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BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
大樹都市ドーラン/フォレスト階層
35/507

35.《四方の塔》

【第10階層 大樹都市ドーラン】

【土落】【鶴亀連合】倉庫跡地


──決戦の日。

両陣営は不要な衝突を避けるため【アルカトラズ】《拿捕》の(ともがら)の誘導の元、東西に別れて待機する。


中央に立つは代表者と審判。

即ち【鶴亀連合】総店長と幹部。カメヤマ、シラサギ、ハゼ。そして【飢餓の爪傭兵団】サティス。

即ち【朝露連合】代表者。メアリー、ライズ()、アイコ。

裁定者は光の扉より、2名が顕れる。


「【アルカトラズ】《拿捕》の輩 白き(つるぎ)のブランだ。

 本件は《審理》の輩の管轄ではあるが、決闘規模と内容から警備の必要ありと判断し参上した」


「同じく【アルカトラズ】《審理》の輩 灰の槌のスレーティーです。今回の審判を務めさせて頂きます」


……他の連中は知る由もないが、テンペストクローの一件を危惧した警備強化だろう。直接現場に来るのはリスクが高いが、同じ事が起きたなら内側に天知調と連絡の取れる人を配置する必要がある。


ともかく、準備は揃った。ここからだ。


「只今より【ギルド決闘】ルールの制定を行います。両陣営発言権はこの場にいる7名のみ。決定・合意は各リーダーであるカメヤマ・メアリーにのみ適応されます。異論ありませんか?」


「構いませんよ」

「勿論よ」


──ルール制定が始まる。


「参加人数は150対50。各自1名を除き、レベル制限99以下。決闘発案者は【鶴亀連合】ですが、随分と自軍有利ですね」


「これは【朝露連合】側からの提案よ。報酬が釣り合わないから人数でバランスを取ったわ。他のルールは平等にしてくれると嬉しいのだけど」


「報酬というと、『相手連合の吸収』だな。確かに【鶴亀連合】の規模は凄まじい。賭けるなら3倍の人数差も納得か」


「ブランちゃん静かにしてて。

 ……このルールだとどちらが勝利しても【鶴亀連合】【朝露連合】は合併します。例えば【朝露連合】に実権を譲渡し、明日控える《拠点防衛戦》であえてエルフ側を勝利させる事でドーランからの撤退を事実上回避する……といった【鶴亀連合】側の考え方とも受け取れますが?」


「そこは特に想定してないけど、必要なら処置をお願いするわ」

「我々【鶴亀連合】としてはエルフ派に負ける事を想定する必要はありません。データ上で申し訳ありませんが、こちらの資料から各陣営の総数を確認下さい」


「拝見します」


カメヤマのウィンドウに映るデータを確認するスレーティー。

このデータはカメヤマに依頼して作って貰っていた。データ上なら依然【鶴亀連合】が有利だ。アイコによる人心掌握はデータに乗らないし、そもそもカメヤマ側が負けようとしている事なんてスレーティーにはわからないからな。


「……はい。データを見る限り、確かにわざわざエルフ派に実権を移す計画の線は薄いようですね。

 人数差については承認致します」


通った。良かった。ここが関門だったからな。


「ではルールですが……今回は《四方の塔タワー・オブ・スクエア》とします」


両陣営の間にホログラムが浮かぶ。四本の塔とそれを繋ぐ渡り廊下によって、俯瞰図は四角形になっている。


「《四方の塔タワー・オブ・スクエア》では、四方の塔とそれらを繋ぐ通路で構成されたステージです。

 どの塔からも、向かいの塔へ行くには左右どちらかの塔を経由する必要があります。

 塔フロアは直径100mの円形、フロア間通路は1000mとなっています。

 一つの塔につき50名を配置し、陣営のリーダーが先に敗北した場合終了となります。

リーダーは向かいの塔になるよう配置して下さい」


「ここで時間使っても仕方ありませんね。私は北の塔を」


「あたしが南の塔ね。構わないわ」


勝利条件はカメヤマの撃破、敗北条件はメアリーの敗北。単純でいいが、カメヤマまでは最低100人の敵を撃破しなくてはならないわけだ。


「では、追加の条件はありますか?」


「まずは──」


「武器の制限はどうでしょうか。こちらは戦闘特化ではないギルドも多数抱えています。武器資源を平等にする必要があるかと。1人1種でいかがですか?」


「……そうかもね。でも1種は少なすぎでしょ。二刀流の人が詰むわ。せめて5種ね」


「ただの武器に5種は不要では?」


「じゃあ3種。これで決定でいいわね?」


「……いいでしょう。あぁ、盾も武器カウントで。合意します」


「追加ルール『武器は1人3種まで』承認しました」


……あ、サラッと追加されたけどこれ【スイッチヒッター()】に制限かけたのか。やりやがったなカメヤマ。


「持ち物格差で言うなら大手道具屋を抱えてるアンタらと回復アイテムの総数で勝てる気がしないわ。

 『味方同士のアイテム譲渡の禁止』はどう?」


「ふむ……武器数を縛った以上は異論を狭めませんな。ですがアイテム化して地面にでも置いた場合は?」


「……そうね。じゃあ『アイテム化して手を離れた物は拾えない』とかできる?」


「可能です」


「ふむ……あくまで試合開始時よりの譲渡禁止でよろしいかな?」


「勿論。この後に準備期間を設けてもらいましょう」


「……では、『味方同士でのアイテム譲渡の禁止』『アイテム化して冒険者が触れていない状態になったアイテムの取得禁止』を承認します」


「あと、レベル制限特例枠はリーダーの近くから開始するのはどう? あんなの東西に配置されて開幕突っ込んでこられたら困るわ」


「元より私のボディガードのつもりでした。合意します」


「『サティスは北の塔から開始』承認しました」


──幾つかのルールが素早く締結されていく。その中で少しでも利を取るように、二人のリーダーが舌戦する。




「──では、これにてルール締結。これより1時間後、【ギルド決闘】を開始します。各位アイテムを整理し、開始に備えて下さい」


「ではまた一時間後」


カメヤマが身を翻し自軍へ帰還。こっちより3倍数がいるなら意思伝達も3倍かかる。時間が惜しいのだろう。


こっちも戻り、編成を考える。


「武器3種……ごめんね。もうちょっと粘りたかったけど、それをダシにしてアイテム制限かける方が重要だったから」


「いや、3種もあれば充分だ」


それに、その後のルールのおかげで挽回できるし。俺は問題無いな。


「じゃあみんな聞きなさい。こっから作戦会議よ」




──メアリーの作戦を聞いた一同は、しかし既にメアリーを疑う者などおらず。不安ながらも同意した。


随分と奇抜な作戦だが──できない事は無い。

俺の負担が大きいけどなー。頑張りますか。




──◇──




「──時間です。《四方の塔タワー・オブ・スクエア》へ転移します」


1時間経過。スレーティーさんの声がした直後、全員が光に包まれ転移する。


あたし達が目を開けると、二つの門が閉ざされている大部屋──多分、南の塔。


『門は1分後に開きます。各自準備をお願いします』


放送が流れる。少しでも時間があるなら打ち合わせできるわね。


「全員! 門が開いて()()()()()()()へ突進よ!」


「「「了解!」」」


このルールは人数差を補う事ができる。

各部屋50人配置されるなら、こっちは50人全員でどちらかに突撃すれば最初は50vs50の互角な戦いができる。

……そしてルール上東も西もサティス(130レベル)はいないので、ライズがいるだけこっちが有利。


なら最初にぶつかるべきは、東西のうち動き出した方。相手の塔まで到達する前、通路上でぶつかれば時短に繋がる。


もし早期撃破ができたなら、今度はUターン。こちらへ向かう西陣営とぶつかりに行く。そうなると、東陣営へ加勢しに来た北陣営から遠ざかりながら、近くまで来た西陣営と50vs50で対峙できる。


そうすれば残りは北陣営。どうせカメヤマは北から動かず一部だけを加勢に向かわせるだろうから、東を通って来る北陣営を待ち構えれば50vs50未満。むしろこっちが有利になる。


とにかく、人数差を埋める。これが最前のプランA、だけど。


──どうせ何かしらのズルを用意してるのよね、カメヤマは。


そのズルがどういうものかもおおよその検討はついてるけど。あたしの作戦に抜かりはないわ。


「……始まるぞ」


ゆっくりと、門が開かれる。

──西の通路の先に見えるは毛むくじゃら。ハゼの陣営ね。

──東に見えるは──筋肉軍団。あっち人口密度ヤバいわね。


「──東! 動いたぞ!」


「うぇー……方向決定! 東を全力で突破するわよ!」


「「「了解!!!」」」


どうにでもなれー!




──◇──




──東の陣営、シラサギチームは正に突撃要因。構成員は日頃より運送業を勤しむ筋肉自慢【働き鶴】32名。今回参加したギルドでもトップの参加数。

不足を補うは【鶴亀連合】専属ボディガードなどの日雇い肉体労働ギルド【ブルーブルズ】16名。不足分は【ゴルタートル】用心棒部隊2名を補充。

最も少ないギルド数。元より波長の合う仲間(筋肉)達を統率するシラサギは、複数のギルドを束ねるのは不得意。

故にご贔屓の【ブルーブルズ】と共に、力技で敵陣営を轢き倒す。純粋物理にして質量勝負。同じ50人ならば、我々の質量(筋肉)に負ける道理無し。

脳筋故の絶対の自信。


──それが、僅かに揺らぐ。


我々(筋肉)の突撃と同じくして、【朝露連合】全てが突進してくる。総力戦は望むところだ。その思いを揺るがしたのは、迫り来る敵影(筋肉)


「【ダイナマイツ】! 力仕事の時間だ! 爆発しろォ!」


「根性見せよ【草原の牙】! 初陣に敗北は許されんぞ!」


ボンバ(荒々しき筋肉)ベルグリン(絶対的筋肉)の号令に合わせ突撃してくる、荒々しき筋肉達。


そこに混じる2つの(筋肉)


「いくわよアイコちゃん。気負わないでね?」

「勿論ですグレッグさん。では、救いましょう」


背筋(はいきん)を伝う汗。

なかなかの実力者(筋肉)。だがそれは恐れではない。


「シラサギ班! 上質な筋肉が相手のようです。思う存分ぶつかりなさい!」


──それは武者震い。

力の限り全力(筋肉)をぶつけ合える好敵手(筋肉)


「「「うおおおおおお!!!!!」」」


響き渡る雄叫び。突進する二勢力。


──筋肉が、ぶつかり合う!





~最強の称号~

《執筆:【井戸端報道】記者T》

今回は称号紹介ですゥン!

やはり冒険者ならば欲しいのは《最強》の二文字!というわけで、いろんな《最強》称号についての説明です。


《最強》称号は、現在の【Blueearth】冒険者の中で最も優れた冒険者に送られる称号です。

最も優れた、の基準は不明ですが、実際に同分野で本当に強いので……まぁ実力の証明にふさわしい称号でしょう。


冒険者すべての中で最も強い者、《最強の頂点》の称号を持つは、【至高帝国】のレンジャー!

トップランカーなので詳細は謎に包まれていますゥン!とりあえず片手銃二刀流……二丁拳銃の使い手という事だけはわかっています。


後はジョブ最強シリーズですね。

例えばマジシャン系第3職【大賢者】の最強、《最強の大賢者》の称号を持つは【象牙の塔】が三賢者の一角、ブックカバーさん。

他にもマジシャン系の《最強》はほぼ【象牙の塔】かそこの出身者で固められています。


ローグ系第3職【リベンジャー】《最強の復讐者》は【飢餓の爪傭兵団】最前線斥候部隊隊長ファルシュ。

かなり気楽に取材に応じて頂けて助かります。実は【井戸端報道】のOBなんですよファルシュ先輩。強すぎて勧誘されたんですよ。


ウォリアー系第3職【聖騎士】《最強の聖騎士》はもちろん【真紅道(レッドロード)】総隊長グレンGM。

ローグ系第3職【盗賊王】《最強の盗賊王》もまた不動の貫禄【飢餓の爪傭兵団】全軍総頭目ウルフ。

こうしてみるとトップランカーのギルドマスターともなれば最強であって当たり前ですね。


レンジャー系第3職【サテライトガンナー】《最強の宙銃士》は現在最前線でソロ攻略中の不思議女子クアドラ。

【飢餓の爪傭兵団】と【真紅道】の間を行ったり来たりしている風来坊の傭兵ちゃんです。


クリエイター系第3職【キャッスルビルダー】《最強の建城師》はクリックにて隠遁中の元【真紅道(レッドロード)】のミカンちゃん。

《サブジョブ解放事件》の後もクリエイター系メインジョブとして一点集中。《ミラクリース防衛戦》にて伝説となりましたが直後に勇退しました。


サモナー系第3職【ドラゴンブラッド】《最強の呪竜者》は若手ながら【コントレイル】の小さき司令塔キャミィが獲得!

所有者自体が少ないレアジョブではあるものの、セカンドランカー下位ギルドにして初の快挙です。


他にもいろいろな《最強》がありますが、本日はここまで。

オマケ枠ですが、《最強の金持ち》なんて称号もあります。

当然最大の商業ギルド【マッドハット】のGMが所持……していたのですが、いつの間にやら剥奪されていたとか。

一体だれがなったんでしょうね、《最強の金持ち》。まったく想像もつきませんが。

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