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次の街へ

 山には沢山の妖精が住んでいる。山の洞窟に住むもの、地下に巣穴を作ったりする者など。


 僕は洞窟に住む、ヴィーヴェルと話しをしていた。ヴィーヴェルの瞳は宝石で額にも宝石が埋め込まれている、その為その宝石を盗もうと人間達から被害を受けるとボヤいていた。


「そうか、ここにも人間は来るんだね、よく宝石を守ってくれたね」


「私の目を見ると石になってしまうからね、それを知っていてもなお挑んでくる、人間っていう生き物には困ったものだ」

 ヴィーヴェルが大きなため息を吐く。


「君から宝石を奪おうなんて無理なんだけど、宝っていう物に人間は魅了される……手に入れる事が難しいと解っている物には特にね。ほんと、困ってしまうよね」


 そんなヴィーヴェルの頭を優しく撫でて言う。そこで、ドラゴンについて聞いてみる。


「ここに居た事もあったよ。仲間から逸れてしまったようだったからね、時々ドラゴンが飛んで来ると話したら、それまでここに居させてくれと言われた。そのドラゴンも仲間を見つけて帰って行ったよ」


「ありがとう、ヴィーヴェル!」


 僕はエリカ達の元へ行って今聞いた事を話した。


「そうか、今度はあの山を目指そう」

 ミュラーが言う。エリカも、


「そうね、季節も変わって来たから本格的に冬が来る前に、移動した方がいいかも知れない」


「それでは、街の人間達に挨拶をしないと行けないな」

 とスライムは言う、


 宿に向かう途中で話は決まった。僕は言う、

「ここは居心地が良かったよね。なんて言ったってご飯が美味しかった!」


 皆も笑顔だ。さあ次の街へ行こう。



 グリフォンに乗って街の人間達に手を振る。そこにはあの親子の姿もあった。上手くやっているようだ。良かった。



 空を飛んでいるとベルシュタに会う、女性のトンステールをベルシュタと呼ぶ。


「ベルシュタがもう少しで冬がやって来るって言っているよ」

 僕がエリカにそれを伝える


「そうなのね、冬は今度の街で越す事になりそうね」


 僕達は本に載っている街にやって来た。


 グリフォンから降りていつもの様にギルドホールを探す。と、何やら賑やかな声が店から聞こえる。それを横目で見ながらギルドへ着いた。


 受付のお姉さんに登録証を見せる

「まあ! やっとお会い出来ました! エリカ様、ミュラー様、そしてシルフィー、妖精に会えるなんて、なんて幸せなんでしょう!」


 今度の受付のお姉さんはやや興奮気味に言う、おおー! ちょっと有名になって来たかな? 何だか嬉しくなってキラキラ光る、


「まあ! 綺麗!」

うん! いい反応だなあ……


「おい、また忘れていないか? 宿を探す方が先だろう?」


 お姉さんが驚いた

「あら珍しい。喋るのですねそのスライム」

 ミュラーが

「そうなんです。変わっているでしょう? でも、とても良い奴なんです」


 と笑顔で答える、あらま……ここでもミュラーくんお姉さんの心を掴んでしまったんだね、人の対応に慣れているはずのお姉さんをこんな顔にさせてしまうなんて……ミュラーって独特な雰囲気を持っているからなあ、ほわほわってしてて、暖かいんだ。


 そこで、宿の地図を貰って向かう途中で、さっきの賑やかなお店の横を通る。


「さあ、次は誰? もうおしまい?」

 若い娘が店中で周りに声を掛けている。何をやっているんだろう?


 何だか楽しそうなので僕は覗いて見た。


【ヴィーヴェル】額にエメラルド、瞳はルビーの宝石を持つ大蛇、そのルビーの瞳を見ると石になってしまう。ヴィーヴェルは妖精の国の宝石を守っていると言われている。

【ベルシュタ】

トンステールの女性で、季節を知らせる、雪や雹の厚い雲を導いて天候に影響を与える。

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