067_再来の黒田
この物語はフィクションです。
登場する人物、団体、名称は架空のものであり、実在のものとは関係ありません。
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067_再来の黒田
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僕はあまりの痛みと苦しみに、地面をのたうち回った。
「あががが……」
誰かが横に立ち、僕を蹴った。
「うがっ。だ、誰だ!?」
本当に何するんだよ!?
「うるせぇんだよ!」
別の誰かにまた蹴られて、地面を転がる。
「おい、早く殺せ」
「分かってるって」
何が起きているんだ? なんで僕を殺そうとするんだ?
力を振り絞って、立ち上がって距離を取る。そんな僕に金髪の男が迫り、剣を振り下ろそうとしている。
やられるっ!?
僕は無意識に結界を張った。
ガンッ。
金髪の剣が結界に弾かれて、たたらを踏んだ。
「ちっ。なんだ、これ? おーい。こいつ、バリアみたいなの展開しているぞ」
「はぁ? ざけんなよ。だから、さっさと殺せって言っただろ」
「いいじゃねぇか。そのバリアごとぶった切ってやれよ」
「いひひひひ。よーし、いっちょやったるか!」
まるで遊んでいるように、僕を殺そうとしてくる。
この三人は狂ってる。
「行くぜ! 切り裂け!」
金髪がまた剣を振った。
―――パリンッ。
「なっ!?」
僕の結界が切られた!?
初めて結界が破られたことへの驚きが凄い。
「へへへ。さっさと死ねやっ!」
結界を張り直す。
今度は僕の結界を破壊した金髪を覆うようにした。
「あぁぁんっ。なんだこれ、体が動かねぇぞ」
1ミリの隙間もなく結界を張ったから、金髪の体はまったく動かないはずだ。金髪の特殊能力がどういったものか知らないけど、剣を振ることで僕の結界を壊せるなら体を動かせないようにすれば対処はできる。
「はぁはぁ……痛ぅ」
固まって動かない金髪を見て、他の2人が近づいて来る」
「何あそ……」
「おい、あ……」
他の2人にストップをかけた。これを解除してくるなら、かなり危険な相手だ。
「はぁはぁ……どういうことだ? なぜ僕を狙う?」
「てめぇなんざ、知らねぇな。たまたま間抜けが背中を向けて気を抜いていたから嬲ってやろうとしただけだ。それより、これをさっさと解けよ。さもないと本当に殺すぞ、お前」
なんだよそれ。ふざけるなよ。
質の悪いシーカーはどこにでも居ると言うけど、こんなところで会うなんて思わなかった。
この三人、人殺しに慣れている気がする。今までに何度も同じようなことをしてきたはずだ。
力を持つと、人生を狂わせる人が一定数現れると、以前テレビで見た気がするけど本当に多いな。しかもあの三バカと被っている感じがするのは、僕の気のせいかな?
収納からチティス(黄色)の搾り汁を取り出して飲んだ。チティスの黄色の実は傷を癒す効果がある。結晶を使ってもいいけど、収納の中に大量にあるから使ってみた。
完熟マンゴーのような濃厚な甘さがあって、とても美味しい。こういうのは、結晶では味わえないものだ。
少し血を流し過ぎたか。頭がふらつく。
しかし、こいつたちをこのまま放置はできない。
「おい、早く解除しろってんだ!」
「僕を殺そうとしたくせに、何を威張っているんだ?」
いくら温厚な僕でも、殺されかけて笑って許すと思うなよ。
「うるっせーんだよ!」
あまりにもうるさいからストップに変更。これで声を出せないだろう。
さて、こいつらをどうするか。
「……やっぱり罰は必要だな」
三人が持つ力場を見分け、特殊能力を結晶化する。
これでこの三人はレヴォリューターではなくなった。
「解除」
三人のストップを解除する。
特殊能力を失った感触はどう? 体が重く感じるのかな? それとも脱力感?
「がっ……なんだ、これ……? おい、何をした!?」
「か、体が……てめぇ、何をしやがったんだ!?」
「くっ、何が起きた? 何をした?」
三人が苦しそうだ。特殊能力を失うと、これまでに積み上げた『SFF』が無に返るらしい。今の彼らは『SFF』がゼロの状態だから、相当違和感があると思う。
「僕をいきなり攻撃したことは、シーカー協会に報告する」
「そんなもん、揉み消してやるぜ!」
揉み消す? 随分と面白いことを言う。
どうやらこの三人の家族か知り合いは、それなりの権力者のようだ。
「どうやって揉み消すか知らないけど、そんなことはさせないからね」
「ははは。やって見ろよ! その前にてめぇは死ぬけどな!」
金髪が剣を振った。その後ろの二人も僕に飛びかかって来た。
でも、君たちの特殊能力はもう使えないんだよ。それに『SFF』もゼロだから、僕にはその動きがスローモーションのように見えるから。
カラドボルグの腹で両膝を砕くと、2人は悲鳴をあげて転げまわる。
金髪は何も起こらないことに、驚いているようだ。
「なんだよ!? なんで切れないんだよ!?」
「ちょっとうるさいから、黙っていようか」
一瞬で金髪との間合いを詰め、顔面を殴った。
「ぐあっ」
金髪はぶっ飛んで、地面を転がった。気絶しているようだ。
膝を潰した2人もうるさいから、意識を刈り取った。
「せっかくの四級昇級試験なのに、なんてことだ……」
気絶している三人をこのまま放置してもいいけど、シーカー協会に引き渡すことにした。
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本部で三人を引き渡し、綾瀬さんとの面会を待つ。
ドアをノックもせずに入ってきたのは、綾瀬さんではなくシーカー協会の幹部理事である黒田さんだった。
「やあ、カカミ君。久しぶりだね」
久しぶりというほど久しぶりではないと思う。奥多摩ダンジョンで行ったスマートメタルの実戦試験の時も、その後の打ち上げの際も居たからね。
「どうも。お久しぶりです」
黒田さんはテーブルを挟んで僕の前に座った。
「今回は大変なことをしましたね」
ん、なんか変な言い回しだ。大変なことになったではなく、しました?
「大変な目に遭いました。あの三人にはちゃんと償ってもらいたいです」
「何を言っているんだい?」
「黒田さんこそ、何を言っているのですか?」
僕は本当にわけがわからない。
そんな僕をにやにやしながら見つめる黒田さんの顔が、本当に不愉快だ。
「君が三人を襲い、怪我をさせたんだよね。駄目だよ、そんなことしては」
「はい? 言っている意味が分かりません。襲われたのは僕ですよ」
「三人は君に襲われたと言っているよ。それに怪我をしているのも三人だしね」
「証拠の動画を提出してますので、それを見てもらえれば分かりますよ」
「動画ですか。そんなものは提出されてないですが?」
「はい?」
どうやら僕が提出した動画は、誰かが処分したらしい。
これはあの三人のバックに居る権力者の威光か。そしてこの黒田さんはその権力者かその手下ということかな?
「カカミ・リオン。君を拘束する。抵抗すると、それだけ罪が重くなるぞ」
黒田さんが低い声でそう言うと、部屋に入って来た五人の人たち囲まれた僕は両腕を抱えられた。
「無実の僕にこんなことをしていいと思っているのですか?」
「君は加害者だよ。ふふふ」
冤罪だと分かってやっている目と笑いだ。くそっ、ムカつく。
「数日拘束して取り調べを行い、カカミ君の処分が決まる。その後、裁判を受けてもらうことになるからね」
五人に連行された僕は、地下と思われる日の光が入らない部屋に閉じ込められた。
あの人は僕を罪人に仕立てあげたいようだ。その目的はなんだろうか。僕がスマートメタルについて喋らなかったから? 実際に知らないのだから喋りようがないんだけど、それが気に入らなかったの? そんなことでこんなことをするなんて、頭がおかしいだろ。
もしくは三人の後ろに居る権力者の威光か? 黒田さんか、それ以上の存在かどっちにしろ面倒くさいなぁ。
「あ、四級昇級試験……どうなるんだろうか? これで不合格になったら、ぜったいに許さないからね!」
ご愛読ありがとうございます。
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