魔女と猫
大きな袋の中にダイアウルフ達を詰め込んでいく。
「沢山入るのねえ! その袋」
アリーナが不思議そうに聞く
「魔道具の1つだから、沢山入るわよ。さあ帰りましょう」
袋はグリフォンが両足掴んで持って行ってくれる。皆で街に帰って来た。袋から沢山のダイアウルフが出て来る……。受付のお姉さんもビックリしていた……。
「こんなに沢山‥‥‥」
鑑定が終わって、
「何頭か貰っていくわね」
「はい! どうぞ」
その何頭かを持ち上げて持って帰る。その姿を見たアリーナは
「人間とは思えない……」
アリーナ……口が開いているよ‥‥‥これ位で驚いていたらこの先もたないよ……。
「解体するから手伝って」
と、解体を始める。ミュラーも初めてではないので慣れたものだ。
「ダイアウルフのお肉も美味しいのよ、肉屋に持って行きましょう。この時期じゃないと食べられないから高値で買い取って貰えるわ。後は干して保存用にしましょう」
雪は降り積もり人々は多くは家の中で過ごす。晴れた日には外に出て買い物や散歩をする人もいる。
そんなある日、一匹の猫が宿にやって来た。もちろん僕に逢いにだ。エリカ達には席を外してもらっている、妖精は人間に会話を聞かれるのは好きではないのだ。雪のように真っ白な猫に
「君はもしかしたらマルゴティンキャットかい?」
「そう」
「どうして僕の所に来たの? 人間と一緒に居る僕の所に来るって、よっぽどの事なんだよね……」
「もしかして……マルコーが……いるの?」
「そうなの、マルコーから守るにはどうしたらいいか相談に来たの。他の妖精も傷つけられている……」
「妖精達も!」
これは厄介だ……見た目はどこにでも居る猫だから……見分けが解らない……。
「いつからマルコーが来る様になったの?」
「冬が来る少し前だった。冬の間は寒いから問題ないと思っていたけど……今度のマルコーは酷い……人間の赤ん坊を傷付けたりするのよ!」
「それは許せないね……何とか追い払わなければ……他の妖精達に知らせないと……シルフィー達に伝えておくよ。ブラウニー達に自分の家にマルコーを入れないようにと」
マルゴティンキャットまだ何か言いたそうにしている……?
「まだ不安な事があるの?」
「魔女がこの街に居る……。」
「街に…‥‥?」
それは……人間の中に紛れてしまうと探せない……まして今は冬……人間達は殆ど家の中だ……僕が魔女を見つけたとして僕に何が出来る? ‥‥‥。雪が溶けたら……もっとマルコーは酷い事をするだろう。魔女か……その魔女は普通の魔女ではないだろう……妖精の国を追われた者だ。
「マルゴティンキャット、何とか考えよう! 君もブラウニー達に伝えて」
「ええ、そうするわ」
真っ白な猫は部屋を出る。入れ替わりにエリカ達が部屋に戻って来た。
「綺麗な猫ね、あの猫も妖精なの?」
とエリカ達が聞く
「妖精とは少し違うけど、妖精の仲間みたいな感じかな? 主人に忠実な猫だよ。皆聞いて……この街に魔女がいる、その魔女の連れた猫が人間に酷い悪戯をするようなんだ。その魔女も普通の魔女ではない、妖精の国から追放された者だ。人間の事など何とも思っていない、むしろ、もっと酷い事をするかも知れない……探す為に協力して欲しいんだ」
「いいわよ! どうすればいいの?」
魔女と聞いてアリーナの表情が変わった?
「黒猫を飼っている家を探して欲しい」
「了解、では、ダイアウルフの干し肉を持って家を回りましょう。沢山あるしどうぞって、私達は肉より毛皮の方が目的だもの、それにまだまだダイアウルフは来るから!」
その日からエリカと一緒に各家を回った。
【マルゴティンキャット】真っ白で艶のある毛を持った優美な猫で王室に使える妖精と猫騎士の間に生まれたものとも言われている。
【マルコー】いつも狩りを楽しんでいる妖精の小道やエルフの丘など知っているので妖精達を追いかけ、噛んだり引っかいたりする。飼い猫になりすまし、家族全員に毒を飲ませてその魂を捕まえて地獄へ持って行く。魔女の集会に集まる猫はフォワローキャットという猫でその猫のリーダーがマルコーである。
 




