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川の人魚

 宴会の翌日、波の音と海鳥の鳴き声で目を覚ます。エリカは早起きで今日も波の音を聞いている。僕はそんなエリカの傍に行く。

「エリカ昨日はお疲れだったね。酔っ払いの男達の相手までするなんて珍しいって思ったよ」


「だって私達の手伝いをしてくれたのよ。それにあんなに喜んで貰えて素直に嬉しかったの」

 そう言ったエリカは満足そうに微笑む。


「そうだね、今回は妖精の皆にも助けて貰ったからね。セイレンやセルキー達に、セイレンの歌声は凄いよ。その歌声で人間を惑わすって言われても仕方ないかな」


 外を見ていたらミュラーが外で何かしている? 僕はミュラーの所まで飛ぶ。

「ミュラー、何やっているの?」

「シルフィーおはよう! 海で泳ごうと思っていたら、アランが泳ぎで競争しようって言うんだ」

 アームレスリングで負けたのがよっぽど悔しかったんだね。


「だから、今待っているんだよ」

「エリカには言ってあるの?」


「その時、隣にいたから知っていると思うよ」


 そうなんだ。だから、外を見ていたのか、アランは朝から漁に出ているからね、その帰りを待っているって感じかな。本当にミュラーの成長っぷりは見ていて飽きない。どんどん強くなっている。人間でいうと15~6歳って感じだな、出会ってから2回季節が変わった。いつか帰ってしまうんだよね‥‥‥


「おーい! お待たせ! さあ行こうか! 泳ぎじゃあ負けないぞ」

 ここからエリカに手を振って海に向かう。


「アラン、漁から帰って来たばかりで疲れてない? 少し休んでからでいいよ」

 

 アランは大きく口を開けて笑う。

「疲れてないから大丈夫だ、泳げない漁師はいないからな、逆に軽く泳いで身体をほぐすんだよ」


 アランが走り出す。

「それじゃあ! 行こう」

 

 僕も行こう。

「僕も一緒に付いて行ってもいいかな?」


「いいよ」

 2人と一緒に海へ行く。


 ここの海岸の砂浜の砂は綺麗だ。海がキレイだからかな? おっと2人が泳ぎ始めたようだ。僕も近くに行こう。2人の所まで飛ぶ、なかなかいい勝負になっている。流石は漁師だ、泳ぎには馴れたもんだ。でも、ミュラーも負けていない‥‥‥


「ミュラー! 頑張れ! エリカに負けたって報告したくないでしょう?」

 その僕の言葉にミュラーが反応してスピードを上げる。それに慌てるようにアランもスピードを上げる。


♢♢♢


 海岸に2人は仰向けで寝転がって息が上がっている、

「ミュラーお前さん負けず嫌いだな」


「アランこそ」


「今日は引き分けでいいよね?」

 僕は2人に言う


「そうだな‥‥‥」

 アランは起き上がり自分足を見る


「わー! 何だこいつ! 俺の足に食いついてやがる!」


「ネッカーだね」

 僕が言う


「泳いでる人の足に食いついて血を吸うんだ。無理に剥がそうとしないでね、ある程度血を吸ったら離れるからもう少し待ってて」


「何だか‥‥‥変な感じだな」


 と、満足したのかネッカーは足から離れ海に戻る。

 

 不思議そうにミュラーが聞く

「アラン何ともなかったの?」


「泳いでる時には気が付かなかったよ」

 

 そこで、僕は説明する

「ネッカーは魚や人間の血が好きなんだ。ネッカーに驚いて溺れてしまう人もいるんだよ」

 

 それを聞いたアランは

「海にはもっと危険な生き物がいるからな、これ位はなんて事はない」


 帰ったらエリカには引き分けだったと言っておこう。そう言えば‥‥‥気になった事があったのでアランに聞いてみた

「ねえ、アラン、ローレライって聞いた事はある?」


「ああ、あるよ。セイレンみたいな人魚だろう? だがあっちは人間を沈めるからな、この海に流れ込んでくる川があるんだが、あっちには皆行きたがらない、積荷も川を上って行けば運ぶのも楽になるんだがな、皆ローレライを恐れて行こうとしない、仕方ないさ」


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