ダイアウルフの毛皮
宿を出てあの船長さんを探す。名前聞いておけば良かった。でもいつもここの食堂に呑みに良く来ていたけどなあ。飛びながら当たりを見渡して見る。そうやって探していたら‥‥‥見つけた! 僕は飛んで船長さんの所に行く。
「ねえ船長さん。ダイアウルフの毛皮を売りたいんだけど、何処にいけばいいの? 教えてくれるって言っていたよね?」
「シルフィーか。よし俺に付いてきな。教えてやるよ」
船長さんに付いて行くと大きな問屋さんのような所に来た。古いドアを開ける。
「よう旦那元気か?」
店の奥で座っている若くはない人間がいた。
「何とかやってるが‥‥‥おまえさん珍しいものを連れているじゃないか」
「ああ、こいつは風の妖精シルフィーだよ」
「ほお‥‥‥」
そこで、エリカ達が走って来た。
「もう! いきなり飛んで行っちゃうから‥‥‥」
その姿を見て
「ほお、こちらがお客さんかい」
「そうね。ここでは品物も買い取ってくれるのよね。買って欲しい物があるのだけれど買ってくれる?」
「冒険者だね。どれ見させてもらおう」
エリカは魔道具からダイアウルフの毛皮を1つ出してみせる。
「ダイアウルフの毛皮か。流石冒険者だ、綺麗に加工されている。他にも幾つか持っているんだね」
「ええ、持っているわ」
「50用意出来るかな」
「もちろん」
「代金は‥‥‥」
そこでスライムが前に出る。
「親父さん。これはかなり上等な品だ。ちゃんとした値段を提示しないと交渉は無しだ」
「ほうお、あんたが交渉相手かい? 相談役を買って出る位だからな、ただのモンスターじゃないとは思っていたがそれにしてもおまえさん達は変わったパーティーだね」
親父さんは鋭い目で僕達を見る。そしてスライムと値段の交渉をしていた‥‥‥
「ダメだね、そんな値段じゃ売れない。他の街ではもっといい値段をつけてくれた。私を侮ってもらっては困る、これでも親父さんより長く生きているんだ」
「‥‥‥あんたには負けたよ。これでどうだ? これ以上は無理だ」
「出せるんじゃないか、まあそれが商売ってもんだがね。良い筋をしている。いい見る目も持っている。損はさせないよ、エリカ! 肉を渡してやってくれ」
「いいわよ」
「‥‥‥これは?」
「ダイアウルフの肉さ。保存用だがそこそこ売れるぞ。貴重な肉だからな、小さい物は味見用として客に食べさせてやればその肉を欲しがるはずさ。美味いからな! 食ってみろ」
一切れ食べてみる
「これは‥‥‥美味い! 保存用に加工してあるから手間も要らない! あんたすごいよ! それじゃあ交渉成立だな? 毛皮は60貰おう」
「この商売上手が、親父さん。値段を余り吹っ掛けるなよ。命を取られかねない」
スライムが忠告をする。
「解っているさ。そんなヘマはしないよ。これでもわしは、魔法使いだ」
とウインクをする。
店を出る。さすがはスライムさん! 金貨が一杯だ! 船って高いよね、船員も雇うって言ってたけど‥‥‥
「これからが勝負よ。乗組員を募集する」
エリカは港にやって来た。そして
「私は冒険者エリカ、海のモンスタークラ―ケンを討伐に行く。私の船に乗ってくれる人をここで募るわ、給金は前払い今の倍出すわ。クラ―ケン討伐後には別に報奨金を出す」
船乗り達は悩む。何隻も沈められた恐怖が蘇る。
静まり返る男達‥‥‥
「しゃああないなあ、女にここまで言われちゃ行くしかないだろう。給金は前払いなんだよな。で、モンスターを倒したらまた別にもらえるんだろ? こんな美味しい話はないだろう?」
とあの船長さんが手を挙げてくれた。
「てめええら! 付いてるんだろうが! 男の強さってやつを見せてやろうじゃないか!」
おおーー! っと誰からともなく声が沸く。船長さんが初めに契約をした。前金を貰ってうれしそうだ。それに続けと何人かが契約してくれたが‥‥‥まだ足りない。船長さんにエリカが言う
「船員の指示も貴方の方が適任だわ。宜しく」
「おう、こっちの荒くれ船乗りやろうは、任せな。あっちのモンスターはあんたに任せる!」
 




