シルフィーの秘密
「アリーナ、あの魔女と知り合い?」
「違うわよ。山の洞窟で何か変な事をしていたから追い払ったの。それでこの街はいつも私が来るじゃない? だから、来るなって言っておいたの……まさかこの街に居ただなんて……」
まだ怒っているよね……怖いなあ……エリカはいつもと変わらないさすがだ……。
「そうだったんだ……でも……そのドラゴンのオーラって怖いんだね……」
「あら! ごめんなさいね! つい腹が立ってしまって……」
とブレスレットをはめる。おおーっさっきまでのオーラがない! 凄いアイテムだなあ‥‥‥。
「これでいい?」
「うん! 助かったよ。さあマルコー行こう!」
「アリーナ、エリカ、僕達、妖精の国に行って来るよ。遅くならないとは思うけど……あそこの時間はここと違うから……ミュラー達にも伝えておいてね」
僕は黒猫と森の中へ行く。
「伝えておくから、気をつけて!」
エリカが僕達に向かって手を振る。
僕達は妖精の国に来た。
「まあー! シルフィー! 久しぶりね」
ティターニアは僕の頭を撫でる。オベロンは僕の翼を撫でる。オベロンが僕の顔を覗き込み
「君の言いたい事は解っているよ。マルコーを妖精の国に迎え入れてくれって事だよね」
「そうです! マルコーのした事は許されないものだけど……魔女の支配下に居た……断われなかったんだ……」
「‥‥‥いいよ」
オベロンは許してくれた。本当に良かった……。
「マルコー。ようこそ妖精の国へ……ここで猫の妖精、ケット・シーになるといいわ」
ティターニアもそう言ってくれた。妖精達が集まって来た。マルコーはその妖精達と奥の方へと一緒に行った。
ティターニアが僕に
「シルフィー……ドラゴンとお話し……したのよね……」
「うん、色々教えて貰ったよ」
「全く……おじいちゃんドラゴンは、なかなかおしゃべりだ」
オベロンは面白くなさそうだ。眉毛をヒクヒクさせている。怒っている訳ではないのだろうけど……機嫌が悪いのはわかる……。
「あのドラゴンが言った通り‥‥‥君はシルフと人間との間に生まれた者だよ。人間のように産み落とされたのではない……。ハーフエルフとも違う。君は2人の想いから生まれた大切な妖精だ。君は特殊な生まれ方をしている……私達にとって君は特別なんだ。初めて逢った時には解らなかったよ。あまりにも小さかったからね。
‥‥‥ドライアドには感謝だよ。君を見つけてくれたのだから」
「ドライアドが言ってくれたんだ。あなたはシルフィードと言われるものの力が強いって、だから、シルフになりたいと思った……翼が欲しいと思ったんだ……ありがとう僕を見つけてくれて……ありがとう僕をシルフィードにしてくれて!」
「シルフィー……なんて、いい子に育ってくれて……嬉しいわ
貴方の選択はまだ先よ。だから、思いっきり楽しんで! 行ってらっしゃい」
2人に見送られて皆の所へ帰る。
帰って来ると、そこには沢山のダイアウルフの山の前で困っているエリカが居た。
「ただいま! エリカ、どうしたの?」
「アリーナが張り切っちゃって……どうしましょう、解体に時間がかかりそう……」
溜息をつく。
「エリカでも?」
「私は慣れているからいいのだけれど……あの2人がね……私にやらせてくれないの、どうしても自分達でやりたいって……」
いいじゃないかやりたいって言っているのなら……と思うのだけど……
「せっかくの毛皮に変な傷をつけたら売り物にならない」
……そういう事ね、うん! 大事だよね。
「これが、以外とアリーナが上手いのよ、それで余計に張り切っちゃって……」
ほうほう成る程。好きな相手にいい所を見せたい訳だ! 乙女だね!
沢山の干し肉と毛皮を収納魔法を使ってエリカがその中に入れていく。
「それって便利だよね。重たい荷物を持たなくてもいいから」
いつも思うけど、どうなっているんだろう?
「生活魔法は仕方無しに覚えたって感じかしら? 生活するのに必要だから」
収納作業をしながら
「今回はゆっくりして来たのね。しっかり甘えて来た?」
「うん! 2人共喜んでくれたよ。オベロンなんかずっと僕の翼を撫でるんだよ」
「解る気はするけど」
笑顔で僕を見る。
 




