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BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
密林祭壇ウェンバル/ジャングル階層

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247/507

247.攻略!風雲魔王城

【第101階層ジャングル:アペテ開戦ライン】

【魔王城】1F

──第一班 地上迎撃部隊

リンリン・アイコ・ツバキ・ゴースト・レン・ベル・パンナコッタ


【セカンド連合】地上班突入者数12/27人。


音に聞こえし"建国妖精"と"無敵要塞"の最強防壁。正門の化け物三兄弟に多くのメンバーが取り残された(というか挑発に乗ったというか)今、正攻法では突破は困難か。


「素直にルートを辿るな! "無敵要塞"に繋がってしまうぞ! 壁を破壊してルートから逃げろ!」


「かしこまりました。【スパイクスローン】!」


【神気楼】の一員、大きなハンマーを軽々振り回す細身のシスター、マナエル。

流石はパワー系シスター集団【神気楼】。壁の破壊に躊躇無し。


突き破った壁の先には──




「こんにちわー」




パワー系シスターがいた。


「失礼しますね」

「えっ」


リアクションの間も無く、シスターマナエルが壁の中へ連れて行かれる。


「もういいですよミカンちゃん!」

「あっちょっ待」


そして一瞬で復旧される壁。

……うん。


「ルート通りに進行する。総員、"無敵要塞"と戦う覚悟を決めろ!」


嫌だなぁ。




── 【セカンド連合】地上班突入者数11/27人。




──◇──




【魔王城】1.5F 管理室


「よしよし。いい子なのです。

ゴーストちゃんは継続して壁外で待機。レンちゃんはアイコちゃんからマナエルちゃんを引き継いで処分。

パンナコッタちゃんは医務室で製薬を続行。アイコちゃんはレンちゃんに引き継いだ後は配置戻る前に医務室寄るのです。ドーピング入れます」


流動する【魔王城】の壁やら部屋を管理しながら、全員に的確に指示していくミカン。頼りになりすぎる。


「屋外地上も落ち着いた頃なのです。ベルちゃんは隠し扉からバーナードを回収して下さい。道中に武器の罠を設置するのを忘れずに」


『任されたわ。……しかし、随分と素直に進むわね。でっかい魔法でドカーンってやらないのかしら』


「ミカンさんの悪名は知れ渡っていますので。最初の通路の壁を脆く作って壁破壊を誘導して、即対応即修復を見せ付ければ警戒してくれるのです。

ベルちゃんの言う通り、現状外壁の損傷もありますから一番嫌なのは無差別破壊なのですけど」


敵からすればこんな立派な【魔王城】が崩落して生き埋めになったらたまったものではない。素直に従った時点でもうミカンの術中という訳だ。


「さーて。リンリンちゃんの所まではベルちゃん謹製の武器トラップゾーンなのです。ついでにゴーストちゃんとアイコちゃんの横槍付き。果たして何人が奥まで辿り着けますですかー?」


「味方にしてよかったよ本当。……戦力は充分か?」


「屋外組もリーダー格を抑えたからか、結構手が止まっているのです。リンリンちゃんすら温存している現状、これ以上は過剰戦力なのですー」


「頼もしすぎる」


「戦闘じゃ役に立たないのでー。おりゃおりゃ不用意に階段を登ったり降りたりさせて膝を壊してやるのです」


「やめたげて。【Blueearth】だとダメージ無いだろそれ」




──◇──




【セカンド連合】地上班突入者数11/27人

正門より第二陣5名突入、16/27人。


数分後、あらゆるトラップにより分断。半数はゴーストとアイコによって返り討ちに遭い、正門外へ投げ出される。突破者8/27人。


迂回路と分岐路によって更に半数を入り口に返す。突破者4/27人。




──【魔王城】大広間


「……お待ちしていました」


鎧の騎士が、大盾を構える。

絶望だ。既にターゲット集中に引っかかって逃げられない。


「今誰が残ってるっけ」


「【アサシン】【ドクター】【スナイパー】【大天司】ですね」


「前衛どこ行ったよ。……よし【アサシン(クロ)】、前衛任せた」


「マジで言ってる? 【神気楼】ならデビルシビルさんみたいに回復しながらタンクできないの?」


「私はできるタイプのヒーラーでは無いので。というかそういうタイプは先ほど罠に落ちましたよ」


「最初の落とし穴で前衛ほとんど落ちたからなぁ」


嫌すぎる。硬直が正義なのでは?





「……と、動きが止まりさえすればミカンさんの出番なのです」




突然の浮遊感。

唐突な落とし穴、だが! そう簡単に落ちるわけには行かない!


「全員捕まって! 投擲縄で地上まで戻るわ!」


【アサシン】のクロの投擲術にはここまで何度も助けられた。これで復帰して──




「ごめんなさい。【シールドバッシュ】」




──無常にも弾かれる縄。




【セカンド連合】大広間到達者数0/27人。




──◇──




──【魔王城】正門前


【セカンド連合】の殆どのメンバーが正門から入ったり追い出されたり。

プリステラは依然としてジャッカルとのインファイトを楽しんでいる。よくやるぜ。


「……さて、サティスよぉ」


「そうだね。予想より遅かったが……来たみたいだ」


俺とサティスは、もう【セカンド連合】の方を向かない。空の【コントレイル】共も注視しない。

それは【セカンド連合】側としてもそうだ。今の俺たちにちょっかいかけるような奴はいない。

──共通の敵が釣れたからだ。


「──敵影確認」

「──敵影確認」

「──敵影確認」


密林から現れるは迷彩模様の機械兵士。

剣を持っている人間サイズ。斥候部隊か。


ジャングル階層レイドボス"グリンカー・ネルガル"率いる機械ゲリラ兵部隊。遂にお出ましか。


「見えるだけで30は居るね。バーナードが居ないのが悔やまれる」


「範囲攻撃ったらな。だがお前だってイケる口だろ? 俺ぁ一体一体丹精込めて潰すしか無ぇからな」


「同時に4体まで処理できるじゃないか。適当言うな」


銃を構える。

刀の鈴が鳴る。


「……狙いは覚えてるよね?」


「勿論だ。"グリンカー・ネルガル"の炙り出しだろ。丁度手も空いた頃合いだぜ。

……プリステラ! 逃げられっか?」


「……ふぅ。ここいらにしましょうジャッカル。冷めちゃった」


「それは助かるな! で、次は機械兵か。一旦引きたいところだが、ここは共闘させて頂く! 言っておくが、普通に背中は刺すつもりだからな!」


「素直で結構。お互い恥傷残さないようにしようぜ!」


飛び出す機械兵。

レイドボスがいつ来るかはわからないが──ウォーミングアップにもならねぇ!




──◇──




──なんぞ。

冒険者同士が争っている。


いやそれはここ最近ずっとそうか。

何故かずっと冒険者達がジャングル階層で戦っていたな。


しかしふざけた城だ。

人の領地で好き放題……。


……私の領地では、ない。


そも侵略した土地。"グリンカー・ネルガル"の土地ではない。


違う。私は"グリンカー・ネルガル"では……。


……いや、やめろ。

これが自我か。鬱陶しいな。


私が何者かはどうでもいい。


悩みを、迷いを、苛立ちを──


──全てぶつける!




──◇──




「来たぞ【夜明けの月】! "グリンカー・ネルガル"だ!」


ジャッカルはそれだけ言い残して宙返り。【ソードダンサー】の回避防御だ。


森が吼える。

木々を薙ぎ倒し、機械兵を吹き飛ばし──猛獣が襲来する。


「サティス!」


「わかってる。【巖烈一閃】!」


大地を突き上げる斬り上げの【一閃】。

馬鹿みたいに正確な体内時計を持つサティスは、その突進に合わせてスキルを放つ。通常攻撃主体の俺じゃ止められねぇからな。


轟音。全てを吹き飛ばす嵐の王が、サティスの【瑜伽振鈴(ゆがしんれい)】と衝突する。

暴風、いや爆風。やがてそれが人の形をした獣王によるものだと分かる。


「……っ、人が受け切れるようなものじゃ、ないね!」


サティスを上から見下ろし潰さんとする、黒豹のガルフ。美しい毛並みに刻まれた無数の傷痕は赤く輝く。左半身を機械で覆った半獣半機のレイドボス──"グリンカー・ネルガル"。


「……全て、壊すつもりだったんだが……!」


「射程こそ短いが、瞬間火力はトップクラスの【巖烈一閃】だ。食い止める事は出来るさ。

しかし近くで見ると美しい。このままデートでもいかが?」


「……貴様が見た私は、私では、無いっ!」


何か琴線に触れたな。機械の爪と刀で鍔迫り合いになっているが、"グリンカー・ネルガル"が押し始めた。


「おっと……そろそろ有効時間切れだ。女性の誘いに乗らなくては男が廃るね」


正面切ってレイドボスの一撃を受け止める事になったサティスだが、【一閃】は発動した。

つまり、二の太刀が控えている。


鍔迫り合いをマニュアルに切り替えて、()()()()()。但し方向を操作して、受け流すように。

そのまま返す刀で──【サムライ】の伝統芸だ。


「【燕返し】!」


「ぬぅっ……ガァッ!!」


姿勢を崩した"グリンカー・ネルガル"に【燕返し】が直撃。打ち上げのノックバック効果だが、咆哮と共に宙返りしてその場に着地。


──空中に静止してやがる。

"グリンカー・ネルガル"の左肩にあるスピーカーみたいなのが咆哮に反応していたな。音が残って足場になる……みたいな事か? 古代文明だからって何でもアリだな。


「認識した。貴様らの相手は面倒だ。特にそこの銃持つ者。この刀持ちより強いな?」


「そりゃな。俺ァ"最強"だぜ?」


広範囲殲滅タイプじゃないなら俺の領分だ。

この距離ならいつでも戦える。サティスに感謝だな。


「私は戦いを求めている訳では無い。

戦場に娯楽は不要。大自然に快楽は不要。

ただあるがままに蹂躙し、支配するのみ──」


「──そうかい」


アビリティ"クイックドロー"

──ヒット数2倍。

アビリティ"陽炎のガンマン"

──ヒット数2倍。

片手銃二刀流

──ヒット数2倍。

武器【地獄の番犬(ケルベロス)】二丁装備

──ヒット数3倍。

スキル【乱撃錯乱】

──ヒット数3倍。

スキル【速射準備】

──通常攻撃速度2倍。

【ラピッドシューター】の基本攻撃速度

──秒間7発。


締めて秒間1008発。

"グリンカー・ネルガル"が何かする前に、出来るだけ削る!


「悪いなネコちゃん。蜂の巣だ!」


意見には同意だ。楽しさで戦う訳にはいかないものもある。"グリンカー・ネルガル"が何かする前に、問答無用でぶっ潰す!

クリティカル演出の光の壁が──発生、しない?


「愚かな。賢しき者。既に私は()()()()()()


「チッ……()()()()か。プリステラ! サティス! 退()()()!」


「……わかっている。プリステラ!」


「えっ、逃げないの? ……いや、信じるわ。【守護方陣】!」


"グリンカー・ネルガル"の機械半身が輝く。何かしらのイベント発生に伴う無敵化だ。つまり攻撃では無い。"グリンカー・ネルガル"の目的を考えると大体分かるってもんだ。


"グリンカー・ネルガル"が宙に吼える。

地響き。森がまた騒ぐ。




「"グリンカー・ネルガル"の名の下に命ずる!

──ここを【第108階層ジャングル:テア殲滅ライン】とする!」




密林が揺らぎ、【魔王城】は崩落する。

そして──噴き上げる大地が全ての冒険者に襲いかかった。




──◇──




【第108階層ジャングル:テア殲滅ライン】


──────

大地は汝らに牙を剥く。

最早逃げ道など無いと知れ。

祈り届かぬ自然の崩落。

第八戦線を発令する。

──────


〜人物紹介:レン〜


【満月】所属

ローグ系第3職【ソードダンサー】

アドレでは【蒼天】、ドーランでは【ダイナマイツ】と、【飢餓の爪傭兵団】傘下ギルドを順調に乗り継いで来た一般冒険者。それ以前は【祝福の花束】に世話になっており、顔が広い。

【朝露連合】のゴタゴタに巻き込まれた結果【飢餓の爪傭兵団】との縁が切れ、ベルのお供として【満月】創立メンバーとなる。

快活で素直な性格で、階層攻略ができるのなら割と立場は気にしない。長く世話になった【夜明けの月】との関わりもあるので【満月】について不満も無く、素直に着いていった。


思った事は素直に言うし、口が滑りやすい。ベルやらサティスやらパンナコッタやらとやたら素直じゃないメンバーばかりなので、アゲハと一緒にムードメーカー兼潤滑油として働く事が多い。


徹頭徹尾"凡才"という言葉が似合う男。とにかく突出した技能も特徴も無く、事戦闘に限って言えば【満月】【バレルロード】連盟において最も警戒されない存在。

……という事はレン本人が自覚しており、しかし思い悩んだりはしない。ポジティブ思考。


暗殺術をアゲハから、スタンダードな戦いの極め方をサティスから直接指導して貰っている。結果的に諜報・奇襲を得意とする様になった。ジャングル階層において敵側の情報を収集したのはほぼレンの手柄。

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