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BlueEarth 〜攻略=世界征服〜  作者: まとかな
煉獄都市ヒガル/ヘル階層
178/507

178.【セカンド連合】追放戦

──◇──




──ヒガルに蔓延る冒険者諸君よ。


──この俺の領地において、あろう事か俺の支配を拒む物を持ち込む輩が現れた。


──業腹だ。屈辱だ。許してなるものか。


──故にここに《拠点防衛戦》を発令する。




──◇──




【第70階層 煉獄都市ヒガル】

大鐘楼"焔鬼大王"執務室


「今回のイベントは小規模なもんだ。参加者は俺が選ぶ」


腹立たしい。

一刻も早くあの宝珠を追い払いたい。

なればライズを利用しよう。


「許されざる敵は【セカンド連合】。これの討伐。

何者かが持っている宝珠を奪い、俺の元へ持ってこい。

参加者は──【飢餓の爪傭兵団】【真紅道(レッドロード)】【至高帝国】」


「焔鬼サマ。早速獲物が騒いでいます」


「繋げろ」


どこかの店から吠える雑魚。【セカンド連合】アカツキなるガキか。


『──流石にそれは無理だ! それに釣り合わない!

アンタの憂さ晴らしなら付き合う!俺たち全員、一度はアンタに世話になってるからな!

だが成立しないゲームなんて見て気が晴れるか!?』


「……一理ある。貴様らの確執は理解しているが、こんなところで決着も味気ないな。ではその辺におる奴を適当に……そうよな。【夜明けの月】と【ダーククラウド】でいいだろう」


「焔鬼サマ。ライズが騒いでます」


「繋げるな」


『オイコラ焔鬼オイ! 何巻き込んでくれてんだこっちは忙しいんだよ!』


「繋げるなって」


久しく会わなかったが元気そうじゃないか。いい感じに巻き込まれてくれ。慣れたもんだろ。


『よしんばやるとして得がねぇぞ!』


「そうだなぁ。【セカンド連合】も一方的に狩られては不服だろうよ。褒美は必要だな」


『逆だバカ!』


こちらが損をせず、ライズにやる気を出させ、宝珠をヒガルから追い出すには……これで行こう。




「では。勝者にはライズにしか教えてないレベル上限150突破クエストの"ディスカバリーボーナス"をくれてやろう」




──◇──




──大鐘楼前広場




や り や が っ た !


「……っの馬鹿! ふざけた事言いやがる!」


レベル100の上限突破クエストをクリアした俺にしか知らされていない"ディスカバリーボーナス"。

ぶっちゃけそれを知ってるからこそ余裕ぶっこいてた節がある。あんなのわかるわけ無い。

だから俺は実は宝珠の存在自体は知っていたんだが……とにかく。


「メアリー。クローバーに連絡を取れ。全員バラバラになるな!」


「ライズ! ジョージがいない!ツバキも!」


「うおおおおそっち忘れてた!」


いつの間にやら。恐らくはジョージが拉致したな。

誤解も解かないといけないし、その上で殴られる覚悟ぐらい俺もハヤテもあるが……今はそれどころじゃない!

どうする、どうすれば……!


「相手がどのくらい多いかはわからないけど、【夜明けの月】にとっては格上相手よ! 全員固まってたら袋叩きで終わり! 全員の安全が確保できるまでは幾つかのチームに別れるべきだわ!

ハヤテ! 【ダーククラウド】は全員いるの?」


「あ、あと4人ホテルで休んでいるよ。あっちにはゴローさんがいるからすぐに籠城準備を始めるはずだ」


「ならそこを拠点とするわ。複数のチームに別れて離脱者の保護! その後拠点に戻って防衛戦よ! 指揮はあたしが取るわ。異論無いわねハヤテ!」


「あ、うん。【ダーククラウド】! 今回の《拠点防衛戦》はメアリーの指示に従う!」


「「了解!」」


あっという間に統率が取れた。

さすがはメアリー。ピンチに強い。

いつの間にやら頼れるリーダーだ。


「──拠点は宿泊宿【賽の河原】! 最前線に対抗できる最強コンビ、ミカンとリンリンはまずそっちに向かって! 護衛に火力要員としてカズハ!"エルダー・ワン"は周囲索敵とかできる?」


「そのくらいならな。この暗闇では貴様ら人間よりは見える。カズハに手を貸すだけならやってやろう」


「助かるわ。ありがと」


「………………おう」


俺もある程度は冷静になってきた。

【セカンド連合】がここに来ているとは言っても全員来てる訳では無いだろう。確かデュークの情報だと……。


「飛行部隊【コントレイル】が来てるとしたら厄介だな。路地を活かした潜伏が一気に厳しくなる」


「だとすればそこは私に任せてもらおう。飛び道具には飛び道具。古巣を潰すのは忍びないがね」


「……じゃあキャミィさんはドロシーとアイコと組んで離れて。もし【コントレイル】がいたら発進してもらうけど、それまでは潜伏。バレたらアイコが引き付けておいてキャミィさんが三人纏めて移動させて。ドロシーは遠距離攻撃で支援してね」


──"神の奇跡"不要。ドロシーなら合図が無くても読み取れる。【ダーククラウド】はまだ"神の奇跡"を知らないからな。今手の内を明かす事はできない。


「わかりました。キャミィさん、お願いします」


「任せたまえ。アイコ君は"仙力"のチャージを。私とて接近戦は苦手だ」


「ええ。宜しくお願いします」


アイコは貴重なタンク役。この混戦では合気による無力化は欲しいところだが……キャミィチームが手薄になるのは良くない。


「メアリーさん。僕は譲二さんの所へ。場所はなんとなくわかりますし、説得もしてみせましょう」


「そいじゃああたしも、えりばちゃんと行くよぉ。構わないかい?まりえちゃん」


「フミヱおばあちゃんってジョブは?」


「【フォートレス】さね。えりばちゃんは回復できても守るのは得意じゃないからねぇ?」


「……ジョージが合流すれば"ぷてら弐号"で移動速度を解決できる。悪くないんじゃないか」


「そうね。任せたわエリバさん」


「はい、お任せを」


残りは……ハヤテとシーナ、メアリーとゴーストと俺か。


「あたし達5人はクローバーと合流を目指すわ。"最強"ったって"霊憶の丘(バベル・ヒルズ)"で3人相手に負けてるからね。拠点まで戻ればこっちのもんよ。

じゃあ行くわよアンタ達! 【セカンド連合】を! ぶっ潰す!」




──◇──




月面飛行(ムーンサルト)

アカツキ・デビルシビル含め4名


【象牙の塔】

イツァムナ・ブックカバー・アザリ・レイン4名


【マッドハット】

セリアン・ナズナ2名


【スケアクロウ】

イミタシオ・シェケル含め7名


【バッドマックス】

マックス・プリティ⭐︎メロン含め8名


【草の根】

スワン・ヒョウ・ヘロン含め7名


【コントレイル】

マスタング・エンブラエル含め8名


「40人のセカンドランカーだ。いくら"最強"でもたまったもんじゃねぇよな?」


──秘密料亭【六文銭】


アカツキ風情が偉そうに言ってるな。

【飢餓の爪傭兵団】【真紅道(レッドロード)】そして【至高帝国】。こいつら自分に関係無いからって余裕もって座ってやがる。


「がんばれークローバー」


「さっさと店出なァ。鬱陶しくてかなわねぇぜ」


「うるせぇよウルフ。【夜明けの月】と【ダーククラウド】の次はお前達だからな。ほら表出ろよクローバー──」


アビリティ"クイックドロー"

──ヒット数2倍。

アビリティ"陽炎のガンマン"

──ヒット数2倍。

片手銃二刀流

──ヒット数2倍。

武器【地獄の番犬(ケルベロス)】二丁装備

──ヒット数3倍。

ラピッドシューターの基本攻撃速度

──秒間7発。


「──危ないアカツキ!」


「え?」


光の奔流。襲うは秒間168発の弾丸。

銃口はアカツキに向けていたが、ロックオンしていたのは最初からデビルシビルだ。どうせ庇うだろ?


「……ははは。変わらぬなクローバー。いいフルコースが見られそうだ」


「やると思ったけど、巻き込むなし。あーし達はそっちに手出し出来ないんですけど」


悪いなダイヤ、ハート。

先日の負けが響いてんだ。


()()()がたくさんあるんだ。ここでやらなきゃどこでやるんだ?


「温い事言ってんじゃねぇよ。もう始まってるぜ?

──かかってきな小僧共。"最強"のトラウマ、植え付けてやるぜ」




──◇──




──宿泊宿【賽の河原】


「──わかった。こちらは既に竹で補強済みだ。勿論外観には出していない。まだ向こうの連中はここに気付いてないだろうからな」


ゴローさんがギルマス様と連絡をしています。

はぁ……推せる。

【ダーククラウド】最高……。


「……ツララ君。いつもの発作か?」


ああ、心配させてしまいました。

いけません、いけません。


「ひゃい……ツララは平気です」




ツララはしがない暗殺者です。




需傭協会(Weak.enD)】が滅び、ドクガ先輩が投獄され、なんとか生き残ろうとしたツララは【首無し】に参加。

デュークさんの首を獲ろうとしましたが失敗。

そして【ダーククラウド】へと潜入する事となったのです。


ですが現実の記憶を取り戻し、自分が何者かを思い出したのです!


そう、私はツララあらため霧切うらら。




しがない暗殺者です。




天知調暗殺のためにラボに潜入した私ですが、調ちゃんに絆されてお仕事をやめて依頼主と組織を壊滅させ、残党をお片付けして、それで【Blueearth】に参加したのです。

思い出せてよかった。ハヤテは同僚でしたから。殺さずに済みました。

忘れたまま殺すなんて悲劇、気付かないなんて勿体ないですもんね。


「……ん? ツララ君。他の2人はどうした?」


「あっ……そういえば、お二人ともいらっしゃらない……外に出てしまったのでしょうか?」


「なんと。困ったな……貴重な戦力だったんだが」


あっあっあっ。ゴロー様が困ってる。

殺さなきゃ。


「つつつツララ、探してきます! ツララなら絶対に見つかりませんし、殺せます! 殺して連れ帰ってきます!」


「うおおい待ってくれツララ君! それ味方殺してるから! ツララくぅーん!」


アハ、アハハハハ!

嬉しい嬉しい嬉しい!

殺して助けられるの嬉しい!!!




──◇──




霧切うらら

現在【ダーククラウド】在籍の冒険者。

【NewWorld】設計協力者の1人。

暗殺者として【NewWorld】設計チームに潜入するも天知調の"やましい心は丸見え君"により看破され捕縛。

"たまたまそこにいた人"に服従し心酔し、それより凄い人が現れたら秒で鞍替えしてしまう暴走機関車。

現存する人類で天知調に"凄さ"で叶う者はいないため、もう裏切る事はないが……。




「悪い子……では、あるんですけどね。"LostDate.ラブリ"の攻撃的な部分の原因かもしれません」


「──いや、ヨネとか皆血の気が多いからなぁ──』


「物騒なチームですねぇ。どうして【NewWorld】完成できたんでしょうか」


「──不思議ですねぇ──』

〜宝珠どこにある問題〜


レイドボスの力の象徴:宝珠。

接触するだけでレベル上限が100から引き上げられるスーパーアイテム。

レベル150を突破するにはセカンド階層の宝珠を集めなくてはならないのだが、これまでの宝珠はどこにあるのだろうか。


・ウィード階層

アドレ王宮に宝蔵。冒険者は接触不可。

これを狙って嵐の夜に"テンペストクロー"が襲撃する。

かつてアドレ王が"テンペストクロー"から勝ち取ったという伝説が残っている。


・フォレスト階層

レイドボス"スピリット・オブ・ドーラン"そのもの。

現在冒険者ユグドラシルとしてうろうろしているが、天知調が宝珠を具現化して回収しているのでユグドラシルに触れまくってるナツが突然レベル上限突破したりはしない。危機一髪。


・ケイヴ階層

29階層の"ミドガルズオルム"が地中に隠している。

"ミドガルズオルム"しか岩盤を砕けないので冒険者接触不可。


・フリーズ階層

イエティ王がそれ。ただし存在が宝珠からイエティ王に置換されているので"イエティ王奪還戦"で回収したゴーストの上限が突破されたりはしない。


・サバンナ階層

ない。宝珠が形成される前にバグで出現封印され、バーナード化した。

宝珠と一体化している事でデータリソースが爆増していた事が、バーナードやバグを受け入れられた一因かもしれない。


・オーシャン階層

"コスモスゲート"と一体化。本体と接触する前にゲートに飛ばされるので接触不可。


・ロスト階層

アザルゴン王の玉座に隠されているが、条件を達成しないと現れない。

"エルダー・ワン"は別にそんな事気付かずバロウズを滅ぼした。"なんでこの城こんなに原型残っとるんやろ?"とか考えながら城に巻きついている。


・ヘル階層

"焔鬼大王"の判子。

宝珠を一度手放すとそう簡単に回収できないと"スフィアーロッド"が実演し続けているので、無くさないように普段使いしている。

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