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BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
大樹都市ドーラン/フォレスト階層
25/507

25.密林ゴリラと可憐な娘

【第10階層 大樹都市ドーラン】

S(サウス)-1-4》

【土落】直通リーフリフト前


──14:55。

5分前行動とは感心だ。無事にメアリーもゴーストも合流できた。

が。


「いやー好きに買い物しておいでとは言ったけどさ」


レン君と再開できたのは結構な事だけども。


「……人を買うのはどうかと思うんだよな」


「誤解だから!」


メアリーに寄り添う、小柄なメアリーより小さいゴスロリ少女。……ゴーストと並ぶと映えるだろうな。可愛い。

顔を見られたくないのか、メアリーの背中に隠れている。


「人間売買は少し早いと思うな俺は。どこのご令嬢だ。返してきなさい」


「だぁかぁらぁ、誤解だって! とりあえず降りるわよ、リフト出して!」


「【土落】行キハ一人500L(ラベル)ダヨー。同伴シナイカラ勝手ニ乗ッテ降リテネー」


「安っ」


5人でリフトに乗り込み、ゆっくりとリーフリフトが降下する。ゴスロリ少女はほっと息をついて、メアリーから僅かに離れる。


「ほら、そろそろ事情を説明してくれる? 行き倒れたアンタをちゃんと【土落】まで逃してあげたんだからさ」


「は、はい……ありがとうございます」


思ったより低めの声。だが可愛い。アリ。


「えっと、気絶していたところを助けて頂いたどころか、身元もわからないのに願いを聞いて頂いて……感謝してもしきれません」


「いいのよ。それより目的は?」


「あぅ、えっと、後は一人でも大丈夫ですので……」


うーん可愛いが挙動不審。

メアリーには無い可愛さだ。本当に追い詰められたメアリーみたいな限界感に近いか?


「名前も言わないのはな。なんか裏とか無いか気になっちゃうぞ。本当に言いたくないならまぁ、仕方ないが……」


「あぁ、そんな、えっと……」




「いや、言えないのはそりゃそうよ。

 だって賞金首だもんね、ドロシー」




え。

さも当然のように言い放つメアリー。こいつマップも一度見ただけで把握したとか言ってたが、まさかこいつ……


「ブラックリストも全部暗記したのか? 名前も顔も?」


「暗記ってそんな大層な言い方しなくていいじゃない。一々読み返すなんて時間が勿体ないってだけよ」


瞬間記憶能力ってヤツか? 賢いとは思っていたが、そんな事までできるのかよ。




「あ、そっか。だから()()()()()()()。変装なんだ。やるじゃない」




ピタリと、時が止まる。


1番早く動いたのはドロシー。リーフリフトから飛び降りようとして──ゴーストに抱きしめられ捕獲される。


「別に突き出すとは限らないわよ。アンタが何したのかによるけど」


「メアリーさんも、()()()()()()()()()()()()! 僕は絶対に口を割りません!」


あまりに当然に進行しているが、俺とレン君は硬直から復帰できない。

男だと? この可愛い子が?


「ら、ライズさん。まじでブラックリストにあったっス。ドロシー。レベル25の【ガンナー】で、()()()()の幹部っス」


まじかー。レン君のウィンドウを覗き込む。本当じゃん。

あれ? 既に割と美少女では? 女装の必要あったか? 


「女の子が女装はおかしいのでは?」


「あぅ、そんな事ないはずです。僕は男なんだから、変装するなら女装よねって()()()が……」


ドロシーは観念したのか、抵抗は諦めたようだ。ゴーストに後ろから捕獲されている。可愛い。


「あ、でもブラックリストは困るかしら。だってレンって【飢餓の爪傭兵団】の傘下だもんね。ここでは【鶴亀連合】の手下でしょ」


「あ、それ勘違いっスよメアリー。俺のいる【飢餓の爪傭兵団】傘下──【ダイナマイツ】は、【鶴亀連合】と業務提携してるってだけっス。

 仲良くやらせては貰ってるっスけど、むしろあまりお互いに干渉しない方がいいんで。向こうが勝手に作ってるブラックリストなんて知らねってボスが言ってたっス」


「レンさんは【ダイナマイツ】ですか! 良かった、安心しました……」


「俺は新入りっスけどね。兄貴達と知り合いスか? いやそんな事ないか。こんな森の妖精さんみたいな子が。兄貴達はどっちかって言うと密林のゴリラっス」


「凄い良い様じゃないの」


うん。あいつらはゴリラだしあのギルドは密林だな。間違ってない。


「……あの、詳しい話は【ダイナマイツ】でお話します。それでもいいですか?」


「まぁ賞金首ならそりゃな。【土落】入り口は宿屋ばっかりで冒険者だらけだし、こっちも横槍入れられたくないしな」


……でもさー。もし変装目的だったら大ハズレだろ。

めちゃくちゃ注目集めてるもんな。可愛いから。




──◇──




【土落】隆起した根の上の廃墟

かつて宿だったこの家は、現在屋根が吹き飛んでおり3F以上が使用できなくなっている。

既に扉は意味を無くし、開きっぱなしどころか片方の扉はそもそも外れている。

──ここはダンジョンではなく。巣くうは魔物では無くゴリラ。

【飢餓の爪傭兵団】傘下ギルド、ドーランエリア担当。【ダイナマイツ】のギルドハウスである。


「帰ったっスよー兄貴達! お客さんっスー」


慣れたように突入するレン君。「ちょっとここで待っとけ」とメアリー達には指で指示し、俺も一緒にはいる。


中は──惨状。

よくもまぁこのデジタル世界でここまで汚せたものである。ゴミは放置したら消滅する世界だが、アイテムはそのまま。乱雑に捨て置かれた回復薬やらよくわからん置物やら、まぁ色々と酷くとっ散らかっている。


「うぉー! おかえり新人! もう慣れたもんだな! 客だってよコクショク!」

「……あぁ? あぁ。もう飯は食ったよ」

「違ぇよバカ! お客さんだって!」

「うおー! 侵入者ー!」

「だからお客さんだってペンスリ! 止まれ!」


すごい喧しい。ここいつ来てもうるさくて逆に好き。

レン君は慣れたように先輩達を躱して1番奥──自前のアフロを揺らす男に声を掛ける。


「ボスー。ボスにお客さんっス」


「……俺ァ今、成功率15%のボトルシップを作ってンだ。邪魔するんじゃアねぇや」


「ライズさんっス。話だけでも聞いて欲しいっス」


「ライズだとォ! やめだやめだ面倒臭ェ! こんなのやってられっかよォ!」


ボトルごと全部砕き地面へ払い捨てる男。流石だな。なんでやってたんだ。


「おォうライズ! 待ってたぜ! 遅いじゃねェの!」


「諸々あった。お土産はちゃんとあるからさ」


アドレ果樹園で収穫したりんごを手渡す。こいつはこれが好物なんだよな。


「ヒュー! 助かるぜ。切らしてたところだ」


「そんで事前に伝えた通り、ここを一時的な拠点にしたいんだが……」


「はっはァ! このボロ古屋で良ければ構わねェさ! 掃除なんてしねェから勝手にやってくれ!」


「女が来る」


「野郎共ォ! 掃除だァァ! チリ一つ残すんじゃァ無ェぞ!」


「「「ラジャー!!!!」」」


息ぴったりだなこいつら。




──◇──




──数分後。


もう大丈夫だよー、と外の三人に声を掛ける。

既に人見知りモードに突入していたメアリーがゴーストに背中を押されて入室。


日頃めったに見ない美女美少女に湧き上がるフロア。

ビビるメアリー。


くっそ面白い。


「……てなわけで、ドーラン攻略の間はここに厄介になる。【夜明けの月】のメアリーと、ゴーストだ。宜しく頼む」


「うおおおおおおお!!!!」

「メアリーちゃああああん!!!!」

「ゴースト様あああああ!!!!」

「かわいいいいいいい!!!!」


テンション爆上げの爆弾男共。メアリーはもうゴーストの裏に隠れてしまった。


「おぉ、我々も挨拶せんとな。お前らァ!」


「「「応!!!」」」


素早く並ぶ7人の男達。


「俺は新人のレンっス。【トリックスター】やってるっス」


「びっくりするほど料理がマズイ!【バーサーカー】のアミド!」

「信じられないほど耳が遠い!【バーサーカー】のコクショク!」

「呆れるほど片付けができない!【バーサーカー】のシモセ!」

「全体的に話を聞かない!【バーサーカー】のペンスリ!」

「芸術的に字が汚い!【バーサーカー】のカリット!」


「そして俺こそが【ダイナマイツ】のギルドマスター!

 尊敬されるほど何もかも雑!【バーサーカー】のボンバ様だァ!」


「あと纏め役のミズバケツです。【ナイト】やってます」




「……脳筋ばっかりじゃないの!」


おっと人見知りよりツッコミが勝った。




──◇──




「てかそっちのかわいいのはドロシーかい! びっくりしたぜ」


馬鹿騒ぎしていたのでリアクションが遅れた。この辺の話が聞きたいんだこっちは。


「ボンバさん、お久しぶりです」


「おォよ。で、()()()は?」


「無事逃げ切れた筈です。()()()()も起きましたし」


アフロゴリラとゴスロリ男の娘が並ぶ様は美女と野獣と言うべきか事案と言うべきか。ともかく、ここいらで確認しておく。


「じゃあそろそろ説明してもらおうか? ()()()()幹部のドロシーちゃん」


はっとなって、慌てて振り向くドロシー。え?可愛い。


「えっと、わかりました。改めまして、僕はギルド【エルフ防衛最前線】の幹部、ドロシーです。レンジャー系第2職【ガンナー】をしています。

 我々はこのドーランを取り戻そうとする原住種族──エルフに協力しているんです」


【鶴亀連合】では()()()と呼ばれる、フォレスト階層の第2勢力──エルフ。

現在はその殆どがブラックリストに入れられており、フォレスト階層にいながらドーランで買い物すら満足にできない状況だ。


「エルフ派は【鶴亀連合】に長い間追いやられていまして……でも、最近は逆転の目が出てきたんです。それがあの人……《聖母》アイコさんです」


「《聖母》? 大層な呼び名ね」


「アイコさんはなァ、ここ数ヶ月の内にドーランに来てすぐ、ドーランへ行き傷付いたエルフを回復しちまった。

 そのせいでブラックリストに乗ったんだが、それでも敵味方問わず回復して、誰にも平等に愛を振りまいたのさ。

 ずっとブラックリストに入ってるのに、【鶴亀連合】……ドリアード派も一部の奴は見逃してる。そういう連中からの融資で【エルフ防衛最前線】の軍資金が着実に増えてるんだ」


……アイコ。《聖母》アイコね。聞き覚えがあるな。


「今は減った人数を補填するためにエルフ達の回復と戦力増強に努めてますけど、過去最大の勢力になってるんです。冒険者は相変わらず少ないままですけどね……」


「俺達ァ立場上【鶴亀連合】じゃないンで、良心あるドリアード派の連中は最終的にエルフ派を俺ン所にパスするわけだ。ほとぼりが冷めるまで匿ってやる立場だな。仲裁も肩入れもできねェけどよ」


……つまり、人心掌握だな。悪い感じに言えば。

真っ当なルールの上ではカメヤマ達が有利だが、実際に人の心を惹きつけているのはアイコ。比率だけバランス取ってエルフとドリアードでプロレス仕組んだとしても逆転の目は大いにあるって事か。

《聖母》に絆された、つまるところが裏切り者。だが【鶴亀連合】は闘争を煽ったり退路を減らしたりはするが、強制はしていない。あやふやな部分で人を利用していたら、そこを逆利用された感じだな。


「今回は良くしてもらっているお店にこっそりアイコさんと来たんですけど、過激派に襲われて……。

 ()()()()がまた起きたのでアイコさんは逃げられましたけど、僕が追われまして。

 裏路地で休憩していたところをレンさんとメアリーさんに助けて頂きました」


「さっきからその《神の奇跡》って何なのよ」


「おゥ、それこそアイコさんが《聖母》たる所以だなァ。

 アイコさんの前ではな、どんなに敵対する相手でもその威光に怯んで動かなくなる事があるンだな。

 もちろん改心とかじゃないゼ。その後また追われたりするからな」


「アイコさんは《聖母》ですから。神のご加護ですよきっと」


随分と自信満々で誇らしげだ。

だがそんな事あるかね?


「スタンとかじゃないのか? 熱心なファンがペナルティ覚悟でスタン技こっそり使ったとか」


「実際スタンではある。というか《スタンシード》だなァ。それが現場に落ちてるからな」


「search:item スタンシードは触れると10〜15秒程度スタンしてしまうアイテムです。フォレスト階層全域に存在します。特に【第14階層フォレスト:黄金の花園】に多く群生しています」


「それ投げる方もスタンする?」


「勿論。それにアイコさんが孤立していた時にも奇跡は起きたからな。もしスタン技の遠距離射撃だとしても無理だ。その時は少なくとも100m圏内には味方はいなかったそうだ」


100mというのは【Blueearth】では一つの基準となる。

即ち、遠距離攻撃の限界距離。

両手銃でも、有効範囲は100m。それ以降は攻撃が消滅する。

だから闇討ちや伏兵を警戒する奴は100m見渡せるような場所を選びたがるものだ。


「誰も近くにいなくても突然スタンシードが現れて邪魔者をスタンさせる。そりゃ人智を超えてるわな。神の奇跡って呼ばれるだけはある」


ちょっと会ってみたくなったな。

だがそれより、脱線し過ぎた。


「で、これからどうする? 【ダイナマイツ】はドロシーを匿い続けるのか?」


「いや、あくまで無干渉だ。今晩は泊めるが、明日には【翠緑の聖域】に戻ってくれよドロシー」


「はい。みなさんも、ご迷惑をおかけしました」


深く頭を下げるドロシー。

礼儀正しいが、こんなに小さな子が幹部やってるあたり本当に人数が足りないんだな。


「……【翠緑の聖域】って?」


「answer:フォレスト階層に存在する裏拠点階層です。攻略階層に隠されている拠点階層を裏拠点と呼び、フォレストの【翠緑の聖域】では現在はエルフの本拠地となっています」


裏拠点は発見するのに条件があったりなかったりする。ここでは……《ドリアード派ではない》事。だから本拠地を潰されてお終い、とだけはならないんだな。


「さてボンバ。早速で悪いが【夜明けの月】で会議がしたい。上の部屋借りていいか?」


「悪巧みか。じゃあ俺もドロシーとエルフ派との悪巧みでもすっかなァ」


「あんまり肩入れしちゃダメですよボス。我々は比較的【鶴亀連合】寄りの中立です」


ミズバケツさんに嗜められるボンバ。いい部下持ったな。名前に凄い使命感のようなものを感じる。




──◇──




【ダイナマイツ】

2F 会議室


メアリーとゴースト、そして俺。

全員揃った事でやっと安心して話ができる。


「さてメアリー。俺たちはこのドーランをさっさと通り抜けるわけだが、何かあるか?」


「仲間必要なんじゃない? 誰か勧誘するんでしょ」


「まぁそのつもりではあるが、いないならそれはそれでいい。ドーランは相当特殊な環境だからな。ここから出たく無いタイプの冒険者も多いし、そこまで必死に仲間を探すつもりはない。

 まぁスルーしても被害はない」


メアリーは何か発言を躊躇っているようだ。

何となく気持ちはわかる。後押しするか。


「ちなみに我らがギルドマスターは何がしたい?

 折角の旅だ。やりたい事して楽しみたいだろ」


「ん……そうね。凄い個人的な話なんだけど……エルフを勝たせてみたいわね」


「ほう。その心は」


「ムネミツさんはエルフを一方的に追い立てるのがトラウマになって戦闘できなくなったって言ってた。

 オオバさんは元々はエルフ派の幹部だったけど、執拗に追いかけられてウィードまで逃げるしかなかった。

 他にも多くの冒険者がここで、ただの冒険者の利益のために攻略を諦めたみたいね。ベルグリンもある種そうかしら。

 ここでどんでん返ししたら攻略に前向きになる冒険者が増えて、勧誘しやすくなるんじゃない?」


理性的で理知的。メアリーはリーダーたらんとするべく発言に気を遣っている。

最終的に利益、という話すらこうして密室にしないと話さないくらいだ。

だが、もう少し本音が聞きたい。


「【鶴亀連合】のしてる事はな、基本的には【Blueearth】のルールに忠実だ。ドーランは永年樹をエルフとドリアードが奪い合うコンセプトの階層。そこにはカメヤマは一切手を加えてない。

 あくまでルールの上で、ドリアードが有利にしているだけだ。それ自体は別に悪じゃないし、そもそもドリアード派への参加を強制したりはしていない。

 何が言いたいかわかるな? エルフが勝ったところで頭がエルフに変わるだけだ。今度はドリアード派が追いやられる。

理屈をこねて弱者を助けようとしたか? だとしたら結果は変わらないぞ」


メアリーは押し黙る。

オオバさんの話を聞いたと言っていた頃から危惧していた。

一方的な被害者への憐れみは一過性。助けて自己満足に浸るのはいいが、目的を忘れてまでやる事ではない。


「俺たちは正義の味方か? ただでさえ想定より出遅れているんだぞ」


「……そうね。あたし達は正義の味方じゃない」


「そう。【夜明けの月】は世界征服を企む悪の組織だ。ならどうする? ()()()()()()()()()


悪い笑みを浮かべて、いい笑顔で顔を上げるメアリー。




「ムカつくから【鶴亀連合】を蹴落としたいわ!」




「よう言った。同感だ!」


ゲス笑いで手を組む俺とメアリー。

ゴーストは紅茶を淹れ始めていた。暇だったね、ごめんね。


「なんかムカつくのよねドーラン(ここ)! ズタズタにしてあたしのものにしてやりたい!」


「俺もいい加減喉の小骨を取りたくてな。一丁やるか、ドーラン転覆!」


「いいわね! 作戦あたしも考えさせてよ! 情報ちょうだいよ!」


「言うと思ったぜ! じゃあまず一つ目な」




「俺、【鶴亀連合】の味方じゃないといけないんだ」




「は?」


そうなるよね。ごめんね。

この流れにしたかったんだよ。


──助けてメアリー先生!



〜【Blueearth】は不完全〜

《天知調の独り言》


【Blueearth】は全人類データ化の技術のお披露目的な側面もあり、ゲームとしては割と破綻しています。


まずオンラインゲームなのに肉体データそのまま反映されちゃう事。つまりアバターカスタムが無いのです。

これ徹底抗議しました。現代はまだ現実を生活の中心にしています。網膜まで再現出来ちゃう現実と同様のアバターとか、個人情報の全裸徘徊です。

それにゲームっていうのは理想の自分になれるって事も利点だと思うんです。言ってしまえば現実逃避。わざわざ辛い現実を思い起こす必要はない。

……ま、実際は記憶と倫理観を改竄するので全然問題ないんですが。

でもやっぱり被り物とかじゃなくてガチでケモとかロボとかなりたいと思うんですよ〜。

世界征服したら服を着替える感覚でそのくらい変身できるような世界にしたいですね。

あ、ちなみに真理恵ちゃんはしっかり髪の色だけ金色にしてます。本当は私と同じ栗色です。


次にプレイヤー人数。

お試し版である事、私が作成に関わったというネームバリューで応募の数が凄い事になってしまったので、まず何人にするか【TOINDO】さんと議論しました。

私は結構必死でした。この最初の人数がそのまま【NewWorld】侵略の武器になるのですから。

一度計画を始めれば現実から数千人が消え、現世は混乱します。それと同時に私を止めるべく国際対策本部ができるでしょう。片手間で倒せる相手ですが、流石に外から追加を呼び込む余裕はありません。

なので初期メンバーで攻略してもらうしかないのです。

特別招待枠もかなり慎重に選びましたし、一般応募の抽選枠もデータをいじって、見込みのある人や現実が辛い人を優先的に選びました。

……結果。冒険者の殆どは冒険をせずアドレに。

攻略をしている冒険者でも多くて2000人程度、関門である79階層を突破できた冒険者は300人程度となりました。

これでもまぁ悪い結果ではないですが。もっといっぱい動いてくれてもいいんですよ?

まだまだ先が長いのに、とは思いますが。

79階層の関門を解析して難易度を緩和する事も出来ますが、それすると致命的なバグが出てきてしまうので対処が大変なんですよね。

忘れがちですが【Blueearth】は【NewWorld】の内部を侵食し、ゲームに置き換える事で物理的に攻略するウィルスです。79階層の関門も私が考えた訳では無く、【NewWorld】のその辺のガードが硬かっただけなんです。

今頭を悩ませてくるバグさえなければ攻略の後押しに集中できるんだけどなー。


あーケモい真理恵ちゃんとか球体関節の真理恵ちゃんとか見たいわー。

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