ディコンキ・ムジークの街(4)
「ドラゴンかあ、懐かしいなあ」
お店に通う常連の1人が言う、僕は嬉しくなってその人間の所まで飛んで話を聞きに行く。
「おじさんドラゴンとあった事あるの?」
「まあな。随分と前ではあるがね、あれは本当に偶然だったんだ。旅の途中吹雪にあって、俺は雪に足を取られて谷に落ちたんだ。気づいたらなんでも、若い娘さんが俺を見つけてくれたようで、街の人達でここに担いで連れて来てくれたと、その家の主人に聞いたんだ。暫くその家で天気が良くなるまで厄介になっていたよ」
そこで、スライムが言っていた事を思い出す……人間が入れない様な渓谷……
「それで? そこはどんな街だったの?」
僕は気になって聞いた、
「それが不思議でね。聞いた事も無い名前の街で、街の中と言うか、雰囲気も違っていたな」
と懐かしむ。
「まあ、そんな街もあるだろうと、特に気にもせず何も考えていなかった。その街のポーションが良く効いて怪我は直ぐに治ったよ。そのうちに、天気もよくなって暖かくなってきたから、その街から出たんだ。だが、谷深い場所にあるその街からなかなか出られなかくて、困っていたんだ」
うんうん!
「その時ドラゴンが俺の前に現れて言うんだ。背中に乗せてやるって。そして、その背に乗って谷をなんとか出られた。ドラゴンはそのまま何処かへ飛び去って行ったよ」
わあ……初めて聞いたドラゴンの話! 後で皆に話そう、そのおじさんとは店が閉まるまで話した。
おじさんは冒険者ではなくて旅人だったという。旅先で立ち寄った色々な街、その街での習慣、その旅での体験を記事にして書いた本を出していると、言っていた。
そこで、ドラゴンと不思議な旅というタイトルの本を出したらそれが良く売れたと自慢していた。
「その本を読んだ読者から夢だったんじゃないか、とか、嘘をついてるだとか、まあ散々言われたなあ、でもあの話は本当の話だよ。気になるかい? シルフィー……明日その本を持って来てやるよ。まだ数冊は残っているからね」
「わあ、ありがとう! 嬉しいな。明日僕と一緒にいる冒険者のエリカ達を連れてくるよ、スライムもいるんだ。連れて来てもいい? そのスライム喋る事が出来るんだ。だから、お話できるよ」
「ほう、それは珍しいなあ。俺も会ってみたいから、連れておいでよ。なんなら、また話を聞かせるよ、スライムが居るって事はテイマーもいるんだね。そうか、まあ冒険者の憧れだからねドラゴンってやつは、話も聞きたいだろうから、俺が知っている事は明日は話そう」
「うん! 宜しく!」
と、その日は別れて帰る。僕はエリカ達のいる宿へ帰る。エリカ達は食事は終わっていた。
「お帰りシルフィー、色々貰っているから、お腹は空いてないでしょう?」
「うん! 大丈夫だよ。それでね、あのお店に来る人がドラゴンに会ったんだって! 旅人で本を出しているって言っていたよ。その本を明日持って来てくれるって!」
それを聞いてミュラーは、
「凄いじゃないか! これである程度、行先が決めれるね」
僕は、おじさんの言葉を思い出した、
「それでね、喋るスライムがいるって言ったら会いたいって言っていたよ。皆で明日一緒に行こうよ」
翌日あのおじさんを待つ、その間に食事を済ませる。
おじさんが来た。笑顔で言われる、
「やあ! シルフィー待たせたかな?」
変わったドラゴンを紹介しましょう
【グラン・バシリック】ゴシック時代のドラゴンで戦いに挑んで来る騎士を睨んで石に変えてしまう
【ブズー】大きなドラゴンだが、足は短く猫背で首がない、牛1頭と騎士2人を一度に飲み込んでしまう
どちらのドラゴンも勇敢な騎士に退治されてしまいます。




