テイマーの誇り
「これでもまだ続ける気?」
「くそう! ドラゴンを出して来るなんて反則だろう‥‥‥」
すると今度は男性は表情を変えてミュラーに近づく
「なあ、どうやってドラゴンを手なずけた? 魔法でも使ったのか?」
「何故教える必要がある? 聞いても答えないし教えるつもりもない。それにティムしたモンスターは僕の大切な仲間だ!」
フォレストウルフの唸り声が聞えるようだ。これは‥‥‥遠吠え‥‥‥
「えっ! フォレストウルフかよ、脅かすなよ」
「僕のフォレストウルフはグランフォレストウルフだ」
「馬鹿を言うな群れのリーダーがティムなんかされる訳がないだろう?」
「なら、その目で見るといいよ」
魔法陣からその姿が現れる。フォレストウルフより大きな身体と背中にシルバーの美しい模様の毛並それはシルバーバックと呼ばれ群れのリーダーの証だ。唸り声とその存在感に、その男は腰を抜かしてへたり込む。
「何なんだ? おまえは‥‥‥」
「冒険者だよ、今はシルバーだけどね」
あくまでも優しく答えるミュラー
「そこの女は‥‥‥」
エリカは2本の剣を腰に構え直して言う。
「私はエリカよ」
「ひいっ! 剣姫! だって? ‥‥‥ほんとにいたんだ‥‥‥」
「酷いわね、私を何だと思っているの?」
「剣姫がここにいるなんて聞いてないぞ‥‥‥」
「誰に聞いたのかしら? さっき逃げた商人さん?」
「港街で金儲け話の旨い良い話があるって言うから付いて来たのに、キラーアントだってクイーンさえティムすれば後はこっちの言いなりだし、それを使って簡単に荷物が運べるし、攻撃力も強いから‥‥‥」
「強いから? キラーアントを沢山生み出してそれで何をするつもりだったの?」
「‥‥‥‥‥‥」
それから何も話さなくなって黙ってしまった。
「どうするエリカ? ギルドに後は任せる?」
「そうね、面倒くさい事は任せた方がいいわね」
「それじゃあこれを使って!」
と妖精の糸を渡す
「これを解くには本当の事を話さないと絡んで取れないんだ、だから、聞かれた事はちゃんと正直に話した方がいいよ」
僕は笑顔で男性に話す。
「わかった! わかった! 話す! ちゃんと話すよ!」
その糸で縛ってグリフォンに運んでもらう。その鋭い爪で掴まれて飛んで行く。
「僕も行ってくるよ、僕が話して来るね」
「宜しくね。ってあの糸は大丈夫なの?」
「時間が経てば無くなるよ、ああやって言っておいた方がいいでしょう?」
「シルフィーもなかなかやるわね」
「で? どうする? エリカ? クイーンだけ無事なんだけど‥‥‥」
「この際ティムすれば? さっきの人きっと手放したわよ。クイーンを盾してに自分の身を守る為、主従関係を放棄したみたいだし、それに‥‥‥」
「ミュラーに懐いているみたいだから」
大きなクイーンアントがミュラーにすり寄っていた。いつの間にかミュラーの周りには大きなモンスター達3体がすり寄っていた。ミュラーはそれでもとても嬉しそうだ。




