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ヴィヴィアンとの再会

 どうやらコートも出来上がっていたようだ。以外と長く妖精の国にいたんだとその時気づいた。


 部屋に戻るとアリーナがコートを着て僕に言う

「見て見て! 私のコートよ!」


「うん! 似合っているよ。長さは丁度膝までなんだね」


 後ろ姿も見て欲しいのかコートを着たままくるりと回る。

「この位の長さだとブーツが映えるの! 今度は靴を作らなくっちゃ! エリカみたいにダイアウルフの短い毛を裏に貼って貰おう!」


 女の子だね。アリーナが居たらエリカも女子力アップするかな? もっとアリーナみたいにオシャレをすればいいのに‥‥‥。そうだな、そこはアリーナに任せるかな? 良かったね。エリカ! 僕も嬉しいや!


 今回はアリーナの活躍もありダイアウルフが沢山狩れた! 毛皮も保存肉も沢山ある。これからの旅は結構ゆったり出来る。ここの宿代も余裕で支払いが出来た。グリフォンやフォレストウルフの餌にも困らない!


※     ※     ※

 

 この街に来て冬の季節も終わろうとしていた。雪も溶け始めて行く。僕達の旅立ちも近づく。


 エリカがアリーナに言う

「明日この街を出るわ。アリーナ貴方の街へ行って挨拶してくるといい」


「そうする。じじさまに逢って来るわ。」

 と僕の顔を見て、出かけた。


「私達もこの街に人達に挨拶をしましょう」

 

 宿を出て明日この街を立つ事を話す。スライムさんはこの街でも相談役になっていたので、もの凄く別れを惜しまれた‥‥‥。何処へ行ってもスライムさんは人気者です。


 翌朝、街の人達に見送られて旅立つ。僕達は手を振って返す。


 エリカとアリーナはグリフォンに乗る、ミュラーはフォレストウルフに乗り街を後にする。


「楽しみだわ! ワクワクする!」


 アリーナが興奮している‥‥‥。その気持ち解るよ、僕もそうだった。それに、街を旅立つ時はいつもワクワクするよね。次はどんな街だろう? どんな事が僕達を待っているのだろう? って。


 風も春の香りを運んで来る。僕はすっかりトンステールと仲良くなって澄み切った空の中でよく話すようになっていた。


 アリーナが

「私、海って行った事なくて知らないの、行ってみたいわ!」

 

 エリカも

「そうね、今度は海の方へ行きましょう」


 トンステールに海に行く方向を教えて貰って海のある街を探す、途中休憩をする。


 湖の近くで一休み‥‥‥ミュラーはアリーナとフォレストウルフと一緒に横になっている。エリカは湖の近くに行きその水面を見つめていた。


 僕はエリカの傍に行き顔を覗く。

「ヴィヴィアンに逢いたいの?」


「そんな風に見えたのなら‥‥‥そうかも知れないわね」


「なら! 逢おうよ!」


「シルフィー‥‥‥きっと私の事なんて覚えていないわ。だから、いい……」


 僕はエリカの前に出て言う

「僕達妖精は忘れたりしないよ、人間とは違う! 長く生きていても覚えているんだよ‥‥‥

ヴィヴィアンに言いたい事があるんだよね? 話そうよ! きっとエリカも何か変われると思うんだ」


 エリカは考える。そして、湖に向かってその名を呼ぶ

「ヴィヴィアン‥‥‥私の育ての親‥‥‥ヴィヴィアン‥‥‥貴方に逢いたいわ、貴方に私は何も言えていない」


 それを聞いて僕も湖に声をかける

「エリカを育ててくれたヴィヴィアン、君のエリカが逢いたがっているよ」


 チャポンと、水音がすると美しい女性が姿を現しその女性はエリカに向かって両手を広げて言う

「私のエリカ」


 その腕の中へエリカは飛び込むように抱かれる。

「ごめんなさい、黙って出て行って。私貴方に何もお礼が出来ていない、育ててもらって生きて行くすべを教えて貰ったのに‥‥‥」


「そうね、貴方は魔法が苦手だったからちょっと心配していたのだけれど‥‥‥貴方にも仲間達が出来て楽しくやっている事は聞いて知っていたのよ、良かったわね」


 エリカはヴィヴィアンと少し距離をとると深く頭を下げて


「私を育ててくれて、生きる事を教えてくれて、ありがとうございました。エリカは今とても幸せです」


「そう‥‥‥本当に良かった」


 ヴィヴィアンは優しい微笑みを浮かべてエリカを見つめる。そして再び抱き合う。その姿にアリーナはもらい泣きをしていた。


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