アリーナの告白
すると店内からシルフィーを呼ぶ声が増えてくる。
「果物はいるかい? チーズはどうだい? ここの名産なんだよ」
「セルヴァンと一緒に作っているんだよね?」
手渡されたチーズを持って僕は嬉しくてキラキラ光る。
「嬉しいなあ、妖精達に親切にしてくれて、そして大事に思ってくれてありがとう!」
そう言って店内をキラキラさせながら飛び回る。そんな僕を見てエリカは、
「本当に直ぐ誰とでも仲良くなってしまうのね」
「妖精に逢えるってやっぱり凄いんだよ。僕達はシルフィーがいつも一緒だからそんな事を感じていないけど、特別なんだ」
ミュラーは言う、するとスライムが
「この後あそこに行くんだろう? こんなにのんびりしてていいのか?」
エリカのこめかみに血管が浮く……
「何故? 私があの娘に合わせないと行けないの?」
あっ! 地雷を踏んだ……かな? エリカはスライムを羽交い絞めにする……
「……う……解かっているよ……ミュラーの体力の回復を待っているんだろう? もう大丈夫だよ、回復している。山の薄い空気の中での稽古も随分と耐えられる様になっているよ」
エリカはスライムを開放する
「まあ、解かっていたの?」
「そりゃあ、あんなに走らせていたら解かるさ。エリカは平気みたいだけど」
開放されたスライムが言う
「私は森の中で育ったから高い山での訓練は多かったわよ、あの頃は必死だったから……何をあんなに必死にやっていたのかしら……ただ、生きるだけに……生きていく為に剣を振っていた、そんな感じかしら?」
ふっと笑うエリカ、
「食事は終わりでいいわね。シルフィー!」
僕は名前を呼ばれてエリカ達の所に行く。すると店内にいた客が一斉に立ち上がる!
「おお! 今から行くんだよな!」
全員それを待っていたの? これは……客は慌てて出て行く!?
「いい席が取られる!」
成る程そう言う事か……近くで見たい気持ちは分かるけど、さっきから凄い殺気なんだよね……まあね賭け事をやっている時点で皆殺気立っているから慣れているのか……
エリカはゆっくりと席を立つ……もう既に殺気が……隠す気ないよね……
エリカはあの店に入って行く、あの娘がこちらを見る。
「ごゆっくりな事で、逃げたかと思ったわ」
「貴方こそ帰ってから悔しくて泣いているんじゃないかって思っていたのだけど?」
お互い睨み合いが続く……
そこで大きな声が店内に響く、
「さあ! 役者は揃ったよ! 始めようじゃないか!」
皆が賭けを始める。僕とミュラー、スライムは見守るしか出来ない……
「はい! お互い腕を組んで!」
僕は祈る様に手を組む。
「スターート!!」
声がかかる! バーーーーン! と店内に響く音、決着が着いた。エリカが勝った! 店内が盛り上がる。相手の娘の目は驚きで見開き、倒れた自分の腕を見る。相手の娘は立ち上がりエリカに近寄る。
「貴方は何者?」
と腕を組んで座るエリカに言う。
「私はただの冒険者よ」
店内で誰かが叫ぶ。
「よっ! 剣姫エリカ!」
「噂以上に強いじゃないか!」
それを聞いてその娘も驚く
「剣姫……」
その後ミュラーを見て言う
「貴方は? この女の何?」
凄まれて怯む……
「エリカは僕の剣の師匠だよ」
「付き合っているの?」
その言葉にミュラーは顔を真っ赤にして言う
「そ、そんな事……」
返事に困っていると、
「解かったわ。付き合っていないのね、それじゃあ私と付き合いなさい!」
店内の客も一瞬で静かになった。ミュラーの返事を待っているようだ……
「ぼ、僕は……女性とお付き合いは出来ません! 今は修行中なので……迷惑をかけてしまう……君に嫌な思いをさせてしまう……だから……」
わあ……ミュラー……フラれる娘の気持ちも考えてあげて……ええ! 何と! 彼女は、ミュラーの両手を握りしめて、ミュラーを見つめる。
「私の事を心配してくれるの?」
「‥‥‥‥‥‥」
「す・て・き……」
アリーナが……落ちた……店内の客は声に出さないがそう言っているようだった。




