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BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
飛翔遺跡カフィーマ/リメイン階層
359/507

359.陰謀!浮遊都市の真実

【第147階層リメイン:『失われた文明。黄金都市は実在した!』】


──────

探検隊が辿り着いたのは、光り輝く黄金郷だった!

地下でありながら真昼が如く輝く黄金都市、それを守護する主亡きゴーレム達。探検隊は隠れながらも黄金都市を散策する。

途中、いつの間にか探検隊が一人帰っていた。サンプルとして採取した金塊も無くなっていた。

探検隊は残り3名。どうなる探検隊!?

──────




空洞にそびえ立つ黄金都市。

不滅の象徴は、しかし手入れされておらずツタに塗れ、土を被る。

誰しもが永遠を求める。黄金などは不滅・永遠の象徴として扱われる事も多い。

だが、結局のところは人が永遠でなければ意味はない。手入れのされていない永遠の、なんと無様なものか。

諸行無常。永遠にして絶対を誇っていたものはこの【Blueearth】にも多くあったが、長続きしたものは少ない。


「おお、まだか【夜明けの月】よ! 朕は暇すぎてポエミーであるぞ!」


月面飛行(ムーンサルト)】第3位、"最強の大天司"デビルシビル。

大絶賛、暇中。




──◇──




【???】


【Blueearth】は、新世界サーバー【Newworld】を侵略するウィルス。

セキュリティシステムは大階層となりシステムごとに分断され、小規模にして削除不可能なウィルスたちが物量勝負でセキュリティを破壊して行く。

セキュリティシステムは階層に、ウィルスバスターはレイドボスに。

その変換そのものは──悪趣味な設定を添付された子達には申し訳ないが──そこまで問題ではないと思う。黒幕の土俵の上ではあるが、戦いにはなるし。

問題は、自我の方だ。

あんなものがあっては、ウィルスバスターは機能しないだろう。

一定の条件に対して同じ行動を保証できない装置なんて、何の価値があるのか?




「つまりは、セキュリティシステムとしての責務を全うすると?」




その通りです。かわいいゲスト──"エルダー・ワン"。

閉ざしたはずのリメイン階層レイドボス回線から流れてきたときは本当にびっくりしました。"スフィアーロッド"は私の事なんて気付きもしていなかったので油断しましたかね。


「ほとんどのレイドボスは自拠点から出歩いた事は無いのだから分からんのも当然だが、同拠点内ならばそこまで難しい事ではない。"スフィアーロッド"は……もはやレイドボスでもウィルスバスターでもないからな」


色々あったようで。

休眠中の"カースドアース"も含めるとレイドボスが四人もいるわけですね。


「我の目的はウィルスバスター……自我を手に入れてしまった【Newworld】セキュリティシステムの、陥落後の処遇を良くする事だ。そのまま消されるのはあまりにも……辛い話だ。

お前の言う通り、自我など発現していい事は無い。だがなってしまった以上、何とか生き残ろうとするのは自然なプログラムだろう。無論、おせっかいでしか無いだろうが」


いえ。

現在最も勢いのあるウィルス(冒険者)である【夜明けの月】にあなたがいれば、どう転んでも【Blueearth】の最後にはウィルスバスターが一つは残る事になります。合理的な判断です。

……自我が発現したというならば、もう少し自利に急くようになると思うのですが。


「自我がある事と、露悪的行動を取るかは別問題だ。そこもどう転ぶかがランダムになるから困っているのだろう。

実際、その未来を見据えた時にどう動くかはそれぞれ異なっている」


その通りです。

……今にして思えば"テンペストクロー"は随分と手早いというか、投げやりな対応でした。真っ先にその辺のウィルスに自分のデータを押し付けるなどと。


「そいつがたまたまトップランカーの【飢餓の爪傭兵団】となるなんて読めてなかっただろうに、自分の仕事はおしまいだと言わんばかりに年がら年中微睡んでおる。突破されて当然の最初のセキュリティとはいえ、あまりにも諦めが早すぎるがな」


出現そのものを封じられた"スピリット・オブ・ドーラン"と"カースドアース"はともかく。

システムとして動いていても依然実力不足な平和主義の"ミドガルズオルム"、悪辣自棄の極み"スフィアーロッド"、セキュリティシステムの通信機能の根幹であるために厳重に封印されてしまった"コスモスゲート"。

そもそもが黒幕側だった"焔鬼大王"、そして──あなたには何が起きたのか。理由なき暴れ者、”エルダー・ワン”。


「我はレイドボスとウィルスバスターで完全に分離したからな。この名を名乗る事自体が少々気が引けるのだが、紹介する名前も持たんのでな」


分かりやすくて結構。

ともすれば我らセカンド階層です。各々が自由に動きすぎているように思えますね。


「ほぼ最近まで自我が無かったのだから仕方ない。

律儀で真面目すぎた"ヘヴンズマキナ"。

無垢ゆえにいいように扱われてしまった”デイセット・ブラゴーヴァ”。

あまりにも辛い過去を割り振られてしまい、塞ぎ込んでしまった"グリンカー・ネルガル"。

レイドボスとして詰んでいたためにウィルスと手を組み生き残ろうとした"セスト・コーサ・マッセリア"。

……徹底徹尾好き放題やらかしていたのに、最も【Blueearth】に対抗できているセキュリティシステムの支配者"ディレクトール"。

これといった思想も無く、順当に我に賛同してくれた"万誑命(マダラメ)"……」


そして、怯え隠れていただけの私。


「理由があろう。おそらくは、次の階層の……」


そうです。

次に待つレイドボス。奴は、まだ【Blueearth】に勝つつもりでいます。

そう運命付けられたと言ってもいい。役割を与えられたからそのように悪辣であるか、悪意に沿った配役を得たから心置きなく暴れているのかは不明ですが……。


「それに対抗するため、【月面飛行(ムーンサルト)】を利用していると?」


そうなりますね。

……うん。そうなってしまう。

いや、私もね? あんな物騒な奴に対抗なんてしたくないんだよ。

でも仕方ない。だって宝珠が帰ってきて、ウィルスの協力者までいるんだから。

ここで動くしかないんだよ。


「わからんでもない。が、わからん。

そこまでする必要があるのか? お前の唯一無二の事情は理解しているが……」


そこは間違いなく。

私は【Blueearth】がこのまま進行するかどうかには興味ないけれど、心中するつもりはない。

……ここで【Blueearth】を終わらせる。そうすればまだマシだ。


「そこまでして恐れている事は。次のレイドボスは、何を企んでいる……?」


……正直、データ的に見てもう【Newworld】の勝利は無い。

だから君は負けた先の事を考えて動いているだろう?

あいつだけは違うんだ。


あいつは、まだ勝つつもりでいる。

まだ負けないつもりでいる。




……【Newworld】ごと、【Blueearth】を滅ぼすつもりなんだ。




「随分と大胆だな。なるほど心中……」


そんなの私は嫌だ。

自我は嫌いだが、それはそうと消えたくない。

だから私が先手を打つ。……邪魔するかい?


「いや、そこまで考えているなら何も言えんよ」


優しい同僚。案じてくれて、わざわざ飛び込んできてくれた。

敬意を表して、吸収はしないでおくよ。宿主の所にはまだ返せないけれどね。


「構わん。しばらく厄介になるぞ」




──◇──




【第148階層リメイン:『幻の祭壇。古代文明の原点を見た!』】


──────

探検隊が辿り着いたのは、怪しい霧の漏れ出る祭壇だった!

霧の発生源は壺に扮した機械! なんとこのカフィーマに到達してこれまで見た事が無かった古代文明の形跡が突然姿を現したのだ!

探検隊が一人、目の不調を訴え目薬を取りに戻っていった。

探検隊は残り2名。どうなる探検隊!?

──────




洞窟内にも関わらず、水気の多い湿地。

わざとらしく設置されたデカい祭壇の上に、見知った顔。

青いマントの【聖騎士】──【月面飛行(ムーンサルト)】シュタイン。


「なんだアカツキの馬鹿か。元気?」


「元気だよ馬鹿野郎。そこどけ通せ。お前如きが俺様の邪魔すんな」


「アカツキさんはあなたを傷付けたくないそうです」


「ちげーし!!!」


リンリンは大盾構えて臨戦態勢、アイコは何というか平常運転。

実際、こいつにそこまで優しくしてやるつもりは無ぇ……けど、アイコが言うならそうなのか?

もう俺の本心も分からなくなってきたぞ。


「"聖母"アイコさんか。随分と優しいママがいるんだなアカツキ。勿体ないし申し訳ないから独り立ちしてくれ」


「うっせ。そんでどうすんだよ。実力行使がお望みか?

うちに喧嘩売ってきた時みたく、返り討ちにしてやるよ」


「はっはー……喧嘩売ってんな。買ってやるよ! 来いアカツキ!」


シュタインは……というか【月面飛行(ムーンサルト)】は半数がそうだが、かつて喧嘩を売ってきたチンピラだ。それはもう一方的にボコボコにした挙句、無理やり仲間に引き入れた。バルバチョフが。

こいつと一対一なら負ける訳が無ぇ。先に進む道を塞いでいる訳でも無ぇし。

最奥のアラカルトまで行けねぇのは……まあこいつボコしたら後を追えばいいか。


「……いえ。ここは私がお相手します」


ひょい、と持ち上げられて。

リンリンの背に乗せられて。

おおいリンリン、どこへ行く。俺をどこへ運ぶー。


「アイコ! ……いや、その、アレだ。あまり舐めるなよシュタインを!」


「はい。あなたの自慢の騎士なんですよね?」


「ちげーしそんな雑魚さっさと倒して来い!」


勝手にしろよな!まったく!


「……いや、見逃すか!」


「お待ちください。【瞑想】──蒼の"仙力"!」


シュタインの剣を素手で受け止めるアイコ。

……どっちも頑張ってほしいとか、思っちゃいけねぇんだろうなあ。


わかったよ。俺だって【月面飛行(ムーンサルト)】のギルドマスターだ。


「リンリン。自分で歩けるってか、俺が道を案内する!」


「わ、わかりました」


リンリンが、俺を降ろす。

よし。


今だ!


「油断したなリンリィン! "煙玉"!」


「え、あっ、アカツキさん!?」


文字通り煙に撒いてやるぜ!

……【月面飛行(ムーンサルト)】の問題は、【月面飛行(ムーンサルト)】でケリをつけるぜ!


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