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BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
風雅楼閣サカズキ/ヤマト階層
336/507

336.参閃両断

【第130階層 風雅楼閣サカズキ】


──西町


「……城が爆発、北町で雪崩。どう動きましょうか」


リンリンさん、ミカンさん、僕。ここには支援チームが揃っています。

放送で、次々と花火が【夜明けの月】に集まっている事が分かります。

敵も少なくなってきていると思いますが……。


「もう少し中央町に近い位置で拠点を作るのが良いのです。恐らくレイドボス万誑命(マダラメ)はサカズキ城から出ますから、主戦場は中央町になる。

駆け込み寺は比較的近く、被害に遭わない程度に遠く、なのです」


「なるほど。確かに」


「しかし総合的に敵側の戦力が減っているのも事実。ドロシーちゃんはリンリンちゃんを連れて中央町へ向かうと良いのです。

建築なんてミカンさん一人で充分なのです」


対応力というか、指揮能力は流石のミカンさん。後衛支援のみに特化しているだけあって、冷静な判断力が光ります。


「ドロシーちゃんは、単独行動した方がいい……?」


「いえ、もう表に出てしまったので。リンリンさんと組めば襲撃も怖くありませんし、お願いします」


"神の奇跡"はレイドボス相手に狙うものでも無し、もう今から準備しても有効なタイミングは無いでしょう。

問題は……数の問題ですかね。


「"猫又九番守"は九匹の猫。その番号は通しになっていて……」


(いち)之番、狗五ヱ(イヌゴエ)

南町にてスペードが撃破。


()之番、猫撫(ネコナデ)

ここ西町で僕たちが撃破。


三番目……不明。

ただ、賭場が北町と南町にあり、その両者胴元の狗五ヱ(イヌゴエ)豆志波(マメシバ)がどちらも"猫又九番守"である情報はあったため……多分豆志波(マメシバ)

現在メアリーさん、ゴーストさん、ジョージさんが交戦中。


(よん)之番、猫託(ネコタク)

()之番、狗飼(イヌカイ)

どちらもサカズキ城に居ます。狗飼(イヌカイ)はツバキさんが倒した放送がありましたが、猫託(ネコタク)は……多分誰か中央町行きのメンバーが対応している……はず。


(ろく)之番、猫番(ネコバン)

東町でアイコさんが撃破。


(なな)之番、留丑ヰ(ルウシイ)

中央町でカズハさんが撃破。


「九匹だと言うのなら、最後の九番目が万誑命(マダラメ)だとして……」


「あ、あと一人、いるはずです……」




──◇──




──東町


「なるほど。あと一匹足りないと」


空から戻ってきたキャミィさんとエンブラエルさん。

お二人が相手だと、どんな空中戦自慢さんでも形無しですね。


「はい。果たしてどの町に居るのか……」


「然程心配する事じゃないんじゃないか? これまでの"猫又九番守"は自分から顔を出したと聞く。

まさかこのだだっ広いサカズキを端から端まで探させはしないだろう」


「そうだな。猫又族にとってはあくまで興行。探すよりは合流を優先した方が良いだろうな」


……確かに。これは"拠点防衛戦"でしたね。

だとするなら、集まるべきは──




──◇──




──南町


スペードです。

追手の【バッドマックス】三人は無事撒いたんだけど、これからどうするやら。

クローバーが花火を獲得したって放送が無いって事は……多分、猫託(ネコタク)と戦ってるんだろうなぁ。

中央町組と一緒に戦って、トドメを刺したのがクローバーじゃない……って可能性もあるけれど、どうだろうか。

クローバーが苦戦してるなんて考えたく無いけれど、あれでいて弱点多いからなぁ。フォローできない身が歯痒いよ。


「さて。行くべきは中央町かな? 北町の雪崩は……まだ放送無いし、メアリーが負けたって事は無いみたいだけれど」


どうあってもあんな遠くじゃ助けに行けないし。ゆるゆると中央を目指すとしようかなー。




──◇──




──北町




【チェンジ】。

【エリアルーラー】の特権、座標の交換。

基本的に1秒のクールタイムを要するけれど、その度に座標を指定しないといけないからそう簡単には連打出来ない。逆に、ちゃんとその辺の問題さえ解決していれば……同時に複数人の転移だって可能。


それ自体はヒガルでライズをボコした時にやってるし、出来ない事じゃない。

だけれど、今回は──この雪崩。

転移先もわからないし、この雪がどこまで積もるか分からない。元の座標に戻るゴーストの"廃棄口"も安易に使えない。

やってくれるわねプリティ☆メロン。名前と見た目以外全然ふざけないじゃないのよ。


「──【チェンジ】!」


飛ばすのは──




「──やってくれたな、お嬢」




──雪崩が収まる。

あたし達の周囲()()が、白く染まる。

プリティ☆メロンが、笑う。

足元の蜘蛛の巣も消えてる。これは……種切れかしら。


「──良かった……何とか飛ばせたわね」


座標限界ギリギリまで引き延ばして。真上の座標そのものを飛ばした。雪の厚み次第ではあったけれど、なんとかなったわね。

頭痛い。甘いもの食べたい。


「──だが、隙だらけだ!」


バルガスが魔法剣を振りかぶる。避ける余裕は、無い──


「ぬおおおお!」

「オリャー! メアリーサンに手ェ出すナー!」


──横から大男。【バッドマックス】トキシックが、バルガスを轢いた。

いや、クピコが投げ飛ばした?


アイコさんの実習の成果、デス! 非力なワタシでも、行動の起こりさえ見えれば……ここまで容易く投げられるのデスネ!」


アイコが【神気楼】に出張してた成果が出てるわね。良かった。

……少し回復してきた。なら、あたしの敵は──


「覚悟、出来てるわね」


「ああ。この純白は……俺の全てだ」


両腕を広げるプリティ☆メロン。純白の大地に純白のワンピース。似合うとか思わないわよ髭面のおっさん。


「色を使い切った。ゴーギャンに触発されたが……慣れない事をするもんじゃあ無ぇな」


「充分脅威だったわよ。お疲れ様」


プリティ☆メロンの分厚い胸板に手を添えて──




「──【次元断】」




──◇──




さて。

雪が降ってきてどうしたものかと思ったけれど、不自然に切り抜かれた場所を見るに……何とかしたようだ。


「こっちもそろそろ決着を付けようか」


影からの攻撃。これはブラフなので無視。

影の影からの投擲。スキルでは無いようなので、素手で回収。毒物の可能性もあるのでその辺に捨てる。

スキルによる針飛ばし。こっちは【建築ビルド】で即興の壁兼足場を作ることで防御。


……流石は【真紅道(レッドロード)】なだけはある。【アサシン】ライター君の猛攻は、俺でなければ中々対処が難しいだろうね。


「──まだ急ぐ事は無い。決着を付けたい、の間違いじゃないか?」


聡い子だ。

……俺はこの【Blueearth】において、決定的な火力を持たない。

首を折っても死にはしない世界だからなぁ。

トップランカーに通用するものとなると、高所からの【炎月輪(レッドムーン)】でダメージ判定の暴力に訴える事くらいだけれど。さっきから意図的に高所へ行かないよう誘導されているなぁ。


「なら、言い直そう。──これで決着だ」


ライズ君の【スイッチヒッター】が成立している以上……【Blueearth】において武器の切り替えというのは、そう簡単には出来ない。そんなのライター君は許してくれないだろうからね。

だから、途中で()()()()。それが偶々、【建築ビルド】したお粗末な床板に引っかかっているだけ。


片手剣【ヴィオ・ラ・カメリア】をインベントリに格納して──【紫呪竜の髭鞭(ボイゾナ・ウィップ)】を拾う。


「さあ行くよ。【バインドウィップ】!」


影。俺を挟んで逆側にも影。

二つのダミーに気を逸らして、影でも何でもない所に鞭を伸ばす。

──ライター君を捕獲した。


「な……んで分かるんだ、さっきから!」


「スキルを信用し過ぎているね。勿論、君はかなりマニュアル操作を大切にしているから釈迦に説法かも知らないけれど」


拘束自体は可能。問題はここから。


「私を倒せる程の火力があるのか?」


「あるよ。こう言うものが、ね」


懐から取り出したりますは、瞳……ツバキからの()()()

中には、赤い花びら。


「──それは……"悲恋散禍"……! とんでもない呪いのアイテムだ! 確か……触れる者を傷つけてしまう呪い?」


「試す人は少ないだろうから、そう勘違いされても仕方は無いね。このアイテムは……逃亡を許さない執着の呪いだ」


7秒。

その度に、呪いは空間に衝撃波を与える。

7秒の隙に逃げ出した者に対しては、より強くより激しく。

つまり、7秒の移動距離で自他へダメージを与えられる呪いだ。


「では、受けて貰おうか」


──リミッター解除。

俺に出来る全速力で、その場を離れる。──当然、ライター君の拘束も外れる。

逃げるライター君。君には呪いはかかって無いからね。だが──既に捉えた。




「──トドメだ」




高速で、ライター君の背後から──【ヴィオ・ラ・カメリア】を振り下ろす。

同時に──7秒が経過した。




──空間が割れる程の衝撃が、激震する。




──◇──




log.

"猫又九番守"豆志波(マメシバ)撃破を開始します。


「──お前さんもまた、速いねぇ!」


豆志波(マメシバ)は巨体ながら軽々と長刀を振るいます。クピコの重量増加薬が無くては武器が弾かれていた事でしょう。

──ですが。


「answer:貴方ほど速くはありません。ですが──勝てます」


「──言うねぇ! やってみな!」


モーションは全て取り込みました。

豆志波(マメシバ)がバク宙で距離を取ったならば──突進。


それは、受けます。


「──おお!?」


「damage:78%──速く、高火力。脅威と断定します」


──豆志波(マメシバ)の一撃を受け。そのまま、豆志波(マメシバ)を両腕で拘束──抱きしめます。

相手の速度がどうであれ、貼り付けば意味は成しません。


「やるねぇ……振り落としてやる!」


「answer:その必要はありません」


既に済ませました。

──血の針を、全方位に出現させます。


「action.skill:【鮮血磔刑(スプラッシュ・シン)】──もう逃げられません」


「こりゃあ──やってくれたな」


一手ラグのある針のスキル。それは私の周囲に展開し、私に向けて発動します。

──豆志波(マメシバ)には申し訳ありませんが、勝つためです。


「お相手できず申し訳ありません」


「これもまぁ、実力の内って事だな!」


からからと笑う豆志波(マメシバ)

もふもふを堪能しつつ──血の針が、その身を串刺しにします。




──◇──




"猫又九番守"豆志波(マメシバ) 撃破

【夜明けの月】ゴースト 花火獲得+1




──◇──




「──ジョージ、瀕死じゃない! ゴースト、速く回復してあげて!」


「ははは。先に解呪が必要なんだけれど、どうにかなる?」


「ワタシ【ドクター】なのデ。【リセットファージ】投薬しますネ」


「……クピコ、さりげなく【バッドマックス】2人抜きしてない?」


「頑張りましタ。エヘン」

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