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BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
大樹都市ドーラン/フォレスト階層

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37/507

37.人はどこまで狂えるか

──《四方の塔タワー・オブ・スクエア

──北の塔


サムライ専用スキル【燕返し】。

一太刀目と全く同じ太刀筋を、返す刀で放つ第二の太刀。

恐るべきは刀スキル、神速の抜刀術【一閃】とのコンボ。


広範囲を巻き込む空を断つ【虚空一閃】を2連で放つ。単純で強力で有名な戦法。


だが、それでは50mも遠くの相手に届く事はない。


サティスは恐らく、市販のアビリティ【アンストッパブル】を限界まで鍛えてきたんだ。

攻撃行動に前進を伴う、ただそれだけのアビリティ。だが範囲攻撃の【虚空一閃】を前進しながら放つと、より攻撃範囲を広げる事が可能になる。

そしてそれら全ては【燕返し】で再現可能。サティスは超高火力広範囲の攻撃を振り撒きながら瞬間移動できるという事だ。

──【サムライ】業界じゃ定石中の定石。定番。あるいは知れ渡ってカビが生えたような戦法。


「両手盾か。素晴らしいチョイスだ」


「──【スイッチ】! 【トネリコの槍】!」


サムライの欠点も、対策も知っている。奪った槍で距離を確保しながら戦せばいい。


「──が、槍のリーチは前進する刀で相殺だ」


両手剣に分類される刀はリーチが広い。【アンストッパブル】の前進を含めたら槍と互角になる。

──これも有名な話だ。


「【スイッチ】──【簒奪者の愛(ゲットバッカ―)】!」


「──だから君の狙いは接近戦だろう」


「【残月舞】──っ!」


刀身が反射する光と剣の動きで残像を生み出す短剣スキル【残月舞】。

それを予期していたように、サティスは構えた刀身を被弾箇所に置いていた。


──【サムライ】のカウンター技!


「【刀桜流し】!」


残像あれど、結局は一本の短剣。

着弾と同時に刃の表面で流し、弾き──


「【スイッチ】!」


──思いっきり袈裟斬り!


……あっぶな。【煉獄の闔(ケイオス・エイギス)】で受けなかったら死んでた。

カウンタースキル【刀桜流し】。相手の攻撃を受け流した後の一撃は重い。勿論俺でも致命傷だ。

一瞬たりとも気が抜けない。だが、手を止めるわけにはいかない。


「素晴らしいね」


「【スイッチ】──【ミスリルソード】!

 さっきからごちゃごちゃうるせぇな! よく喋れるな戦闘中に!」


【一閃】は抜刀スキル。だから納刀だけはさせてはならない。最初の初見殺しコンボを受け切れたのは完全に偶然だ。

攻撃は止めないし、口撃にも出る。


「失礼した。戦いでしか物を語れない駄犬(上司)と長くてね」


猛獣使い(ビーストテイマー)にでも、転職したらどうだ? ──【ピアッシング】!」


「単調な突きは当たらないよ。……獣の世話はこりごりだよ。君も可愛い動物を飼っているように見える」


「【スイッチ】──煽りが下手だな! アンタのカビ臭い戦い方といい、随分といい子ちゃんなんだな!」


ダメージを与える際は攻撃力が1番高い【簒奪者の愛(ゲットバッカ―)】に頼るしかない。

だが短剣のリーチは短い。そこを他の武器で補う。


「カビ臭い? 結構な事だよ。【大蛇閃乱】!」


「【スイッチ】!──【煉獄の闔(ケイオス・エイギス)】!」


蛇行する刀の連閃を大盾で受ける。

タイミングが僅かにでもズレれば終わりだ。綱渡りばかりだ。

別にタイミングゲーは得意じゃない。無理矢理試行回数で身体に慣らしただけだ。いつまでも受け切れる自信はない。


「化け物だらけの最前線。僕が生き残るには、基本を鍛えるしかない。

 最も有名な戦法は、最も強い戦法だよ」


──その手の手合いが苦手なんだ、俺は!

基本に忠実過ぎる奴ってのは付け入る隙が無さすぎる。

なんせその隙すら一般的に知られてて、対策も研究されているから!


「さあライズ君。もっと戦おう。

 言っておくが、変人の相手は慣れているよ」


説得力がありすぎる。

最強の変人集団【飢餓の爪傭兵団】の大幹部だ。勝つには──とっておきが必要だ。


耐えろ。決定的な隙が生まれるまで、なんとか耐えろ俺。




──◇──




──南西通路

ハゼ軍の侵攻が始まり、南の塔へ向けて歩み出す。

やがて南塔に辿り着けば、停滞中の南東通路でメアリー達を挟み撃ちする事ができる。

そのため敢えて最初は進行せずに、一手遅れて動き出した。


今回の奥の手のためには、ハゼが南塔に行かなくてはならない。

そのための進軍。

カメヤマ軍は戦闘慣れしている血の気の多い連中を集め、最低限の指示以外は自由にさせている。サティスの邪魔になるからだ。

シラサギ軍は身内で固め、統率能力を高めていた。

ハゼ軍は余り物。比較的弱かったり、話が通じない連中が集められている。

──だがハゼにとっては、誰が相手でも難題。そして仕事上、嫌と言っても他人と関わらなければならなかったので、話がしにくい相手とでもある種のコミュニケーションが成立できるようになっていた。

寄せ集めに指揮するなら、ハゼが適任だ。


さて。現在ハゼは南西通路を進軍中。その足を止めた。




「mission:西塔メンバーを殲滅せよ。開始します」




立ち塞がるは今回の【ギルド決闘】第3位、レベル99、謎の黒髪メイド。


「──3人以上で、チーム毎に攻めろ。範囲攻撃で無駄被弾は勿体無い。数的優位でじわじわ削れ」


指示に間違いは無い。ハゼは慎重な男だ。

一人が倒せない相手は、じわりじわりと削る。それが定石。

個の力に期待していないハゼは、冷静に冷酷に、的確な判断を指示するのだった。




──◇──




──北の塔


私はただの雑貨屋で、鍛冶屋。

なのになんでこんなところにいるのかしら。


ふと冷静になれたのは、化け物と思っていた知人(ライズ)が、化け物と思っていなかった知人(サティス)に押し負けていたからか。


サティス。

私を見捨てた、許されざるおばか。

女にだらしなくて、酒に弱くて、でもやめないばか。

ウルフについていったのに、ウルフを見捨てた馬鹿。


何があったのかは知らないけど、あんなに本気で戦うとは思わなかった。

──ふと、刀に目を落とす。


──あぁ、そういう?




ばか。




──◇──




戦況は上々。ライズさんはサティスさんには及ばないようですね。


カメヤマ()印の秘密アイテムも使う事は無いのやもしれません。

まあ、策はあるに越した事はありません。


あのメアリーなる娘、勘がいいのか頭がいいのか。悉く私の想定する最良を避けてきますね。

挟み撃ちを恐れて中衛に避難したのならば、奥の手で一気に決められたのですが。


西塔ハゼ部隊はレベル99(ゴースト)単騎で潰すつもりですか。これもこちら的には厳しいですが、そう悲観する程ではありません。

ライズさんは通り抜ける事が目的だったのでこちらは全員で止めなくてはならなかった。

南西通路では逆です。ゴーストさんがハゼ軍を受け止めなくてはならない。レベルが高くとも楽な事ではありません。


依然。依然こちらが優位です。この様子ならサティスさんが勝ってくれそうですが、さてどうなるか。




──◇──




「さぁライズさん! 武器はあと幾つ残ってる?」


乱獲した武器も粗方壊した。あとは──あれしかない。

簒奪者の愛(ゲットバッカ―)】で最低限の致命傷は避けているが、有効打は無い。こちらのHPは後3割くらいか。重いの喰らったら終わりだな。


「勝敗を決めたのは武器だったね。そこらの盗品じゃ僕には勝てないよっ!」


ただ攻撃パターン通りに攻撃している訳じゃない。

一々攻撃の隙になるタイミングでマニュアル操作に切り替えて隙をズラして読みにくくしてくる。

──有名な戦法、ってか()()()! 広く知れ渡っているなら何でもできるのかコイツは! 大概化け物だな!


「随分とその刀に思い入れがあるな! 見覚えあるぞそれ!」


「──へぇ。カタログ漁りでもしてたのかな? この【瑜伽振鈴(ゆがしんれい)】は最上級の一振り。僕にとっては最強の刀!」


攻撃の速度がまた上がる。どんどんヒートアップしてるな。

──見覚えがあるってのはそこじゃないがな。


「武器は! 強化されてこそ真価を発揮する!

 レベルが頭打ちになれば、優劣は武器の性能に依存する!」


「それは同感だ……っ!」


「それに気付いたから、この刀一振りだけを鍛えた!

 最早誰にも届かない【瑜伽振鈴(ゆがしんれい)+88】は、僕自身の誇りだ!」


強化は、30回を超えると成功率がガタ落ちし、要求素材も強化費用も爆上がりする。突き詰める奴は少ない。

だからこそ。それが誇りというのなら、そうなんだろう。

いや、誇りというより拠り所だな。


「さあ短剣では受けられないぞ! 【大蛇閃乱】!」


蛇行する連続剣閃。短剣では受けきれない、平凡で確実な詰めの一手。




──これを待っていた。




「──【バックナイフ】!」


攻撃範囲から後方へ退避。しかし【簒奪者の愛(ゲットバッカ―)】を投げてしまう。

武器を失うが、こちらも強化済の武器。たった一度のチャンスだ。サティスのHPは残り6割まで削れた。


「仕留め切れなかったなライズさん!」


「充分だ。条件は揃った!」




──それは三つの試練を超えてやっと使える、怨の一振り。




「──【スイッチ】」




──弌ツ(ひとつ)。己が(HP)を闘争に奪われる事。




「……っ、()()()()()()()()()()()()()?」




──弐ツ(ふたつ)。七の同胞(武器)を失っている事。




「承知の上だ。これが俺のとっておきなんだよ」




──参ツ(みっつ)。その一振りのみに全て(MP)を捧げる事。




怨の炎は身体を焦がし、焔の鬼が武器に宿る。

煉獄都市ヒガルを支配する超常悪鬼、《焔鬼大王》から賜った一振り。




「目に焼き付けろサティス。

 ──人はここまで狂えるぞ」




それは燃え盛る戯れの太刀。焦黒の妖刀。

月も霞む程の陰炎(かげろう)がその刀身を隠す。




──【朧朔夜 +128】




「この一振りだけだ。 受けて貰うぜ色男!」


「っ、スキル硬直で間に合わないか……来い!」


【朧朔夜】が焔を宿す。

たった一度の必殺技。外す事は許されない。

柄に手を掛け、怨敵を定める。

──【朧朔夜】に宿った、専用の刀スキル。

炎と怨に蝕まれた妖刀の、閃光の如き抜刀術。




「スキル──【焔鬼一閃】」




──灼熱の暴が、慈悲すら焼いて全てを潰す。



~ジョブ紹介【サムライ】~

《寄稿:【飢餓の爪傭兵団】サティス》


えー。サムライの紹介なんて【大太刀廻り】か今の《最強》に頼めばいいじゃんか。

……わかった。わかりましたよ。この【飢餓の爪傭兵団】大幹部のサティスが紹介させていただくよ。

サムライは両手剣《刀》が使用可能なジョブだ。いや《刀》は両手剣使いならだれでも使えるけど。

《刀》の専用スキルのほとんどが【サムライ】で取得するから、使いこなすならこのジョブになるな。


・《アビリティ》

《二刀の極意:刀》

本物の二刀流が可能だ。《刀》は両手剣扱いだが【サムライ】のみは片手剣のように扱える。

だがまあ、無理して二刀流にする必要はない。攻撃速度が高いが一撃あたりが軽くなってしまうから注意が必要だ。

今のところ二刀流を使いこなした前線の【サムライ】は少ない。現在開拓中とみるべきだね。


《切り捨て御免》

敵撃破後、あるいは抜刀攻撃ヒット後に納刀する事でHP、MPが一定値回復する。

《刀》は抜刀する際に攻撃が可能な武器だから、とりあえず納刀しておくと得だね。

納刀のタイミングは大きな隙になるから注意しよう。


・《スキル》

【一閃】派生

《刀》専用の武器スキル、神速の抜刀術【一閃】。これの派生スキルを習得可能になる。

主に「何を斬るか」だね。

空を斬る【虚空一閃】は広範囲に斬撃を飛ばす。極めれば遠距離攻撃と言っても遜色ないレベルになる。

地を斬る【巖烈一閃】は大地を巻き込んだやや打ち上げ気味の攻撃だ。接地状態でないと使えない、範囲が狭い、だけど威力は絶大だ。

海を斬る【海幽一閃】は水辺か水中でしか使えない斬撃飛ばしの遠距離攻撃。極めると場所問わず水の斬撃を飛ばせる。

ほかにも幾つかあるけど、まあこれだけ覚えて帰ってくれれば十分かな。

おすすめは状況問わず使える【虚空一閃】だね。


【燕返し】

【サムライ】の専売特許、最強の二の矢!

一度目の攻撃と全く同じ攻撃を、刀の動きだけ逆再生して放つ二太刀目の刃!

一度目の攻撃が【一閃】ならそのまま【一閃】を切り返す! これがめっちゃ強いんだよね。

ただ、納刀から放たれる【一閃】を【燕返し】で逆再生したところで納刀までもっていくわけではないよ。


【刀桜流し】

防御態勢から攻撃を受け流して、その勢いをもらって敵を斬るカウンター技だね。

抜刀後、納刀の瞬間が【サムライ】の隙になるんだけど、そこを狙った敵に合わせると成功しやすいよ。

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