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BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
水鏡基地ミラクリース/ホライズン階層

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238/507

238.美女四天王の昼下がり

【第97階層ホライズン:未明F:光】


──────

ホライズン階層の制圧履歴

第六の作戦は"光"であった。

暗き深海への出入口は塞がれた。

闇からは怨念が、光からは敵意が襲う。

敵影探索兵器Code:F76:制圧完了

──────


"うらしま参号"班

97.98階層担当

操縦:ツバキ

カズハ・リンリン・ゴースト




リンリンです。

ツバキちゃんが寝ている間、カズハさんとゴーストちゃんと交代しながら"うらしま参号"ちゃんを操縦しました。大人しくて操縦しやすいです。


ツバキちゃんが起きてからは交代しました。意外とツバキちゃんは短眠というか、生活リズムが凄い不規則です。不定期睡眠の時は3〜4時間だけ寝て、夜に寝れるように生活リズムを整えるそうです。すごいなぁ。


97階層に入りはしましたけど、目的地はまだ先。のんびりお喋りしながら進みます。


「レインはいいお兄ちゃんだったのねぇ」


「は、はい。あの時は色々と引けない事情があったので敵対しましたけど……。今度会ったら、仲良く、してみたいです」


「search:……冒険者レインの罪状の殆どは現在詳細不明のバグ勢力の情報秘匿に関わります。そもそも対冒険者用大監獄"黒の柩"の本質は【Blueearth】突入により改変された記憶及びそれにより齟齬が生じた人格を療養するためのものです。レインの人格そのものには損傷ありませんので、バグ勢力の全容が掴め次第釈放されるでしょう」


「人格療養ね……。ホーリーもそうなのよね?」


「answer:yes:現実と【Blueearth】での人格に大きく差異が生まれてしまった者、或いは部分的に過去のトラウマが蘇ってしまった者。今は【ダーククラウド】や【夜明けの月】という緊急避難先がありますが、記憶持ちというだけでも投獄の条件には当てはまります」


水平(ホライズン・)戦線(フロントライン)】のバルバチョフさん、アルバレストさん。【象牙の塔】のイツァムナちゃん、ブックカバーさん、アザリさん。あとは【バレルロード】のバーナードさんと、部分的にスカーレットちゃん。今となっては記憶持ちで【ダーククラウド】【夜明けの月】にいない人もいますが、【夜明けの月】が結成されてなければ問答無用で投獄されていた、みたいです……。

……まぁ、【夜明けの月】がいなかったら記憶を取り戻す事も、無かったかもですが。


「私は四人姉妹の末っ子だからちょっとリンリンちゃんの気持ちもわかるなぁ。一番上のお姉ちゃんとか、家族でもちょっと歳が離れすぎて怖いもの」


「そ、そういうものですか……?」


「全員姉妹だからお兄ちゃんの事はわからないけれどね。家族だからって距離感わからなくても変じゃないと思うよ? 1番上のお姉ちゃんとなんて10も離れてるから、私が小学校卒業する頃には家を出てたし尚更距離感わからなくて」


「あたしは一人っ子だったからねぇ……。まぁエリちゃん(エリバ)が兄弟みたいなもんだったかしら?」


「search:……【アルカトラズ】のブラン、スレーティー、ネグルは実質的に私の姉という事になりますか?」


「それでいいと思うわよぉ。結局は自分がどう考えるか、でしかないわぁ」


何というか、落ち着くメンバーです。わたしの身長も気にならないくらいに高身長ばかりというのもまた落ち着きます。


「……で。アンタ達、ライズの事はどう思ってるのよぉ」


「みゃ!?」


「answer:BIG LOVE。大好きです」


「わぁ大胆。偉いわゴーストちゃん」


火の玉ストレート。さすがゴーストちゃん……。


「わ、わたしはよくわかりません。まだ……。とりあえず誰かリンリンをぶってくれませんか?」


「欲求が被虐に転換されてるわねぇ。でもダメよー」


「そんなぁ。放置プレイもイイですけど、この昂りは今抑えなきゃ……」


「昂る程度にはライズ君の事、気になってるのね?」


「あぅ」


しかしこの話題は気まずいです。

ライズさんガチ勢のゴーストちゃん。

ライズさんの幼馴染カズハさん。

ライズさんの【三日月】時代の同期ツバキちゃん。

あまりに強すぎます……!


「……か、カズハさんと、ツバキちゃんはどうなんですかっ!」


「あたし? んんー……家族、かしら」


つよい。


ライズさんとツバキちゃんとハヤテさん、三人で結成した【三日月】。ライズさんはツバキちゃんの事を妹みたいに、って言ってましたけれど。本当なのかな……?


「ライズもハヤテも、今で言えば【夜明けの月】のみんなも大好きよ。そういう感情は……他人の事はわかるけど、あたしの事はちょっとよくわからないわねぇ。エリちゃんとずっと一緒にいたからかしら?」


「ツバキちゃんは純粋ですからねー。よしよし」


あまりに大人びている雰囲気ですけれど、ツバキちゃんはわたしやメアリーちゃんと同じこと18歳。その中でも恋愛観に疎いところがあるというか、そのギャップが色々と問題を生んでいるというか……。


「カズハは?」


「私はライズ君にフラれたからなぁ」


「──freeze」


「ゴーストちゃんが停止しちゃった……! その話、知りませんよカズハさん……!」


「あれ、言ってなかったっけ。お互いにフったんだよ? お互いに燻らせたままじゃ今後に響くからねー」


お、おとなです。

セカンドランカーにて名高い"初恋泥棒"のカズハさん。まさか、そんなオトナなやり取りをしていたなんて……!


「【Blueearth】前の時点でもう10年近く顔も合わせて無いからね。元より実らない恋というか、今にもなってしがみつくようなものじゃないというか。ライズ君も似たような事を考えてくれてて助かったわ。そういう所、まだ好きかな?」


「す、好きなのに、フったんですか?」


「どこかで踏ん切りは付けないとね。というか、お互いに恋していた事に気付いて無かったというか。もう遅かったのよね。私にはホーリーがいるし」


「諦めるのは美しくないわよぉ。ライズもホーリーも取るくらい、我儘でも何でもないんじゃない?」


「ううん。これでいいの。既に終わってた恋だから。

……でも、そうね。この気持ちにもっと早く気付いてたら……多分、食べちゃってたかも?」


こわい。

なんて恐ろしいモンスター。何を食べるのかは聞けません。怖い。


「でもね、私もライズ君も今の距離感が気に入ってるから……今のままライズ君がフリーだったら、私が貰っちゃおうかな?」


「……! それはダメです師匠。ずるい」


「あはは。じゃあ頑張って堕とさないとねー?」


恐ろしい。ツバキさんよりよっぽど魔性の女です。かっこいい。




──◇──




……数時間の航海の後。

やっと辿り着いたのは、夜の海。

スポットライトが方々から伸びています。


「光の当たらない所からは怨念系の魔物が出てきて、光に当たると機会生物に狙われる。結局は同じねぇ」


「光に当たってこっちの位置を知らせてあげれば機械の親玉は出てくるから……リンリンちゃん、頼める?」


「はい! お任せ下さい!」


言い終わるまでも無く飛び出すリンリンちゃん。

……難易度高くなっちゃうけど、私達なら大丈夫よね。


スポットライトの真っ只中に突っ込むリンリンちゃん。

警報と共に、海中から現れる小熊の群れ。

"敵影探索兵器Code:F76(ファイナル)"の尖兵。本来はこれを影から出てくる怨念達とぶつけて消耗させて本体を叩くのだけれど──リンリンちゃんは全部その身で受ける。


「まだまだ痛みが足りませぇん!──【リアクティブ・カウンター】!」


小熊達を吹き飛ばしながら高笑いするリンリンちゃん。楽しそう。


やがて巨大な熊ロボット──"敵影探索兵器Code:F76(ファイナル)"本体が現れる。


「行こう、ゴーストちゃん」


「answer:yes:師匠」


本体が出てきたのなら──空中戦が可能な私達の出番。

空中に飛び出し、【厚雲灰河(こううんはいが)】を構え、見据え──




「【灰燼一閃】──【燕返し】!」

「action:skill:【襲牙】」




──◇──




のんびり航海女四人旅。

話題の中心が恋バナになるのは自明の理よねぇ。

でもこのメンバー、恋愛経験がスカスカだから話が広がらないのよねぇ。

98階層まであと丸一日くらいかしら。暇ねぇ。


「うーん……もしも【夜明けの月】が世界征服したとして、どうする?

多分メアリーちゃんは大体の願いを叶えてくれるんだろうけど」


「私はホーリーを脱獄させるかな。多分自分では出てこないだろうし」


「カズハさんの野望が悪の組織です……。リンリンは、そこまで考えられないというか。成り行きでここまで来ましたから……」


そもそも【夜明けの月】の目的がふんわりしてるからねぇ。

悪の組織を自称する【夜明けの月】。その目的は【Blueearth】を停滞させ、新世界サーバー【NewWorld】を天知調から奪い取る事。それをもってして世界征服と呼んでいるのよねぇ。


「そもそも、【Blueearth】問題が起きた以上は【NewWorld】が新世界になるのか怪しく無いかしら。30年後には全人類データ化、なんてのはこの事件が起きてないからでしょ?」


「answer:【NewWorld】は現実の地球と同サイズのデータを保持しており、30年後には強制的に地球表面の全データを【NewWorld】に転送する予定です。【Blueearth】はその技術の体験版のようなものなので。

現実の技術力に30年が加わったとして天知調の技術力に及ぶ事は無く、物理的に存在する【NewWorld】サーバーとスーパーコンピュータは天知調によって発明された圧縮空間に隠されており触れることが出来ません。よって全人類データ化自体は確実に起きます。

そして【Blueearth】が【NewWorld】を侵略した時点でその30年を待つ必要は無くなります。元々技術的にはとっくに可能ですが、諸国の都合に合わせての30年ですので」


あら……。思ったより詰んでるのね、人類。


「でも突然飛ばされたら反発も起きるよね? 幾ら運営側にいたとしても……あ、そっか」


「answer:yes:そのための【Blueearth】での記憶操作実験です。【NewWorld】計画実行時はこの記憶操作機能を使用する事で全人類を意のままに操る事ができます」


「それは悪いわねぇ。面白そう」


「その感想はどうかと……。天知調さんは、一人で全部背負おうとしているんですね……?」


「answer:yes:現段階の計画では、全人類が【NewWorld】に突入した時の抵抗感や嫌悪感だけを一時的に薄れさせて、後は自由にやらせるつもりのようです。

天知調の目的は自分と家族が安心して眠れる世界、なので」


……まぁ、全人類を意のままに操れると言っても、その指揮者が聖人なら問題無いわよねぇ。

そこにカチコミかましてるのが我らがメアリーちゃんな訳だけど。


「つまりは何でもできる立場になったら何をするか、って事よねぇ。

……【夜明けの月】は無欲な連中しかいないわねぇ」


「いざそう言われてもねぇ。欲しいものは大概持ってるし」


あたしは……まぁ、今のままでもいいわねぇ。

でも全部終わったら、【Blueearth】で出会ったみんなとはお別れになっちゃうのかしら。

それは少し、残念ねぇ。


「……あ、そうだ。ライズとハヤテを複製して貰っちゃおうかしら」


「天才かな? 私もそれでライズ君増やそうかな」


「あっずるいです。わ、わたしも欲しいかも……」


「ライズが凄い勢いで分裂している……」

〜魔物紹介:ホライズン階層3〜


──【スキャン情報】──

《誘導処理兵器Code:B2(ビーツ)

LV122

弱点:風

耐性:

無効:

吸収:水


text:

93階層を支配する巨大蟹の機会生物。

機械生物を生み出す工場であり、体内に海水を取り込む事で水卵機械生物を生成する。

体内に取り込まれると即死なので注意。

ハサミの攻撃自体には殺傷力は無いが、問答無用で取り込もうとしてくる。

────────────


──【スキャン情報】──

《落涙航空兵器Code:E1(エイ)

LV122

弱点:

耐性:

無効:

吸収:水


text:

96階層を支配する飛行エイ機械生物。酸の雨と雷を継続的に降らせてくる。

小型のエイを傘にしたり乗り継いだりしないと攻撃が届かないが、本体そのものには敵を対象とした攻撃はしてこないので程よい位置まで近付いたら遠距離攻撃で攻めるべき。

撃破時に墜落ついでにのしかかり攻撃をしてくるので注意。

────────────


──【スキャン情報】──

《敵影探索兵器Code:F76(ファイナル)

LV122

弱点:闇

耐性:

無効:

吸収:光


text:

97階層を支配する巨大熊機会生物。深海からの魔物出現スポットである97階層を塞ぐため、光を放つようになった。

小熊ユニットで敵を探索し攻撃する。本体は純粋に攻撃力と耐久力に優れているが動きが大振りなため、避けるのは難しく無い。

───────────


──【スキャン情報】──

《突撃破壊兵器Code:G10(ジャイアント)

LV122

弱点:

耐性:打

無効:

吸収:


text:

98階層を支配する巨大イノシシの機械生物。

廃棄された古代文明の建造物を破壊しながら、その破片で外皮を強化して突進してくる。

外皮装甲を剥がしてからでなければダメージは通らない。

また、剥がれた装甲は足場になる。

なお、突進はカーブできるので意外と攻撃範囲が広い事に注意。

────────────


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