326.開会突撃インタビュー!
【第130階層 風雅楼閣サカズキ】
──【井戸端報道】特別放送
参加者インタビュー編
「マイクテスト!!!!です!!!!!」
[カンペ]:
『ちょっと元気すぎるかなオオサダちゃん』
「はぁい!!!ごめんなさい!!!」
[カンペ]:
『一度マイクこっちに渡してオオサダちゃん』
「はぁい!!! 【第130階層 風雅楼閣サカズキ】よりお送りします、【井戸端報道】のオオサダです!!!
"爆裂花火二十七"開催まであと僅か! マックス氏による発破の効果あってか、名だたる著名人が集まっております!!!
タルタルナンバン局長より、全力でインタビューせよとの指令を受けましたので!!! 不肖このオオサダ!!! 全力全開で挑ませて頂きます!!!」
[カンペ]:
『二度とマイク握らないでねオオサダちゃん』
──◇──
インタビュー:【セカンド連合】
──いらっしゃいました! 見て下さい、街中でありながらあの半裸! テッカテカの筋肉! そしてやたら高い鼻!
あれこそ【月面飛行】の筋肉博士、ナイス様です!!!
「オゥ! Ms.オオサダ! お久しぶりデェス!」
──どうもナイス様! 暫くぶりです!!!
「HAHAHA! セカンドライフは順調デスカ? 【神気楼】の皆サン、特にソニアサンが元気だといいのデスガ!」
──はい! 今日もソニアちゃんは元気です! 今日は久しぶりに戦えるってワクワクしていましたよ!!
「成程。【神気楼】も参加するのデスネ。良いシラベデース!」
──やっべ! やり手ですねナイス様!
「HAHAHA! jokeデース!」
「それ、多分"良い知らせ"な。その言い間違い多いよなナイス」
──おっと、まさかまさかの【象牙の塔】破壊兵器アザリ様! 【象牙の塔】も参加なさいますのですね!ブックカバー様も名指しされましたが……?
「んー、叔父貴とかアカツキは不参加だぜぃ。ちゃんと観るって言ってたけどよ」
──成程成程。お二人が気になっている人とかいらっしゃいますでしょうか!?
「ムゥロン、Top Rankerデース! ワタシは、【ダーククラウド】からどうにも目が離せナイ……ナイスデース!」
「そうだねぃ。ウチのマックスがやらかした事ではあるが……トップランカーが"宝珠争奪戦"に口出しして来る事ぁ無かったからねぃ。警戒は必要だぜぃ」
──おや、慎重ですね! 上司とはえらい違いです!
「それはそれとして、叔父貴からしっかり【夜明けの月】をぶちのめすよう命じられているぜぃ」
「ワタシも同じくデース! Mr.ライズの頚椎ぶっこ抜きマース!」
[カンペ]:
『全然交戦的』
──◇──
インタビュー:【真紅道】
──おやや! あそこに見えます真っ赤な軍服は……
「む。むむむ! 【井戸端報道】オオサダ殿でありますか!本官は 【真紅道】最前線発破担当! ヒートであります!」
[カンペ]:
『凄く話が早い。そしてうるさい』
──【真紅道】の皆様はマックス様の挑戦を受ける、という形になるのでしょうか!?
「はっ! 黎明期より【真紅道】と鎬を削ったマックス殿の誘いとあらば、受けぬ道理が無いと! グレン隊長が仰っておりました!
残念ながらトップランカーそれぞれの上位陣は別件で立て込んでおりました故! 不肖このヒートが代表として乗り込んだ次第であります!」
[カンペ]:
『お一人で?』
「いえ! 同胞2人とサカズキに向かい! 可愛いネコチャンを追う内に1人になりました! ここはどこでありますか!?」
──大変です! 迷子が2人です!!!
[カンペ]:
『迷子になってるのはヒートさんだけだよ』
──◇──
インタビュー:【飢餓の爪傭兵団】
──見つけました。あの赤青の髪に漆黒のマスク!
[カンペ]:
『やめようオオサダちゃん。マジでやめよう。クワイエットさんはマジでヤバい』
──うおおお!!! クワイエット様! お話宜しいでしょうか!!!!
[カンペ]:
『オオサダちゃん!!!』
「………………あぁ、【井戸端報道】の。どうも」
──【飢餓の爪傭兵団】は大幹部クワイエット様お一人が出陣ですか?
「俺は……そうだな。1人と報道してくれるか?」
[カンペ]:
『生放送なので……』
「そうか……。うん……まぁ……大幹部だからな。1人で来れば面目も潰れると……いうものだ」
──もしかしてクワイエット様も迷子ですか!?
[カンペ]:
『オオサダちゃん!!!
失礼しましたクワイエット様。ご活躍期待しておりますー!』
──あーれー……
「ん……ままならないな。会話は、好きじゃない。
……多分ブックカバー様か……アザリあたりが来ている……。会ったら助けてもらうか……」
──◇──
インタビュー:【ダーククラウド】
──あ! エリバさん! エリバさんがいます! エリバさーーーーん!!!
「おやおやオオサダさん。お久しぶりですね」
[カンペ]:
『最近の最前線情報には名前が上がっていませんでしたね。最近は何をされていたんですか?』
「ちょっとしたサプライズの準備を、ね。【神気楼】の皆は元気かい?」
──勿論です!!! やはりトップランカーの牽制として参加を?
「それもあるけれど、個人的には【夜明けの月】の様子見かな。彼らは【ダーククラウド】にとって良き隣人で、良きライバルだ。
【ダーククラウド】はまだトップランカーとして歴が浅いし、ここで派手に活躍できたらいいなぁ」
「活躍しちゃダメだろう。我々はあくまでも第三者だ」
──あ、貴女は"鬼教官"キャミィ様! エンブラエルさんも来ていますよ!
「そうか。一つ捻ってやるとしよう。……期待しているような関係じゃないからな?」
[カンペ]:
『オオサダちゃん、あまり踏み込まない』
──はい、失礼しました!!!
「いやいや。……ところで、こんな街中でやるのか? 住民達は大丈夫なのだろうか」
[カンペ]:
『そこは大丈夫ですよ。猫又さん達は戦闘に慣れているそうで、身内でもよく建物を壊すそうです。猫又で一番多い職業は大工さんらしいですよ』
「そうなんだ。壊すのは止められないんだね」
「直す方に伸びるのか。いやそれで良いのか……?」
──◇──
インタビュー:【喫茶シャム猫】
「【喫茶シャム猫】の! シャムである!!!」
──お疲れ様です! お出口はあちらです!
「扱いが悪いのでコック」
[カンペ]:
『要注意人物なんで。何しに来たんですか』
「決まっておるであろう。このゴタゴタの隙をついて出店である!」
──参加しないんですか?
「成り行きに任せるのである。気が向いたら出る」
「我々の本来の目的は喫茶店の出店でコック」
[カンペ]:
『おいテロするつもりだ【アルカトラズ】呼べ』
「勘弁してくれたまえ。わかった。真面目に参加するから!」
──通報ゥーーー!!!
「この騒音幽霊全然話聞いてくれないでコック」
──◇──
──城門前
「細かいルールを制定してもらったぜ!」
あちらこちらで他のギルドが顔を出して、【井戸端報道】がドタバタしている頃。
マックスの隣には、【アルカトラズ】"審理"の輩スレーティーさん。
それなりの回数【アルカトラズ】に世話になっているマックスを警戒しているのもあるのか、"審理"の輩側からの提案を受けて【ギルド決闘】としてルールを再定義した。勿論あたしも絡んでる。
──────
【ギルド決闘】"爆裂花火二十七"
・"猫又九番守"【バッドマックス】【夜明けの月】三陣営はそれぞれ九つの花火を所持する。
・花火の移動には条件がある。
"猫又九番守"
→花火所持者による挑戦のみ
【バッドマックス】【夜明けの月】
→撃破(非花火所持者の挑戦可)or同ギルド間での譲渡
・合計二十七の花火が誰かの手に移った時に終了。勝者が【バッドマックス】【夜明けの月】以外の場合は引き分けとなる
・非参加、撃破済冒険者はサカズキでの戦闘行動を行えない(妨害・援軍禁止)
・"猫又九番守"の挑戦は順不同。万誑命に限り、他八番の花火が移動した場合のみ挑戦可能
・参加者は開始時、ギルド単位でサカズキのランダムな位置に転移する
・花火の所持有無は外見で判断は出来ないが、花火の持ち主が移った場合に放送で公表される。
──────
「公式が動いてくれると安心できるな」
「こっちが色々疑わずに素直に戦えるものね」
あれやこれやと……裏に陰謀抱えた戦いばかりだったからね。
こういう何も考えずに勝つことだけ考えればいいっていうの、むしろ新鮮ね。
「ギルドごと転移するんですね。バラバラではなくて助かりますけれど……」
「結局のところ、どれだけ早く【バッドマックス】を見つけるかが肝要になるね。開幕ミカン君で高台でも作る?」
「いや、多分必要無い」
ライズは何か察してる。……うん。嫌な予感はする。
「方針を再確認するわよ。まず、何よりも先に猫又から花火を奪う。【バッドマックス】が取ってもこっちが取ってもいいから、万誑命の早期着地を狙うわ。
一度猫又の手を離れれば、後は純粋な取り合いになるからね」
「レイドボスをさっさと呼び出せば、他の連中も動きが鈍るというものだね。
【バッドマックス】は位置を見つける程度で、最優先は"猫又九番守"という事だね?」
「どうせマックスはすぐに目立つ。だがその間に連中も猫又を狙う筈だ。"猫又九番守"は半数近くが場所不明。こっちの捜索がこの喧嘩の本命だ」
そう。この戦いにおいて、最も優先すべき事。
【夜明けの月】は情報と理屈で戦う──
──◇──
『では! これより!!!
"爆裂花火二十七"開催ですっ!!!』
オオサダの号令と共に、全参加者が転移する。
俺たち【夜明けの月】が着地したのは──西町、大通りか。
さて、【バッドマックス】は……
──遠方、北町の方で花火が上がる。
「──俺こそがマックス様だ! 【バッドマックス】の花火は全部俺が持ってるぜ!
かかってきやがれ馬鹿野郎共ォ!」
──【バッドマックス】は、情熱とノリで戦う!




