表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/206

職人の親子

「そう? それじゃあ、追い越されない様に私も頑張らないと行けないわね」


 そう言われて余計に焦り始めるミュラー

「エリカ、これ以上強くなってしまったら、特級以上のランクを考えなきゃあいけなくなるよ!」


その会話を聞いていたスライムは

「いいじゃないか、上を目指したり、挑戦する事を忘れてしまうと後は落ちて行くだけだ」

 そうですね……僕は……このままでいいのかな? 僕だけ置いて行かれてるみたいな気分になる、そんな様子を見たスライムから


「シルフィーは今のままでいい、君は人間と妖精を繋ぐという大切な役割を持っている。それは、君にしか出来ない」


 はあ! スライムさん!! 擦り寄りたい気持ちを押さえてミュラーの後ろに隠れる。


「ん……眩しい……困ったもんだな、気持ちを抑えるとキラキラは増幅するんだな……」


 話していると、誰かがスライムの前に来た。


「頼むよ、あんたからも言ってやってくれないか」


「モンスターの話を聞くっていうなら、聞くし話もするが?」


 若い職人らしい人間が親方らしい人間と一緒に来ていた。


 若い職人に向かってスライムが言う、

「君は独立してやって行きたいと思っているのかな?」


 若者が驚く

「どうして分かった?」


 と、不思議そうに見る。そこで、親方だろう人間が

「まだ、早いと言っているのだが……どうしても、自分でやりたいと言うんだ」


「君は師匠から受けた教えは全て覚えて全部自分のものに出来た、と言う事で合っているか?」


「ああ! そうだ!」

「あんたは何故この弟子がまだ早いと思うんだ?」


「客相手の仕事だ、こいつはまだその辺が分かっていない、痛い目に遭ってからでは気の毒だ」

‥‥‥スライムは若者に

「君はちゃんと計画は立てているのか? 日々の売り上げ、買い出しだって若いというだけで舐められる。交渉手段は学んでいるのか? それに将来どうしたいか目標は決めているのだよね」


「親方を見て来た!」

 真剣にスライムを見る、


「やってみるといい親父さん、やらせてみるといいよ。痛い目に遭ったり、時には損もするだろうがそれも経験だ。そうやって辛い経験もしないと、世の中そんなに甘くはないって事が分からないからな」


「‥‥‥‥‥‥」

「見守るのも、教える者の責任だ」


「そうか……そうかも知れん、分かったよ」


「若者! 頑張れよ」

 スライムに言われて嬉しそうに走って帰って行く。相談に来た親父さんに


「身内こそ突き放さないと行けないお互いの為にもだ、身内だからつい余計に口を出したくなる、だから、離れていた方が上手くやれる事だってあるんだ」


 黙ったままの親父さんに

「困った時は助けてやるといい」


「ありがとな、スライム」

 と、親父さんも帰って行く。


「相変わらずスライムの助言には納得させられるよなあ」

 と、ミュラーと顔を合わせて言う


「本当に難しい話をしているのね、でも、あれで良かったの?」

 とエリカが聞く


「離れてみて初めてその有難みが解るんだ。逆に解らない奴に未来は無い」


「なかなか厳しいわね……いつもあんな感じなの?」

 と僕にそっと聞く、


「そうだね、もっと専門用語みたいなのが出てくる事もある。僕には分からないから、スライムさんとは別に話してるよ」


 スライムは、

「そうだな、シルフィーは能天気に騒ぎ過ぎだ。妖精だからと皆が甘やかす」


「スライムさんの所にだって最近は女性も相談に来ているし、美味しそうな物をいつも貰っている!」

 と僕は反論してみる、


「相談料だ、当然だろう? シルフィーは貰っているだけだろう? まあ、シルフィーのキラキラを人間は喜ぶみたいだから仕方ないのか……」


 食事も終わり蒸しパンを買って宿に帰る。


 夜にはまたお店に行こう、皆が待っている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 確かに自分でやってみて、失敗して痛い目に合うとつらいけれどたくさん学べるし、成長できる。 スライム君いいこと言うなあ。
2021/02/16 18:25 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ