カブテール(2)
「変わった旅人さんだね」
とお店の女将さんに言われた
「僕達は冒険者だよ」
ミュラーはにっこりと笑う、
「そうかい。この辺には人を襲ったりするモンスターは来ないと思うがね。今までもそんな話は聞かないから、でも冒険者もこの街に来るからギルドはあるよ。行ってくるといい。で? 何がいいかね注文を聞こうか」
エリカはいつもと同じ様に、
「このお店ものお勧めがあったらそれを」
と、言った後にスライムが、
「パンは軟かい物がいいな」
その答えに女将さんは、にっこり笑い、
「それなら、蒸したパンを出そうかね」
おお!! 蒸しパン、何か懐かしい響きだ。転生前に食べていたなあ。菓子パンだっけ? あれ? ケーキだったかな? 忘れてしまった……。
出された料理はどれも美味しかった。蒸しパンは、この街なら何処でも売っているらしいので、
「他の店の蒸しパンも買って、ジャムを塗って食べよう」
と提案した。皆も同じ事を考えていたようだ。楽しみ! まずはギルドに行かないと、お店の女将さんに場所を聞いて向かう。
「まあ! エリカ様ですか!」
これもいつもの反応だね、
「では、肩に居るのは妖精ですね? たしか、シルフィーだったかしら?」
わーい! 僕の事も知って貰っているんだあ! 嬉しい! キラキラさせて、
「そうだよ。僕シルフィー宜しくね」
「はい! こちらこそ、いつでも遊びに来て下さいね」
受け付けのお姉さんは皆優しいな! 受け付けのカウンターでお姉さんを見ていたら、
「宿は探さないのか? 依頼は後からでもいいだろう?」
とスライムに言われた。
「あら、そのスライムは喋るんですね!」
とカウンターから乗り出して見て言う、
「そうなんですよ。妖精もモンスターもお喋りで、話が好きなんですよ……変わっているでしょう?」
とミュラーが言う。それ、なんのフォローをしているのかな?
「では、宿を紹介しますね。何軒かございますので、気に入った宿を選んでください」
とガイドブック? パンフレット? みたいなものを貰った。何軒か回って宿を決めた。
そこで、皆にカブテールについて話す。
「カブテールはね、とても親切なんだ。困っている人は必ず助ける。そして、働き者だよ。お店の鍋や道具を使って料理を作ってくれたりする。その時に使った料理器具は綺麗にして返してくれる。壊れた物だって直してくれるんだ」
「ほう! 店には1人は欲しい人材だな」
スライムが言う、
「妖精だけどね」
と僕が言うとエリカ達2人が笑う……。まっいいか、
「僕、行ってくるね」
と、僕はいつもの様に飛んで、森を探す。その土地の妖精達に会う、沢山話してくれた。少し先に山があってそこにはワイバーンが来るらしい……ドラゴンじゃないんだ。ドラゴンは見た事はないと言われた。
明日は山に行ってみよう、山にも沢山の妖精が住んでいる。何か知っているかも。宿に帰って来ると、
「どうだった?」
とエリカから聞かれる、
「皆ドラゴンは見た事ないって言っている。明日山に行こうよ、山にも妖精は沢山いるんだ。聞いてみるよ」
「そうね、明日山に行きましょう、いい訓練になるわ」
翌朝お店で、あの蒸しパンを買って山に行く。




