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オイラーの自然数和についての解説 図解入り 前編

作者: 和泉メイジ

前後編の前編になります

後編はこちら↓

https://ncode.syosetu.com/n9606ia/

☆自然数の総和 1+2+3+・・・n(nは無限大)をSに置き換えて考えます。


S=1+2+3+・・・nは 底辺1x高さの長方形の和(高さが1+2+3+・・・n)の面積と同じ数値になるのは理解できると思います。(長方形で底辺が1なら高さの数値がそのまま面積の大きさになります)


図1 面積nの長方形

挿絵(By みてみん)


この面積の答えを求めるには底辺n、高さnの直角二等辺三角形の面積と


図2 面積 n²/2 の直角二等辺三角形(nの値が大きくなるにつれて底辺が右側に伸びてゆく)

挿絵(By みてみん)


長方形の先端の部分にあたる底辺1、高さ1の直角二等辺三角形の面積、n個分を足したものになりますので、それを考えればよいわけです。


底辺1、高さ1の直角二等辺三角形の面積は1x1x1/2となり、1/2です。


図3 面積 1/2 の直角二等辺三角形

挿絵(By みてみん)


上記からS=1+2+3+・・・n は

底辺n、高さnの直角二等辺三角形の面積である n²/2 と

底辺1、高さ1の直角二等辺三角形の面積、n個分を足した n/2

を足したもの、n²/2 + n/2 となり、これをまとめることで


S=n(n+1)/2


という数式で表すことができます。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


☆一方でS=1+2+3+・・・n で、nが無限大の時


S=1+2+3+・・・n=-1/12


という数式が知られています。

これを唱えたのは数学者のオイラーですが、この数値がどこから出てきたのか、これは本当に正しいのかを(個人的な見解ではありますが)説明したいと思います。


      *   *   *


S=1+2+3+・・・n ですが、ここから少し式をいじります。

まずSを4倍して、4S=4+8+12+・・・4nを作り、Sから引きます。


 S=1+2+3+4+5+6・・・n

-4S= -4  -8  -12・・・4n


すると


-3s=1-2+3-4+5-6・・・-3n


……とはなりませんよね。


-4Sの部分を2つおきにずらしているので、面積で考えるなら底辺を二倍にしているので実際に引いているのは直角三角形の底辺の半分だけのはずです。


図4 底辺 n 高さ n/4 の直角三角形

挿絵(By みてみん)


さきほどと同じく面積で考えるなら、底辺が二倍ならば高さを半分にすれば同じ面積になります。


図5 底辺 2n 高さ n/2 の直角三角形

挿絵(By みてみん)


先端の直角二等辺三角形も半分だけが使われているので、実際に引いている部分をS1とすると

底辺がn、高さが1/4の直角三角形の面積と

底辺1、高さ1の直角二等辺三角形の面積、n個分を足した n/2の 半分


S1=n²/8 + n/4


図6 引いた部分(これに足して面積 1/2 の直角二等辺三角形 n/2個分)

挿絵(By みてみん)


となり、引かなかった部分をS2とすると


S2=3n²/8 + n/4


図7 引かれなかった部分(これに足して面積 1/2 の直角二等辺三角形 n/2個分)

挿絵(By みてみん)


となります。

S1 と S2 の和は


S1+S2=n²/8+3n²/8+n/4+n/4 = n(n+1)/2


ですから、S=n(n+1)/2と矛盾していません。つまり、


 S=1+2+3+4+5+6・・・n

-4S= -4  -8  -12・・・4n

――――――――――――――――

-3S=1-2+3-4+5-6・・・ - 4(3n²/8 + n/4)


こうなるはずです。


図8 図6の4倍

挿絵(By みてみん)


ここからさらに同じ式を足すと


-3S=1-2+3-4+5-6・・・ - 4(3n²/8 + n/4)

-3S= 1-2+3-4+5-6・・・-4(3n²/8 + n/4)

――――――――――――――――

-6S=1-1+1-1+1-1・・・ - 8(3n²/8 + n/4)


これを計算して


-6S=1-1+1-1+1-1・・・ - 3n² - 2n

S=-(1-1+1-1+1-1・・・)/6 + n²/2 + n/3


となりました。

ここでもう一度上の式を見返してみます。


-3S=1-2+3-4+5-6・・・ - 4(3n²/8 + n/4)

-3S= 1-2+3-4+5-6・・・-4(3n²/8 + n/4)


お判りいただけたでしょうか? 下の式は一つずらしていますよね?

ですからnが奇数の場合は+n、偶数の場合は -nを加える必要があります。

また、nが奇数の場合はnの一つ手前(n-1)が偶数になるので


奇数の場合:S=-(1-1+1-1+1-1・・・+n)/6 + n²/2 + n/3 = -(1+n)/6 + n²/2 + n/3

偶数の場合:S=-(1-1+1-1+1-1・・・-n)/6 + n²/2 + n/3 = -(0-n)/6 + n²/2 + n/3


(左辺は下図9にある実際の面積 n/8x4 と計算式上の n/4x4 誤差分)


図9 面積(底辺 1 高さ 1/4 x 1/2 = 1/8)の直角三角形

挿絵(By みてみん)


先に偶数を見ましょう。-(0-n)/6=n/6 ですから


S=n/6 + n²/2 + n/3 = n²/2 + n/6 + 2n/6 = n²/2 + n/2 = n(n+1)/2


これって最初の式である S=n(n+1)/2 と同じになりましたよね?

ではなぜ奇数の場合と数値が違ってしまったのでしょうか?

これってじつは最初に4倍して引いた時に問題が発生していたのです。


 S=1+2+3+4+5+6・・・n

-4S= -4  -8  -12・・・4n


偶数の場合だとこのように問題ありませんが、


 S=1+2+3+4+5・・・n

-4S= -4  -8・・・・4n


nが奇数だった場合、実際は最後の数であるnが引かれていないという問題が起こってしまっていたのです。そしてその分の調整が n=奇数の場合には必要になるわけです。


S = -(1+n)/6 + n²/2 + n/3 = -1/6 - n/6 + n²/2 + n/3 = n(n+1)/2 - n/3 - 1/6 + (2n+1)/6 ←


要するに、最後に付け足した(2n+1)/6が引かれなかった部分というわけです。


オイラーの自然数和 S=-1/12 という数字は


-3S=1-2+3-4+5-6・・・ - 4(3n²/8 + n/4)

-3S= 1-2+3-4+5-6・・・-4(3n²/8 + n/4)


の式で、ズラした分の奇数の場合は+n、偶数の場合は -nという数字を省略し、

さらに奇数と偶数では数値が異なる意味合いを無視して


1-1+1-1+1-1・・・ = 1/2


として計算しています。(この1-1+1-1+1-1・・・ = 1/2については後編で解説します)


-6S=1-1+1-1+1-1・・・ = 1/2   ←両辺を -6 で割る

S=-1/12


がいかに乱暴な代入で出てきた数値か、というのがこれでご理解いただけたかと思います。

さらに


 S=1+2+3+4+5+6・・・n

-4S= -4  -8  -12・・・4n


で引かれなかった右半分の数値を無視した上で無理矢理だした数値だとしか言いようがありません。


まとめると、


奇数の場合:1-1+1-1+1-1・・・+n  ← からnを省略

偶数の場合:1-1+1-1+1-1・・・-n  ← からnを省略


さらに奇数の場合の -1、偶数の場合の 0 になる意味合いをまったく考慮せず、足して2で割っただけですから


S=-1/12


という数式は、証明で出た誤差を埋める数値の一部を、ただ意味もなく半分で割っただけのもの、という結論になります。


※後編に続く

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