123.旅立ち:誇り高く牙を剥く
【第40階層 岩壁都市ドラド】
──【植物苑】の巨大温室
レイドボスの対応を考えたいと、【植物苑】のマルゲリータさんからお呼ばれした。
……といってもここ数日そんな感じだから、もうリラックスしてるけれど。【井戸端報道】の新聞に目を通しながらダラダラしてるわ。
「あー……あれ? ナンバンさん昇格してる? "第1編集部部長補佐"だって」
「第1編集部ときたら【井戸端報道】の最前線編集部ねん。今は……140階層あたりの【スケアクロウ】に協力してもらってるはずよん」
「って事ぁナンバンはそこまで行かなくちゃならねぇんだな。大変そうだなぁ」
知人が出世するのはいいけど、キツくない? 大丈夫かしら。
「……セカンドランカーは……【ダーククラウド】と【バッドマックス】が異様な速度で進んでるわね」
「流石爆発力に定評のある【バッドマックス】。火がつけばごぼう抜きだなぁ……おん? 何だこれ」
クローバーの見つけたトピックスは……【月面飛行】の項目。
──────
《新生ギルド連合樹立!?》
セカンドランカー不動の王者【月面飛行】が、階層攻略を目的としたギルド連合の設立を発表しました。
トップランカー以上に情報を秘匿する謎多き【月面飛行】ですが、参加ギルドには見返りとしてなんと階層攻略のデータを提供するとの事。もしも本当ならばセカンドランカーは一気に攻略を進められますね!
参加条件は"セカンドランカー"+"何らかの技術・知識提供ができる事"。
基本的には来るもの拒まずというオープンフリーな連合になるそうです!
現在応募期間中。参加・相談につきましては下記チャットNo.まで──
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「【月面飛行】って確か、セカンドランカー最強のギルドよね。バルバチョフさんがいた」
「万年4位のな。でも凄いぜ奴らは。トップランカーが三つ手を合わせてやっと攻略した所を単独でやってるんだからよ。
徹底的な情報収集と秘匿主義が成せる事なのかもしれねぇが……他と関わりが薄い。特にトップランカーなんて目の敵にしてるしな。
どういう風の吹き回しか……【象牙の塔】に追いつかれたのが相当堪えたかね?」
【夜明けの月】の計画はトップランカーがそのままである事を想定していたけど、辿り着く頃には大きく変化してるかもしれないわね。
「……お、50階層の話も載ってるな。どれ……」
「大変ですよー!」
なだれ転がり込んできたのは【パーティハウス】のマスカット座長。
ここ毎日自我処理やら新拠点新事業やらで忙しいのに、こうやって毎日顔を出してくれるのよね。
「今度は何が大変なのよマスカット。マシュマロさんのお茶飲んで落ち着きなさい」
「マシュマロさんめちゃくちゃ苦いやつ淹れてくるので結構です! それよりそれより大事件です!
"カースドアース"が──バーナードが消えちゃいました!」
……あら。
それはつまり……。
「スカーレットがやらかしたわね。そりゃ良かった。一応シドの様子見に行こうかしら」
「……何か知ってるんですか、メアリーちゃん?」
そういえばライズとあたしくらいしか知らないか。……言えない相手もいるから、ある程度ぼかして説明しないとね。
「あー……バーナードが"カースドアース"になっちゃって、【アルカトラズ】(というかお姉ちゃん)がバーナード救済のために動いてるらしい……って話は聞いたわ。まさかサバンナ階層から出ていく事になるとは思わなかったけど」
「"カースドアース"不在というのは……大丈夫なのかしらん?」
「シドを見に行けばわかるわ。"カースドアース"全体に問題が起きるならシドにも何かある筈だから……」
「シドは元気だよ?」
──いつのまにかいた黒マント。
お忍びモードのシギラ。勿論現在は──謹慎中なのだけれど。
「ほら」
「相変わらず動けませんが、特に異常はありませんね」
シギラが抱きかかえている種から声がする。
マルゲリータさんはびっくりしてるけど……そう言えば直接会うのは初めてか。
「また抜け出したわねシギラ」
「だってもうすぐ行っちゃうんでしょ? お婆も割と目を瞑ってくれてるよ。その隙に走り抜け出したし」
目を瞑るってそういう意味じゃないわよ。
……終始、このお転婆姫に振り回されたわね。
「これでバーナードは【バレルロード】に参入か。厄介な相手になるわね」
「記憶持ちなのも厄介な事だ。対策は出発してからだな」
「なんでもいいでしゅが……面倒事は持ち込まないでくだひゃいねぇ……?」
マシュマロさんから釘を刺される。マルゲリータさんを守れるなら何でもいいのねこの人。
……さて。準備は十全。そろそろ出発ね。
「で、ライズ。今回の協力者は?」
「……【ダーククラウド】に断られたからなぁ。【真紅道】も今回の一件で最前線を空けすぎた。というかセカンドランカーも例の【月面飛行】の召集でゴタゴタしてるからなぁ」
「アテが無いってわけ?」
「イロモノしか残ってないってわけ。ではどうぞイロモノのお二人」
スポットライトを浴びて現れたのは──
「麿であるぞ」
──両手銃を背負った平安貴族。
フリーの高レベル傭兵、バルバチョフさん。
「イロモノとは心外である。むしろ白であろう」
「白が目立ちすぎてんだよ。そんでもう一人はどうした?」
「上におる」
バルバチョフさんの指す先……温室の天井に、全身真っ白な法衣の男がぶら下がっていた。
「遅い! 気付くのが遅い! 遅すぎてここまで登ってしまったわ! ふはははは! とうっ!」
そのまま垂直落下し──頭から着地。
普通にダメージを受けて……当然のように起き上がる不審者。
「無傷! これこそが"最強の大天司"こと朕の神威である!
ふわっははははは!」
……凄いうるさいし、やたらイケメンだけれど。
「……なんかバルバチョフさんの方がインパクトあるわね」
「キャラ丸被りだからな」
「芸人やってるわけじゃないわ! キャラ被ってナンボであろう!」
よっこいしょ、と立ち上がりふんぞり返る。あ、意外と背が低いのね。バルバチョフさんがデカすぎなだけだけど。
「……というわけで、回復役最高峰のヒーラー第3職【大天司】……その頂点。"最強の大天司"こと、デビルシビルでおじゃる」
「聖職者がその名前はどうなのよ」
「かっちょよかろう。ふはははははは!」
名前にはこれ以上突っ込まないわよ。
高笑いがうるさい……のはいいとして、そんな強い人がどうして?
「ちなみに彼は【月面飛行】の旧友である。真面目な話の時にいつも追放されておるので拾った次第」
「ふははははは! ふははははははは! 褒めるな褒めるな!」
「……【月面飛行】は芸人集団なの?」
「うーん俺も気になってきたぞ。おっかしーな……こんな奴らだったっけ」
クローバーも頭を捻る、面白集団。
……現役【月面飛行】は初めて見たわね。
「久しいなライズよ! 初めまして!」
「なんなんだお前は。初めまして」
熱い抱擁。なんともパッション溢れるイケメンね。
「いやどこかで会ってるか?」
「あー……協会絡みだ。貴殿がアレを良く思ってるかわからん故に些細は省いたが」
「なんだよ常識人か? 気にすんな肝心の中核が出会うや否や飛びついてきて利用してきたんだぞ」
「朕はその辺部外者だが元凶寄りである。謝るつもりは毛頭無いが、わざわざ傷を抉るような真似はせん」
「気にしてないって……」
……なんかマトモね。
話からするに、ミカンとかバルバチョフさんとかプリメロとか関係ね。
ライズが詳細を語らないからあたし達も聞かないけれど……。
「では、朕は先に外で待っておるぞ! 別れとかなんやらかんやらあるであろうからな! ふはははははは!」
「では麿もそうするかの。待っておるぞ【夜明けの月】。ほほほ」
仲良く肩組んで歌いながらどっか行った……。
「……えっと、じゃあもう出発なんだね」
「そうね。色々と世話になったわねシギラ」
「ううん。スカーレット達に会ったら宜しく言っておいてね。私は……これから、ちゃんと巫女やらなきゃだから」
別れる時は笑顔で。
肉食獣だもの。剥き出しの牙が少し怖いけど、それがシギラの笑顔だから。
……ちょっぴり肩入れしすぎたかしら。
レイドボスもバグもあたし達も巻き込んだ傍迷惑なラブコメもこれで終わりね。
「永遠の別れって訳じゃなし。適当に顔出すわよ」
「本当? じゃあ約束!」
シギラの大きな手があたしの両手を包み込む。
……何かを持たされた?
「開けちゃダメだよ。ドラドでそれを観則するとイベント起きちゃうから……だよね、シド?」
「そうです。自我を得た我々だからこそ、あらゆるイベントをスキップして無理矢理渡せているんですよ。41階層で開けて下さいね」
「……なんかよくわからないけれど、ありがとうね。……涙出てきた。ちょっと胸貸しなさいよ」
「ダメでーす。誇り高きガルフ族は涙を我慢しないの。ほら行った行った!」
シギラに背を押され、【植物苑】を後にする。
……今回は、いい友達ができたなぁ。
「ではライズさん。いってらっしゃいなのねん。【植物苑】はいつでもここで待ってるよん」
「ひぇひぇひぇ。マルゲリータ様が気に掛けていらっしゃるからねぇ……また来てもいいでひゅよぉ」
「【パーティハウス】再開の折にはご連絡致します。またいつでも体を売って下さいね!」
「断る」
……余韻が台無しね。
──◇──
【第41階層サバンナ:蠢く荒野】
「なあなあマスター。何貰ったんだ?」
ライズがさっきからずっと気持ち悪い。
多分探索厨の血が騒いでるのね。明らかに未知のアイテムっぽい言い方してたし。
「はいはい。手を開けるわよー……ありゃ」
そこにあったのは──牙。
「アイテムね。鑑定するわ」
「気になる気になる気になるなぁ」
「きもいわ離れてライズ」
「はい離れましょうねライズさん」
アイコに摘み上げられるライズ。これで無効化ね。
落ち着いて【スキャン】でアイテムを鑑定する。
……それは、本当に素敵な贈り物だった。
──【スキャン情報】──
"赤き大地の想い"
強化素材
ドラドにて神に祈りを捧げる"赤土の巫女"の神聖なる牙。"カースドアース"を撃破した勇者にのみ譲渡される。
強化素材としてどんな武器にも使用できる。全てのステータスが強化され、あらゆる状態異常の耐性を得る他、植物・獣・レイドボスに対する強力な特効状態を獲得する。
ガルフ族との永遠の友情は、この牙を失っても消えることはない。
──────────
~外伝:徒然城下町日記5~
《ある罪人の残した傷》
【第0階層 アドレ城下町】
──あるギルドハウスの屋根裏
──ブレイクソウル族ブランカの仮屋
「悩みがあるんです!」
「ほう」
今日も今日とて売上一位の"満月シュガーブール"を頂く。
食み、咀嚼し、飲み込み、消化する。随分と人間らしくなってきたぞ。
しかし能天気極まるラビに悩みとは。聞いてやらん事もない。
「とは言ってもわかるがな。人間関係の悩みだろう」
「わわ。何で分かったんですか」
「なんとなく。多少の苦痛は何とかなる君にとっては"悩み"と断言できる事なんてそうそう無いだろう」
「えへへ。それでですね、えっと……友達をですね、遊びに誘いたいんです」
「誘えばいいだろう。君ならば無神経に連れ出すタイプだと思ったが?」
「そうはいかないんです。えっと、その子を連れていきたい場所があるんですが……その子の、友達?が、そこに行く事を嫌がるからって、断られてしまうのです」
「じゃあ諦めればいいだろう」
「でもその子は本心ではきっと行きたいと思ってて」
「じゃあ連れ出せばいいだろう」
「……そうなんですよねぇ」
む。しまった。僕は間違えているようだ。
今僕はラビの悩みを理解したに過ぎない。ここまでの掛け合いはラビの脳内で既に展開したものだ。
つまりは"解決できない状況に追い込まれている事が悩み"であって、決して"解決手段がわからないから悩んでいる"わけだ。
にもかかわらず合いの手でわかりきった文句を知ったような顔で挟んでは心象に良くない。図書館の本で読んだ。男性的会話と女性的会話のすれ違いからの不和だ。
これはいけない。フォローしなくては。
「なるほど、思考のループに陥っている事自体が悩みか」
「! そう、そうなんです」
「君の交友関係で言えば……早い話がキラリ記者だろう」
「ぐえ。黙秘です」
キラリ。ラビと同じ"冒険者"で、長く交友関係を結んでいる。
現在は【井戸端報道】第7編集部に在籍する記者で──
「──"矯正誘導"の関係者。そういう事だろう」
「……はい。"冒険者"の揉め事なのによく調べてますね」
「学者だからな。目下"冒険者"について勉強中だ」
"矯正誘導"。
冒険者の半数が階層攻略に、半数がアドレに残って生活を始めた頃に起きた──暴動。
その始まりはただの喧嘩だと言われている。暴力そのものを嫌うが、攻略しなくては得がしにくい"冒険者"という存在のシステムが、非暴力派に不平不満を生んだ。
例えば、攻略をしない冒険者が丸一日アルバイトをして過ごし得た10,000Lという金額は──攻略階層に下りて1時間程度魔物を殺し剥ぎ取った素材を売るなりすれば容易く手に入る。
無論、企業するなりして経営が安定した商人であれば非暴力のままでも攻略派に匹敵するだけ稼げるだろうが……皆が皆、そうある事はできない。
行ってしまえば経営・商業に何の知識もない一般人ならば、暴力を振るえば金を稼げるという事だ。
とりわけ大きな問題ではなかったのだが。まだ新聞という報道機関が無かった"冒険者"にとってはウワサが全てだった。
やがて黒いウワサが広まる。"暴力主義者が清廉潔白な非暴力の輩の仕事を奪った"だの"レベルは罪の重さ"だの……偏向報道に近いウワサは、非暴力派の不満や不安と混じり合い、やがて大きな波紋を呼ぶ。
この一連の流れは、ある一人の冒険者によって仕組まれたものだ。偏向報道と暗殺部隊を巧みに使いこなし自分だけの楽園と言う名の地獄を作り出した男。
"影の帝王"と呼ばれたその冒険者は、アドレの事情とは全然関係ない所で失脚し、今は冒険者粛清組織【アルカトラズ】の監獄に送られているが……。
ともかく。その男の残した爪痕は大きい。
全盛期の"影の帝王"に貢献したいくらかの冒険者。その一人が──非暴力派を先導した哀れな傀儡、"非暴力のカリスマ"キラリだ。
本人はそんな陰謀に利用されていたとは露知らず、素直に偏向報道に騙され、帝王の息のかかったプロデューサーに騙され、偶像として操られた。
今はもう足を洗っているが──まだキラリを信じる者は多い。らしい。
「ううむ。確かに悩ましいね。行先というのは攻略派のどこかか」
「うう……そうです。キラリちゃん、戦闘とかはしたくないんですけど……別にそれを理由に差別したりしたくない子なんです。
出来れば攻略派冒険者の友達も欲しがっているというか……」
「無理に連れて行けば過激なファンが何をしでかすかわからないという事か。悩ましい」
「はい……。でも、どこかで動かないとこのままじゃいつまでも仲良くできないんです」
結局、攻略派と非暴力派は交わらない事で決着した。
非暴力派の本拠地であるアドレ北西区画には攻略派にとって興味のある商品とかは無いから無理に来る必要もなし。
特に強い思想を持っている連中が積極的に奥地へ避難してくれた事が幸いし、もうすっかり冒険者同士の衝突は起きていない。
「無理に仲良くする必要は無い。そうではなく、もっと根源的に行こう」
「根源的ですか?」
「ラビが求めているのは"両派の和平"なのか、"キラリが楽しく遊べる事"なのか、だ。ラビはこの二つが同一の問題だと考えている」
「……しかしなかなか切り離せない問題です」
「そうでもない。冒険者同士の狭い世界でやるから面倒が起きるんだ」
机上の空論。可能かどうかもわからないが、案を出すだけでもマシだろう。
「要するにだ。"冒険者全員"を対象にイベントを起こせばいい。アドレ王宮からのお触れでだ。
外部からの指示を受けておきながら、派閥がどうのと声を上げる訳にはいかない。むしろキラリは非暴力派の代表として参加せざるを得ないだろう。
例えば原住民を巻き込んだお祭りとかだな」
"冒険者"はアドレの住民の一種族に過ぎない。より上からの指示ならば従うだろう。
非暴力派の代表として攻略派と話す事は何もおかしくない。例えば派閥も種族もごったになったテーブルに参加すれば……。
「すごい案です。でも無理です。どうやってアドレ王宮にお祭りをお願いするんですか」
「そうだよな。そこが問題だ。僕達のような訪問異種族と、君達非暴力派の立場は似ている。アドレに来た客であって、アドレへの貢献は少ない小市民だ」
「貢献……」
「うん? 何かあるか?」
ラビは何か思いついたようだが……ああ、なるほど。
確かにラビならば可能かもな。
「……アドレに貢献している冒険者なら、できるかもしれません」
「最近配達に行くようになった【祝福の花束】か。なかなか影響力のあるギルドらしいが、そこまでできるかね」
「無駄……かな?」
「とりあえずやってみてこそのラビだと思うが?」
本心だ。慰めでもお世辞でも無い。
ラビの良いところは、そういう所だろう。
「では早速! 行ってきます!」
「今日の分の仕事終わらせてからにしなさい」
「あう。わかりましたー」
暴走特急。しかし悪くないな。
結局は当事者同士で止められる事などたかが知れている。
外野から水を差すというか、冷水を被せるほうが冷静になるというもの。
「ブランカさん、ありがとうございました!」
……走り去るラビ。
うんうん。元気だ。
──これで本当に実現したのなら、僕の仮説の立証になるかもしれない。
僕はバロウズからアドレへ来て、仕事を探していた。
冒険者のハウスキーパーをするようになったのは冒険者に声を掛けられたからだ。
それまでの僕は、何もしていなかった。
ハウスキーパーをするようになってからも僕自身が何かを変えた事は無かった。
──あの青い海のような何かに出会ってから、僕は変わった。
画家になった。それまでそんなことしなかったのに、ふと思い立って画家になった。
そして気付けば、かつてと同様に何も変わらない毎日を過ごした。
──【Blueearth】に存在する命は、新たな行動を起こさない。起こそうと思えない。
例外は──"冒険者"だ。【Blueearth】生命体は、"冒険者"のアクションが無くては新しい行動が出来ない。
それが僕の仮説だ。
僕が変わったのは間違いなく、あの青い海のような何かと出会ったから。
それでも根底は変わらない。一つ行動を決めたらそれを繰り返してしまう。
だから画家はやめた。
唯一"自分"を保つ事が出来るのは、考えている時だ。だから常に物を考える学者になった。
検証だ。
全住民を巻き込んだイベント。収穫祭など一部の固定イベント以外でそんな事が可能なのか。
もし可能ならば……"冒険者"は、僕達にとって新たな可能性を拓いてくれる存在だ。
……検証であって、利用ではない。僕もちゃんと手伝える事はないか、"考える"としよう。




