アリーナ初めての街に興奮
「いらっしゃい!」
と元気な声で迎えてくれた店主
「何がいいかい? お客さん達は港街は初めてかな?」
アリーナが元気よく
「はい! 初めてです!」
それに機嫌を良くした店主は
「そうかい。ここには美味しいものが沢山あるからいっぱい食べて行きなよ」
アリーナの嬉しそうな顔はわかる、が、ミュラーまで凄く嬉しそうだ‥‥‥。
「それなら生ものは避けた方がいいかも知れないね、こちらで考えて出すとするよ」
それを聞いたエリカは
「助かります。でもきっと生ものでも大丈夫です」
「わかったよ。では待ってておくれ」
窓が開いているので潮風が入って来る。
気持ちいいね、とミュラーは言うが1人そわそわと落ち着かないアリーナ
しばらくすると注文した料理が沢山テーブルに並ぶ。
「すごーい! 見た事ない物ばかり! おいしそう! 魚も川の物と違って色がキレイだわ!」
皆で食べる。うーーん美味しいーー! エリカが小さく切って色々と僕に渡してくれる。
美味しい‥‥‥懐かしい味がする。そうか、前世で魚料理食べていたな、何だかお寿司が食べたくなって来た。流石にこの世界には無いよなあ、仕方ないか。生の魚の切り身もある。エリカが僕にそっと言う
「お寿司が食べたくなるわね。こういう所って日本人よね」
とクスっと笑う。
「僕もそう思ったよ」
お互いに笑う。
それにしても、ミュラーにしては良く食べている。
「美味しい! これって貝かな? 変わった形をしている? ん! でもすごく美味しいよこれ!」
なかなかの勢いで食べている2人
「おや? お人形かと思ったけど違うんだね? モンスターとも違うようだけど」
店主が僕を見て言う
「僕は風の妖精、シルフィーだよ。宜しく!」
「まあ! 妖精かい! それは凄い。シルフィー、欲しいものは他に何かあるかい?」
「果物はあるの?」
「あるよ! ちょっと待ってな。持って来るよ」
と奥へ行く。いい人だなあ。そこで、ブラウニーの姿を見つけた。忙しそうに店の中を掛け巡っている。そうか、お店を手伝っているんだね。店の中にいる人も顔見知りのようで店内は笑い声が聞えてくる。
はあ! 食べたなあ、完食だ。‥‥‥皆満足だ。だが、アリーナはソワソワと落ち着きがない。
「それじゃあ、街を散策しましょうか?」
僕は、店主の所まで飛ぶ
「美味しかったよ! また来るね」
「ああ! いつでもおいで!」
手を振って店を出る。
アリーナが
「私、海をもっと近くで見たいわ」
「そうね、それじゃ海岸の方に行きましょうか? ここは港だから、もう少し海岸沿いを歩いて海の近くまで行ってみましょう」
船も沢山港に着いている。日に焼けた男達が大きな魚をさばいていた。それに見惚れるアリーナ。
「こんなに大きなお魚見た事ないわ!」
そこには5~6メートルはある魚が吊るされていた。
「お嬢さん達、港街は初めてかい?」
日焼けした色黒の筋肉質の男性がアリーナに声を掛ける。
「そうなんです! このお魚生でも食べれるの?」
アリーナは興味深々だ。
「ほい、食べてみな」
「わあ! ありがとう!」
一切れ貰って口に運ぶ
「ん! おいしい! 生って少し抵抗があったけど美味しいわあ!」
「可愛いお嬢さんにそう言って貰えると、嬉しいねえ!」
「ほら、これも食べてみな。この辺でよく採れる貝だ。焼いてあるからなあ、旨味が口に広がってほっぺた落ちるかも知れないぞ!」
白い歯を覗かせて笑う。
「ん! いい塩加減! 本当に美味しいわあ!」
さっきも結構食べていたよね‥‥‥よく入るなあ。それにしてもこのはしゃぎっぷりは‥‥‥でも、僕達も初めての時はあんな顔をしていたんだよね。アリーナの姿に新鮮な感情が沸く。
 




