魔石
報奨金を貰って宿に帰って来た。
「寒いわ!」
とアリーナが言う、エリカは部屋を暖める魔法を使い部屋の温度が上がる。
「わあ! 温かい……」
と安心したように椅子に座る。エリカはベッドに座る、ミュラーは召喚したフォレストウルフと一緒に床に座る、フォレストウルフの頭を撫でながらアリーナに聞く。
「アリーナ達は雪の間はどうしていたの? その身体には適さない環境の温度なのに」
アリーナが懐から何かを出す
「これよ」
と見た感じ特別とは思えない石を自慢げに見せる
「この魔石を持っていると温かくなるの持ってみて」
それを持ったミュラーが
「凄いや、身体が温かい……不思議だね」
「これはその人の魔力に反応して発動するみたいだから雪山には絶対必要よ、それにダイアウルフって吹雪の時に来るのでしょう? 持っていた方が身体は動きやすいはず」
「はい、エリカ」
とエリカにも渡す
「あら本当ね! 身体が温かいわ、ありがとう」
とエリカは言うけれど……エリカには必要ないと思うけどなあ……雪の上だって普通に走れるもん、アリーナがそれを見た時どんな顔をするのか楽しみだな。
「シルフィーやスライムには必要ないわよね?」
「必要ないよ、私は自分で体温の調節が出来るからね」
とスライムが言う
「僕にも必要ないよ、実体は持っていないから」
と今度は僕がアリーナに言う……とアリーナの顔が近づく……
「不思議よねシルフィーって、実体は無いって言うけど、こうやって触れる事が出来るのですもの」
そう言って僕の翼を撫でる。
「そうだね、僕もそこは良く解らないけど、僕は特別らしい……」
エリカはそっと僕を引き寄せる…。気にしてくれているんだ……。
困った妖精達の対応は僕達シルフィーが何とか話しをして決めた。だから、命を危うくする事はないだろうけど……心配はある。人間を崖から落としたり雪崩を起こさないようにと、お願いした。聞いてくれるといいのだけれど……。
もし、崖から落ちたらシルフィー達が風の力を使って怪我をさせないようにすると言ってくれた。
セルヴァンは今年は冬眠はしないそうだ、チーズの世話をすると言っていた。それに、子ヤギが生まれる予定もあるのだとか言っていた。
吹雪が続いた日にギルドからダイアウルフの討伐依頼が出た。
「さあ! 今年も行きますよ」
ミュラーはフォレストウルフに乗り雪の中を走る、エリカとアリーナはそのまま走っている。アリーナ流石は雪山育ちだ。アリーナはいつでも姿を変えられてように服は街で見た服になっていた。オーラで作ったと言っていたが……そうか……街の雰囲気が変わっていると感じたのは服装が皆同じだったからかも知れない。アリーナはエリカについて行けている。このまま行けるか……。
一段と吹雪が強くなる…‥ダイアウルフの気配を感じる…‥いつの間にか囲まれていた。が、誰も動揺はしない
「さあ皆行くわよ!」
エリカが叫ぶ、エリカは剣で次々とダイアウルフを倒して行く。ミュラーもエリカと同様剣で倒して行っている。どうやら冒険者は僕等だけのようだ、周りを確認して僕は言う
「他に冒険者や人間はいない、アリーナ大丈夫だよ!」
その言葉にアリーナはドラゴンへと変わった。アリーナはフォレストウルフ達を力で押さえ付けて、その鋭い爪で止めをさす。炎で焼いてしまったら商品にならないから、心臓をザクっと一突き……。
「今日はこんなものかしら?」
エリカは満足していた。
【ムーリオッシュ】人間の家に入って来て食べ物を盗んでいったり、眠っている娘達の頬をつねったりする。子供に悪い夢を呟いたり家具をこわしたり井戸の水を枯らしたりする
【ヒドン】崖崩れや洪水を起こす、落とし穴を作ったり罠を作る、その為妖精も犠牲になっている。救助隊の命綱まで切ってしまう。どちらも人間に対して良く思っていない。




