冒険者エリカ
僕はいつもと同じようにドライアドの枝で起きる。そして、街へ行く。いつものお店に。
すると、あの時の女騎士シャウラは、今は一国の王となっていると冒険者から聞く。なので、皆フェイに会いたがっている。何処に居るのか探しているらしいと、街の人達も関心があるようだ。この街にシャウラが居たのだそれはそうかも知れない。中には僕に聞いてくる冒険者も多い。
「フェイがどうやって人間を選んでいるのか僕は分からないし、知らないから探しても見つからないよ」
そこに、また冒険者が来る。綺麗なその女性は、
「あら、ほんとに妖精が居るわ」
何処かシャウラと似ている。
「依頼の途中で寄ったのだけど、これは良い事がありそうね」
と言うと僕を見る。
「貴方は冒険者だよね?」
「そうよ」
そこであの話しを思い出し聞いてみた。
「あのさあ、話すスライムの話しを聞いた事があるのだけれど、聞いた事はある?」
「さあ、私は知らないわね。そんなスライムいるの? 居たら面白いわね」
笑顔で返された。
「そうか、ならいいんだ。そんなスライムが居たら会ってみたいなあと思っただけだから」
「わかったわ、気に留めておく。もし分かったら知らせるわね」
「うん!」
とキラキラ光る。
「まあ、綺麗ね。こんな風にキラキラしているの? 妖精って」
店の店主が、
「妖精が喜ぶと、そうやって光るんだ。綺麗だろう? そのシルフはこの街でも特別なんだよ。普段は姿を見せない妖精なのにそのシルフィーは姿を見せてくれる」
周りにいる人間達は笑顔だ。
「愛されているのね。貴方は」
そう言って僕の翼を撫でる。なんか久しぶりだなこうやって翼を撫でて貰えるのって……シャウラ以来かも。
「それじゃ宿に帰るわ。またね、シルフィー」
僕も森に帰る。
朝、街に行く。街の人間達に挨拶をする。同じ日常だ。そしてお店に行く? 何か変だ!
「どうしたの?」
「隣の街に魔物が現れたらしい。今、冒険者のパーティーが来て戦闘中だそうだ」
それを聞いて僕は飛んだ。どんな魔物モンスターが現れたのか見てみたい!
そこには、あの冒険者が居た! あの人だ! それに、あの魔物はドラゴン? いやドラゴンは街を襲ったりはしない下級のモンスターワイバーンって所かな? はぐれものか? それにしてもあの人、強い! 剣だけであそこまで闘えるなんて‥‥‥余りにもその剣捌きが美しくて、見惚れてしまった。
パーティーの魔法使いが叫んだ!
「エリカ! 今だ!」
魔法陣に縛られたモンスターは一太刀で真っ二つになった。
凄い! 凄い! 僕はつい近づいてしまった。エリカと呼ばれる冒険者が言う。
「シルフィー! ダメよ! 他にもいる! 離れて!」
ガブっと、僕の翼を何かが捕まえる、えっ! これじゃあ飛べない! ザクっという音と共に僕を捕まえていた魔物の首が剣で落とされた。その口からエリカと呼ばれた冒険者が僕を引っ張り出す。
「シルフィー、何故こんな所に?」
「ありがとう、助けてくれて」
「まだよ! まだいる!」
そこには、もう一匹の魔物がいた。
こっちを見ている。僕は大きくなった。そして、強く翼を羽ばたかせて竜巻を起こした。その竜巻にのまれ、もう一匹の魔物は砕けた。
「凄い……」
その場にいた冒険者が皆驚く。突然大きくなった僕にびっくりした?
「シルフィー? よね」
エリカと呼ばれる冒険者が言う。
「そうだよ。元の姿になっただけだよ」
「まるで天使ね」
と、僕の姿に驚く。
「んー種族が違うよ。あっちは天界に住んでる。地上には来ないよ」
と、僕はいつもの小さな姿になる。