペードの行動は……正直、真理恵ちゃんの顔を立てて様子見に済ませる事もできましたが。【アルカトラズ】の力を使われてしまっては、もう容赦できません。

明確な敵意。歴然とした脅威。スペードは、ここで摘まなくてはならない。


「黒の檻。絶対の脱出不可能を科す、冒険者特効の監獄。

灰の槌。冒険者に絶対遵守の法律を刻む、絶対規則の所持。

問答無用で消すべきでして。なにを目を逸らしてやすか、天知調」


「うるさいですね。分かってますよ……。

貴方はスペードと知り合いでしょう。そんな提案して良いんですか?」


「あくまでビジネスライクでして。

それに、スペードの旦那がマジで無策にこんな事しないでしょう。強制削除にゃ何らかの対策がありましょうや」


「……そこまで理解していて、今私に削除を勧めたのですか」


「おおっと。いやいやははは」


「貴方から先に消してやりましょうか」


こいつほんま。

……スペードは【Blueearth】への干渉の先駆けとして、デュークを利用した。ジョブシステムを改造し、自分用の【フェイカー】を生み出した。

(その後一度死に【フェイカー】を手放したのち、使い捨てたデュークの【フェイカー】を押し付けられたのですが。因果応報)


「貴方も思う所はあるでしょう。命を賭けてミッドウェイでスペードと取り決めた約束は、容易く破られたのですから」


「そうでもありませんぜ。あっしが頼んだのは……"ライズを裏切らない"事でして」


「私は"全員守る"約束をしましたけどね」


「【夜明けの月】は全員守るのかもしれやせんね」


「屁理屈。……真意を聞こうにも閉じこもりましたからね……。

しかしわざわざ黒の檻と灰の槌の権能を行使するあたり、こちらへ宣戦布告はしているのでしょう」


全く素性を知らなかった頃ならばいざ知らず、今はそれなりにスペードと対話して理解ています。

巻き込まれただけだと言うのなら、ここまでやる事は無いでしょうに。


「……そうでやすね。ちと様子見と行きまして。【夜明けの月】もいやすからね」


「せめて理不尽なシステムだけは止めてあげましょう。私達の介入は、真理恵ちゃん達が動いてからでも遅くは無いでしょう」


「おや、ビビってまして」


「やかまし」


……相手は私クラスの知能を持っています。

警戒しているだけです。絆されてはいませんからね?




──◇──




【第161階層デザート:氷晶砂界の第一幕】


デザート階層の魔物は大きく分けて二種類。

古代文明の機械生物はフューチャー階層を最後にもう登場する事はない。


一つは熱凍の世界に適応した異常進化生物──"フワフアント"もここに属する。

熱と冷に強い骨格を得た巨大甲虫、水分に依らない進化を遂げた岩蛇……そんな感じの()()()である。


本来の原生生物は絶滅し、緑豊かなリゾート階層が無尽の砂原と化した後に現れるは──氷の魔物。

"アル=フワラフ=ビルニ"の眷属。氷の巨人"ベレヤ・アネクメネ"。

溶けない氷の肉体は、即ち不壊不死身。破損しても時間経過で復活するため、原住魔物は転倒・落下による封印で対応している。


今回も"フワフアント"達は、氷の巨人を転倒させて時間を稼ぐ戦法に出た。

(本当はこれが初めてなのだが、作られた歴史としては)定期的に襲いくる氷の軍勢は、適当に時間稼ぎをするだけで帰っていく。とにかく物量でこの氷の軍勢を押し留め、ブルードへ侵攻させない事だけを考えていた。


──のだが。

戦場を飛ぶ白い影──白竜に跨るエンブラエルは、見た。

黒い鎧を纏う巨人と、天秤に磔にされた巨人を。

情報収集が仕事の内にあるエンブラエルは、手早くアイテムで確認を取る。明らかに異様な魔物だからだ。




──【スキャン情報】──

《ベレヤ・アネクメネ/ジェイル》

LV157

弱点:

耐性:火

無効:氷

吸収:


text:

黒檻の力を手にしたアネクメネ。触れた敵を遠方の檻へと転移収監できる。

従来のアネクメネ同様、撃破後60秒で復活する。

────────────


──【スキャン情報】──

《ベレヤ・アネクメネ/ジャッジ》

LV157

弱点:

耐性:火

無効:氷

吸収:


text:

天秤を背負うアネクメネ。攻撃行動は行わないが、冒険者に対してあらゆる行動を制限する法令を敷く。

一体につき一つの法令しか発令できないが、効果範囲は広い。

従来のアネクメネ同様、撃破後60秒で復活する。

────────────




「これちょっとマズくない……?」


無敵にチートが合わさり最強である。

……対策必須とはいえ、どう対策したものか。黒檻の槍を掻い潜り、エンブラエルは報告に戻るのであった。

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