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クリュサオール

「そこでね、最近ドラゴンを見たって言う人が結構多いんだ。増えて来ているよ。妖精達も飛んでいるのを見たって言っていたよ」

‥‥‥? ミュラー? あらら、座ったまま寝ている!


「食事もしないで……まあいいわ。テーブルにパンとジャムを置いておきましょうか、目が覚めたら食べるかも」


 エリカはミュラーをひょいと抱えるとベッドに寝かせる……流石だ……


 スライムもミュラーの傍に行くと一緒に眠る。きっと傍にいると安心するのかな? 何だか微笑ましいと僕は思ってしまうけど、スライムさんには言わないでおこう。だって、きっと照れるから……


 夜、ミュラーは目が覚めた。お腹空いた、と、テーブルに置いてあるパンにジャムを塗って食べる。


「……やっぱり、美味しい……身体も楽になるから、これでまたゆっくり眠れる。お休み、スライム」

 食べ終わると一緒に布団に入る。


 朝、また山に登る。エリカとミュラーは剣の稽古。僕は妖精達に話を聞く。やっぱり見たと言う妖精は多い、方角も同じだ。この山にはリュタン、人間から小人と言われる者が多く住んでいる。

 リュタンは何処にでも居る。そのリュタンから、ドラゴンの話を聞く、ここから見える山の向こう側にドラゴンが降りて行くのが見えたと。そのドラゴンは赤いドラゴンだったと‥‥‥


 後からエリカに聞いてみよう。稽古が終わり、帰る途中でさっきリュタンから聞いた話をする。


「赤のドラゴン! ってはあ、一番厄介なやつじゃない……」

 と溜め息を吐く、


「そんなに強いの?」

「多分、冒険者で倒した人はいないわ」


 そうなんだ。でも、ドラゴンが仲間になったら……そんな事を考えながら帰って来た。今日もここのご飯は美味しい! カブテール美味しいよ! とカブテールにグッとサインを送る。


 ミュラー? 今日も何だか変だ……ジャムを塗ったパンは毎日食べているから、体力は回復するはず‥‥‥


 次の日、ミュラーが熱を出した。ポーションを買って飲ませるけど、熱は下がらない……僕はミュラーの傍にずっと居た。


「シルフィーの風、気持ちいい……熱は……そのうち……下がる……から……」

 ぐったりとするミュラー、こんな事は今までなかった、皆が心配している。お店の常連達から、沢山の差し入れを貰った。薄っすらと目を開けてミュラーが言う、


「大丈夫だよ……病気じゃ……ないから……ポーションでも……ジャムでも……無理なんだ……」

 ミュラーは解っているんだ。でも、心配だよ‥‥‥だって、とても辛そうだもん……



 その夜、街に住むすべての者が眠った。人間も、森に住む生きる者、動物も妖精も、全て……


 その空から、金色に輝くペガサスが降りて来た。誰も気づかない……静かな夜。


 ミュラーがそのペガサスに向かって

「クリュサオール……」

 そう言った。


 そのペガサスは、ミュラーに言う。

「全く君は、頑固なんだから。ほら、泉の水を持って来たよ。天界からこそっと降りてきたから長くは居られない。時々ちゃんと飲まないと。無くなったらそう言ってよ、僕等は双子なんだ。君といつも一緒なんだよ」


 ミュラーは泣きそうに言う、

「ごめんよ……ちゃんと、強くなってクリュサオールの剣を使えるようになるから……もっと強くなるから……」


「待っているよ、僕の愛しいもう一人の僕」

 ミュラーもペガサスになっていた、ミュラーは白馬に、もう一人のペガサスは金色の立て髪を持っていた。


【クリュサオール】ペガサスは切り落とされたメドゥーサの首の血溜まりから生まれたとされている、その時もう1人のペガサスも生まれた、ペガサスは双子だと言われています。クリュサオールは金色の身体を持ち金色の剣を持って生まれたとされる。クリュサオル、または、クリューサーオールとも呼ばれています。

ゲームではクリュサオルとして登場していています。

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